科学はイタズラだっちゃ! 受験も科学!      科学実験教室&家庭教師  宮城県大崎市

2010/06/23(水)10:15

貿易ゲームの感想

先日、小学5年生のPTA行事で、「貿易ゲーム」を指導する機会をいただきました。私にとって、これも、新たな科学実験であり、新たな道徳教育じゃないか、と気合の入っているゲームです。PTAの皆さまに感謝いたします。 持てる国、持たざる国の立場になって、その悲哀を、肌で実感するゲームです。Aグループは、資源も技術のアリBグループは、資源無し、技術アリCグループは、資源も技術も無し。ルールは至って、シンプル。この与えられた条件をもとに、暴力と盗み以外は、何でもOK。知恵と勇気で、自分の国のお金を儲けるというシュミレーションゲームです。あえて、道徳めいた話は一切しませんでした。感想が面白いので、読んでみてください。「ぼくは、貿易ゲームがものすごく楽しかったです。DチームとCチームがびんぼうで、Aチーム、Bチームは金がけっこうあるのも、くふうしているのですごいです。ぼくのチームは1位じゃなかったので、もう一度やりたいです。」この子は、差別があるのを、楽しんでいますね。 「Dチームになり、最初は、ちょっとやだなあ、と思ったけど、始まってみたら、とても楽しかったです。出稼ぎに行ったり、売りに行ったり、買ってきたり、いろんな体験ができました。お金がたまってきて、兵器を買いたかったけど、みんなが反対したのでやめました。10時30分に病気がひろがる、と言っていたので、早く病院を買わなくちゃと思いました。でも、お金が足りませんでした。でも、またやりたいと思います。本当に楽しかったです。」この子は、ハンデを楽しんでいますね。兵器購入の誘惑に負けなかったんですね。 「貿易ゲームを通して、世界経済や政治などの事に対して関心がわきました。僕たちの国は、Aグループだったのですが、最初の方は、なかなかお金が入らず、困っていました。ですが、先生にアドバイスをもらったり、自分たちの国の人たちと協力してやっていると、だんだんお金がたまっていきました。機会があれば、またやりたいと思いました。」先進国でも、結構、苦労するんですね。国内のまとまりが大切だというこに気づいてくれたようです。 「ぼくたちは、くじで、Aチームでした。ぼくたちのチームは、大人にだまされたけど、ぼくたちもだましました。食料で、お金がなくなったけど、ITパソコンのおかげで、お金をいっぱいもらいました。とちゅうで、かくへいきで、ハサミとコンパスをとられたので、ぼくたちも、かくへいきで、かえしてもらいました。世界には、Dチームみたいな世界があって、かわいそうだなと思いました。」すごい、ドロドロした体験をしてますね!逆に、こういう駆け引きから、相手を思いやる心も出てくるのでしょうか? 「ぼくは、貿易ゲームを聞いたとき、「何だそれ」と思いました。でも、ゲームをやって、貿易の意味がわかりました。お金の大切さがものすごくわかりました。これからは、本当に買いたい物を買うようにしたいと思います。」とってもシンプルな感想ですね。ついつい、余計な買い物をしてしまったんですね。 「私は、貿易ゲームでためたお金は、1回目1万円、2回目、0円でした。3回目1千円だけでした。くやしかったです。でも、お母さんたちと戦って、とても楽しかったです。とてもつかれたし、自分でもがんばったと思います。ほんとうに楽しいゲームを考えてくれてありがとうございました!!」儲けられなかったけど、大人と真剣に戦ったことが楽しかったのですね。 「貿易ゲームの名前が、【お金もうけ】たったので、盗んで、お金をためたりすることかと思いました。でも、予想の「お金もうけ」ではありませんでした。いろんなものをつくって、そして、はたらいて、お金をためるゲームでした。あいざわ先生の実験ゲーム楽しかったです。じっけんは、いろんな薬をまぜて、できあがり、ということかと思いました。でも、ぼくら人間を使ってゲームをしたり、いろんな楽しいことがいーっぱいあることに、気が付きました。べんきょうになりました。」広い意味の実験の楽しさに気づいてくれたようです。 「最初はお金がそんなになかったので、大変でした。けど、だんだん情報をあつめて、がんばって重ね切りをして、売ったら、お金がたまったけど、優勝はできませんでした。