音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

2024/05/06(月)00:00

Yunchan Lim Chopin: Études, Opp. 10 & 25

クラシック音楽(1102)

​ 2022年のヴァン・クライバーンコンクールで史上最年少の18歳で優勝した韓国のイム・ユンチャンのデッカ第一弾のショパンの練習曲集を聴く。 難曲を難曲と感じさせない技巧の見事さと、流れのスムーズさ、抒情的な曲での美しいカンタービレなど、実に見事な仕上がり。 難しい曲をそうと感じさせないで弾くことは、大変な技巧を持っているからだろうと思う。 今までのこの曲でのスアンダードと言えば、先ごろお亡くなりになったポリーニ盤だろうが、当時は難しい曲を鮮やかな技巧で弾いて、聴き手を唖然とさせていたと思う。 当時のレビューも演奏の完璧性に焦点が当たっていたと思う。 今回の演奏を聴くと、そのような段階を超えた演奏のように感じられる。 今思えばポリーニ盤に感じられた剛直性がイム・ユンチャンには微塵も感じられない。 フレーズの端々に感じられる神経の行き届いた丁寧な処理も清潔感をもたらす。 個人的には煌びやかな技巧の曲もさることながら、抒情的な表現にこそ彼の特質があるように思う。 また、技巧的な曲であっても、ダイナミックスの繊細な変化を通じて、しばしば単調になりがちな楽曲にも表現の豊かさが感じられることが多い。 まあ、それだけ演奏に余裕があるということなのだろう。 ニューヨーカー誌が言うように『驚異的な技巧と解釈の深さを兼ね備えた、世代を超えた一流のピアニストになること』を期待したい。 話は変わるが、以前聴いたベアトリーチェ・ラナのベートーヴェンの演奏に感じた革新的な感覚を、今回の表面的には決して派手ではない演奏で再び感じた。 ピアノの世界が新しい時代に突入していると実感する今日この頃だ。 Yunchan Lim Chopin: Études, Opp. 10 & 25(DECCA 4870122)24bit 96kHz Flac Chopin: Études (12), Op. 10 Chopin: Études (12), Op. 25 Yunchan Lim (p) Recorded 2023-12-20,Henry Wood Hall, London

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