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NOと言える三多摩~言泉「やまと」後悔日誌

NOと言える三多摩~言泉「やまと」後悔日誌

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言泉「やまと」

言泉「やまと」

2007.02.22
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カテゴリ:ミュージアム
昨日の記事では、秋葉原でノートPCを修理してきたことについて触れた。
10時にノートPCを持ち込んで、13時51分に修理完了の連絡が入った・・・という話である。

では、その間、私は一体どこで何をしていたのか。
次の写真(クリックすると拡大)がヒントになるであろう。

野口英世銅像 西郷隆盛銅像

左が野口英世(1876~1928)の銅像、右が西郷隆盛(1827~1877)の銅像である。
したがって、答えは・・・上野公園である。

もっとも、大半の時間は東京国立博物館の中で過ごした。
悠久の美―中国国家博物館名品展」と「マーオリ ―楽園の神々― ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワ名品展」の二つの特別展が、平成館で開催されているのである。
今日は、それを見た感想などについて述べたい。

まずは前者。2月25日(今度の日曜!)まで開催されている「悠久の美」である。
芸術品というよりは、祭祀や日常生活の中で使われた(装飾的な)実用品が中心で、紀元前4000年ごろから紀元後1000年ごろまでの約5000年にわたる中国の文物がほぼ時系列順に展示されていた。

いやぁ・・・作られた年代を一つ一つ確認しながら鑑賞したのであるが、「こんなに古い時代に、これほどのものが作れるとは!」といった驚きの連続であった。どういう素材をどういう技法で処理するかという技術的なレベルの高さも素晴らしかったが、それ以上に、どういう形状・色彩に仕上げるかという芸術的なデザイン・センスも見事なのである。
より古い時代になればなるほど、動物をモチーフとしたデザインが多くなるらしい。大理石の水牛、ガラス製の眼球(つぶらな瞳!)を嵌めた青銅製の犀(サイ)、青磁の羊、非常に写実的な三彩(陶器)の馬など、動物そのものをかたどったものも少なくなかったが、何かのシンボルとして幾何学的な文様の中に取り込まれたものもたくさんあった。中でも、私が一番奇天烈に感じたのは、前13~11世紀の商時代の殷墟(河南省安陽市)から出土した高さ46.7センチ、最大幅26.2センチの「■尊(きょうそん、■の「きょう」は偏が「号」で旁が「鳥」の字)」という青銅製の容器である。写真をお見せできないのが残念であるが、うまく説明できないため『公式図録』の文章をそのまま引用する。
 みみずくをかたどった容器。みみずくの後頭部が蓋となっており、ここから酒などを入れたものと思われる。注ぎ口はなく、蓋を外しても中の液体を何かに注ぐには不便である。単に液体を蓄えて供えることが目的の容器と考えられる。
 この容器は、全体として見ると1羽のみみずくであるが、各部分にはそれぞれ別の動物が表わされている。みみずくの顔は別の獣の顔であり、頭の上にのびる2本の羽毛は、それぞれが角をもち口を開けた獣であり、翼はとぐろを巻く蛇となっている。みみずくの後頭部には別の獣の顔があり、体には獣や蝉が、尾の上には鳥の顔が表わされるなど大変にぎやかである。
また、現代でも「三脚」は存在するが、古代の器に取り付けられた「三脚」はいかにも動物的な何かの「足」で、器なのにまるでスティーヴン・スピルバーグ監督の『宇宙戦争』に出てくるトライポッドのような圧倒的な迫力を感じてしまった。

あと、動物ではないものの、人間の体の部位をデフォルメしたデザインとして有名なのが、これまた商時代の三星堆遺跡(四川省広漢市)からの出土品である。今回の特別展では1点だけ展示されていたが・・・いつ見ても度肝を抜かれる。故・岡本太郎氏も真っ青(?)であろう。
さらに、人物の描き方が絶妙なものもある。武士・騎兵・歩兵などのいわゆる兵馬俑や、満面の笑みを浮かべながら滑稽な踊りを披露する芸人をかたどった説唱俑などは、なかなか写実的である。あるいは、ある祭祀の場面を立体的なミニチュアとして再現した口径32センチの蓋を有する、青銅製の貯貝器(子安貝の貝殻などの宝物を入れておく容器)もあった。ここには計129人の人物や様々な動物などが細工されていて、すさまじいほどに壮観なパノラマが見られる。

続いて後者。3月18日まで開催されている「マーオリ」である。
1000年前からニュージーランドに暮らすマーオリ人は、ポウナム(軟玉=グリーンストーン)、鯨の歯、アワビの貝殻、犬の毛皮、鳥の羽、木材などの自然の素材を生かして、様々な実用品や装飾品を生み出してきた。それらの展示であった。

こちらは中国の文物ほど洗練されていないように見えるかもしれないが、その分、素朴な力強さを感じた。「マナ(威信)」という人類学の用語が一つのキーワードになりそうである。

中国にしてもニュージーランドにしてもそうであるが、古くから伝来するもの(淘汰されずに時代を超えて残ってきた文物)には、ものすごい力がある。その力が、民族や部族としての「誇り」の源になっていて、その一員としての所属意識が個人個人のアイデンティティを支えてきたのであろう。近代・現代の個人主義が見失ってしまった何かがあるような気がした。
いずれにしても、これらの文物は大阪万博の「タイムカプセル」とは異なり、博物館を訪れる数千年後の人々を驚かせようとして作られたわけではあるまい。彼らは一体どういう思いでこのような独特なデザインを採用したのであろうか・・・と、あれこれ想像しながら、展示品を見て回った次第である。Webデザイナーとしての私の「仕事」に生かせることができれば、幸いである。





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Last updated  2007.11.21 17:15:08



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