音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

2007/03/17(土)22:06

キングコング メイキング

映画(596)

 発売になった「キングコング」プレミアム版のメイキングを見ました。2時間32分という長尺ものですが、内容は大変充実しています。中心となるのは、撮影日記(正・続)で、僅か8ヶ月の撮影期間の全容が描かれています。それに付随してポストプロダクションの細かいところや、ピックアップでの時間との戦いなどが描かれていて、これくらい映画作りの裏側を追っているメイキングは寡聞にして知りません。これは、Webサイト上に掲載していたもので、みとしては画期的なことではないでしょうか。 宣伝としてはこれほど安価で、リアルタイムに撮影現場を覗くことが出来るものは、未だかつてなかったと思います。  DVDでは3時間半の制作日記として昨年末に発売されています。存在は知っていましたが、これほどとは思いませんでした。制作日記の方は、ニューヨークでのプレミア上映、ニュージーランドでの封切り時の舞台挨拶と打ち上げシーンはないと思いますので、それだけでも、こちらの存在価値はあると思います。制作日記をお持ちの方は、スタンダード版にするか、プレミアム版にするか、中身を見られないので、選択するには、つらいところがありますね。  こちらでは、封切り直前までの慌ただしさが、ドキュメンタリー風に綴られていて圧巻です。今回は特に裏方の仕事がかなり詳しく描かれているために、映画の技術に関してさっぱり不案内な私にとっては、かなりためになる内容でした。特に、ミニチュア制作や、ADR(Automatic Dialogue Reduction 撮影時のノイズ(音、映像)を取り除き、その後で所謂アフレコを行うプロセス)などが詳しく説明されていて、大変興味深い物がありました。  ミニチュアは基本的には、雛形を作って、それを元にして原寸大モデルを発泡スチロールで作るというのも初めて知りました。また、この映画では実際にある船のミニチュアも制作していて、鳥の糞とか、水がかかってリベットが錆びた跡とかが、実に微に入り細に入って再現されているのに驚きました。船の動き方にしても、喫水線を中心にしてどの角度で動かすと動きがリアルであるとか、ここまでやるかというくらいですが、観客にあそこはミニチュアだとかよけいな神経を使わせたくないという意図があり、単に懲りまくっているのではない、勿論実写との違いが分からないようにする意味もあると思いますが、う~んとうならせる物がありました。  封切り2週間前になってピックアップという取り直しが、殆どの出演者が集まって行われていました。ロケでとったシーンも全部スタジオないでやるということで、そこで最も注意すべきことは、「統一」ということでした。そのために、記録監修係?というのがいて、服装や小道具の持ち方に至るまで、勿論演技を含めて、前回と寸分も狂いなく再現する大変さが良く分かりました。それにしても、封切り2週間前にそんなことをするなんて、普通じゃ考えられない気がします。  キャストは全員の都合がつかないためか、船の乗組員は違う人が出ていたり、同じシーンで何ヶ所かに同一人物が出ていたりするそうですので、DVDをご覧になるときにちょっと気を付けてみられたら如何でしょうか。  それから、CGスタントというものを初めて知りました。俳優の変わりをやるのがスタントマンではなくCGであるということです。俳優の写真と3Dデーターを元にして、俳優のクローンをCGで作り、それを自由に動かすというものです。これだと、どんな危険なシーンでも取れますね。今回の本編はまだ見ていませんが、ちょっと注意してみたいと思います。wikipediaによると、1992年の『バットマン・リターンズ』がはしりだそうです。  また、予告編を作るために新たな撮影をしたりすることも、さすが、ピーター・ジャクソン監督だと、へんに感心したりしました。監督がベッドに寝そべりながら、案内をしていたのはちょっと頂けませんでした。映画研究家?が登場して、初代キング・コングのミニチュア(骨格だけですが)を持ってきて、スタッフに見せます。それに、監督の持っている翼手竜も登場します。あとで、動くコングのミニチュアの映像も見ることが出来ます。  サウンドトラックは何故かニュージーランドで作られていて、そこからテレビ電話でアメリカのスタジオとつながっていました。多分、オケなどの人件費のためだと思います。現在は、離れていても、ネットで送信可能なので、その様なこともできるんでしょうね。音楽のジェームズ・ロン・ハワードは通常なら4,5ヶ月かかる仕事を、僅か5週間で行ったようですが、毎日2時3時まで仕事をして、その後オーケストレーターが編曲して、楽譜をコピーして、朝に演奏できるようにするという大変な激務の連続だったようです。 最後に、監督のインタビューがありますが、最初のリメイクを作ったのは12歳の時だそうです。酷い出来だったようですが。。  それにしても、このような数百人に及ぶ巨大なプロジェクトを進行させる、それも、いろいろな仕事が同時に進むという困難な仕事を成し遂げた方々に、賛辞を送らずには入られません。この様な大規模プロジェクトはアメリカ人(監督はニュージーランド人)の得意とするところではありますが、その威力をまざまざと見せつけられたような気がしました。 ウエタ・ワークショップがイメージした映画に登場する恐竜や昆虫のカラーの載った、「キングコングの世界」(髑髏島の自然の歴史)と題された豪華なブックレットがついているのも嬉しいですね。

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