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ヘンリーの国際関係学

企画のアイデア駐車場0

[国際関係＆まじめな話] カテゴリの記事

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フェアトレードについてあれこれ　（１）公正な貿易とは？

ども～。お久しぶりです。すっかり放置していました。mixiの方は更新しているので、良かったら探してみて下さいな。で。そのミクシィの方で、「フェアトレードって、ぶっちゃけどうなん？」という質問がありました。その辺を答えていきたいと思いますので、暫く、それにお付き合い下さい。ではまず、この第1回では、フェアトレードの意味そのものを見ていきましょう。僕が思うに、「フェアトレード」とは大きく2つの形があると思います。1つが、「多国籍企業が搾取に近い形で途上国から安く買い叩く状況と、それを助けるかのような法的な枠組みをWTOなど国際機関が作っている“自由”貿易のシステム」に反対することです。（直訳で「公正な貿易」といった方が想像しやすいかもしれません）もう１つが、NGOが村などに赴き、現地の原料や伝統技術を活かして、広く消費者に受け入れられるような商品を開発するアドバイス・技術供与・資金融資などを行ない、更に国内・海外への販路を提供して、生産者に収入をもたらすことです。前者は、現状の貿易システムに対して物申す！という立場です。例は、「フェアトレードコーヒー」だったり、WTOなどの会議に対してデモを行なうような行動だったりします。たぶん、この「“自由”貿易に反対」って立場は賛否両論あるだろうなぁ、とは思います。特に、資本主義的に考えてどうなん？とか。一言で説明はできませんので、第2回とか3回で説明していく予定です。（予定は未定なので、「早く説明せんかい」とかの催促もウェルカムです）後者は、現状の貿易システムには反対せず、独自に生産者が収入を得れる方法を、という立場です。例は、フェアトレードショップにあるような服・アクセサリー・ポストカードなどです。具体例で説明しましょう。ネパールで作られた皮のバッグの話です。そこの地域には、差別を受けている住民がいました。彼らは、動物の死体処理などを行なう職に就いています。（日本にも、「えた・ひにん」と呼ばれる人たちが居ましたが、同様のものを想像して下さい。）元々、彼らは皮を加工する技術は知っていましたが、それをうまく活用できていませんでした。そこで、とあるNGOは、彼らに皮製のバッグの作り方と、それを売る市場を提供し、彼らは新たに収入を得る方法を手に入れることが出来ました。かなり端折った説明ですが、こんなカタチのものもフェアトレードです。「適正な値段で買ってあげることじゃなくて、現地で、適正な値段で買わざるを得ない【価値となるもの】を生産することじゃないのー？」という疑問も出ていましたが、後者のフェアトレードは、まさにそっちの狙いだと思います。（前者のフェアトレードでも、「フェアトレードコーヒー」や「有機栽培のコットンの服」などは、“有機栽培”という付加価値を付けて売ってるモノもあります）フェアトレードって、「資本主義と逆行する」というものでもないし、むしろ、それに添う形なんじゃないかな、とも僕は思います。僕もまだ、勉強を始めたばかりで、あんまりよく解っちゃいませ

August 30, 2006

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フェアトレード勉強中

週末、２週連続で途上国の商品を売ってました。いわゆるフェアトレードの一種です。やってて思うのは、こういうお手伝いは喜んでやるけれども、善意だけでは物は買わないなぁ、ってこと。やはり「欲しいから買う」ってのが根本にある。ある日本のNGOでは、商品化するまで半年から３年くらいをかけているという話を聞いた。現地NGOのデザイン試作を、日本向けに売れるかを確認する作業を何度も何度も繰り返すのだそうだ。話は微妙に違うが、北欧のどこかの国では、アーティストがゴミを利用して商品を作るなんてことをやってたりする。「無理せずに、身近に、結果的にフェアトレード」くらいな感覚で出来たらいいなぁと、思う。「善意だ」なんて考えなくても、欲しくなって、買っちゃう。後で説明を聞いて、買って良かったなぁって思う。そんな風にできたらいいなぁと思うこの頃です。さて。んな訳で。こんな企画します。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊以下案内（転送大歓迎！）＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊　体験してみよう！実は身近なフェアトレード　　　～2日でわかるフェアトレード入門～ AVCボランティアグループ「モノプロジェクトチーム」企画　フェアトレード勉強会　第５弾フェアトレードって知っていますか？　直訳すると『公正な貿易』。日本にいながらにして、買い物することで簡単にできる『身近な国際協力』として最近注目を集めています。でも、いまいちピンときませんよね？わたしたちはフェアトレードのことを一人でも多くの人に知ってもらいたいと思い、楽しく学べるフェアトレード合宿を企画しました。また、話し合いなどの機会を持つことで、一つの交流の場にできたらと考えています。フェアトレードを通して自分の生活を見つめ直してみませんか？きっとフェアトレードや国際協力を身近に感じられるでしょう。フェアトレードを全く知らない人はもちろん、よく知っている人もぜひぜひご参加ください！！日時：2006年８月１９日（土）１３：３０～２０日（日）夕方講師：＜１日目＞　荒川　共生さん（AVCスタッフ）＜２日目＞　小吹　岳志さん (フェアトレード・サマサマ事務局長) 会場：住吉区浅香人権文化センター申込方法：ＡＶＣまでお名前とご連絡先をお知らせください、　　　ＴＥＬ：　06－6376－3545 　　　ＦＡＸ：　06－6376－3548 　　　Ｅ‐ｍａｉｌ　：　avc@avc.or.jp 参加費：6，000円　(1日目夕食、宿泊費、2日目朝食を含む) 対象：テーマに関心のある方ならどなたでも定員：４０名（定員になり次第締切）企画：AVCボランティアグループ「モノプロジェクトチーム」主催：特定非営利活動法人アジアボランティアセンター(AVC) ●当日のプログラム（予定）　　　　　　集合時間：１３：３０集合場所：浅香人権文化センター(現地集合) 　【１日目】 14:00-16:00　ワークショップ（１）(講師:荒川共生さん) 16:30-18:30 　フェアトレード基礎講座　　　　　　　　　ビデオ鑑賞 18:30-21:00 　ワークショップ（２）　　　　　　　　　ハンガーバンケット（夕食をかねて） 21:00-22:00 　自由時間（お風呂は近くの銭湯を利用） 22:00　-　　　ディスカッション　　　　　　　　　モノプロ商品とその背景について　　　　　　　　　アジア諸国について【２日目】 9:00-11:00　フェアトレード講座(講師:小吹岳さん) 　　　　　　　　ディスカッション 11:00-16:30　フィールドワーク(関西のフェトレードショップめぐり) 16:30-18:00　ふり返り（～などを企画中です。変更の可能性あり～） ●会場へのアクセス地下鉄御堂筋線「あびこ」下車　徒歩１５分 JR阪和線「杉本町」下車　徒歩８分〒558-0021 大阪市住吉区浅香1-6-41 TEL　06-6697-0971　FAX　06-6697-1964 http://www.city.osaka.jp/shimin/shisetu/02/asaka.html --------------転送、ここまで---------------まだ定員に空きがありますので、是非ご参加ください☆僕も、少しばかり担当のところで講義っぽいことをすることになりました。経験談ではなく、本の知識とかですが。そんな訳で、ちょいとばかし、お勉強をしています。近頃気になるのは、農業と貿易。考えることは山ほどあるけれど、できることは少しずつ。無理せずにできることを探していこうと思うこの頃です。

July 31, 2006

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英字新聞斜め読み（１）AIDSの記事

僕は、Herald TribuneとIndependentという英字紙のメルマガをとっている。見出しがメールに送られてくるので、気になる記事があれば、そこに張られたリンクから飛んで読みにいける仕組みだ。僕は英語をPCで読むのにあまり慣れていないので、毎回プリントアウトして、通勤の行きの電車で１つだけ記事を読むようにしている。近頃、あまりに英語に触れていないので、錆びないように必死なのである。で。ある日、メルマガで届いた記事の見出しが赤かった。大体、半分くらいが赤かったので、何事かと思い、よく見てみた。どうも、AIDSの特集をやっていたようだ。（ちなみに、AIDS DAYは１２月１日である）携帯でも、こっちは日本語だが、メルマガをとっている。そちらの方でも、AIDS関連の記事があった。"「HIV感染、昨年1年で280万人志望…国連報告」国連合同エイズ計画（UNAIDS）は30日、1981年にエイズが初めて確認されて以来、昨年末までに世界で累計約6500万人がエイズウイルス（HIV）に感染し、約2500万人が死亡したとする報告を発表した"と、言うことらしい。で、英字紙の方にはどんなことが書かれていたのか。適当に訳してみた。＜AIDS drug provokes patent battle in India (Herald Tribune, May 11, 2006)＞インドのデリーで、AIDSのジェネリック薬に対して、HIV感染者グループが法的挑戦を試みている。もし、Tenofovirという薬のパテント（特許）が認められてしまえば、インドで安く作られる薬の製造が違法になってしまうからだ。そして、途上国の人々は、薬が高すぎて買えなくなってしまう。インド製のAIDS薬は、途上国に居る何十万人ものAIDS患者が使用しているのだ。アフリカやカリブ海地域では、インド製の薬に頼りきっている。インド製の薬は、質はアメリカ製と変わらない。だた、値段が買える範囲かどうかだけが違うのである。Tenofovirは、決して新しい薬ではない。ただ、以前の薬の構成を変えただけのものだ。いわば「New form of a known substance（ありきたりの中身のまま、形だけを変えたもの）」である。また、Tenofovirは副作用が小さく、この薬無しでは困る患者は多い。先進国でのtenofovirの費用は、年5718＄である。一方、インドでは年700＄で済む。このインドの薬も、アフリカで作れば更に半額になるだろう。インドで、HIV感染者グループが抗議行動が行なわれた。「Patients before patent　（特許の前に患者を）」「Lives before profit（利益の前に生命を）」というカードを掲げて、警官と衝突する騒ぎとなった。デリーにあるHIV感染者の団体のリーダーはこう言った。「もし政府が特許を認めれば、我々は薬を変えなくなる.これは、私にとって、そして世界中の人々にとって生死の問題だ。我々は、簡単に救えるはずの命を、失いたくはない」今年の3月に、インドで特許法が施行された。この法律では、西洋の薬のコピーを禁じている。この法律成立には、WTOのルールを導入したいインド政府の狙いも含まれている。特許を支持する人々は、生命に不可欠な薬を開発するための更なる研究のための資金を、研究する企業に保障するために特許は必要だと主張する。ジェネリック薬を禁止することで、世界規模の新薬ができると訴える。AIDS患者の権利グループの一人はこのように言った。「我々は知的財産権や特許に反対しているのではない。我々が反対しているのは『独占』に対してである。命を救うための薬は、誰でも自由に手に入れることができるべきだし、開発のための対価に見合った特許権使用料も支払うべきだ」＜AIDS and ideology（Herald Tribube, May 14, 2006)＞ブッシュ大統領は、海外でのAIDS防止プログラムへの予算増を行なった点では支持できる。だが、そのお金の配分には首をかしげたくなるのが事実だ。と言うのも、AIDS拡大防止に対し、セックスを我慢するとか、禁欲だとかを強調しているからである。問題はそこではないのだ。インドとかロシアを見よう。これらの国でAIDSが拡大する原因は、売春やドラッグである。禁欲を過度に強制するには、そういった問題を無視することに他ならない。たしかに、禁欲や貞節は大事かもしれない。しかし、それを強調するあまり、コンドームなどの今までやってきた効果的なプログラムがないがしろにされるならば、「危険な戦略」としか思えないのである。ということである。うーむ。昔、AIDS関連の日記を書いたことがあるが、久々に思い出した。エイズデーにはちと早いが、少し、そういったとこにも目を向けてみてもいいかもしれない。＜AIDS関連の過去日記＞AIDSに関するオモイゴト　その１「日本を取り巻く状況」AIDSに関するオモイゴト　その２「エイズ問題の課題を考える」AIDSに関するオモイゴト　その３　ブラジルは希望になるのか？―国家と協力する市民社会の形成

June 1, 2006

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それは自然災害か人災か？

開発と環境はトレードオフの関係にあるのだろうか。だとすれば、豊かさの代償として、環境は悪化することになる。だが、その豊かさを享受できない貧困層は、環境悪化のために健康を害し、更なる貧困の悪循環へとつながるという悪循環に身を置くことになるのではないか。健全な生活環境こそ、「豊かさ」ではないのだろうか。免許取得に合宿に来ていながら、免許用の勉強はそこそこに、空き時間はもっぱら本を読んでいる。今日、読み終えたのは、大野拓司・寺田勇文　編『現代フィリピンを知るための60章』（明石書店、2002年）冒頭の文も、その文章を参照したものだ。フィリピンでは、スペイン植民地下時代の大土地所有制がまだ尾を引き、更に開発独裁で名を馳せたマルコス大統領時代に、取り巻きによる経済支配が起こり、今も貧富の差がひどく大きく、潜在失業率は４０％と云われる。首都マニラ近くには、スモーキーマウンテンと言われるゴミの島がある。ゴミから発生するメタンが燃え続け、煙が絶えず上る。そんな場所だ。そこには、ゴミを回収して生業を立てる者が生活する。その数は決して少なくない。だが、スモーキーマウンテンを訪れた日本人はこう口を揃える。「なぜ、あのような生活の中で、笑顔でいられるのだ？」健康にいいはずの無い環境の中で、彼らは生活する。「笑顔の生活だからいいのだ」と云って良いのか？答えは出ない。だが、そのゴミは「消費」の残りであることに考えを巡らすと、豊かさの代償としての健康を害する環境悪化である気がする。他にも例がある。1991年、熱帯低気圧ウリンが6500人を超える死者を出した。同年、それより大きなその年最大の熱帯低気圧は死者100人だったにも関わらずである。この背景は、やや複雑だ。ただ、「（一部の者の）豊かさの代償である」と考えれば単純かもしれない。この惨事の原因は山地林の減少・劣化にある。川上の山地林が商業伐採や違法伐採によって切り開かれていた。流出した土砂は、河口に堆積し、中州が出来あがる。そこには、危険地域ながらもスラムが形成された。そして、低気圧が呼んだ豪雨は、スラムを襲ったのだ。土砂・切り株・倒木が流され、まず水路が堰き止められた。限界を突破したとき、鉄砲水となり、河口に流れ込む。それが、河口の中洲にあるスラムに直撃。未曾有の大惨事となった。だが、スラムに住んでいたのは誰か。実は、かつて（川上でもある）山腹で農業をしていた人々であった。伐採によって、山腹がサトウキビ農園に転換されたため、サトウキビ農園主に土地を譲らざるを得なくなった人々なのだ。これは自然災害なのか、人災なのか。自然は単なる引鉄でしかなかったんじゃないか。どうしても、そう思えてしまう。では改めて、これを考えたい。「開発と環境はトレードオフの関係にあるのだろうか」そうではない、とは思いたい。だが、景気が悪化する毎に環境への関心が薄れているようにしか見えない日本の消費者を見ている限り（そういう結果を出したデータもあるようです）、「生活に余裕が無い限り、環境は二の次になる」ような気がしてしまう。「開発と環境は共存できる」いつかはそう断言したいもんだ。そして、それは不可能ではない。不可能でないと思い続ける限り。関連日記：「へんりのヒトリゴト(8)リサイクルって良いことですか？」＜ヘンリーのオススメ本＞まきこさんが掲示板に書き込んでくれたお陰で、久々に昔の日記を見ました。そしたら、こんな企画があったなぁ、と思い出したので、ちょっと復活。へんりのオススメ本：PRESIDENTたぶん、購買ターゲットに20代は入ってない気がしますが、面白いっす。国際関係とは違うけど、社会に出てからのことを予習できた気がします。もちろん、やってみないと解らないことだらけだろうけどね☆子育てに通じることも書いてたりして、うーむとか唸ってみたしています。

