音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

2014/11/21(金)19:53

Antonio Sanchez:Three times Three

ジャズ(971)

アントニオ・サンチェスの最新リーダーアルバムを聴く。 彼のリーダーアルバムを聴くのはフロントが2テナーの2枚組ライブ「Live in New York」、次の「New Life」以来今回で3枚目だ。 今回はタイトルが示すように、3種類のトリオによる演奏。 ベースとドラムスにピアノ、ギター、テナー・サックスが加わるというもの。 どのトリオも超強力なメンバーで、これだけのメンバーであれば、いい演奏でない方がおかしい。 この前のチック・コリアのTrilogyと同じことが言える。 最初はブラッド・メルドーとサンチェスのグループ「マイグレーション」のメンバーのマット・ブリュワーとの組み合わせ。 一枚目は3曲で演奏時間は35分弱。 2枚目は残りの2つのトリオが収録されていて演奏時間は59分弱。 最近こういう半端な2枚組が結構あるが、収録時間の帳尻を無理やり合わせるよりずっといい。 トリオとはいえ怒涛の迫力でライブ聴いたらさぞやというスケールの大きい演奏を楽しめる。 以前上原ひろみトリオのとてつもなくスケールの大きい演奏を絶賛したことがあるが、それに匹敵するようなスケールを感じさせる。 最初は「Nar-This」。 勿論マイルスの「ナーディス」のことだが、おなじみのテーマがそのまま出てくるわけではないので、最初は別の曲と思った。 編曲者名が書かれていないが、タイトルはメルドーの茶目っ気でつけたような気がする。 オーソドックスで重量級の演奏だ。 中間部から出るメルドーのソロが圧巻。 アルバム唯一のテンポの遅い曲は「Big Dream」のみ。 詩的で静けさが感じられるが、鎮魂曲のように少し暗い。 この曲でもクロマティックなメルドーのソロが印象的だ。 迫力からいくとジョン・スコフィールドのギターとクリスチャン・マクブライドのベースのトリオが一番だ。 最初はショーターの「Fall」。 マイルスの「Nefertiti」で取り上げられていた曲。 ミディアムテンポでじっくりと演奏される。 ジョンスコのシンプルなソロに、多彩なテクニックを駆使したドラムスが絡むというもの。 この絡みは、サウンドが新鮮でなかなか魅力的だ。 「Nooks And Crannies」は印象的なリズム・フィギュアのベースに乗ってギターがソロ繰り広げるというもの。 中間部からテンポが上がりマクブライドのベースの速弾きが楽しめる。 「Roony And Vinski」はゴツゴツした感触の演奏で、ひたすら驀進していく迫力に聴き手はたじたじとなる。 硬派のジャズとはこういう演奏をいうのだろう。 最後はジョン・ロバーノのテナーとジョン・パティトッチのベースの組み合わせ。 最もバランスの悪い組み合わせで、ベース、ドラムスに煽られながらもテナーが頑張っている。 ロバーノは私の2歳年上だが、まだ年寄りじみた演奏でなく力強さもある。 3曲の中ではコミカルでアナーキーなモンクの「I Mean You」が面白い。 最近ロバーノの演奏を聴いていないが、久しぶりに聴きたくなった ところで、ドラマーのリーダーアルバムとなるとやたらとドラムソロをやりたがるドラマーがいる中で、このアルバムでのドラム・ソロをフィーチャーした曲は少ない。 まあバッキングだけでも切れ味と重量級の迫力は十二分位感じられるので、ソロをフィーチャーする必要もないことは確かだ。 ドラムを意図的に目立たせることはない。 勿論ここぞという時には表に出てくるが、その時のプレイも大仰に構えることがなく自然体だ。 Antonio Sanchez:Three times Three(CamJazz CAMJ 7879-2) CD1 1.Nar-this 2.Constellations 3.Big Dream CD 2 1.Fall 2.Nooks And Crannies 3.Roony And Vinski 4.Leviasan 5.Firenze 6.I Mean You Brad Mehldau(p CD1) Matt Brewer(b CD1) John Scofield(g CD2 1-3) Christian McBride(b CD2 4-6) John Rolano(CD2 4-6) Joe Rovano(ts CD2 4-6) Jphn Patitucci(b CD2 4-6) Antonio Sanchez(ds) Recorded in New York on 27 October 2013 at Sear Sound Studio (Track 1-3) ,in New York on 4 December 2013 at MSR Studio(CD2 Track 1-3) ,in New York on 16 December 2013 at MSR Studio(CD2 Track 4-6)

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