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─ 灼熱 ─

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2006年06月24日
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5月に出版された『日銀はだれのものか』が面白かったので紹介。本書は、新日銀法が施行された98年4月1日に日本銀行の審議委員に就任し02年3月まで務めた中原伸之の回想録。日銀の最高意思決定機関である政策委員会は、総裁、副総裁2人、審議委員6人、合計9人で構成される。日銀による、つまり日本の金融政策は、この9人による多数決で決定されている。

本書は「回想録」となっているが、登場人物が可能な限り実名で描かれており、登場する人物は誰もが知っている政治家・財界人・日銀執行部などなどで、私はとても興味深く読めた。そして読みやすかった。現在の福井総裁の前任者だった速水総裁に対する批判も満載で、その批判は妥当であり正当であると、私の目には映った。日銀に対する批判も同様に、説得力と正当性を感じる部分が多かった。

本書の書名にもなっている「日銀はだれのものか」という問題提起では、日銀の人たちは、“日銀は自分たちのもの”と思っているようだと著者は書いている。日銀法で定められているように、日銀の出資証券は日本政府が過半数を保有しているのだから、「日銀は国民のもの」なのである、と。

詳しくは本書を購入するなどして読んでもらうとして、政策決定会合以外の部分をいくつか抜粋して紹介してみましょう。



「私が日本銀行の審議委員を務めたのは、1998年4月1日の改正日銀法施行日から2002年3月末日までの4年間です。新生・日銀の第一期生というわけです。」

「そのうちに、福井さんが私の会社に訪ねてきました。のっけから『今日は、ノーとは言わないでくださいよ』と言うのです。翌年(98年4月)に施行される新日銀法によって設けられる日銀の審議委員になってくれと頼まれました。日記を見ると、97年12月15日のことです。福井さんは改正日銀法によって、日銀の執行部と意思決定部門の政策委員会とが分かれることや、政策委を担う審議委員の役割が、以前と違って非常に重要になってくることなどを縷々説明されました。けれども、正直、困惑しました。」

「福井さんに返事をしたのは年が明けた98年1月6日。今度は私が日銀に出掛けて行きました。福井さんは非常に喜んでくれました。」……「私以外の新任の審議委員は、先に触れた東大教授の植田さん、御茶ノ水女子大教授の篠塚英子さん、新日鉄出身の三木利夫さん。」

「不祥事事件で当初の予定が狂い、総裁の松下康雄さんも、副総裁の福井俊彦さんも退任しました。実は、3月16日午後6時半から、財界の長老やお歴々が15人ほど集まった竹萌会が開かれました。この会は竹下登さんを囲む会ですが、会の冒頭で竹下さんは、『日銀総裁が今晩決まる。(旧日銀法下では)国会の承認は不要だから、この会が終わるまでに、皆さんにお知らせできるかもしれない』と言ったのです。」……「夜9時のニュースは、総裁は、かつて日銀理事を務めていた速水優さんに決まり、副総裁も福井さんが辞めて、藤原作弥さんが任命されたと報道しました。」……「この日に福井さんから電話があり、『よろしく頼む。新しい審議委員の4人はすべて自分が直接頼んだ人ばかりだ』とのことでした。」

「(2000年)2月に入って、大和証券の宮崎勇さんの主催する会食があり、その場で蔵相の宮沢さんと話し合いました。・・・奇妙な話も出ました。前年にワシントンで開かれたG7の後で、『速水を辞めさせろ』という話が出て、政府も本当に困ったという裏話です。現在は、すでに速水さんは任期をまっとうされて引退されましたし、宮沢さんもそうした圧力を結果的に跳ね返したわけですから、あえて隠す必要もないと思います。宮沢さんは真顔で私を見つめて『本当に、辞めさせるわけにはいきませんからね』と言いました。そう言えば、G7の後で、ローレンス・サマーズ米財務長官が速水発言にカンカンになって怒ったという情報もありました。」

「まもなくして、植田さんの再任が予定通り内定しました。焦点は実は、速水さんでした。速水さんへの辞任の圧力は、外部からだけでなく日銀内部にもあったように感じました。速水さんを総裁に推薦した元総裁の三重野さんが、速水さんの引き際を良くしたうえで、福井さんを後継総裁に据えようと画策しているらしいという情報も入ってきました。」

「(00年2月)14日、日債銀の頭取になった藤井卓也さんが来訪されました。日債銀も国有化後の民間譲渡が最大課題です。彼は『行内の団結は日債銀のほうが長銀よりもいい状況です。長銀の譲渡先はリップルウッドに最終的に決まりました。次は日債銀の番ですが、外資ファンド以外に、なかなか有力な候補先が見当たらない』と言います。そこで、知り合いのソフトバンクの孫正義さんと、東京海上火災保険元社長の河野俊二さんに電話をしました。日銀審議委員という立場を離れて、一私人として『(藤井さんと)会ってみては』と推薦したのです。オリックス社長の宮内義彦さんにも連絡が取れました。結局、この3社が連合を組んで、日債銀の受け皿となるわけです。孫さんは大乗り気でした。私が3社を後押ししたかたちになりました。」