February 12, 2006

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へんりのシリア・レバノン戦記「アサド大統領のハリリ暗殺疑惑」

ずいぶんと長い間、更新をサボっていたので、久々にまじめな話を。っても、学校のレポート用に書いたものですが。--------------------------------------「アサドが、俺らの愛するハリリ大統領を殺したんだ。」レバノンの街トリポリで、レバノン人が僕に語った。当時、そんなニュースを聞いたことがなかった。2005年の夏のある日、僕はトリポリを散歩していた。すると、カバン屋で店番をしていた現地のレバノン人に話しかけられた。話が盛り上がり、腰を据えて話をし始めると、朝ごはんまで奢ってもらった。身内の子供を蹴っ飛ばすとか、かなり過激な人たちだったが、僕には優しかった。腕に、日本語で文字を書いてくれ、と頼まれた。彼らの名前や、神アッラーを平仮名で書くと喜んでくれる。「Fuck my lifeと書いてくれ」とも言われたので、「人生なんてクソくらえ」と書いた。ご飯を食べると、町の案内をしてもらった。レバノンの町並みは内戦の痕が生々しく残っている。道案内を終え、水煙草を吸う。この日、僕は昼にはレバノンを出て、シリアに向かうのだが、それまでの半日、ずっと彼らと行動を共にし、色んな話を聞いた。僕がシリアから来て、またシリアに戻ることになるというと、「何であんなクソッタレな国に行くんだ」と語気を荒げた。僕の持っていたガイドブックに載っている子供の写真を見て、「物乞いだ。貧しい国だ」と罵った（実際は、レバノンには物乞いはいたが、シリアにはおらず、月収の低いシリアの方が生活レベルは高かった）。レバノンは、長くシリア軍の占領下にあったのも手伝ってか、シリア人嫌いが多い（2005年2月のハリリ暗殺に対するシリア政府関与の疑惑を受けて、同年4月に駐留シリア軍は撤退した）。街の案内を終えた彼らと一緒に水タバコを吸っている時も、マンションのベランダから友人であろう男が、真上から挨拶してきた。すると、案内をしてくれた男たちは「奴はシリア人だ」といって、ベランダの男を「このゴキブリ野郎」と罵り、物を投げた。露骨な嫌い方だ。だが、彼らは話の輪の中に入って、普通につるんでいるのである。中東は、ヨーロッパによる分断によって今もなお政情が不安定とされる。シリアとレバノンも例外ではない。当地域はオスマントルコの支配下にあったが、第一次世界大戦後に独立したのも束の間で、英仏によって占領された。そこで、アラブ人の団結を恐れる英仏は、現在のシリア・レバノン・ヨルダン・イスラエルを分断し、不安定にしてヨーロッパへ侵攻する余裕をなくすようにした。フランスはシリア・レバノンを統治し、レバノンにはキリスト教徒を住まわせた（現在も70％はキリスト教。但し民族はアラブ）。そして、英国統治下のヨルダン・イスラエルのうち、イスラエルにユダヤ人を入植させた。また、イスラエルを石油がない土地に限定して、欧州にとっての脅威になり過ぎないよう配慮した。こうして、中東は現在のように政情の不安定な地域となった。シリアとレバノンの敵対もここから派生する。シリアは「もともとレバノンは自国の一部だったのにフランスの陰謀で分断された」という意識を持つことになったのだ。その意識が、シリア軍のレバノン駐留を当然と考える素因となった。勿論、それ以外にも、イスラエルが絡んでくるレバノン内戦や、ゴラン高原を巡るシリアとイスラエルの敵対など、様々な要素が絡まっているのだが。しかし、なぜハリリは暗殺されなくてはならなかったのか。報道では疑惑ばかりが強調されて、その理由までは多く語られていない。田中宇によると、「米政府の中からは、ハリリ暗殺事件の直後から、シリア政府の犯行であると断定する発言が相次いでおり、米マスコミでも、事件直後から『ハリリ暗殺で得をしたのはシリアだから、犯人はシリア政府に違いない』といった論調があふれ、ワシントンポストやニューヨークタイムスを筆頭に、全米の多くのマスコミが、シリアの犯行だと断定している」とある。だが、明確な理由を目にしたことは、僕はない。一方、疑惑のかかったバッシャール・アサド大統領とはどんな人物なのか。父親であるハフェズ・アサド前大統領が2000年に死に、世襲で大統領となった。父親は外交手腕に長けていたが、息子はそうではなかった。僕がシリアで出会ったシリア人が言うには「今のアサドは、憲法を変えてまでして世襲したバカ息子だ」そうだ。眼科医を目指してロンドンに留学していたため、政治的手腕に乏しいのも仕方ないのかもしれない。だが、街中では彼の顔写真をよく目にする。ポスターは勿論だが、サングラス姿のシールが車に貼られているのを見つけない日はなかった。乗用車のフロントガラスに貼られていた時すらあった。あの写真がアサドとは知らなかった僕は、前述のシリア人とは別の男に「彼は誰なのか」と問うと、アサド大統領だと教えてくれた。そして、シリア人は彼のことを好きなのかと聞くと「そりゃそうだ。なんでかって？彼は、私たち国民を愛しているからさ」と言った。この言葉が本当かどうかは判らない。シリアでは彼の悪口を言っているのを街中にいる軍人に見つかれば、どんな目に遭うかわからないからだ（そもそも政治の話すらタブーである。つまり、僕は大変なことを聞いてしまったのだが）。シリアのアサド大統領が、レバノンのハリリ大統領の暗殺に関与したのか。まだ、国連の調査機関の答えは出ていない。しかし、この騒動によってシリアが不安定になれば誰が得するのか。事件の直後から騒いでいる米マスコミの姿勢に疑惑の目が向かざるを得ない。そして、米マスコミは政府の強い影響下にあることから、更にその背後には米政府が浮かんでくる。残念ながら、具体的な理由は、現状では解らない。中東民主化に都合がいいだとか、中東におけるイスラエルのプレゼンスを強化する為か、あるいは「文明の衝突」を行なう世界戦略の一貫か、予想は出来ても確実な根拠は不明である。しかし、政治的な要因が何かしらあるはずだ。中東は、絶えず政治的な戦略の中で揺らされてきたのだから。僕がシリアやレバノンを訪れた時、真夜中でも街を歩けるほどに治安が良かった。たとえ抑圧的な部分があっても、彼らの生活が不幸であるようには感じなかった。そんな彼らの生活が、大国の身勝手な都合で不安定にさせられるとすれば、滞在中に何度も現地の人に助けられた僕としては許しがたいことである。「そこに今、生きている人」に視点を向けることこそ、国際政治を考える上で大切なことであると、僕は強く思う。（参考文献）田中宇「シリアの危機」『田中宇の国際ニュース解説』http://tanakanews.com/f1015syria.htm（Accessed 2006/01/20）「バッシャール・アル＝アサド」『ウィキペディア（Wikipedia）』http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%　BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AB%EF%BC%9D%E3%82%A2%E3%82%B5%E3%83%89（Accessed 2006/01/20）

January 25, 2006

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ヘンリー、京都に行く。

昨日、ガルトゥングさんの平和学講座に参加してきました。久しぶりに会った足立力也さんの話も聞けたり、と充実。そんな訳で訪れた京都。その京都が、物々しい警備体制だと思ったら、ブッシュ来日なんだそうで。ガルトゥング氏はこのことを、「制度的に問題はあれ、京都議定書は大事な環境への契機。それを拒んだブッシュが、京都に呼ぶとは皮肉だ」･･･的な発言をしていました（正確には覚えていないのですが、ニュアンス的にはこんな感じです）。さてさて、楽しくも充実した一日。卒論と専攻のプレゼンに追われている日常からリフレッシュです。仕事を始めてからも、こういった会に顔を出したいなぁ･･･。で、こんなメールを頂いたので、紹介させていただきます。----------------------------------------------------------------「揺れるアメリカを考える」をテーマに、市民グループ主催の映画上映会は１４日午後６時半から、京都市下京区のひと・まち交流館で開かれる。イラクで戦死した息子の「死の意義」を大統領に問う運動をしているシンディ・シーハンさんのドキュメンタリー映画と、５０万人が参加した今年８月のニューヨーク反戦デモの記録映像を上映。藤岡惇・立命館大教授がブッシュ政権について講演する。　沖縄の海のジュゴンを普天間基地移設計画案から守ろうと、環境団体グリーンピース・ジャパンは１４日、東山区の八坂神社でジュゴンの着ぐるみを登場させてアピールする。　「日米首脳会談反対！関西実行委員会」は１５、１６の両日、集会とデモを行う。１５日の集会は午後６時半から円山公園ラジオ塔前である。沖縄県のヘリ基地反対協ら全国の米軍基地周辺の反対運動関係者や靖国訴訟の台湾人原告も参加。約５００人のデモ参加を見込む。１６日午前１０時にも京都教育文化センターで集会を開く。　食の安全でも動きがある。京都食健連は１６日午後零時半から、ＢＳＥ（牛海綿状脳症）問題で安全性が確認されないまま北米産牛肉の輸入を再開しないよう求め、三条大橋東詰めで、牛の着ぐるみによるパフォーマンスなどで訴える。　---------------------------------------------------------------ちゅう訳で、一昨日、ゼミの後輩である３つ下の子たちとカラオケに行って、知っている歌のジェネレーションギャップに驚かされたヘンリーでした。あれ？リフレッシュばっかり？

November 14, 2005

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ホワイトバンドへのオモイゴト

ホワイトバンド。何週間か着けてみての感想。･･･あんま意味ないわ。なんか、持ってるだけで満足しちまってる自分がいるんだよね。「世界の貧しさに気づいてるポーズ」にカッコイイと思ってしまう自分が。ひょっとして、これ、意味無いんじゃない？そんな風に感じて、初めて、自分が何の行動を取ったってんだ、なんて事を忘れちまって、「とりあえず、ホワイトバンドを持ってるから、いっか」みたいな感じで、立ち止まってる自分に気付いた。「おいおい、ひょっとして、逆効果じゃねぇか？　忘れちまってるよ、行動するって事」ふと、そんな気分が、肩に重くのしかかった。ホワイトバンドへの「疑惑」。そのことに思い当たったとき、「この感情の源泉にあるのは何か」という考えにぶち当たった。それは、自分の中にある一つの感情ではなかろうか。「着けてるだけじゃなくて、なんとかしてかなアカンちゃうの？　これだけやったら、何の解決にもならんわ」心の中から自発的に生まれてきた、その思い。他人任せではなく、自発的に行動していきたい、という気持ち。積極性。ああ、なるほど。これが、ホワイトバンドの意味だったのか。つまり、「ホワイトバンドは意味がない。　それに気付く事がホワイトバンドの意味だ」ってな結論にたどりついたのである。でもまだ、具体的な行動には移っちゃいない。ホワイトバンドのメッセージを、まだ受け止めきっては居ない自分が此処に居るのである。ほっとけない　世界のまずしさ

October 25, 2005

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トルコ・中東旅行記（-1）シリアで聞いた変な噂。～自衛隊に死者？～

今日は、シリアで聞いた妙な話について書いてみます。この物語はカタールで始まり、エジプトで終わります。今回の話については、「信じて欲しい」という気持ちはありません。「本当に違いない」という確信もありませんし、また、証拠もありません。むしろ、信じるに値しないような話だと思います。ただ、「こんな話を聞いたよ」「こう思ったよ」ということだけを書いてみます。まず、カタールでの出来事。ドーハで、アルジャジーラを発見した。ただし、インテリアのお店。うん、無関係（笑）。そう言えば、アルジャジーラ（Al Jazeera）はThe Islandって意味らしいですわ。で、この近くでカレーを食べたのだが、テレビでアルジャジーラ（有名な方）をやっていた。ぼーっと見てたら、２つの事を思い出した。１つは、シリアでの話だ。あるシリア人が、僕にこう言った。「俺がその気になれば、小泉政権を終わらせることができる」得意そうな顔のシリア人に尋ねる。「どうやって？」神妙な顔に表情を変え、その顔を僕の近くに寄せて、その男は小さな声で言う。「実は、既に日本の自衛隊に２人の死者が出ている。俺は、彼らの身分証だとか、そのはっきりした証拠が入ったCDを持っている。想像できるよな？もし俺が大々的にこの事を知らせれば、小泉がどうなるか。」僕は小さく頷く。男は続ける。「だが、俺はそんな事はしない。俺はビジネスマンであって、政治家じゃないからな。」･･･。本当だろうか？僕は信じるかどうか迷っている。信じない理由は腐るほど有るが、一番の理由は、奴が詐欺師だったからだ。僕は奴の一味に金を盗られたのである（詳しくはそのうち書く）。しかし、この時、奴はシリアではご法度であるアサド・シリア大統領批判についてなど政治については、まともな事を言っていたのも事実である。だが、信憑性なんてない。そして、アルジャジーラを見た時にも思い出した2つ目のこと、エジプトで出会ったバックパッカーの話が頭をよぎった。アルジャジーラではイラクのニュースをしていたからだ。それを見ていた時に感じたのは、「日本では、イラクをどのように報じてるのかな？」という疑問。そして、色んな欠片が、頭の中で変なつながりを持ち出した。エジプトで出会った日本人バックパッカー。彼は、安宿のソファーで「イラクに入れなかった」と言った。闇バスを使っても無理だった。彼はイラク入国をしようとしていた日本人ジャーナリストにも会った。そのプロのジャーナリストも、米軍に阻まれて入れなかったらしい。完全な厳戒態勢。（ひょっとしたら、米軍の管理下という条件で、NHKとかはイラクに居たりするのかもしれないが。もし知ってたら教えて下さい）その厳しい態度が、とりわけ日本人を対象にしたものかどうかは解らない。だが、仮にそうだとすれば、何故それほどムキになるのか。2度目の「自己責任論」の再燃を防ぎたいからだろうか。日本人の生命を救うために、日本政府が一生懸命に米政府に頼んでいるのだろうか？いや、ひょっとして知られたくない事実があるからでは･･･。…などと言う、詰まらない事を考えてしまったのである。書いていると、我ながら「穴だらけである」と、この事を最初に考えたとき以上に感じる。冒頭で言ったように、信じるに値しないような話である。「こんな話を聞いたよ」「こう思ったよ」ということだけを書いただけだ。すなわち、「自衛隊に死者が出たという話を聞いた」「イラクに日本人は入れないような厳戒態勢が敷かれているという話を聞いた」そして、「信じるだけの証拠はないし、信じがたいけど、ちびっとだけ信じている」という自分の感想を書いただけである。小泉政権をどうにかしたいだとか、自分の思ったことを浸透させたいとか、皆にも信じて欲しいとか、そんな気持ちはさらさらない。これ、ほんまに。今日、後輩に「最近、更新してないっすね」と言われたので、一番、書き易い話がこれだけだっただけである。これもほんまに。今日の日記を、おっくんに捧げる。

