ゲルギエフ:ニューヨーク・ライブ
ゲルギエフのアメリカツアーのニュージャージーでのライブ。ゲルギエフのLSOの首席指揮者としての最後の海外ツアーで、24日の公演をニューヨークのFM が放送用に収録し、その音源を2枚組CDとして発売したもの。プログラムはバルトークの中国人不思議な役人組曲とピアノ協奏曲第3番、ストラヴィンスキーの火の鳥全曲というヘビーなプログラム。メインの「火の鳥」は全体的にぬるい表現が目立つ。アゴーギグやバランスもイマイチ。突然テンポが遅くなる部分があり、筆者の感性にはマッチしない。今回の演奏は、ザルツブルク音楽祭でのウイーンフィルとの演奏よりも落ちる。どうも、ゲルギエフにはあまり向かない曲のような気がする。「火の鳥のロンド」はテンポが遅すぎて、その上にアゴーギグでさらに間延びしてしまう。「カスチェイの踊り」もテンポが遅く、推進力に欠ける。終曲も4分音符がスタカート気味で、重さがないというか軽薄に聞こえる。バルトークはレガートでの処理部が気になる。この曲の不気味さが薄まっているように思う。ピアノ協奏曲は筆者が曲自体をあまり理解していないので、コメントできない。録音は会場ノイズが多くうるさい。火の鳥では観客が静まる前に曲を始めてしまうのも、問題だ。放送録音とはいえ後の処理で何とかならなかったのだろうか。ところで、ゲルギエフのディスクはLSOの他にマリンスキー劇場管、昨年から首席のミュンヘン・フィルとの物も出ているし、ちょっと乱造気味の感じがする。Stravinsky: Firebird, Bartok: Piano Concerto No 3, The Miraculous Mandarin, Prokofiev: Romeo & Juliet Suite(LSO Live )1.Bartok:The Miraculous Mandarin Suite (Op. 19, BB 82), 2.Bartok:Piano Concerto No. 3 in E major, Sz. 119, BB 1273.Stravinsky:The Firebird (complete version, 1910)encoreProkofiev:Suite No. 2 from Romeo and Juliet,Op.64 Montagues and Capulets Yefim Bronfman(p 2 only)Valely Gergiev(cond)London Symphony OrchestraRecorded October 24th,2015 at Performing Arts Center,New Jersey,USA