「速水さんの後に総裁になった福井さんは、人事権を完全に掌握し、局長どころか課長人事まで彼が決めていると聞きました。立派なものです。」

「重要なポイントとしては、政府に、総裁に対する罷免権を与えるべきです。金融政策の運営で失敗をしても、責任を全くとらないケースが何度か起きています。具体的に言えば、バブルの形成を許し、そのバブルを過度に崩壊させて、日本経済をデフレ状態に追い込んだのは、三重野康さんが総裁の時に実施した金融政策だったと思います。また、我々の時代では、2000年8月のゼロ金利解除は、明らかに速水さんの失敗です。」

「日銀をこよなく愛し、その一層の発展を願うものとして、いささか気になっていることは、新日銀法施行以来、日銀の人々が『日銀の独立性』を意識し過ぎるように見える点です。日銀の独立性は天賦のものではなく、それが尊重されるかどうかは、金融政策のパフォーマンス如何によると思います。」



日銀はだれのものか
 中原伸之(著)


単行本: 277 p ; サイズ(cm): 20
出版社: 中央公論新社 ; ISBN: 4120037282 ; (2006/05)

内容(「MARC」データベースより)
日本銀行の審議委員を務めた著者による、金融政策についての回想録。金融政策決定の現場体験から、長期不況に対する日銀の責任を問い、政策転換が景気、為替、株価などの日本経済にどのような影響を及ぼすかを検証する。

第1章 金融政策に向き合う―一九九八年四月まで
第2章 ゼロ金利への挑戦―一九九八年四月以降
第3章 ゼロの攻防―一九九九年
第4章 ゼロ金利解除―二〇〇〇年八月まで
第5章 量的緩和策導入への道―二〇〇一年三月まで
第6章 量的緩和以降
第7章 原油高を読む
第8章 日本経済と日銀の将来



中原伸之『日銀はだれのものか』(Elleの遺跡)
http://reflation.bblog.jp/entry/296190/

「日銀はだれのものか」(週刊!木村剛)2006.06.17
http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2006/06/

「日銀はだれのものか」(脱輪太郎のデジカメ紀行)
http://datsu.cocolog-nifty.com/blog/2006/06/post_970d.html



BIS総会、世界経済は金利上昇に耐えられると強調か-24日から (ブルームバーグ)
2006年6月24日(土)14時45分

6月23日(ブルームバーグ):スイスのバーゼルで週末に行われる国際決済銀行(BIS)年次総会には、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長やトリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁など100人余りの中銀総裁が集まる。総裁らは、世界各国・地域の経済が金利上昇に耐えられるとの見解を示すとみられる。

ピクテで運用に携わるラジブ・デメロ氏は「中銀総裁らは皆、利上げの必要性を感じている」と指摘した。「中銀総裁が最も恐れるのはインフレだが、世界の成長は減速し始めており、引き締めが行き過ぎるリスクもある」と同氏は付け加えた。

利上げ行き過ぎの懸念を背景に、株式相場は過去6週間に急落した。過去2カ月に利上げをした中銀は少なくとも20行に上っている。

日本銀行の福井俊彦総裁や中国人民銀行の周小川総裁も会議に出席する予定。総会は明日始まり、BISのマルコム・ナイト総支配人が記者会見で会議を締めくくる。

(以下略)

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=24bloomberg12av5EZYCPmagQ



『日銀券』は上下巻ものの経済小説だけど、今回紹介した『日銀はだれのものか』と合わせて読んだら、より楽しめると思う。実際、私は楽しめた。

  



★ 以下、関連してそうな本をてきとーに紹介。













日本銀行の独立性の是非(2005年11月18日)
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200511180001/

ファツィオ総裁が辞任(2005年12月20日)
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200512200000/

イタリア中央銀行総裁にマリオ・ドラギ(2006年01月04日)
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200601040000/

日本銀行について少し…(2004年12月27日)
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200412270000/

『マネーを生みだす怪物』連邦準備制度という壮大な詐欺システム(2005年10月24日)
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200510240000/

連邦準備制度の機構と機能(2005年11月04日)
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200511040000/

ウィム・ドイセンベルク(2005年09月10日)
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200509100000/

ユーロタワー(2005年09月14日)
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200509140000/








最終更新日  2006年06月24日 18時12分52秒
コメント(4) | コメントを書く

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Re:日銀はだれのものか(06/24)   逆立ち天子 さん
経済はむずかしいですね、人間がしている「作業」なのでしょうが、単独な物ではありえない、あらゆる複合的な要素が絡んで、実体化するものでしょうから、時に戦を惹起し、時に人々を苦しめる、まるで「悪魔的存在」だと私など思ってしまうのですが。

(2006年06月24日 21時13分00秒)