October 18, 2005

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在日外国人その２－３　まさやんへの回答～人か国家か～

その２－１、２－２の続きです。＞未払いに関しては賃金を払わせた上で国外退去が妥当でしょう。この考え方は、「労働者」という視点だけで見れば、それなりに妥当な点はあるでしょう。ですが、「不法」という負い目を持ち、時にはパスポートを奪われて働く「不法」就労外国人には、そのような訴えができるかが疑問です。また、今の仕事を辞めなくてはなりません。しかも、結婚や呼び寄せによって家族を日本に築いた外国人も少なくないことを考えれば、「退去」が理想の解決方法と思いたくないんですよ。（国際法からの視点は、前回を参照のこと）＞差別については、この場合は具体的な何かがあるわけではなさそうなので人権違反とまではいえないような気がします。差別が「人権（規約）違反」とまでは、僕は考えていません。「権利の侵害」はしていても、それが「人権」を土俵に上がらせるべきかどうかは微妙かと思うので。（人権はHuman rightsと複数形。決して一枚岩の定義があるわけではないんです）前回の「その１」を書く時に想起していたのは「子どもが学校で受ける差別」で、差別によって学校に行けなくなり、教育を受ける権利が侵害されたとか、そんな内容でした。もちろん、給与・解雇などの差別的待遇もですが。ほかの差別の例として、大阪府茨木市に西日本の入管総合センターが作られる時に、近隣の自治会連合会は「大量の外国人労働者が収容施設に入るとエイズが蔓延する。彼ら彼女らが吐くたんつばが川に流れて環境を汚染する」と主張し、建設反対の提灯行列をしたんだそうです。（近藤、246p.）＞一般的な好き・嫌いレベルではないでしょうか。たしかに、そういうのもあると思います。でも、差別次第では生命や精神の尊厳を損なうようなこともありうるのもまた事実ではないかと。これは完全に余談ですが、「具体的な根拠を示さず、外国人の犯罪が増加・凶悪化しているかのごとき発言は、民族差別、排外主義を煽るものであり、人種差別撤廃条約に違反する」として、2001年、人種差別撤廃委員会は、石原都知事の発言に関して、日本政府に対して、是正措置勧告をしたそうです（近藤、246p.）。＞密告については自国の利益のためとあらば致し方ないように思います。ここも、僕としては納得しかねますねぇ。この争点は３つあると思います。１、「密告」は「自国の利益」になるのか２、「自国の利益」になるとして、それは「致し方ない」ことなのか３、国の「致し方ない」「利益」のために、個人の権利は侵害してもよいのか＜１、「密告」は「自国の利益」になるのか＞「不法外国人の犯罪が増加・凶悪化している」という根拠があれば、「利益になる」と言えるのかもしれません。あるいは「不法」性を付与することで、「不法」就労外国人を弱い立場に置き続け、人権を踏み台にして利益を得るという考え方をすれば「密告」は、「不法」就労外国人を「弱い立場」に釘付けにできるために「国の利益」になると言えると思います。＜２、「自国の利益」になるとして、それは「致し方ない」ことなのか＞では、より理解しやすい後者の理由から「自国の利益」になったとします。それが「致し方ない」と言うためには、「そもそも外国人の権利は侵害しても構わない」と考えるか、「外国人の権利も大切だが、それ以上に、外国人を「不法」にすることで手に入れる利益の方が大切なのだ」と考えるか、のどちらかになるでしょう。（他にもあったら、ご指摘下さい）＜３、国の「致し方ない」「利益」のために、外国人の権利は侵害してもよいのか＞２も後者が正解に近い気がします。では、「不法」にすることによって生み出される利益（低賃金労働・社会保障なし）のためには、「人権」なんてものは疎かにしても、日本としてOKなのか、ってことが論点になります。これは一概には言えません。そして、コメントの返信に書いたように、この「在日外国人シリーズ」の大テーマの方は、「国家の利益　VS　人の権利」です（他にも出てくるでしょうけど）。でも、「結論先にありき」より「検証しながら考える」という姿勢で挑みたいと思ってはいますが、今のトコ「人権」を応援してますので、「致し方ない」とは、僕は思えないんです。＞また不法という言葉が･･･と言う部分ですが、＞この場合これらの現象を起こしているのは法の枠組みが大きく関与していて言葉はそこまで大きくないような気がします。＞人によって感じ方はそれぞれなのでなんとも歯切れが悪いですが・・・。「法」を正当化するのに用意した言葉が「不法」である、と僕は考えています。「感じ方」はそれぞれかもしれませんが、「感じさせよう」としている意図が敵意に満ちている気がします。これが、小テーマとして挙げた「国家によるラベリングの恐怖」ですね。「有事法制」「民営化」「テロとの戦い」エトセトラ。響きの良い言葉に「ひとつのイメージ」を持ってしまうと、国家の策略に踊らされてしまう結果になりかねません･････ってヤツです。「不法」に話を戻すと、2000年に法務省が発表した「出入国管理基本計画（第2次）」において、「人権尊重」と「共生社会の実現」を謳っていながら、その具体的な内容に触れずに、「不法滞在者」に対する社会防衛と治安対策はより具体化されており、国家利益の観点からの対策といえるものである（近藤、245p.）んだそうです。「基本計画は、国益の視点から、移住労働者とその家族の労働者を如何に利用するかという観点に重点を置いていると評価しうるものである」（同）ずいぶんと長々とした返答になりましたが、コメントに対する返事を考えているうちに、色々と見えてきました。ほんと、まさやんには感謝です。人と人が、考え方と考え方が混ざり合って、色んなものが生まれるんだろうな。そんな風に思った一日でした。＜２－３のまとめ＞・人権はHuman rightsと複数形で、一枚岩の定義ではない・国家としては、外国人は利用する物という見方だろう【参考文献】五十嵐泰正「日本で働くという経験／外国人と働くという経験」、『講座グローバル化する日本と移民問題第２期第4巻　移民の移住と生活』駒井洋・監修、石井由香・編著、明石書店、2003年、57-88頁、所収。鬼束忠則「外国人労働者弁護団「ラフル」の活動と将来」『定住化時代の外国人の人権』日本弁護士連合会編集委員会・編、明石書店、1997年、11-28頁、所収。国際法学会・編「日本と国際法の100年（４）人権」2001年、三省堂。近藤敦・編著『講座グローバル化する日本と移民問題第２期第2巻　外国人の法的地位と人権擁護』明石書店、2003年。橘玲『得する生活』幻冬舎、2003年。

August 21, 2005

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在日外国人その２－２　まさやんへの回答～家族と居住と～

その２－１の続きです。まずはそちらを一読下さい。＞居住権について＞「国際人権規約13条」＞　合法的にこの規約の締約国の領域内にいる外国人は、法律に基づいて行われた決定によってのみ当該領域から追放することができる。＞合法的に入国しても法の決定により追放することは人権違反とは認められないようです。＞同様に非合法ならば法の決定どおり追放しても人権違反にはならないと考えられます。国際人権規約のうち市民的及び政治的権利に関する国際規約（自由権規約）１３条を引用していますが、そこからの「非合法ならば法の決定どおり追放しても人権違反にはならない」という解釈については、疑問があります。この人権規約が生まれた背景を鑑みれば、「○○すれば、追放してよい」というのが趣旨ではなく、「○○しない限り、追放してはならない」というのが、この条文の言いたいことのはずです。つまり、この条文は、「法律に基づくことが、追放に必要不可欠な条件」を提示しているのみで、「法律に基づくことが、追放する十分条件」ではないと解釈するほうが、合理的でしょう。（「合法」「不法」の問題については、他の資料を用いて後ほど論じます）しかしながら、ここまで言っていながら、現実はそうとは限りません。これは東京地裁1995年9月27日判決です。非正規入国後、日本に生活基盤を形成するに至った外国人についての「居住権」を、認めないという判決が出ました。そこで、裁判所は以下のように述べました。「日本人が自由にわが国内に居住し生活できるのとは異なり、外国人の場合は当然にはわが国に入国し国内で生活できる権利を有しているわけではなく、わが国の主権に基づく許可を受けその許可の範囲内でのみわが国で居住することができるに過ぎないのであるから、外国人がわが国内のおいて社会生活を営み、活動することができるためには、その前提として、適法にわが国への入国したものでなければならないことは当然であって、不法入国者のように、わが国への入国が許されず国内に留まることができない立場にある者が、わが国において、適法に生活全般の活動の中心となる場を持つことができると解することは困難････である」（近藤、63p.）さらに、かかる「不法」外国人が、「本来、わが国への入国それ自体が許されない違法なものだったのであるから、当然、その後のわが国での滞在ないし居住も法律上容認されたものではないのであって、かかる不法入国者は、もともとわが国内に生活全般の活動の中心となる本拠を置くこと自体が容認されていない立場にあることからすると、このような［外国人］について、単にその違法な入国を基礎として作られた居住の事実状態だけをとらえて、そこに『住所を有する』と評価することは躊躇を感じざるをえない」と述べました。（近藤、67-68pp.）つまり、乱暴に言うと「不法で入国してたんだから、退去強制しても仕方がない。そんな不法なやつらに居住する権利は与える必要は無い」といった感じでしょうか。でも、それでいいとはやっぱり思えません。ここで、再度、人権という立場から考えてみるために、資料を紹介します。先ほど挙げた国際人権自由権規約。それに基づいて自由権規約人権委員会が設置されたのですが、その委員会が、規約の解釈の指針を示すために提出した一般的意見（規約上の外国人の地位）の中で、次のように述べているのです。「規約は、締結国の領域に入り又はそこで居住する外国人の権利を認めていない。何人に時刻への入国を認めるからを決定することは、原則としてその国の問題である。しかしながら、一定の状況においては規約の保護を教授することができる。例えば、無差別、非人道的な取り扱いの禁止又は家族生活の尊重が生起するときがそうである（5項）」つまり、この規約人権委員会の考えは、「外国人の入国については、締約国は原則として自由裁量権を有するが、しかし差別的な入国政策や非人道的な取り扱い、家族の離散を生起する入国政策は、規則に違反する」というものです（近藤、247p.）一方、日本の入管法には「家族の離散を生起する」節があります。（「家族の結合する権利」は、自由権規約17条・23条だけでなく、子どもの権利条約9条･10条でも保障されている基本的人権である（近藤、241p.））1999年に改定された入管法で、「不法在留罪」が新たに罪に加わり、不法入国者または不法上陸者が日本国内に居ること自体が「犯罪行為」になり、退去強制された者について、その後の日本への上陸拒否期間を従来の「1年」から「5年」に延長しました。これにより、「日本人や永住者などと結婚したり、子どもが出生した場合であっても、その外国人配偶者や外国人の親は、オーバーステイなどの不正規の在留資格であれば、退去強制処分の対象となりうる」ことになり、「いったん退去強制処分がなされれば、最低5年間は日本に入国できず、5年後の入国も法務大臣の自由な裁量として著しく困難となる」のです。それだけでなく、「不法在留罪」の新設によって、「一旦不正規に入国・上陸した以上は、日本社会においていかなる生活基盤を築こうとも、刑事罰の対象」となり、居住権が常に脅かされます。もし、刑事裁判において、1年以上の懲役刑を受ければ、たとえ執行猶予付きであっても退去強制処分を受けると無期限の追放になってしまいます。（近藤、240-242pp.）その２－３「人か国家か」へ続く。＜２－２のまとめ＞・日本の入管法は、外国人の家族を離散させそうだ・日本の外国人政策は、人権規約に違反してそうな部分がある

August 20, 2005

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在日外国人その２－１　まさやんへの回答～「不法」を考える～

先日の日記に、まさやんから非常に有り難いツッコミを頂きまして、これはきちんと向き合ってお答えしたいと思い、在日外国人シリーズ　その２として、「まさやんへの回答～「不法」を考える～」をお送りさせて頂きます。＞ルール違反には必ずペナルティが与えられます。＞それは時には自由という人権を奪うものであったりします。＞懲役しかり罰金しかり。＞したがって法を犯して入国した人間にはそれなりのペナルティが与えられてしかるべきでしょう。奪われるのが「自由」とは限らない、ってのが問題だと僕は思うのです。たとえば、「『不法就労者』と呼ばれる外国人労働者は････重傷者に対する医療拒否や病院のたらい回し」に遭い、親が「不法」だということで、「社会福祉や教育を受けることもできずに日本で生育するこども」（鬼束、25p.）が居ます。ですが、1990年に国連で採択された「すべての外国人労働者とその家族の権利の保護に関する条約（移住労働者条約）」は、「合法、不正規を問わず、『すべての移住労働者とその家族』に対して、詳細な人権保障を規定している」ことに特徴があります。28条で、緊急医療について、「外国人労働者とその家族構成員は、その国の国民との取扱いの平等に基づいて、生命の維持又は回復可能な健康への侵害の回避のために、緊急に必要なあらゆる医療措置を受ける権利を有する。この緊急措置は、その者の滞在又は雇用に何らかの正規ではない点があることを理由にして、拒否してはならない」と定め、いわゆる不法労働者に対しても緊急医療を保障していますし、（国際法学会、179頁）子どもの教育については、「その両親や子どもが不正規であったとしても、公立幼稚園、小・中学校で教育を受ける権利があることを明記している」（近藤、249p.）のです。ただし、この条約に日本は未批准で、法的拘束力はありません。後述する内容の中で、日本が批准している条約からも見ていきます。＞ここには＞「被害者が特定される種のものではなく、いわば“形式犯”に過ぎないものである」＞と反論されるかもしれませんが、あえて言うなら被害者は日本人全体でしょう。＞それによる失業者、払われない税金などが被害でしょう。ここはどうでしょうか。日本人が被害者というのは違うだろうと、私は考えます。まず、「失業」ですが、ここで問題にしている「不法」労働外国人の職業は、日本人が拒む３K労働であり、労働市場としての“棲み分け”が出来ています。しかも、それを低賃金で勤めている彼らは、「日本経済を支えている」といっても良い存在です。「低廉で調整可能な労働力を要請する産業界を前に、『外国人労働者』は受け入れないという建前を堅持しながらも、何とか制度に意図的な穴をあけていこうとする入管行政がある。････建前の乖離からの結果として存在している『外国人労働者』の（単純）労働で下支えされて、日本の経済と社会が成立している構造があるのだ。」（五十嵐、62p.）というわけで、彼らが「不法」でいてくれると、日本のためになると言う事も言えましょう。外国人への優遇こそが、日本にとってマイナスであり、言い換えれば、外国人を保護して、損をするのは僕ら日本人です。「福祉国家は、ほぼ例外なく、移民を制限する差別社会となる」（橘玲、18p.）とのこと。とはいえ、ドイツの例ですが、移民（外国人労働者＋家族）のために費やす社会保障などの歳出よりも、税収の方による歳入の方が多いらしいですけどね（近藤潤三『統一ドイツの外国人問題』木鐸社、2002年）。っちゅう訳で、「税収」ってのが「日本人の被害」になるとは思えません。合法・不法を問わずに消費税を払っているし、不法滞在ならば満足な（曖昧な表現ですが）社会保障を受けられない状態にありますし。国家の懐（≒ここでいう「日本人全体」）としてはプラスなのでは？その２－２「家族と居住と」に続く※参考文献はその２－３の末尾にまとめて載せました。＜２－１のまとめ＞・「不法」就労者とその家族は、医療と教育を満足に受けることができていない・在日外国人は、合法・「不法」を問わず、日本経済に寄与している

