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カテゴリ:やまとことば
今日の日中は晴れていたものの、強風が吹きつけ、体感温度的にはやや寒く感じられた。
また、日が暮れてから空を見上げてみると、雲がほとんどなく、多くの星が観察できた。 こういう日は、地表の熱が雲に遮られることなく大気圏外へ逃げてしまうため、放射冷却によって朝晩の冷え込みがきつくなる。暦の上では「春」とはいえ、健康管理にはまだまだ注意が必要であろう。 さて、留学生のチューターをしていて発見したことであるが、彼らを指導する際にややこしい日本語表現の一つに「先」という語彙がある。「先日」といった場合は「過去(時間的に前)」を指すが、それとは対照的に、「3日先」といった場合は「未来(時間的に後)」を表していて、同じ漢字なのに正反対の意味が含まれているわけである。 私の電子辞書に搭載されている『明鏡国語辞典』によれば、「さき(先)」の意味は次のようになる。 1)細長い物の先端。特に、とがった物の先端。⇔しりこの、相反する7)と8)の意味が、どうして同じ語彙で表現できるのであろうか。 電車に乗っていると、しばしば「この先、カーブが続きます。お立ちの方は・・・」といったアナウンスを耳にすることがある。この例文の中の「先」は、空間的には基準点より前であるものの、その場所に到達するとき、時間的には基準点より後になっている・・・という逆転現象が存在することに気づくはずである。つまり、こうした「時空のねじれ」が、「意味のねじれ」を生む一因になっている可能性が指摘できそうである。 なお、英語の接頭辞「pre-」が「以前の」という意味と「あらかじめ」という意味を併せ持っていることを考えると、これと同じような語彙はどの言語にもありそうな気がする。対照言語学的にいろいろと調べてみると、面白いことが分かる・・・かもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.11.21 17:08:08
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