[BON VOYAGE+54] 後日談/屋久島ならではの虹と杉と湯と食。(後編)
前編からの続きで、屋久島紀行の2日目である。宮之浦で昼食を取った後、今度は安房の合庁前でバスを乗り継いで、紀元杉へと向かう。合庁前から紀元杉までの路線は、先ほどの宮之浦港から白谷雲水峡までの路線と同様に、乗客はほとんど私1人のみであった。が、その車窓からは、驚異的な光景を見ることができた。眼下の谷間に浮かぶ虹。虹は見上げるもの・・・というのが一般的であろうが、ここでは自分とほぼ同じ高さで、むしろ見下ろす形となる。まさに「上から目線」。あまりに恐れ多くて、思わず平伏したくなる。バチが当たりそうな気分であった。 バスが山を登っていくにつれて、再び雨が降り出した。そして、紀元杉に到着。朝の宮之浦港では常に屋根のあるところで雷雨をやり過ごすことができたけれども、ここではついに折りたたみ傘を開くことになる。付近の標高は1,230メートル。足元には、わずかながら残雪も見られた。確かに少し寒い。風が冷たく、時折霧が漂っていた。樹高19.5メートル。胸高周囲8.1メートル。樹齢3,000年。実に堂々たる風格である。3,000年でこれだけ見事なのであるから、樹齢7,200年の縄文杉は一体どれだけすごいのか・・・。うーむ。この目で見てみたくなったりもした。その後、再びバスで安房まで折り返す。この間、「下界」はずっと晴れていたらしい。ここは明日の昼食の場所となるので、少し歩いて土地勘を養う。それから、バスで尾之間のホテルに戻った。 まずは温泉で汗を流す。 続いて夕食。今日は、最も早い17時30分から頂戴した。お品書きは以下の通りである。尾之間の玉手箱前菜: 地鶏のタタキ、つわぶきの佃煮、地ダコのマリネ、山芋豆腐、ながらめと海藻の和え物、合鴨のロース煮お造り: 首折れ鯖、ツグロ、水烏賊魚料理: 紫芋うどん、屋久島産キビナゴのフリッター肉料理: 豚の角煮お食事: 御飯、お味噌汁、香の物デザート: 芋羊羹とよもぎ団子慣れというのは恐ろしいもので、もはや「食事が美味しいのは当たり前」という境地に達しつつあるらしい・・・。こうして、屋久島紀行の3分の2が終わろうとしていた。