August 19, 2005

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在日外国人その１　「不法」外国人はテロリストの被害者

不法滞在。不法就労。日本に居る外国人の相当部分は、「不法」に滞在したり就労したりする者から成り立っている（らしい）。しかし、彼らに冠された「不法」という言葉は、はたして適当なのだろうか？実は、この表現を使うことを政府が使うことは、テロ行為ではないか？…と、ちょっとオーバーな表現で始まった「在日外国人シリーズ」一発目。久々のマジメなお話に、どうぞお付き合い下さい。まず、「不法」に滞在あるいは就労する外国人の「不法」性とはどういったものかを見よう。入管法の規定する「不法」の意味は、以下の３つに大別できる。（１）日本への入国への仕方が適切でないこと（「不法入国罪」「不法上陸罪」）（２）超過滞在（オーバーステイ）していること（「不法残留罪」）（３）資格外活動をしていること（「資格外活動罪」「不法就労助長罪」）※不法入国：有効な旅券等を所持しないで日本の領域に入る行為不法上陸：上陸許可の証印を受けずに日本に上陸する行為不法残留：許された在留期間を超えて滞在を続ける行為資格外活動：許された在留資格以外の活動に従事する行為元来“不法”という言葉は、“法に違反している”、すなわち“社会的正義の原則を侵している”という意味をもつ非常に強い言葉である。言い換えれば、“刑事犯”に用いられるようなイメージを持つ。しかし、ここで用いられている「不法」とは、被害者が特定される種のものではなく、いわば“形式犯”に過ぎないものである。それにもかかわらず、外国人は「不法」性を付与され、弱い立場に立たされることになる。まずは居住権。「不法」就労者はすべて国家の手により退去強制される可能性を持っている。日本からの退去強制処置は、生活や就労の場、すなわちすべての拠り所としての居住権を剥奪する。退去強制を免れている「不法」外国人にも、人権侵害が待っている。「不法」であるがゆえに、雇用者の未払いなどの暴挙に強く対抗できないのである。しかも行政機関は、不法就労などの入管法違反を発見した際の通報義務があり、このことは、外国人労働者が公の機関に被害を申告することをためらわせている。さらに、「不法」という言葉のイメージを、マスコミを通して伝播させることで、一般的日本人が「不法外国人＝犯罪者」という連想をしてしまい、いわれの無い差別や、密告につながることは想像に難くない。「不法」という言葉を使うことで、人間であれば誰にでも保障されるべき人権が剥奪されてしまうのである。このような方法で、国家が「不法」というラベルを貼り、人権侵害の被害者を作り出すことは、“テロ行為”だと私は感じた。って、「“テロ行為”ってどういうことやねん」と思われた方も居ると思う。「テロ」とは、フランス革命のジャコバン派の「大恐怖（テロール）」、すなわち恐怖政治に由来する。それゆえ「政治テロルとは元来、国家テロル」であり、「国家こそがテロリズムの源泉」なのである。（『imidas2004』参照）つまり今回の場合、「国家という圧倒的な力により行われている『不法』性の付与こそ、“国家テロル”すなわち“テロ”と呼べるものだ」と私は考えたのである。もちろん、これは過剰な表現ではあるけれど、「不法」だって誇張なんだからお互い様だ。現在、国連機関では「不法」は差別的であるとして、使用は避けられ、「Non document」や「Irregular（非正規）」が使われているようである。言葉のチカラは大きい。「不法滞在」「不法就労」と聞くと、排除したほうが好いような感覚に駆られる。しかし、そこで語られる外国人は、意思を持った人間である。我々と同様に、人生を歩んでいる。生きている。そういった視点から、この在日外国人をめぐる問題を、私は考えていきたい。それに先立ち、「不法」という言葉に踊らされないように、第一回に「不法」性についての稚拙な説明をさせて頂いた。国家がある言葉を好んで使う時、そこに何らかの意図があるのではないか？例えば「テロとの戦い」を考える上でも必要になるであろう、そういった姿勢を、「不法」という言葉にも、どうか持ってみて欲しい。【参考資料】駒井洋『日本の外国人移民』明石書店、1999年外国人労働者弁護団・編著『外国人労働者と権利救済』海風書房、1992年＜今日のまとめ＞「不法」滞在や「不法」就労は、刑事犯罪とは異なる「不法」という言葉によって、人権を保障されない在日外国人が居る国家の使う言葉に含まれた意図に踊らされないその２－１に続く

August 9, 2005

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因果関係と相関関係は異なるのです。－ニートと暴力テレビー

「因果関係」と「相関関係」は違います。その辺を間違うと、対応そのものを間違ってしまう恐れがあります。先日、谷岡一郎「『社会調査』のウソ」（文藝春秋、2000年）って本を読みました。今日はその本を中心に話を進めます。ではまず、「因果関係」と「相関関係」とは何かを説明します。「因果関係」とは「変数の一方（X）が変化するにつれ、他の変数（Y）が同時に変化する関係」。どちらが原因で結果か不明。時間的にどちらが先行するかわからない。「相関関係」とは「変数の一方（X）が変化が、他の変数（Y）の変化を引き起こす関係」。「原因」となる変数と「結果」となる変数が明確化され、時間的にも原因が結果に先行する。だもんで、「相関関係があっただけでは因果関係があるとは結論付けることができない」のです。本書で例に挙げているのは、アリゾナ州と肺結核の関係（マーチン・ガードナ『The Paradox Box』）。「統計によればアリゾナ州は他の州よりも肺結核で死ぬ人が多いそうです。これはアリゾナ州の気候が肺結核にかかりやすいということになるのでしょうか」「まったく逆です。アリゾナの気候は肺結核にかかった患者が療養するのにおあつらえ向きなので、こぞってアリゾナに行くのです。当然ながら肺結核で死ぬ人の平均値が大きくなるというわけです。」つまり、これは、因果関係がまるで逆になっているケースです(129p.)。この他に、「暴力的なテレビ番組と非行」の関係も例に挙げています。「暴力的なテレビ番組を見る子供と非行」は相関関係にあるみたいです。そう言えばいいのに、「暴力的なテレビ番組が子供に影響」と報道されちゃうわけです。でも「相関があった」と「○○が××に影響」では、ちと違うんです。つまり、この場合、　　　　　　　　　　　　親の育て方　　　　　　　　　　　　　　↓　　　　　　　　　　子供の暴力的性格　　　　　　　　　　　　↓　　　　　　↓暴力的なテレビをよく見る　　　暴力・万引きなどの非行という蓋然性もある訳です（136p.）。（※「親の育て方が子供の暴力を誘引する」と結論付けられる、という意味ではありません）「暴力的なテレビを見ること」（原因）が、「非行」（結果）を引き起こすのではなく、「暴力的なテレビを見ること」と「非行」という結果には、共通の原因があるのではないか、ということです。後者の例を、最近のニュースで考えてみましょう。ニート：中学卒や高校中退者ほど高率　厚労省研究機関調査　学歴別のニートと正社員の比率（毎日新聞 2005年6月22日）　仕事も進学もせず職業訓練も受けない「ニート」になる割合は、中学卒や高校中退者の方が、大学や大学院卒より高いことが、厚生労働省所管の研究機関の調査で分かった。こうした調査は初めてで、担当者は「学校での職業体験を充実させ、中退者を減らす努力が必要」と訴えている。　調査は独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が２２日公表した「若者就業支援の現状と課題」で、総務省の０２年就業構造基本調査のデータを詳しく分析した。　それによると、１５～３４歳の男子の場合、中学卒（高校中退者を含む）１２０万３０００人の中で、ニートになっている割合が９．８％なのに、高校卒５８２万６０００人中では３．６％、短大・専門学校卒１７９万３０００人中では１．２％、大学・大学院卒３６９万３０００人中では１．３％だった。　女子の場合、中学卒から大学・大学院卒までニートになっている率は順に８．６％▽２．３％▽０．９％▽１．３％－－で、男女ともに高学歴ほどニートの率が低い傾向にある。　同機構の小杉礼子・副統括研究員は「就職機会は高学歴ほど多く、学校中退者にほとんどない実態を反映している」と分析。「正社員を減らし、パートやアルバイトに置き換えられる労働市場から、ニートは必然的に生み出されている」と話している。【井上英介】毎日新聞　2005年6月22日　20時38分----------------------------------------------------------------僕は、この分析が間違っているとは思いません。ですが、「中卒・高校中退」（原因）が「ニート」（結果）を引き起こすのではなく、「中卒・高校中退」と「ニートになること」（結果）が、共通の原因によるものである可能性も否定できないと思うのです。もしそうであれば、その共通の原因を解決しない限り、「ニート問題」は「解決」しないことになります（たとえ効果はあっても）。因果関係と相関関係とは別のもの。それを混合するケースは枚挙にいとまがありません。そんなわけで、誰かの「分析」や「解説」に頼るのではなく、「元のデータ」を読み解く力って、今後さらに大切になるような気がしますのですよ。本書にはこうあります。「情報機器やシステムの進んだ現代では、他人より、より多くの情報を集めることを競っても意味が無い。情報など、集めようと思えばいくらでも集められるからである。むしろ今後、必要となるのは、あるれるデータの中から真に必要なものをかぎ分ける能力、いわゆる『セレンディピティ（serendipity）』と呼ばれる能力であろう。」「今後は情報を得る能力よりも捨てる能力の方が、はるかに重要な素養となってくる」(194p.)【参考】谷岡一郎「『社会調査』のウソ」（文藝春秋、2000年）

June 23, 2005

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少年Hと戦争と

　「帝国陸軍は本日八日未明、西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり」　その放送は、Hが朝御飯を食べているときだった。　とうとう始まったと思ったとたん、手が震えて味噌汁がこぼれた。　お茶を呑んでいた父親は咳きこんでいた。　母親が「アメリカ、イギリスと戦争になったん？」と聞いたが、二人は黙っていた。　すぐに言葉が出なかったのだ。（上巻294頁より）『少年H』（妹尾河童）の、この場面を読んで涙が出た。理由はわからないまま、一滴の涙が頬を濡らした。近頃、強気な日本の意見を聞いたりする。特に、北朝鮮と中国に対して。それ自体に文句を言うつもりはない。外交には強気の姿勢が必要なときもあろう。現状では、現実論として戦争が起こる可能性は感じられない（と僕は思う）し、強気に出て、自分たちの要求を通すことは大事でないはずが無い。ただ、「万が一の戦争」が、どうしても頭をよぎってしまう。強気の結果、戦争状態になったとして、「得られるものは、失うものよりも本当に大きいのか」なんて考えてしまう。心配性と言えばそれまでだが、「有事法制」（military emergency legislation laws）やらで、「平和ボケ」から脱却してしまっているのだから、「戦争になる」という想像は、ぶっ飛んだ考えでは無いだろう。戦争を想像したあと、「勝つか負けるか」よりも大きく、僕の頭を占めたのは、「僕らの日常が何処に行くか」ということだった。世界大戦のように「総力戦」になれば、日常は遠ざかるだろう。そこで生き抜いていく力が、僕にあるのか？得も言えぬ不安が身を包んだ。そこまで考えて、思い出した本がある。『となり町戦争』（三崎亜記）だ。主人公である青年は、硝煙の匂いも銃声の音も感じることなく戦争に巻き込まれていく。死者の数がカウントされるが、全く見えない。だが、現実に戦争がそこにある。そんな内容の本である。そこにはこんな一節がある。　この複雑化した社会の中で、戦争は、絶対悪としてでもなく、美化された形でもない、　まったく違う形を持ち出したのではないか。　実際の戦争は、予想しえないさまざまな形で僕たちを巻き込み、取り込んでいくのではないか。　その時僕たちは、はたして戦争にNOと言えるであろうか。　自信がない。　僕には自信がない。　もちろん僕たちは戦争を「否定」することができるし、否定しなければならないものだと感じている。　ただしその「否定」は「あってはならないもの」「ありえないもの」としての消極的な否定であり、　「してはならないもの」としての積極性を伴った否定にはつながりえないようだ。　では、「現にここにある戦争」を、僕たちは否定することができるだろうか。（77頁）つまり。戦争が「総力戦」となって、身をもって戦争を感じられるとは限らない。自分たちの知らない中で、戦争が着々と進んでおり、それを感じることがないまま、“近くて遠い”場所で戦闘が行なわれているという形の戦争かもしれない。（ただ、実際のイラク戦争を見る限り杞憂ではないように思う。我々は、テレビ・新聞でノンフィクションの血を見ることは、ほぼ無い。）そして、その中で、果たして、その「戦争」を否定できるのか、ということだ。可能性ではない、現実の戦争に対して。僕も否定する自信がない。どちらの戦争であっても。そこに自分が居て、何ができるのか。想像するのは、とても辛いけど、試さなきゃならない気がする。『少年H』を読んでいるときに泣いたのは、その時の自分の「無力さ」と、「過酷な現実」を考えていたからかもしれない。まずは、そこから目を逸らさないでいようと思う。形の見えない不安で、涙がこぼれるけど、目を向けたいと思う。今（そして昔も）、武器を持たない形で語る平和は、「空想」というレッテルを貼られる。だけど、未来はそうとは限らない。「これはだめだ」と諦めるよりも「ではどうするか」という姿勢だ。最初から不可能の烙印を押したくはない。僕が涙を伴いながら思い浮かべてしまった世界に、現実を連れて行かないために。【参考】妹尾河童『少年H』（講談社文庫、1999年）三崎亜記『となり町戦争』（集英社、2005年）橋田信介著、橋田幸子編「世界の戦場で、バカとさけぶ」（アスコム、2004年）B-ing編集部・編「プロ論」（徳間書店、2004年）※久々に重たい話をしてしまいましたね。　今回は、唐突に頭に浮かんだ考えを文章にしちまいました。　前向きなコラムを再開できるように、ネタを温めておきますわ☆

