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カテゴリ:後日談
私の職場では、5月20日(木)と21日(金)の2日間、職業体験実習が行われた。参加できるのは1世帯につき1人までではあるが、とにかく現場で実際に働いてみようという企画である。
以前は3泊4日で長野県千曲市の事業所にお邪魔していた。が、「経費削減」のスローガンにより、今回は期間が1泊2日に圧縮され、場所も神奈川県伊勢原市の事業所へと近場に変更された。交通手段が新幹線から痛勤電車に変わってしまったのは気の毒ではあるものの、まあ仕方あるまい。 この実習に参加しない学生たちは当然、研修施設に残って、授業を受けることになる。 しかし、実習で一部の学生たちがいなくなるので、授業を先に進めるわけにもいかない。 そこで、この期間中は1日3コマの短縮授業とし、今までの復習と、娯楽・趣味・教養系の講座などの、特別プログラムが組まれるのである。 いつもなら働き盛りの男性たちが実習に参加するので、研修施設の教室はあたかも「三ちゃん農業」のような様相を呈し、残った女性たちには「スキンケア」「メイク」「ファッション」「和菓子作り」といった実用的な授業を受けてもらうことが多かった。 ところが今回は、実習先がリネン系の事業所であるという情報が伝わっていたせいなのか、多くの家族が一家の代表として(20代から40代までの)女性を送り出すことにしたらしい。 その一方で、そもそも若い世代が独身で、男性か女性かという選択肢が存在しない家族もいた。 また、当初は女性が参加する予定でいたものの「やっぱり行きたくない」とのことで急遽男性が行くことになった家族もいたし、「誰も行かない」と最初から決めていた家族もいた。 参加するかどうかはそれぞれの家族の権利なので、不参加もアリである。ただ、何かとナーバスになっている家族がそういう結論に至ったという事実は、憂慮すべき点であった。 さて、こうした背景を踏まえたうえで、私の職場での今週のエピソードをいくつか拾ってみる。 5月17日(月)。 私の担任クラスは相変わらず高齢世代と若い世代とで二つに分割しているが、お試しで1コマだけ統合して一緒に授業をやってみた。が・・・学生たちはシーンとして妙によそよそしく、反応が非常に悪かった。(今は亡き)いかりや長介氏が言うところの「だめだこりゃ」である。 5月18日(火)。 外部のボランティアをゲストとしてお招きする交流実習が行われた。 ただ、4月22日(木)の日本語交流会とは異なり、今回は母語での交流会である。学生たちの母語を勉強している日本人にとっては自分の語学力を試す場として、また学生たちにとっては話が通じないかもしれない母語学習者との交流を通じてコミュニケーションの工夫を再認識する場として、設定されている。どうやらお互いに、それなりに楽しめたようである。 5月19日(水)。 私の担任クラスで、A家・B家・C家の紛争とは全く関係のない若い世代の学生たちが、ちょっとしたトラブルを起こした。 頭は決して悪くないものの、耳がやや不自由なこともあって緊張しやすく、テンパると頭の中が真っ白になり何もできなくなる学生がいる。翌日から職業体験実習に参加することになっていたこの学生は、緊張のあまり夜は十分に眠れなかったようで、授業中も教師の発話がうまく聞き取れず他の学生に笑われてしまったらしい。それで、この学生はブチ切れて「耳が聞こえないから家に帰る!」という反応を示し、騒動になったとのことである。 そのとき私は隣の高齢世代クラスで授業をしていたが、突然この学生が教室に入ってきて家族と話し始めたので何事かと思ったら、高齢世代の学生たちが「耳、だめ。家に帰ります」と日本語で説明してくれた。 その後、母語のできる先生が対応したところ、ひとまずは授業に復帰することになった。 次の時間は私の担当コマで、病気に関する表現の練習である。 ところが、この学生は、習ったばかりの「気持ちが悪いです」「頭が痛いです」を繰り返すだけで口頭練習を一切拒否するなど、明らかに不機嫌な様子であった。 夕方になって、「この学生は職業体験実習に行かなくなった」と、総務課経由で連絡が入った。さらに、この翌日の話ではあるが2日間の欠席届が提出され、研修施設での授業にも来ないことになった。 「大人げない」とか「線が細すぎる」とか、いろいろとコメントするのは簡単である。が、幼少期の薬害で耳の聞こえが悪くなって学校の授業についていけず、先生からは「お前は学校に来なくていい」と言われるなど、故国では社会生活から疎外される形で(親の過保護のもとで)育ってきた・・・という事情を知れば、そう簡単に言い切ることもできまい。 ともあれ、私の頭痛のタネが増えたのは、間違いなかろう。 5月20日(木)。 職業体験実習に参加する学生は、朝06時半に宿舎を出発したらしい。 一方、短縮授業の大人たちは、3時限目(11時15分)から授業である。 しかし、翌週から1か月ほど近隣の小学校に体験入学する予定の子どもたちは、学校生活に慣れる意味で、通常どおり1時限目(09時15分)から授業があった。 母親たちは早朝から出かけてしまった反面、父親たちは寝坊。 その結果、何が起きたかと言えば・・・朝食抜きで登校した子どもたちは、空腹のあまり授業に集中できず、一種の「学級崩壊」が発生。食育の重要性が改めて浮き彫りになった。 5月21日(金)。 高齢世代は(生涯学習施設としての)公民館の見学へ。 他方、若い世代は(相撲・野球・サッカーなど)日本のスポーツを話題とした授業が予定されていた。が、今一つ食いつきが悪いとのことで、急遽、広い公園で実際に体を動かす授業へと変更された。 公園へと移動する途中で、学生のうちの1人が、母語交流会のゲストにばったり遭遇したらしい。その学生は、ゲストと話し込むうちに、行方が分からなくなってしまった・・・。 『沈黙の艦隊』でいうところの「失探(ロスト)」である。 担当した教師は公園での授業を早めに終えて学生たちを研修施設へと戻し、自身は学生の捜索へ。 結局、その学生はふらっと戻ってきて、一件落着。何とも人騒がせな1週間であった。 ここからは余談。新しいデジタルカメラをようやく開封したので、新旧のアイテムを披露しておこう。 ![]() ![]() 上はS001で撮影したもの。下はFinePix4500で撮影したもの。 明暗のある被写体に対する実力は、やはり全然違うらしい。 なお、IXY DIGITAL 930 ISの撮影結果については、後日の記事で紹介することになろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.05.23 15:08:26
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