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発達障害児が伸び伸びと育つために~保健師の目で見た子育て~

学校中に「支援の雰囲気」を作っていただく

担任の先生はじめ、校長先生・学年主任・養護教諭に診断名を告知しました。そして、教職員一同を対象にした学習会を開いてくださるようにお願いしたのです。
TAKUYAを事例とし、専門家によるアドバイスつきの学習会を開いていただけることになり、「アスペルガー症候群を知っていますか」の小冊子も全職員に配布していただくことになりました。

学習会には、大変に著名で、穏やかな人柄に定評がある篁(たかむら)先生が来てくださいました。
具体的にどのような内容だったのかは知らないのですが、とてもよい学習会だったそうです。
後から色々な先生から声をかけていただきました。

「おかあさん、えらいわ。勇気が要ったでしょう?お子さんのためによく頑張っているなと、頭が下がりました。私もできることをするから頑張ってくださいね」と、他の学年の先生から声をかけていただいたり、

1年生の時の担任の先生からは、「そういうことだとは知らずに、失礼なことも言ってしまったかもしれませんねー」と、恥ずかしそうに声をかけていただき「私もこれから勉強します」と言っていただきました。

どの声も親(私)に対して好意的でした。
意外なほどでした。

そして、ここから校長先生に次ぐ協力者が現れ、トラブルが起きた時の学校側の対応がまったく違うものになり、一方的に責められる事はなくなりました。耳を傾けよう、理解しようという姿勢の先生方が陰日なたで支援してくださいました。

学校での居場所が、子どもにも親にもできた気がしました。何か緊張の糸がほぐれたように感じました。


私自身は、勢いで捨て身になり「全職員を対象に学習会を!」と頼んだものの、実は内心は心配だったのです。

診断されて数ヶ月・・・まだ親自身も障害受容ができていたわけではありません。「もしかして誤診なのでは?」と何度も思っていました。それなのに、多数の先生に知らせるのか?もう後戻りはできなくなる・・・。

こちらが知らない先生からもレッテルを貼られて、トラブルがあった時には、TAKUYAのせいにされるのではないか?
先生によっては、障害があるからと「教育」することを放棄(あきらめる)されるのではないか?

次から次へと、不安材料が浮かんできました。
でも、その不安を押しのけるように、前向きな姿勢を通しました。

・・・隠れたところで、こっそりと関係者だけに理解してもらうのではだめなのです。

「隠れたところで、こっそりと理解してもらおう」という気持ちは親の“恐れ”から出ていて、「暗い」からです。

自分の中の「暗い」気持ちと戦い、自分を奮い立たせるように「オープン」に「あけっぴろげに」「明るく」「正しく」理解を求めないといけないと思ったのです。

こちらが恐れて暗くなっていると、良くても「お気の毒に」という反応が、・・・悪いと「そうは言ってもやはりしつけの問題も・・・」という反応がひそひそと聞こえてくる・・・という形で、返ってきてしまうのです。ひそひそした声に対しては、なかなか誤解を訂正することができません。批判も非難も明るいところで受け答えしないと、誤解の訂正ができないのです。

多少無理してでも、親が明るくしていると、先生方も「大丈夫よー。応援するわよー。めちゃくちゃなところはあるけど、根っこは優しいお子さんだからー」と、TAKUYAの長所に目をやってくれる・・・。

こちらの波長に合わせた反応が返って来る。
これは、おもしろいぐらいに「法則」なのです。

これは、教師に対してだけでなく、保護者の皆さんに告知する時にも当てはまることです。

親の、暗くて恐れている心は、教師の(相手の)暗い心を誘い出します。
明るくてオープンで、信頼する心は、教師の「信頼に応えよう、明るい気持ちで応援しよう」という心を誘い出してくれます。


それに、なによりも専門家を交えて学習会をしていただくと、学校の先生方の「教師として、いい教育をしたい、という心の疼き」が刺激されると思いませんか?

全職員の少なくとも数十%の先生方は、本当に向上心に満ちています。
その先生方が、職員室で「発達障害児をしっかり見ていこうよ」という雰囲気を作ってくださるように、親は働きかけられればいいのだと思います。

全教職員を対象にすると、その数十%の先生方が力を得るので、いい雰囲気ができるのではないでしょうか。
「あの子のせいで教室運営がうまくいかなくなる」という愚痴が職員室で大手を振られることはなくなるのではないかなぁ・・・と思います。

本当の理解者は、数名でもいい、「みんなで理解して守っていこう」という雰囲気を作っていくことが大事なのだと思いました。




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