June 6, 2005

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児童労働反対世界デー・ウォーク2005

私の友人からのメールをご紹介。どうぞ、ご一読＆ご参加を☆◆◇6月12日【児童労働反対世界デー・ウォーク2005】へのお誘い◇◆＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝世界の子どもの６人に１人が、未来に夢を描けない。　～子ども未来のために、声をあげよう。～＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝「児童労働」をご存知ですか？　危険で有害であり、子どもらしい成長を妨げる「児童労働」。劣悪な環境での長時間労働、借金の肩代わりとしての強制労働、人身売買による性産業への従事、兵士としての戦闘参加など、「児童労働」の実態は私たちの想像をはるかに超える過酷なもの。世界では、2億4600万人（5～17歳の6人に１人）の子どもが児童労働を行っています。　6月12日は児童労働反対世界デーです。国際労働機関（ILO）が、児童労働の撲滅に向け、世界的に呼びかける日として2002年に定めました。　児童労働の現状をより多くの人たちにも知ってもらうために、ウォークを行います。どなたでも参加自由！ぜひ、ご家族、お友達、同僚をお誘い合わせのうえ、一緒に渋谷の街を歩きませんか。 ◆日　時　　2005年6月12日（日）16：30～18：30（雨天決行）◆集　合　　こどもの城（東京都渋谷区神宮前5-53-1）　http://www.kodomono-shiro.or.jp/access/index.html　◆持ち物　　かざぐるま（形は問いません。児童労働反対世界デーのシンボル）　　　　　　プラカードなど◆参加申込　cl-net@acejapan.orgまで、お名前、人数、ご連絡先をお知らせ　　　　　　ください。◆主　催　　児童労働ネットワーク（CL-Net）詳細はこちら。http://acejapan.org/cl-net/index.html（集合場所、時間が変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。）☆児童労働の現状がわかるフォトライブラリーもあります！☆ウォーク終了後に、宮下公園（渋谷区渋谷一丁目）で簡単な集会を行います！☆同時開催イベント募集中！（大阪でもイベント決定！詳しくはウェブにて）

May 31, 2005

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戦争の民営化だそうで。

イラクで邦人が拘束されたというニュースを見ました。今回は英国の民間警備会社に勤めていた人だということ。こういった民間警備会社を、読売新聞は「現代の『傭兵部隊』とも言える」と表現していました。毎日新聞によると、民間軍事会社（PMC）について、・90年代半ばのシエラレオネ内戦では、戦況を転換させるほどの働きをし、先頭の最前線に欠かせない存在になった・軍の元特殊部隊隊員の場合、日給は10万円を超える。・必要な時だけPMCを利用すれば、軍事費は半分程度の削減できるという。・現在のイラク駐留米軍は14万2000人。PMC社員は2万～4万人いるとされ、この数字は米軍以外の駐留多国籍軍計2万2000人に匹敵する。と説明しています。また、ラムズフェルド米国防長官の「民間人を活用すれば、（米軍の）定員数は据え置きでも、（戦闘など）主要任務に回す軍人の数は確保しやすくなる」という発言を紹介し、「少ない兵力で最大の成果」を目指し米軍の変革・再編を進める同長官が、PMCを重視していることを示した発言だ、としていました。全く知らされてなかったわけではないとはいえ、（高部正樹『傭兵のお仕事』（文芸社、2001年）など、本でも出てますし）戦争が「民営化されている」ってのはショックだったです、って人も居るんじゃなかろうかと思います。まだ「民間要因には、殺傷行為に関与したり戦闘で死傷した場合の統一ルールの全く無い状態が続いてきた」（読売新聞）ということなので、世間的には、まだ認知度が低いようなものなのかと、勝手に想像してます。あ、なんかグダグダ書いちゃったんで、引き締めます。民間の人材派遣会社を使うメリットは、コストと世間に知られにくいこと。（米軍が仮に減っても、委託した軍人はこっそり減らせるわけですよね、多分）で、デメリットとして、ポンと思い付いたのが「戦争が無いと困るから」って、政府に圧力をかけてしまわないか、ってこと。（多分、既に指摘している人がいっぱい居るような気がしますが）最近、大学の講義で、アメリカの刑務所が民間に委託しているという話が出ました。州の経営よりも安く落札するんだそうで。で、刑務所内の工場で、最低賃金の労働をさせる、とのこと。ある刑務所の経営者（？）が言ったそうです。「私は、この刑務所を常に受刑者で満杯にしておける自信がある」･･･どうツッコんだら良いかよく解りませんが。とにかく、経営のためには、刑務所を満杯にしておいた方が良いんだそうです。ってことは、警備会社も治安が悪くないと商売あがったりってことですよね。裏ではどんなことがあるのやら、なんて勘繰ってしまいます。（儲かる企業は、警備会社以外にもあるでしょうし）「ジャーナリズムの究極の目的は、戦争を止めることである」というのは、知人の新聞記者の弁ですが（橋田信介さんも書いていましたね）、戦争が終われば、戦場ジャーナリストの職が無くなります。･･･なんて話を思い出しました。世の中は複雑だし、合理的だし、矛盾に満ちているなぁ、なんてゴチャゴチャと考えたお昼でした。イラクで拘束された斎藤さんが、無事に解放されることを祈っております。【参考】読売新聞　2005年5月11日朝刊毎日新聞　2005年5月11日朝刊ちなみに。日中考はまだ続く。

May 11, 2005

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日中考　３／５　反日デモについて　～中庸を求めて～

中国のイトーヨーカドーで暴れたデモ隊で逮捕された半数は、農村から出稼ぎに来ていた失業者だった。Newsweek（2005.4.27）にそんな記事が書かれてあった。つまり、Newsweekは、中国での反日デモが略奪行為の「隠れみの」であった可能性があると指摘しているのだ。本当のところは、僕にはわからない。僕の母の知人である中国人は、デモのあった頃に香港にいた。彼女がいた場所では、デモの影響なんて何も感じなかったらしい。そこには日常があった。これらの事が示すのは、何であろうか。それは「反日デモを過大評価しないこと」である事と思う。そもそも日本製品のボイコットが起ころうとも、それらはMade in Japanだったりするのだ。冷めた思いでデモを見る電化製品の店員がテレビに映っていたのを、僕は見た。だが、「過小評価」もまた、すべきではないと思う。中国人の中に「怒り」は紛れも無く存在する。例えば。エリックとの会話で、こんな話もあった。一年ほど前の話になる。ガンダム好きのエリックに尋ねた。「中国ではガンダムは人気があるん？」「まぁね。ただ･･･」「ただ？」「日本製品は一切買おうとしないって人も居るよ」しかしながら、僕が会った中国人も、TIMEに出てきた中国人も、毎日新聞に出ていた中国人も、日本政府への憤慨こそあれ、日本人を敵意の対象としていなかった。僕らは、その声を無視してはよくないと思う。デモと言えば。今回の反日デモでは、日本人に怪我人が出たらしい。そのことに関しては、僕個人としては「怒っても好いところだ」と思った。中国政府の対応如何ではあるが、「全部、日本が悪いんじゃい」って態度はいただけない。エリックも、暴力になったのは申し訳無いと言っていた。理由はなんであれ、暴力は望ましくない、と僕も思う。ただし、「その理由を全く考えなくても良い」とは思わない。と言うわけで結論。中国でのデモは、日本人側にも考えるべきところがある。だが、暴力行為を正当化すべきじゃない。また、そのデモに対し過剰に反応する必要はないように感じるが、無頓着になりすぎるのは、中国人に申し訳ないと思う。両国とも、相手政府への怒りを、相手の国民への怒りにすり替えてしまわないようにすべきだ。中国人の語る「嫌っているのは、日本人ではなく日本政府の方だ」ということに希望を見出したい。日本の中に「嫌中」の空気があるのは感じるが、それは中国政府に対するものに留め、過剰に「中国人が嫌いだ」という潮流にしたくはないと思う。【参考】“Newsweek日本版”（2005.4.27）“TIME” (2005.4.25)『毎日新聞』2005年4月17日朝刊

May 5, 2005

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日中考　２／５　歴史の教え方について　～歴史は政治だ～

歴史は政治だ。たびたびそう思う。台湾では、1997年まで中国大陸4000年の歴史を「台湾の歴史」として教えていたらしい。パレスチナの教科書地図には、イスラエルは存在しないらしい。アメリカの教科書にはネィティブインディアンの記述がないらしい。自分の国の政治に都合の好いように、歴史を伝えるのは昔から施政者が取ってきた手段である。日本の歴史教科書に難癖をつけてくる中韓も例外ではない。「日本は‘誤った’歴史を教えることになる」「新しい歴史教科書」について、中国人エリックはそう語った。「お互い様」と言えなくも無い。中国もまた、見方を変えれば、共産党に都合の良い‘誤った’歴史を教えているのである。だが、中国が「新しい歴史教科書」に反対するのは、単なる歴史認識への反感からではない。忘れてもらっては困る理由があるのだ。そして、それは「点」で理解するものではなく、「線」すなわち「流れ」で理解するものである。その理由とは「日本が軍事的脅威になって欲しくないから」ということである。日本が歴史の授業で習ってきたことは、「日本が戦争を起こし、もう戦争はこりごりだ」と思い起こさせることである。そして、中国に対して侵略をしたことを反省させ、もう二度としないようにすることである。元来の通りの歴史教科書で教えてくれさえ居れば、教育されていたこれらの事柄が、「新しい歴史教科書」では薄れてしまう。その結果、何が起こるか。日本国民から、大戦の反省の色が消える。それは、軍拡も辞さない世論を作り上げる可能性がある。そうなれば、中国へ再び侵略して来るのではないかと不安を感じる。日本人は、「まさか」一笑に付すかもしれない。だが、ある中国人はこう言っていた。「日本がアメリカと組んで、世界政府を建てようとしている･･･これは、中国では冗談とは言えないのよ」MD（ミサイル防衛）や対米武器輸出の緩和の流れなど、アメリカとの協力関係は密接になっている。イラクへの自衛隊派遣では、「海外に軍隊を送る準備ができている」ことが示された。靖国の参拝では、過去の歴史を賛美する現政権の意志が見ることができた。それら複合的な要素を踏まえたうえで、「新しい歴史教科書」が‘検定を通ったこと自体’が問題視され、反発を受けているのである。先ほどから述べているように「歴史は政治」である。検定を通ったことは、「それが政府の意見である」と理解されても何ら不思議ではない。要するに、中国は、日本が教えているものが「正しい」歴史かどうか、を最重要視しているわけではない（勿論、日本人が忘れるべきでない歴史を教えて欲しい気持ちを持っているが）。「日本軍事化の象徴」としての「新しい歴史」を恐れているのである。Guardian Weekly（2005. 4.22-28）を読んだ。一面は中国の反日デモ関連（”China refuses to apologise for anti-Japanese protests”）その中でSimon Tisdallが分析を載せていた。Escalating tension with China, … , is increasing pressure on Tokyo to expand its military and back a deepening strategic alliance with the US, reaching from east Asia to the Gulf.「中国との緊張が高まったことは、日本政府が軍事力を強化することと、アジアから湾岸に至る影響を持とうとするアメリカとの戦略的同盟関係を強化への支持する圧力となる」In short Japan is again becoming a military power with a global role and hopes of a permanent UN security council seat. China’s actions may thereby be more easily explained.But further demonstration of hostility will only exacerbate the slide towards an Asian cold war.「要するに、日本は再び軍事大国になろうとしている。地球的役割と国連安保理の常任理事国の椅子ともに。そう考えれば、中国の行動はより簡単に説明できるだろう。しかし、更なる敵対デモは、アジア冷戦へ陥る危険を高めるだけだ。」こんな認識が、中国以外にもあるのである。たしかに「日本よりも中国の方が軍事的脅威だ」という意見も少なからず聞く（ってか、めっちゃ聞く）。だが、「どちらが、より脅威か」という小さな範囲で考えるべきではないと僕は思う。「アジア冷戦」なんて、嫌だ。平和な未来を見据えた議論をしたい。「軍事化なんかするつもりは無い。勝手な勘違いだ」と、僕を含めた日本人は思うだろう。だが、「どう見せたいか」を述べるのは結構だが、「どう見られているか」に気付く努力をしなくちゃいけない。そして、見せたいように動かなくてはいけない。演劇と一緒だ。演じている最中は名演技と思っていても、いざビデオで確認すれば、下手くそな自分がいる。うまく声を出せていない自分が居る。見せたい動きと、見えている動きは大きく異なる。それらを一致させるためには、周りからの意見に耳を傾けるなど、多大な努力が必要となる。国際関係でも同様に、外からの目で、日本を見てみないと。日本人とは違う日本があるはずだ。エリックも、メールの最後で同じ事を言っていた。台湾問題において、中国の見解と英国の見解は異なると挙げた上で。「ひとつの国の考えは、国際的な争点を正当化するために、用いることが出来ない」と。【参考】「頭悩ます教科書」毎日新聞2005年4月28日“China refuses to apologise for anti-Japanese protests” “Guardian Weekly”（2005. 4.22-28）おまけ。TIME（2005.4.25）によると、＜中国の教科書の問題＞“(T)here is scant mention of the estimated 30 million Chinese who died during Mao Zeodong’s Great Leap Forward, the 1962 war with India, or China’s 1979 invasion of Vietnam”.＜韓国の教科書の問題＞“Textbooks don’t mention the North’s famines, gulags, or fact thet Kim Jong 2 is a dictator.”(太陽政策支持のために)だそうで。

May 4, 2005

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日中考　１／５　謝罪について～ODA is just ODA～

中国は１９８０年代以降のODAも、発展の手助けをしてもらったことを思い出すこともできる。感謝もするだろう。でも、援助は援助でしかなく、ODAはODAでしかないんだよ。ヘン国に何度か登場した、中国人の親友エリックの言葉です。言葉はまだ続きます。「どんなものであれ、真実の歴史を否定することはできない。お金は、第二次世界大戦の歴史への本当の知識を含む全てのことを意味しているわけじゃない。」「われわれ中国人が望むのは‘謝罪’じゃないんだ。日本政府の心の奥底からの、オープンな謝罪なんだよ。それを行動によって示して欲しいんだ」反日デモが起こった後、僕は、中国人はどんな気持ちで見ているのかが気になり、エリックにメールを送りました。これらの言葉は、その返事に書かれていた一部分です。今回は、「謝罪はすべきか」については言及しません。「謝罪を十分に為してきたか」ということを考えてみたいと思います。では続けます。日本は謝罪してこなかったわけではないでしょう。1995年に村山首相が、植民地支配と侵略に「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明しました。（ただし、対象が不明確で、「誰に何を誤ったのか」が問われる状況を招いたそうですが）軍事費は減少させているし、国際法上、賠償責任が免れた代わりに、ODAと言う形で支援をしてきました。ですが、それらの行動が示すものが、満足にいっていないのが現状です（アジア全てではなく、中韓に関しては）。その不満足を理解するには、「過去」の日本政府の行動にこだわることなく、「今」の日本政府の行動を思い返す必要があります。新しい歴史教科書は、採用されている数が多くないとはいえ、「検定をして、政府が認めた」こと自体が「過去を忘れようとする政府の意思」として伝わります。また、採用率が報道されることは、英字紙でも見かけたことがありません（詳細に調べたわけではありませんが）。軍事面での、日米のつながりが強化されている現状は、「軍国化」として伝わります。小泉総理の靖国参拝がそれに拍車をかけます。こうした一連の流れの中で、「謝罪が不十分だ」と批判される背景ができあがっています。謝罪とは、「示したもの」ではなく、「示し続けるもの」なのです。ここで、ドイツと比較してみましょう。日本は60年も経てば十分だろうと考えている傾向があるようですが、ドイツは、ナチスの罪を償うのに100年でも足りないと考えたそうです。また、ドイツは「国として謝罪したことがない」とよく言われますが、それでも「絶対悪」としてのナチスを置くことで、近隣国と良質な関係を持てています。海外に旅行中、ナチスを批判した博物館をよく見ましたが、それに独政府が異論を唱えたという話は聞いたことがありません。ハリウッドでは、これでもかとばかりに戦争映画でナチスは悪です。ドイツ首相もナチスを擁護しません。また、ドイツには戦中から継続したメディア組織はなく、1945年を「零年」と呼ぶそうです。一方、日本は天皇も、戦争を煽ったマスコミも戦後残り続けています。「戦犯」を祀った靖国神社へ、首相は参拝します（この辺は後述しますが）。とは言うものの、「どれだけ謝罪しても、中国は難癖を付けてくる」という論もあるでしょう。それは否定しません。歴史は政治なのですから。ですが、中国の市民一人に焦点をあてて考えてみたときに、「不十分だ」と思われたならば、「やはりそれは不十分なのだ」と考えてみるべきだと、僕は思うのです。（中国ではマスコミが政府によって牛耳られていますので、市民の意見なんてものはない、という異論はあるかもしれませんが）こちら側の論理ではなく、相手側の立場に立って考える努力をすることが大切だと、僕は思うのです。「もう謝罪は十分だろう。だから、もう忘れよう」という動きを、僕は歓迎しません。我々がしたことを、思い出し続け、それを元に、「今」と「これから」を考えていく。「過去」の謝罪にこだわらず、「現在」の行動について考え、行動する。それが、謝罪の形だと僕は思っています。【参考】「緊急特集　日中関係」毎日新聞　2005年5月11日佐藤卓巳・原武史「対談・日本言論界の沈黙を検証する」（『中央公論』2005年1月号所収）

