2024/04/30(火)14:48
Laufey Bewitched :The Goddess Edition
アイスランド出身のソングライター、レイヴェイ(1999-)のアルバムを聞く。
本名はLaufey Lin Jónsdóttirでアイスランド人と中国人のハーフだそうだ。
これは彼女のデビュー第2作のグラミー賞アルバム「Bewitched」に4曲の新曲を追加したデラックスバージョン。
一応ジャズ・ポップスというジャンルに分けられているが、典型的なジャズ・ヴォーカルの様なフェイクが聞かれるのはスタンダードのみで、総じてジャズという感じではない。
殆どが彼女のオリジナルで、ノスタルジックな衣装をまとった古いポピュラー・ソング集という感じだ。
all musicのコメントでは『やや時代錯誤ながらも洗練されたボーカルスタイルで、第二次世界大戦を彷彿とさせるエレガントでわずかに型破りなアダルトポップ』と評されている。
8曲目の「Nocturn」のみピアノ・ソロ。
多くの曲で共作しているスペンサー・スチュワートは作曲家であり、このアルバムのプロデューサーだそうだ。
最初「Dreamer」聞いたときは、そのノスタルジックなサウンドに引き込まれたのだが、強烈な個性があるわけではなく、個人的には映画「Shape Of Water」の作曲家アレクサンドル・デスプラの音楽に近いような感じがした。
甘ったるい曲と、時として生の感情が出るヴォーカルは、聴き手には過剰と感じることもある。
「Letter To My 13 Year Old Self」や「Bewitched」は傷心の心をそっと癒してくれる、癒しの音楽だろう。
特にオーケストラ入りの「Bewitched」はなかなかゴージャスな雰囲気で、映画音楽でも聴いているような気分になる。
アルバム全体が変化に乏しいので、通しで聴くのではなく、少しずつ聴くのがいいようだ。
ギターとの相性がいいようで、「Second Best」は心温まる歌だった。
「Lovesick」は前向きな恋心を歌ったフォークソングで、珍しく爽やかだ。
また、ボサノヴァの「From The Start」はリズミックでまずまずだが、肝心のリズムが重い。
スタンダードも何曲か歌っている。
「Misty」は歌自体は悪くないが、唐突感がある。
「It Could Happen To You」はリズミックで、スキャットもあり普通のジャズヴォーカルとして楽しめた。
ピアノのぎしぎしというアクションの音が聞こえるトラックが何曲かあり、少し気になる。
ということで、彼女の美しいメロディーを作りだす才能は大したものだが、古臭く、筆者には物足りない。
録音は透明度が低く、ヴォーカルが歪みっぽく肥大したサウンドで、聴き手を圧迫する。
ハイレゾではなくラジオから流れてくるようなレンジの狭い音で聴くと、しっくりくるような気がする。
Laufey Bewitched :The Goddess Edition(AWAL LAULP003CDX)24bit 48kHz Flac
1.Laufey & Spencer Stewart:Dreamer
2.Laufey & Spencer Stewart:Second Best
3.Laufey & Spencer Stewart:Haunted
4.Laufey, Freddy Wexler & Max Wolfgang:Must Be Love
5.Laufey & Spencer Stewart:While You Were Sleeping
6.Laufey & Spencer Stewart:Lovesick
7.Laufey:California and Me (feat. Philharmonia Orchestra)
8.Laufey:Nocturne (Interlude)
9.Laufey & Dan Wilson:Promise
10.Laufey & Spencer Stewart:From The Start
11.Erroll Garner & Johnny Burke:Misty
12.Laufey & Spencer Stewart:Serendipity
13.Laufey:Letter To My 13 Year Old Self
14.Laufey & Spencer Stewart:Bewitched
15.Laufey & Spencer Stewart:Bored
16.Laufey, Dan Wilson & Spencer Stewart:Trouble
17.Jimmy Van Heusen Johnny Burke:It Could Happen To You
18.Laufey:Goddess