[VOYAGE-420] 映画/椿三十郎&マリと子犬の物語。
今日は曇りのち晴れ。三多摩の府中のアメダスによれば、日最低気温は0.7℃(03:20)、日最高気温は8.0℃(14:50)であった。さて、まずは今日のエピソードから。「やまと」より国連・各国政府に告ぐ!極海における戦闘の終結を伝える!(かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』VOYAGE-144「戦闘終結宣言」)と、[VOYAGE-357]と同じコメントを掲げる必要があろう。というのも、今朝08時30分ごろに2,000字程度の要旨をどうにか作成し終わり、提出論文情報記入用紙を表紙の裏側に貼り付けるなどの「工作」を行った後で、身支度をしてから自宅を出て、10時30分ごろに大学の研究科事務室に修士論文(正本):1通上記論文の写し:3通上記論文の要旨:4通を提出したからである。これで戦闘はひとまず終結し、修士論文に関しては2月22日(金)の口述試験を残すのみとなった。これらを提出した後は、最初に立川にある某・研究機関に行き、返却期限が過ぎて督促状をもらってしまった資料を返却。その後は、約1か月半ぶりとなる映画三昧で、今日は2本見た。昨年の映画を総括する余裕は今までなかった。それは今後、ブログのネタが尽きたときに試してみたいと思うが、少しだけ触れておくと、私は昨年1月から11月までの間に、結局134本の映画を映画館で見たらしい。2006年に達成した年間94本の自己記録を大幅に更新したことになる。では、今日の1本目。『椿三十郎』。上役の汚職を暴こうとした若侍・井坂伊織は、最初に伯父で城代家老の睦田に相談するがノラリクラリとかわされ、次に大目付の菊井に相談したところ「よくわかった。同士全員を至急集めよ」と言われる。そこで夜の社殿に9人で集まっていると、そこに1人の浪人がふらっと現れる。金がないために社殿で寝泊まりして彼らの話を盗み聞いていたその浪人・椿三十郎は「その大目付が黒幕かもよ」と告げる。事実、社殿は既に、大目付が大動員した軍勢によって十重二十重に取り囲まれていた。その場は三十郎の機転によってどうにか切り抜ける9人であったが、「お前たちのやることは危なくて見ていられねぇよ」と、三十郎も彼らに加勢することになる・・・。黒澤明監督の往年の名作を、森田芳光監督がリメイクした時代劇。椿三十郎役で主演するのは織田裕二氏、敵の懐刀・室戸半兵衛役に豊川悦司氏、井坂伊織役に松山ケンイチ氏、そのほか鈴木杏氏、中村玉緒氏、村川絵梨氏、佐々木蔵之介氏、風間杜夫氏、小林稔侍氏、西岡徳馬氏、藤田まこと氏といった豪華メンバー。うーむ。冒頭の9人の切り抜け方は、『スター・ウォーズ』エピソード4でハン・ソロ船長が同様の手口を使っていたような気がする。さすがはジェダイ(時代)劇?やはり見どころの一つは織田裕二氏と豊川悦司氏の掛け合いであろう。特にトヨエツこと豊川悦司氏のニヤッと笑いながらとんでもないことをする演技は、同じ森田芳光監督と豊川悦司氏の組み合わせの『サウスバウンド』のキャラクターを髣髴とさせて、味わい深いものがあった。あと、最高に笑えるのは、ドラえもんのような佐々木蔵之介氏。この「ドラえもん」という形容がどういう意味かはスクリーンでご確認のほどを。若侍9人衆の発想が実に能天気で「おいおい!」とツッコミを入れたくなるが、それを言っちゃあ、おしまいよ。ストーリーが成り立たなくなるので、そこは目を瞑るべき。むしろ中村玉緒氏と鈴木杏氏の母娘がおっとりしすぎていて、私としてはそれこそ「危なくて見ていられねぇよ」と言いたくなってしまった。なお、脇を固めるベテランの中では、とりわけ風間杜夫氏の演技が光っていた。全体的にユーモアに富んでいて結構面白かったと思う。作品の内容と観客動員数とが一致しない例の一つに挙げられるかもしれない。「本当にいい刀は、鞘の中に収まっているもの」という台詞は、この作品自体へのメッセージ?続いて、今日の2本目。『マリと子犬の物語』。新潟県山古志村で暮らす石川家は4人家族。小学生の亮太と5歳の彩は仲良し兄妹。父・優一は村役場に勤務し、長岡市との合併を前に市内への転居を考えていた。母・幸子は病気で既に亡くなり、あとは祖父・優造がいる。ある日、彩と亮太は原っぱでダンボール箱に入れられた捨て犬を見つける。父が大の犬嫌いのため一度は諦めようとするが、物心がつく前に母を失っている彩はひとりぼっちの子犬を見捨てることができず、優一もついに根負けして一家で飼うことになる。マリと名づけられた子犬はすくすくと成長し、やがて3匹の子犬を産む。家族が増えたと喜ぶ子供たち。ところが、そんな時、新潟県中越地震が発生。優一は義理の妹・冴子が営む長岡市内の美容室に、亮太は課外授業で村の小学校に、そして彩と優造は倒壊した自宅の中に、それぞれ取り残される・・・。実話に基づく絵本を題材とした感動ドラマ。地震ネタに関しては[VOYAGE-237]でも取り上げているが、ここでもう少し補足しておこう。私自身は次の2点から、この2004年10月23日の新潟県中越地震は忘れがたいのである。1)この地震の数日前に、空に浮かぶ半月の周囲に強烈なハロ(光輪)が見えたこと。阪神・淡路大震災の直前にも同様のハロが観察されたと聞いていた私は、「これはやばい!」と直感して寒気を覚えたのであるが・・・まさか本当に大地震が来るとは思わなかったため、それだけに精神的な衝撃は小さくなかった。2)ちょうどこの頃、私は日本語学校の駆け出しの非常勤講師として教壇に立つようになっていたが、ほとんど地震のない国から来ている就学生が多かったため、この地震をきっかけとして、地震や台風などの被害が多い日本の状況を説明せざるを得なかったこと。というわけで、私はタロとジロの『南極物語』の舞台を平成の中越地方に置き換えたような犬の話に興味があるわけではなく、あくまでも、この地震への思い入れから見に行った次第である。ゆえに、この映画自体では、私自身はそんなに感動しなかった。まあ、山古志村を離れていく自衛隊の救助ヘリをマリが懸命に追いかけるシーンでは、ちょっと涙腺が緩んだものの、泣きはしなかった。その程度である。もっとも、私の周囲では、途中で涙ぐんでいる観客もいたけれども。子役の二人の演技は見事で、さらに船越英一郎氏、松本明子氏、高嶋政伸氏、小野武彦氏、宇津井健氏といった大人たちの熱演もいい感じ。加えて、あれだけの犬の演技指導もさぞ大変であったであろう、とスタッフの苦労が偲ばれる。個人的には、小林麻央氏が演じた小学校教員とその児童の対応が気になった。自分の身は基本的に自分で守るという「防災教育」とか、あるいは災害時の生存確認などをどうするかといった「地域防災マニュアル」のようなものを、きちんと準備しておく必要性を思わずにはいられなかった。