May 3, 2005

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日中関係について考えてみる　０／５　前置き

つい先日のことである。友人から「日中の歴史問題って結局なんなのさ」というメールを頂いた。メールの方で返事は済ませたのだが、折角なんで、自分の考えをまとめてみようと思う。連続モノはあまり続かないので不安だが（苦笑）、５回に分けて書いてみる予定だ。「日中関係について考えてみる」略して「日中考」シリーズ。僕は専門家では無いので、色々ツッコミを入れていただけると有り難いです。（１）謝罪について　　　　　～ODA is just ODA～（２）歴史の教え方について　～歴史は政治だ～（３）反日デモについて　　　　～中国が恐れるもの～（４）外交ゲームと靖国参拝　～匠の小泉外交～（５）これからの日中関係　　～親友の言葉を借りて～※目次は変わるおそれがあります、悪しからず。乞うご期待（多分）。参考に、ヘン国内の日中関係関連の日記もどうぞ。あ、これ↓はイタリアに信号機です。意味はありません。

May 2, 2005

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９１１って、何処までがでっち上げ？

カール・マルクスは「すべてを疑え」と言ったそうです。僕は、某大学の講義を聴講してきました。そこで観た『911 ボーイングを捜せ』というドキュメントが衝撃的でした。要点は３つ。（１）ペンタゴンにボーイングは落ちたのか？（２）世界貿易センタービルは解体された？（３）世界貿易センタービルに突っ込んだ飛行機は旅客機か？まず１つ目。ペンタゴンにボーイングは落ちたのか？飛行機の大きさにそぐわない、ペンタゴンの破壊箇所の大きさ。燃料の割りに燃え広がらない火事。世界で最も進んでいると言っていいはずのペンタゴンであるのに、衝突するボーイングを捉えた映像が一切存在しないこと。（ペンタゴン近くのガソリンスタンドが撮った映像が在ったが、当局によって回収された）そして、どの映像にもボーイングの残骸が一切残っていないこと。そして、２つめ。世界貿易センタービルは解体されたかもしれない？消防局員の証言で、次々に解体爆破の時と同様に次々と爆発音が聞こえたこと。ビルのオーナーに対して、解体の許可を得るチェックの電話があったこと（だが、解体には綿密な調査と、時間をかけた準備が要るはずだ）そして、ビルの解体爆破と同様に綺麗に崩れ落ちる世界貿易センタービル。３つ目。世界貿易センタービルに突っ込んだ飛行機は旅客機か？飛行機の下部に何か大きなものが付いていること。飛行機の衝突前に、その「もの」から閃光が見えていること（爆発している）。二機目の飛行機の衝突時の映像で、リポーターが「側面に窓は無く、民間の飛行機には見えなかった。貨物用のようだった」と言っていたこと。目撃した女性市民が「あれはアメリカン航空ではなかったわ」と言っていたこと。さらに、一機目突入の映像は放送されていなかったはずだが、ブッシュ大統領が「一機目の衝突を見たとき･･･」という発言をしたことなんてのも、ありました。正直、９１１の嘘くささは感じてましたが（参照→田中宇の国際ニュース解説）ここまでとは思ってなかったんで、びっくりです。ただ、このドキュメントが証明したことが「事実」かどうかは解りませんよね。監督のウィリアム・ルイス氏が適当なことを言ってるだけかもしれません。（実際、ボーイングが消えたと仮説を立てながら、「どこに消えたか」まではドキュメント内で説明できていない）ただし、ここで僕が重要だと思ったのが、「このドキュメントは『疑う』ことができたのに、　911の後にテレビで流された『あれはテロだった』という発表を真に受けてしまっていたのだろうか。　どちらも疑えるのではないのか？なぜ、テレビを盲目的に信用していたのか？」って所を考える事では無いんじゃないかな、ってコトです。もちろん「テレビが気付いてきた信用性」ってのも無いとは思いません。ですが、「テレビだから」は信用性の根拠になるのでしょうか？今回も、「役割がもたらす良心の喪失」についての社会学見地とは無関係で身勝手な考察に引き続き、メディアリテラシーネタでしたね。他にも、支配的メディアの伝える「真実」がゆがんで見えた事ってありませんか？

April 22, 2005

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「役割がもたらす良心の喪失」についての社会学見地とは無関係で身勝手な考察

「es」というドイツ映画はご存知だろうか？僕は大学3年生の時、それを観た。「囚人」と「看守」に役割分担をし、その精神の変化をみる実験が主題だ。アルバイトとして集まった彼らは、もともとは対等だった。だが、自分の役割が割り当てられ、与えられたのは、明らかな「上下関係」。詳しい内容は実際に作品を観てもらって確認してもらうとして、感想だけ述べよう。僕は、この映画から逃げたしたくなった。変貌していく看守側。「如何に屈服させるか。」「俺たちは偉い。そして正しい。」「囚人はヒトではない。」目を背けたいと思った。だが、ここで出てきた「看守」は決して我々と異なる特別な存在ではない。我々の心の中に潜んでいる「モノ」が、「役割」を与えられることで、表面化したに過ぎないのではないだろうか。4月15日。僕は「韓国・台湾のハンセン病患者」の講演会を聞きに行った（詳細）。そこで、このような話を聞いた。語ってくれたには、韓国のハンセン病療養所に「収監」された韓国人女性。彼女が、建物から出た。すると、レンガ工場の作業補助員（日本人）に、突然殴られた。棒で、足を。ろくな治療を施されること無く、やがて、足に水が溜まる。「切断するしかない」と、医者が告げた。「思い出したくない」と、彼女は言う。「死ぬよ」と、彼女が医者に言っても、医者は聞かない。麻酔は効いていない。ナイフの研ぐ音に背筋が凍る。止めてくれ。止め･･･声にならない声。この世の全ての痛みを合わせたような痛み。切断手術は敢行された。痛みは今でも続く。療養所とは名ばかりで、治療の効果は疑わしいものだった。強制労働が行なわれた。暴力も常態化していた。難癖をつけて監禁室に閉じ込めたりもした。集会で観たＶＴＲに出てくる生存者には指が無かった。ハンセン病の子孫を残さないように「断種」（去勢・堕胎）も行なわれた。これは日本国内の療養所でもあったが、結婚時に限定していた。だが、韓国・台湾では、それ以外に懲罰として用いられることがあった。ハンセン病とはそもそも何だったのか。「らい病」という細菌による感染症。神経マヒや皮膚症状を特徴とする。だが、感染力は弱く、日常生活ではほとんど感染しないと言う。だが、報道は「強い感染力を持つ、恐ろしい病気だ」と宣伝した。「隔離しなくてはならない」と。わざわざ消毒液を撒くことは、偏見と差別を増幅する結果をもたらした。訴えを起こした、あるハンセン病患者はこう言っていた。「私に人権があることを初めて知った。」ある人はこうも言っていた。「病気になってしまったことが悔しい」ハンセン病患者は、何か落ち度があったのだろうか。療養所で、患者を虐げた日本人と、どのような「上下」があったのだろうか。冒頭で紹介した映画「es」に出てくる「囚人と看守」のように、役割分担の中で、暴力が生まれた。僕はそう思う。「だから、『看守』に落ち度が無い」なんていうつもりはない。「人生を台無しにした」のだから。（その役割を指示した人物なり、政府なりは明らかに批判されるべきであるが。それを助長した報道と共に）ここから僕が感じた大切なこと。自分の「立場」ではなく、自分の「価値観」をもって判断しようとする姿勢をもつこと。政府や誰かの言葉を鵜呑みにするのではなく、どんな言葉や情報に対しても、批判的な姿勢で考えようとすること。明日、僕は看守になるかもしれないから。明後日、囚人になるかもしれないから。(余)2001年、熊本地裁で国内のハンセン病強制隔離政策の過ちを国が認めました。それは同年「ハンセン病保障法」の成立につながりました。補償の対象は、国籍や居住地の制限もありません。ですが、ハンセン病隔離政策が執行された当時、植民地だった韓国・台湾に建てられた療養所を対象外にしています。僕が聞いたのは彼女たちの声でした。興味をもたれた方はこちらで、詳しく見ていって下さい。

April 16, 2005

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三日間の外食　初日　Ｋ氏と焼き鳥　－生きる目的－

昼に起きると損した気分になりますへんりーです。名古屋旅行記が終わってないんですが、最近の生活について少しだけ更新しておきます。ここ３日間連続で外食でした。初日の金曜はディスカッションを通したＥＳＳの後輩で、大学こそ違うんですが、今やディス界の大物となったＫ氏と焼き鳥を食いながら真面目な話からアホな話までしてきました。以前日記に書いたＮＥＥＴについて考えたことを話したけど、お互い似た意見を持っていたみたい。「まずは壁にぶつかること」って重要なんだと。読売新聞『この人に聞く』で、将棋の永世名人である谷川浩司氏は、こう語っています。「勉強でも何でも一番を目指して取り組むべきだと思う。結果が伴わなければ、その時点で『一番でなくとも人生終わりではない』と切り替えればいい。一生懸命打ち込むことで、初めて得られるものがある」強制や不条理を受けずに、いわゆる「自由」を謳歌するべきだと語る昨今の風潮。その結果、妙な「迷子」が出てきています。「何のために生きているのか」と迷う子供や大人です。イラクで亡くなった橋田信介はこう語っています。「今、生きている人に、『お前はなぜ生きているのか、目的はなんだ』と聞くのは、昼寝をしている人に、『お前はなぜ、昼寝をしているのだ』と聞くのと同じ。……『昼寝が目的で昼寝をしているのよ』です。『人生の目的』は別になくてもいい。とりあえず『この世に生まれたから、この世に生きる』、それ以上でもそれ以下でもないのです。せっかく生まれてきたのだから、とにかく生きよう。まず、それ全面肯定して、もし余裕があるのならちょっとだけ『真面目』に生きてもいいかな－その程度が『人生の目的』です」（橋田信介著、橋田幸子編『世界の戦場で、バカとさけぶ』アスコム、2004年、226頁）とはいえ、橋田氏は同著作で「人はどう生きるか、人はなぜ生きるか、それなりに考えたことがあります。結論は『世の中を変えること』でした」（同、226頁）と書いています。ちゅうわけで結論。僕は「なぜ生きるのか」を考える暇があるならば、与えられたものをまず全力で取り組むべきだと思います。何も与えられないなら、自分が楽しいと思うものに打ち込めばいいと思います。そして、失敗して、壁にぶち当たって、悩んで、どう乗り越えるかを考えて、「真面目」になって考えて、成功する喜びを味わって、「来るべきやりたいことが見つかった日」の為に能力を身に着けているようにする。そんな感じで良いんじゃないでしょうか。ＮＥＥＴが解決すべき問題なのかどうかはわかりませんが（「問題」という言葉に反応して「そうか、これは解決すべき問題なんだ」と思うのは禁物です。「なぜこれが問題なのか」を解っていないと、何を考えるべきなのかを見間違うでしょうから）、ＮＥＥＴが問題視されているのを見ていると、現在の「ヘンな自由」に対して、こう考えた次第であります。…ついつい長くなってしまいましたね。Ｋ氏は、僕から見てデキる人なんで、話してお互いの考えを見せ合えたのはよかったです。こんな風にして色んな人にあっていきたいとつくづく感じたヘンリーでした。＜今日のまとめ＞「まずは壁にぶつかること」が重要。「なぜ生きるのか」を考える暇があるならば、与えられたものをまず全力で取り組むべきだ。何も与えられないなら、自分が楽しいと思うものに打ち込めばいい。「問題」という言葉に反応して「そうか、これは解決すべき問題なんだ」と思うのは禁物

January 21, 2005

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インド洋大津波緊急支援よびかけ　「インド現地からの報告」