BIS総会:世界の中銀は利上げを継続するべきだ、インフレを抑制    HEAT1836 さん

BIS総会:世界の中銀は利上げを継続するべきだ、インフレを抑制 (ブルームバーグ)
2006年6月26日(月)21時23分

6月26日(ブルームバーグ):国際決済銀行(BIS)は26日、バーゼルで年次総会後に報告書を発表し、米国や欧州、アジアの中央銀行は利上げを継続するべきだとの見解を示した。世界経済の成長がインフレ高進をもたらす恐れがあることを理由に挙げた。

BISは同報告書で、「来年の予想として最も確率が高いのは、インフレを伴わない力強い成長の継続だ」とした上で、「しかしながら、少なからぬ不透明感とそれに付随するリスクが存在する。とりわけ、インフレ圧力についてはそうだ。現状における世界の金融政策の適切な進路は、引き締め方向だ」と指摘した。

金融市場では、世界同時利上げ懸念を背景に株安が進行。(略)

ATAGアセット・マネジメント(チューリヒ)の最高投資責任者(CIO)、ダニエル・クヌッヒェル氏は、「株式市場は、中銀が金利をあまりに高い水準に上げ、成長を阻害してしまう可能性があるとして懸念している」とし、「投資家は不安になり、リスクを取る意欲は萎縮している」と述べた。

こうしたなか、BISは、「短期的なインフレ圧力をより警戒していても、経済不均衡が持続可能な成長に及ぼす懸念をより警戒していても、いずれの指標とも同じ方向を指している」とした上で、それは利上げであると主張した。

BISはさらに、「一部の指標は資源活用率の上昇により、インフレリスクが高まりつつあることを示している」とし、「これは企業が消費者レベルで価格決定力を回復できるかどうか、また賃金コストの上昇が抑制された状態を維持できるかどうかにかかっている」と述べた。

(以下略)

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=26bloomberg15a_dN3JIv8MkA

(2006年06月26日 22時03分13秒)

【著者が語る】日銀はだれのものか   HEAT1836 さん

【著者が語る】日銀はだれのものか
前日本銀行政策委員会審議委員・中原伸之氏
(中央公論新社・1890円)
FujiSankei Business i. 2006/7/12

■また間違う?反省なき日銀

日本銀行は3月、量的緩和政策を解除した。戦後で前例のない強烈な量的引き締めである。この結果、国債入札の平均利回りの上昇幅は既に0・25%を超え、国債利払いの負担増は今年度で3000億円になる。政府短期証券(FB)入札利回りも同幅以上上昇し、負担増は2000億円強に上る。それでもなおさらなる利上げを検討している。

また、量的緩和の解除が引き金となり、まず新興国(BRICs)市場の株価が急落。主要国株価も下落した。日経平均は4月7日(1万7563円)が今年の最高値だろう。6月14日(1万4045円)まで2カ月余りで20・0%も下げたが、これは1987年のブラックマンデー時の下げ(2カ月で23・0%)に匹敵する。家計への逆資産効果が心配される。さらに原油価格は高騰し、1バレル=80ドルが視野に入ってきた。為替相場も円高に向かい、米住宅市場の減速も鮮明だ。

現在は、2000年8月にゼロ金利を解除したときと酷似する。あの時は4月に株価が天井を打ち、景気は11月にピークを迎えた。日銀はなぜ間違うのか。情勢判断が甘いためだ。今も同様だ。経済予測に際して楽観的シナリオを描き、危機を「一時的だ」「影響は限定的だ」などと過小評価する。金融政策に負担がかかるのを回避し、結果的に緩和は遅く、引き締めは早く、となりがちだ。


※ 下へ続きます

(2006年07月13日 09時49分39秒)

つづき   HEAT1836 さん

『日銀はだれのものか』では、そうした日銀の政策決定過程の実態を描いた。新法下の日銀は「独立性」を強く意識し過ぎ、金融緩和を出し惜しみしたきらいがある。「独立性」が尊重されるには、金融政策の「パフォーマンス」が良好であるべきだ。そしてパフォーマンスを上げるには「失敗の責任」が問われなければならない。しかし、日銀は常にシナリオを複数持ち、都合が悪くなると別のシナリオに乗り換える。これは「事情変更の原則」の乱用であり、「雲翻雨覆(うんぱんうふく)」の謗(そし)りを免れない。

日銀は6年前のゼロ金利解除を失敗だとは認めていない。従って誰も責任を取っていない。そして今回の量的緩和政策の解除である。どうなったら失敗なのか。失敗したら日銀はきちんと責任を取るのか。物価が再びマイナスになる、景気が後退してしまう、それでも誰も責任をとらないなら、日銀はだれのものでもない。まさに日銀自身のための組織になってしまう。


中原伸之(なかはら・のぶゆき)
1934年東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、ハーバード大学大学院修士課程修了。59年東亜燃料工業(現東燃ゼネラル石油)入社。86年社長、94年名誉会長。98年4月から02年3月まで日本銀行政策委員会審議委員。02年10月から05年5月まで金融庁顧問。現在アメリカ研究振興会理事長。98年藍綬褒章受章。

http://www.business-i.jp/news/book-page/debut/200606190002o.nwc

(2006年07月13日 09時50分22秒)

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