けど、めちゃくちゃおもしろかったです。またやりたいと思いました。」情報と知恵の大切さに気づいてくれたようですね。 「ぼくたちの国は、Bチームでしたが、Bチームのなかでは、ビリになってしまいました。家に帰って、お母さんにそのことを話すと、お母さんは『〇〇、お金をかせぐにはね、車がポイントなのよ。まず、1万ドルで、車の型紙を買って、それで車を作って売れば、3万ドルがもらえるのよ」と言っていました。ぼくは、ああ、そうだったのか…と思いました。こんな貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました。」親子の話題になってくれていたんですね。 「私はDタイプで、最初の方は、何をしていいか、分かりませんでした。でも、2回目からは、他のグループから物を貸してもらって、やっと、お金が入って、少しはよゆうができて、しげんをかいました。となりのグループの人たちは、勝手に、じょうぎを使っていて、いやでした。『私たちのなんで使っているの』と思いました。世の中には、じこちゅうな人がいるんだなと思いました。でも、やさしい人もいて、楽しかったです。貿易ゲームで、いろんなことが分かって楽しかったです。楽しいゲームを考えてくれて、ありがとうございました。」いやな人がいるから、やさしさがありがたいんですね。 「お金など何も無い国でも、がんばって生きている事を学びました。大変な国もあることを、あらためて知りました。貧しい中でもがんばっているんだなあ、と思いました。これから募金などしたいと思っています。」いやあ、すごいです。がんばってください。 「私は 〇〇です。(宗教団体名)このゲームは、核兵器や汚い手を使っていいということで、良心上、できないと思い、やりませんでした。先生は、世の中は、不公平だと言いました。私もそうだと思います。でも、私は、将来、世の中が公平になると思います。絶対公平になってほしいです。」彼女にとっては、試練だったのですね。 「ぼくは、このゲームを終えて思いました。国と国は、だまして買ったりするい事があるんだ、と思いました。」人間の裏側をのぞいたんですね。 「地球で、貿易ゲームと同じようなことがおきていることがわかりました。」ご家庭での話題で深めたそうです。 「最初は、すこし、みんなに優しすぎたかなと、今、思っています。このゲームで、世界が公平になっていない、ということがわかりました。そのことがわかったのは、ぼくにチームがBグループで、最下位だったからです。Aグループから、ハサミを借りようと思ったら、「1000ドルくれるなら、貸してやってもいいよ」と言われ、とても悔しかったです。」なあるほど、苦い教訓ですね。 「ぼくは、Dグループだったけど、最後は117000ドルもうけられました。いろんな作業をしたり、なにかを他の国に売ったりするのがとても楽しかったです。どの国も、平等ではないことがわかり、協力すれば、技術や資源が無くても、もうけられることがわかりました。」すっすばらしいです!! 「私が一番心に残っていることは…全部です。全部おもしろかったのです。私は、また楽しいゲームを、もう一回やりたいです。」よかったです!! 以上、ほんの一部ですが、子どもたちは、大人が思う以上に、不平等な社会、騙しあい、裏切り、に免疫性をもっているもんですね。何より、悲しい思い、悔しい思いをも、楽しんでいます。 科学や学問、それ自体は、人を幸せにも不幸にも、何にでもなります。昔は、社会が幸せにならないのは、「無知のせいだ」と思われていました。だから、教育こそ、幸せを解決する道だと。ところが、「知」は、善と同じくらい、虚偽も悪も、カンタンに教えらるのです。さらに、情報自体に、ウソも混じっており、真に貴重な情報もあれば、プロパガンダも混じっているものです。 国際政治だけでなく、家庭内においても、私たち人類は、どう生きるべきか、実は、太古の昔から、ほとんど何もわかっていないのだ、と正直に認識しなければなりませんね。知らないことを認めること、これこそが、逆に、子どもたちの生きる力を与えるのじゃないでしょうか?

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