先日知り合った特定非営利活動法人アジアボランティアセンターの方からのメールを転載します。■■■インド洋大津波：子どもたちを助けてください！■■■インド洋大津波緊急支援よびかけ第2報「インド現地からの報告」インドネシアのスマトラ島沖で昨年末、12月26日に発生した大地震によるインド洋大津波の被害は甚大です。私たち特定非営利活動法人アジアボランティアセンター（AVC）の現地カウンターパートNGOの活動地域においても多くの人びとが犠牲となりました。多くは漁村やスラムに暮らす子どもたちと母親です。私たちAVCはアジア各地の現地カウンターパートNGOと協力関係を結んでいますが、南インドおよびスリランカとも草の根の交流・協働を数年にわたり継続しています。同地域の現地NGOからの要請に基づき、現地NGOを通じて昨年末からインド洋大津波緊急支援にとりくんでいます。皆様のご支援・ご協力を引き続き賜りますよう何卒よろしくお願い申しあげます。　　2005年1月　特定非営利活動法人アジアボランティアセンター★南インドの現地カウンターパートNGOである「農村貧困者のための協会（ARP：代表＝Rev.フェリックス N. スギルタラージ）」をはじめとする諸団体のチェンナイ（マドラス）沿岸部におけるプロジェクトサイトには多くのスラムや漁村などが集中しており、低カーストやダリット（被差別カースト）の土地なし農民などの人びとが深刻な被害を受けています。現在、チェンナイを中心に被災者の緊急支援に取り組んでいます。■■■インド洋大津波子ども支援募金にご協力をお願いします■■■皆様からのご寄付は現地カウンターパートNGOを通じて緊急支援に活用させていただきます郵便振替：００９３０－１－１１９７８２加入者名：アジアボランティアセンター　▼通信欄に「インド洋大津波支援」とご明記ください　▼1口何円からでも結構です連絡先：特定非営利活動法人アジアボランティアセンター〒530-0013　大阪市北区茶屋町2-30TEL 06-6376-3545　FAX 06-6376-3548E-mail avc@earth.email.ne.jp（以下は長いのでご参考まで。。。）－－－インド洋大津波支援　参考資料（１）－－－■■■　インド現地からの報告：「農村貧困者のための協会（ARP）」リーダーのフェリックス・スギルタラージ氏の報告から一部抜粋　■■■▼ 報告（１）（12月31日付のフェリックスさんからの手紙より一部抜粋翻訳）「・・・・・私たちのボランティアスタッフであるパスカル・メアリー（Ms.PascalMary）は、12月26日日曜日の朝6時から6時半、聖アントニー・カトリック教会のミサに出席していたが、奇跡的にたすかった。カルパッカム（Kalpakkam）という原子力発電所の近くの町にある教会は3度の津波により破壊され、2人の司祭を含む42人の礼拝者が犠牲になっている。・・・・・津波とよばれる巨大な波により致命的打撃を受けホームレスや孤児となった1,00,000人の被災者のために最も必要なものは食糧、衣料そして薬である。私は2004年12月26日からマハバリプラム近くの沿岸の漁村で数次にわたり緊急支援活動をしている。私はこれらの地域を訪問し、痛ましい状況を視察した。・・・・・津波で流された5つの漁村において1週間にわたり1日3,000食（１食約10ルピー）を配布する。私たちは被災者のためにブランケットと安価な衣料と薬を購入する。ブランケットは約40ルピーだが親類を失った500人の孤児のための衣類は50ルピーである。けがをした人々の治療と予防のためにビタミン剤と抗生物質を含めて薬を買う。飲料水の不足のためにコレラが蔓延する恐れがある。・・・・・どうか迅速な支援に心を砕いてほしい。（私たちはすでに古着、米、料理道具などを周囲で集めている）・・・・・昨日再び、国の交通省が他の津波が東海岸を午後1時以降に襲うかもしれないと警告し、村々に残っていた人々は即刻避難した。マドラス市内でさえ多くの人びとが安全な場所を探して逃げた。しかし幸いなことに今まで何も起こっていない。・・・・・」▼　報告（２）（12月31日付のフェリックスさんからの現地報告より一部抜粋翻訳）「・・・・・カンヤクマリ（Kanyakumari）とナガパティナム（Nagapatinam）地域において計100の漁村が流された。・・・・・被災した主な地域はカンチープラム（Kancheepuram）、マドラス（Madras）、シルベロール（Thiruvellore）、ヴィルプラム（Villupuram）、ポンディ（Pondy）、クダロール（Cudalore）、タンジョール（Tanjore）、ナガパティナム（Nagapatinam）、プドゥコッタイ（Pudukottai）、ラマナタプラム（Ramanathapuram）、トゥトゥコリン（Tutucorin）、ティルネルヴェリ（Tirunelveli）そしてカンヤクマリ（Kanyakumari）である。・・・・・タミルナドゥの東海岸は1,076キロにわたり続く。漁業で生計をたてている人は少なくとも100万人いる。そして500万人以上の登録していない漁民がいる。・・・・・700隻のトロール漁船、1万1千隻の大きなボートと5万3千のいかだが破壊された。・・・・・152村の8万戸の家屋が津波によって破壊された。・・・・・通常の状況に戻るまで少なくとも5ヶ月はかかるだろう。漁業はまったくめどがたたず、通常の状態に戻るまで向こう2ヶ月間はかかるだろう。・・・・・タミルナドゥ州政府は家族や家財を失った家族に対して10万ルピーの緊急支援を行った。しかし援助金はまだ人々には届いていない。政党の幹部はまるでエージェントとして動いており、政党メンバーの多くいる村々だけで活動しようとしている。・・・・・」▼ 報告（３）（フェリックスさんによる現地視察報告） ◎視察日：2005年1月4-5日◎視察地域：インド　タミルナドゥ州※　カニパッカム（KANIPAKKAM）とマラカナム（MARAKANAM）およびヴィルプラム（VILLUPURAM）にかけて2005年1月4日から5日にかけて現地カウンターパートNGOである「ARP（農村貧困者のための協会）」リーダーのフェリックスさんが、インド、タミルナドゥ州のカニパッカム（Kanipakkam）、マラカナム（Marakanam）およびヴィルプラム（Villupuram）にかけて視察を行った。以下の表はその報告である。なお、報告と同時に手紙の中で、フェリックスさんは次のように述べている。「・・・・・村人たちは飲料水、衣服、ござ、料理道具そして薬が必要である。私が訪問した村々はすべて深刻な被害にあっており、いくつかの村においては政府からもボランティア組織からもどこからも援助がない状況だ。どうか漁民と沿岸部の経済的に貧しい民衆のために緊急支援を切にお願いする。・・・・・」村名／リーダー名総家屋数被災家屋数ビニール製ボート／漁網総量木のいかだ／漁網総量死者数１ムットゥカドゥアラガムクッパム村／カバリヴァディヴェルパンディアンさん139戸 43戸 32隻／4,800kg 15隻／1,500kg 2人２ヴァサヴァンクッパム村／G.K.マニゴピさん 300戸 150戸 67隻／10,050kg 20隻／3,000kg 4人３カイパニクッパム村／パドマナバムさん 246戸 134戸 55隻／8,250kg 21隻／2,100kg1人４エッキヤルクッパム村／ジャヤパウルチェンガイヤクッパンさん 900戸 300戸 50隻／7,500kg 100隻／10,000kg 不明５マムドヴァイプドゥクッパム村／パラヤサンさん 260戸 14戸 25隻／3,750kg 50隻／5,000kg 2人６アラムバラクッパム村／ムツヴェルさん 356戸 103戸 80隻／12,000kg 148隻／14,800kg3人７カダパッカム村／マゴーランさん 164戸 15戸 25隻／3,750kg 74隻／16,400kg 不明８パナイヤルクッパム村／ジェヤラマンさん 105戸 51戸 64隻／9,600kg 23隻／2,300kg2人９アリクッパム村／カンダスワミさん 550戸 336戸 69隻／10,350kg 380隻／38,000kg7人（以上、2005年1月6日：抜粋翻訳AVC）－－－インド洋大津波支援　参考資料（２）－－－インド洋大津波緊急支援活動 AVC現地カウンターパートNGO一覧（１）　ARP＝農村貧困者のための協会（Association for the Rural Poor）代表者：フェリックス N. スギルタラージ牧師ダリット出身の社会活動家フェリックス・スギルタラージ牧師が中心となり差別と貧困に苦しむ農漁村民の組織化や権利回復運動にとりくむNGO。ダリットや先住部族、土地なし農民、女性や子どもなど社会的弱者に焦点をあてた意識化教育、自立支援を実施。また南インドのアンバッカム村にインド身障児のための家というダリットで身体に障がいを持った子ども、孤児のリハビリテーションホームを運営し、身体と心に深い傷を負った多くの子どもたちが思いやりとたすけあいの精神に満ちた共同生活により癒されている。（２）　IFDE＝開発教育研修所（Institute for Development Education）代表者：アニータ A.G.M. .女史「持続可能な人間発展」「草の根の女性のエンパワメント」「人間団結のための相互運動」「人権学習」などを柱に活動するNGO。チェンナイにおけるスラム地域やチェンナイ近郊の先住部族の村々において職業訓練、女性のエンパワメント、自立支援などを地域社会に根ざした住民参加型の運動で展開している。（３）　CSI＝南インド教会（Church of South India）代表者：Bishop ＝ V.デヴァサハヤム南インド教会のマドラス教区（Diocese of Madras）は伝統ある教区のひとつである。南インド教会はさまざまな教派を越えた連合体であり「ともにわかちあう・学ぶ・成長する」ことを柱に1947年から活動を開始。マドラス教区はキリスト教教育だけではなくタミル・ナドゥ州、アンドラ・プラデシュ州を中心に教育支援、保健・医療支援、女性の自立支援、ダリットなど社会的弱者の支援を行っている。今回のインド洋大津波被害ではARP、IFDEなどNGOとスクラムを組み緊急支援を展開している。（４）　SFFL＝スモール・フィッシャーズ・フェデレーション（Small FishersFederation in Sri Lanka）代表者：アヌラダ W. 氏スリランカ沿岸部における経済的に貧しい漁民の自立支援を目的に組織された漁民によるNGO。現在、約60の漁村を基盤にした小規模な住民組織で構成されたグループである。

January 19, 2005

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教育論を語ってみる（おまけ）ESSでの経験から学ぶ教育（2）教えること

さてさて。昨日の日記のコメント欄で、まさやんさんに「おぶじぇくしょん」して頂きました。誰かの反応・反論があってこそ、より深く考えることができますので、とっても有難くて、有難すぎて質問にめいっぱい考えて答えた結果、長くなってしまったので（笑）、たっぷり書ける日記の方に返信を書いていこうと思います。昨日の続きなので、先にそちらの方をご覧下さい。まさやんさんには（１）発展性と（２）確実性という点から反論をして頂きました。----------------------------------（１）発展性≒私を超える　と考えてください。自分を超えていってもらうにはまずは自分と同じレベルまでできるだけ早く到達してもらわなければならないわけですよ。ところが自分が考えてきたのと同じように考えさせていたら、相当才能に差が無い限り、時間がかかってせいぜい自分と同程度のところで終わってしまうはずです。だから自分が考えてきた所をすぐに教えて、次のステップを考えてもらうべきなのです。（２）確実性≒どのくらいの確率で理解させられるか自分からよく考えようとする人と余りそうでない人がいると思いますが、よく考える人は前述の１．でよりよく理解させられます。あまり考えない人はとりあえず言ったことだけは理解させられます。考えさせて考えなかったら何も身につきません。ただ1つ思うのはすぐに教えてしまうと考える楽しみを奪ってしまうんじゃないかな、ということ。私は正解を教える、ということは楽しみと効率のトレードオフだと思っています。--------------------------------では、これに対する僕の意見を書いていきます。＞理由は二つ。１．発展性と２．確実性。うむ、完璧なNLC（Numbering、Labeling、Contents）やね！ディスセクの鏡やわ☆＞自分と同じレベルまでできるだけ早く到達なるほどね。たしかに、まずは自分の所まで上ってきてからでないと、それから先に行く事ができない。至って同感です。でも、「レベル」って何なんでしょう？技術でしょうか？僕が後輩に超えて欲しいのは、ディスの技術でもランキングでもありません。1人の人間として超えて欲しいのです。その為には、技術よりも動機を与えたいのです。それゆえ、「レベルとは何か」も含めて「考えてもらう」のが、僕の意見です。でないと、いくら「技術」を教えた所で、それを他の場面で応用し、人間力につなげる事が難しくなると思いますから。また、そういった事を考えていないのならば「次のステップ」と言われても、何が「次」なのか解らないのではないでしょうか？＞自分から考えない人なるほど、こういった人はむしろ多数派だと思います。そう言った人に対して「言ったことだけは理解させられる」という点も同感です。ですが、むしろこう言った人にこそ、考えてもらう事が僕の目標です。人生の目標と言っても過言ではありません。「考えないから、とりあえず言っておいて理解できる範囲だけは機械的に理解させよう」という事をしたくないのです。「どうすれば考える動機を与えられるだろうか」と言うのを僕は考えたいのです。「教えたこと」自体が身に付かなくても構いません。僕が接したことで、「考えていくきっかけ」を与えられたら、僕の目的は十二分に達成しているのです。たかが1,2年間で後輩に教えられる事は限られています。だから、僕が居なくてもめいっぱい成長できる土壌を育ててあげたいのです。＞すぐに教えてしまうと考える楽しみを奪ってしまう僕が思うのは、奪われるのは「楽しみ」ではなく、「成長のきっかけ」では無いかという事です。詳しくは以下に書きます。＞私は正解を教える、ということは楽しみと効率のトレードオフ「正解」とありますが、世の中で「正解」と定義できる事はどれほど存在するでしょうか？果たして「これが正解です」と言ってしまって、伝えても構わない事なのでしょうか？日記上で何度か書きましたが、「思考の余地」を無くす言葉が世の中に溢れています。人権という名の元で、ホームレスに人権侵害をする住人（参照）、ナンセンスと決め付け、インドの他宗教に対する視点を奪う知識人（参照）、愛国者アメリカ人・反日中国人というステレオタイプで国民を定義する人々（参照）などなど。先輩として教えるのは、「これが正解で、これが間違っている」という単純な世の中の見方ではなく、「何が正解で、何故そう思うのか、自分で考えようね」と言う「これからの彼らの人生に対する考え方」だと僕は考えています。何度も引用していますが、人権教育の１つのGoalは、「児童・生徒たちが『よりよい人間関係を作る為には何をしたら良いのかな？』について話し合って、話し合った後も心のどこかにわだかまりを感じていれば･･･『まだやっぱり（内容的に）納得がいかない』と思っていれば、成功したもの」だと先生は仰っていました（参照）。「安易に答えを断定せず、ひたすらに考え続ける原動力に」「最も大切なのは、考えればきっと納得のいく答えが見つけられる、という立場よりもむしろ、答えが決して見つけられないものに対して、どう向き合い続けていくか、という立場だ」とも。現実にもディスカッションの中にも「正解」と一括りにできない事が山ほどあります。そういったものに対してどうやって付き合っていくか。それを教えることができたならば、僕の後輩に対する「教育」は成功しているのだと、僕は考えています。蛇足ですが、「自分が得てきたことを伝える」という点について補足です。日記内で不十分だった点を加えて要点をまとめ直すと「教える前に考えさせるべき。その理由は『なぜ正解か、間違っているか』を理解した上で指摘を受けて欲しいからだ」と言うことになります。つまり、「考えてもらう」のは「答えを出す為」だけでなく、「これから伝えるものを後輩が聞きやすくする効能」も見越した上での事なのです技術面でも超えてもらう為には効率的に伝えないといけませんから、考える事で「先輩から学ぶ必要性」を感じて欲しいのですよ。以上です。いや～、長々と申し訳ない。相変わらず反論は大歓迎なので、ガツンガツン言って下さいな♪

December 28, 2004

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教育論を語ってみる（おまけ）ESSでの経験から学ぶ教育（１）考えさせる

＜ESSでの経験から学ぶ教育（１）考えさせる＞とりあえず、前回の分で、「教育論」は終了のハズなんですが、実体験として、僕がした「教育」（ってほど大それたものじゃないけど）について書いてみます。ESS時代、僕はディスカッションセクション（以下、ディスセク）に入っていたのですが、同学年では僕しかディスセクに所属しておらず、他のメンバーはスピーチとドラマに入っていました。そんな訳で、１つ下の学年にとって、僕しかディスセクの先輩が居ないっちゅう状況でした。それでも、めきめきその後輩が成長し、僕なんかよりもスッゴイ人になったのを目の当たりにしました。その成長は、僕に拠るところよりもむしろ、その後輩自身の努力にあるのは言うまでもありませんが、幸せなことに、僕に感謝しているって事なんで、（勘違いかもしれませんが、それなりに成功っちゅう事で）その後輩に対して教えてきた方法論ってのを書いてみたいと思います。（１）考えさせること得てして、先輩というものは質問をされると「それは○○なんだよ」と、答えがちであります。先輩の面子ってのがあるでしょう。でも、僕は正解をすぐに言いません。「△△ちゃんは、どうやと思う？」と、まず考えてもらいます。それで、「もともと自分の中にあった答え・考え」を搾り出してもらうのです。間違っていても構いませんし、変な答えでも構わないのです。おかしくても笑わず、真剣な目で話を聞いてあげます。そうすると、わざわざ先輩が助言しなくても、自分の力で「正解」や、それに近い打開策を考え出すことができることがあります。「教えられたこと」と言うのを、身に付けさせるのは難しいですが、「自分で考えたこと」と言うのは、しっかり身に付やすいですよね。仮に、先輩から見て「おかしいな」と思うような誤答が出たとしても、まずは「なるほど、そういう考え方もできるね」と、話をしっかり聞いて吟味してあげます。のっけから「それは違うね」なんて言いません。まず受け止めてから、「おかしいな」と思う点を指摘します。ここで注意すべきは「おかしいよね」と言うのではなく、「おかしいな」と自発的に思わせるようにする点です。「なぜ」をすっ飛ばして、間違いを指摘しても、指摘された側は不服なだけです。「なぜおかしいのか」は、本人に任せてあげます。「おかしいな」と感じさせたら、後は本人が答えを探し出させるようにします。僕が、なぜこのようにしたのか。１つの理由は、「先輩」が僕一人しか居なかったからです。つまり、「間違って教えたら、それでお終い」という状況にあったのです。また、考えても貰う間に、僕自身も考えることができます。一緒に考えることで、「間違い」を避けやすくなるのです。もう１つの理由は、僕以上になって欲しかったからです。「僕の正解」を「正解」として教えてしまうと、「僕の正解」以上のものを求める機会・動機が減ります。自身で考えさせることで、向上の可能性を与えることが出来るのです。この際、後輩が意見を言い易いように、笑顔やうなずきを加えて話しやすくする工夫をしました。最初は教えないで、考えさせる。教えるのは後でも出来る。可能性を伸ばすひとつの方法だと思いませんか？＜今日のまとめ＞「正解」を教えるのではなく、考えてもらう。意見は、話しやすいように、かつ真剣に聞く。＜へんりのえげれす　帰りの飛行機にて＞帰りの飛行機で、英国軍人のフィジー人の隣になりました。日本政府のお金で学校が建てられた、という話を一生懸命してくれました。他の国と違って、私たちの国のことを考えてくれてる、と言ってくれました。ODAに批判が出たりしますが、日本政府が行なっている他国への援助は、日本人が考えているよりも素晴らしいものかもしれませんね。

December 27, 2004

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教育論を語ってみる　後篇　「教えると育てる」

今まで2回ほど、教育論を語ってみたわけですが、ようやく後篇でございます（前篇・中篇）。今回は一度掲示板で、じょにぃさんと話題に上がった「教える」と「育てる」という視点から論じていきたいと思います。そのとき、じょにぃさんは、「気持ちを育てるってどういうものだろう？そういうのって、誰に教わるでもなく自然に身についていくものじゃないかな。あるいは、周囲の人（特に大人）を見てそうなっていく感じかな。いわゆる気持ちのあり方って、教えてどうにかなるものでもないでしょう。」と、仰っていました。それに応える形で論を展開していけるようにしたいと思います。まず、「教える」とは何でしょうか？僕は、「渡すこと」と言い換えられるものだと思います。「過去の知識や経験の伝達」（福原義春）とも言えるでしょう。じょにぃさんは「気持ち（＝心）は教えられるものとは思えない」という趣旨の発言をしていましたが、「概念」「存在」としての「心」は教えられると僕は思います。例えば、「人には親切にすべきだ」という「良い心」を教えることはできると思うのです。しかしながら、その「心」を、教えられた側が「受け入れて、自分のものにするかどうか」までは解りません。「心を教える」ことは「きっかけ」であっても、「結果」ではないのです。一方、「育てる」とは何なのでしょう？「植物を育てる」ことを考えてみると、水や養分、添え木、害虫駆除などを行なうことで、「美味しい実を付けるように」あるいは「美しい花を咲かせるように」と言った育てる人の願いの為に、植物の生長を手伝い、導いてあげることです。教育に話を戻すと、「育てる」は「育てる者の目的の為に、育つ者を自然な形で導くこと」だと僕は考えます。「育つ者が受け入れること」を結果として求める点で「教える」とは異なります。では、具体的にはどうやって「育てる」のでしょう？１つには「背中で語る」という方法があります。周りの大人が実践して示すことで、子供たちが実践していくようになるというヤツですね（10月9日の日記にも書きましたが）。他には「そういうものだ」と教えたり、反面教師になったり、という方法も考えられます。ですが、これだけでは不十分だと僕は考えます。僕が考える、更に必要な事とは「自分で育つ力」、すなわち「自発性の動機」を与えることです。（この辺の具体例は、明日の日記に書くつもりです）ここで、「教師が考える人権教育」で、ある先生が仰っていた事を、もう一度思い出しましょう。「教師の仕事は状況設定」という言葉を。「一緒になって考える大人が少ない」という言葉を。以上のことから、教育とは、「一方的に『教える』だけでなく、『育つ』為に必要な機会と場所を与えること」だと考えます。ではここで、今一度、じょにぃさんの発言を鑑みていきましょう。「気持ちを育てるってどういうものだろう？そういうのって、誰に教わるでもなく自然に身についていくものじゃないかな。あるいは、周囲の人（特に大人）を見てそうなっていく感じかな。いわゆる気持ちのあり方って、教えてどうにかなるものでもないでしょう。」気持ちは「教える」ことができます。しかし、それが身に付くものかどうかは目的ではありません。気持ちを「育てる」こともできます。その気持ちを身に付けさせることは「育てる」目的となります。気持ちは「自然についてい」きますが、人為的に持たせることもある程度可能です。それは、「教えてどうにかなるものでは」ありませんが、「育てる」ことは不可能でありません。これが僕の考え方ですが、如何でしょう？長くなっちゃったんで、今日はここまで。明日の日記に、「僕は後輩をこうやって育てました」ってのを書こうと思います。ESSでの経験から学ぶ教育（１）考えさせる ESSでの経験から学ぶ教育（2）教えることESSでの経験から学ぶ教育（３）仕事を渡す【参考文献】福原義春『部下がついてくる人』日本経済新聞社、1999年。＜哲学な言葉＞「リーダーには部下に『教える』責任はないが、『育てる』責任がある」（福原義春『部下がついてくる人』日本経済新聞社、1999年。）先週ブックオフで100円で買いました。資生堂の会長さんの話。ベランダで読みふけってたんですが、面白かったです。「僕と考え方が似てるなぁ」だなんて、おこがましくも思っちゃいました。上の話は10月に下書きしてたからね。教えれば学ぶだけで終わるかもしれない。教えるのは過去の知識や経験。学ぶとはまねぶ。「真似」で終わっては、それこそお終いではないか。なんて事も書いていました。

December 26, 2004

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市民ネット投票について

友人から（と言うにはおこがましい先輩ですが）メールが届きました。自衛隊派遣延長についてのネット投票です。「みなさんも、一人一票、ぜひ投じてください！よろしくお願いします～。　m(__)m」と言う事でしたので、僕も投票します。でも、僕の意見は今は明かしません。先入観を持ってもらっては困るんで（それじゃ「主体的な意見を反映した投票」ではないっしょ）。よければ皆さんも投票して下さい。あ、余談ですが、「参考情報もいろいろあります」として紹介している「参考になりそうなページ」が、妙に「反対寄り」に偏ってる気がするのは気のせいかな？もしそうなら、これは「意見を吸収する場」ではなくて、「ほら見ろ、市民は反対している」って言うだけのページになりますよね。意見をきちんと吸収したいのなら、情報のバランスが不可欠。僕は、あるべき「民主主義」ってそういうもんだと認識してます。以上の事が作為的になされており、折角の議論を台無しにしていないか、少し心配です。では、投票はこちらから。▼　▼　転　送　大　歓　迎　　～　2004・12・14　▼　▼　　自衛隊のイラク派遣期間延長どう思う？市民ネット投票　　アナタの意見を聞かせてください。　　　　　　http://peacefamily.or.tv/vote/自衛隊のイラク派遣の期限がいよいよ１２月１４日に迫っています。この「自衛隊イラク派遣期間延長」について、「アナタ」はどう思っていますか？投票はこちらから！＞＞　http://peacefamily.or.tv/vote/そして一言、あなたのご意見をお聞かせください。参考情報もいろいろあります。http://peacefamily.or.tv/vote/link.html▲期間は、１２月１４日（火）までです。▲この調査は、個人が独自に始めたものです。特定の政党・政治団　体・宗教団体などとは一切関係ありません。▲投票はおひとり一回とさせていただきます。（シール投票とは合算しません。）▲年齢、国籍に関係なくだれでも投票できます。▲結果はホームページ上で公開するほか、メディアに掲載されるこ　とがあります。□　主催・イラク派遣延長に関する意識調査委員会　　　　　http://peacefamily.or.tv/vote/□　連絡先・vote@peacefamily.or.tv■わたしたち「イラク派遣延長に関する意識調査委員会」とは。シール投票で市民が街の声を集めている試み、「派遣延長スル？シナイ？市民の手による意見投票！」http://members3.jcom.home.ne.jp/support-sdf/に触発され、ネットでも投票ができたらいいという要望に応えて、また主婦、会社員、大学生などわたしたち自身も、ネットの意見を集めたいという想いもあって、新たに結成した、この投票のための市民ネットワークです。ニューヨーク在住のミュージシャン、坂本龍一さんから「これ、インターネットで投票が出来るといいな」というご提案をいただいたのも大きな励みになりましたし、また、日本人であっても選挙権のない海外在住の方々や、赤ちゃんを抱えたお母さん、お仕事が多忙なお父さん、街角に立つのはちょっと抵抗がある、という方々の要望にお応えしたいと思い、ネット投票のページをつくることと相成りました。（坂本龍一さんは、すでに投票してくださいました。）今回のネット投票は多くの意見を集めるために、メールアドレスも取得しない匿名投票といたしました。一方で、あくまで１人１票というところを完全には制限できないため、結果についてはあくまで参考という点、参加される方もご了承いただければと思います。なお、メディアのリサーチでは見えてこないたくさんの方の意見をお互いに知ることにも意味があると考え、理由も共有できるように構成しております。私たちは、このような重要な決定事項が何ら議論されることなく、与野党合意のもとに国会の閉会中に決められることを憂慮しており、この投票に賛成、反対の立場を超えてご参加いただくことで「自衛隊派遣・派兵問題」をみんなで議論するきっかけになればと考えております。ぜひ、お知り合いの方々にこの投票のことをお披露目ください。この呼びかけメールを転送いただければと存じます。「イラク派遣延長に関する意識調査委員会」　呼びかけ人　内山隆　神野有生　笠木孝則　ほか▲　▲　転　送　大　歓　迎　　こ　こ　ま　で　▲　▲

December 8, 2004

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経済のグローバリゼーション　（後篇）

前篇はこちら。 ------------------------では、この文化的弊害がいかに経済に負の要素をもたらすかを考えよう。その上で、どのようなことに世界が巻き込まれているかを明言したい。ひとつ目の負の要素は経済第一主義である。よくない言い方をすればお金さえ儲ければよいという考え方である。効率を重んじ、その点が最重要視される。世界規模で展開される「マキマドラシステム」の様な労働力が国を超えて交換可能にしていこうという流れもそれに起因する。そこで効率以外の文化や人間性は排除される。日本がかつて年功序列や終身雇用の下、90％が中流家庭という安定した生計基盤が今揺らいでいるのを見れば、日本なりの価値観が破壊されているのがわかる。実力社会がよいというのはかつて欧米基準であった。アジアでは世襲社会が多いのは言うまでも無い。これがいいのか悪いのかは、ここでは議論しないが、この欧米基準のグロ－バルスタンダードによって、先進国のための安い労働力として、一次産品の輸出先として途上国の人間は利用される。結果、需給ともに弾力性の低いものだけを生産し、モノカルチャー経済になった途上国と先進国との貧富の差は確実に広がる。更に経済第一主義により、途上国の人々は自分の生活が「貧しい」と意識し、「貧困」が生まれる。全員が「貧しい」ときは自分が貧しいとは思わないが、世界基準が入り込み、マスメディアによって「理想的な」欧米式の生活を垣間見ることで、差を感じ、そこに「貧困」が生まれるのである。これが途上国に訪れた経済悪化に続く、ふたつめの負の要素である。すなわち他の文化、特に米国式文化を見ることで、自分たちがいかに遅れているかを教育させられるのである。その上、このような経済的な格差という不利益は構造化している、つまり変革が難しいほどに定着している。ガルトゥングが述べた「構造的暴力（Structural Violence）」である。言うまでも無いことだが、構造的暴力とは、例えば「先進国がハンバーガーを食べる、その為に牛肉が必要で、途上国の国民の食糧が飼料に変わり、結果途上国の人間が飢え死にする」という、加害者が被害者に気づかない暴力のことだ。これらがグローバリゼーションのもたらしたものなのだ。本来、グローバリゼーションとは「まず先進国が豊かになって、それから途上国にその恩恵を再分配する」といったものではなかったのか？文化まで侵されると想定していたであろうか？実際、途上国の人間にアンケートを取ると、グローバリゼーションには賛成は多数いるが、今の「グローバリゼーション」については非常に反感を持っている。真のグローバリゼーションを進めることは正しいと言えよう。では、どこに問題があったのか？答えはシンプルだ。先進国が自国企業の利益を優先するのみで、途上国に恩恵を全く与えなかったことだ。わかりやすい例は日本の米である。日本が米に課した関税率は400％近い。自由貿易を提唱しておきながら、途上国にはそれを押し付けて、一方で先進国は保護貿易にこだわる。自由貿易を掲げるアメリカが鉄鋼産業の雇用が少し減ると聞いただけでセーフガードを発動したことも好例である。他に問題として考えられるのが政治のグローバリズムの遅れである。民主主義と社会主義の和解はなかなか進まないし、IMFのような国際機関も拠出国の思惑が見え、非民主的で不透明である。そして、もうひとつの問題は予想していなかった文化破壊が起こってしまったことだ。解決策にはどのようなものがあるだろうか？個人レベルや国家レベル、日本が出来ることを考えていきたい。個人レベルでは、交流が第一歩である。なぜならば自分の国に居る間は、他国がどうなろうと気をかけない。グローバリゼーションのおかげで容易になった人的交流から、その国々に手を差し伸べようとする意識がわいてくるのではないか？民衆が盛り上がっていけば、企業や政府も動かざるを得ないはずだ。国家レベルでは、交流を促進するための政策である。移民・留学生の受け入れや外国の歴史や政治について興味を湧かせる教育をする、などが考えられる。特にアメリカなどはアフガニスタンの攻撃の際にも国民のほとんどがその場所を知らなかったり、イラクに空爆に行く空軍兵がなぜ行くのかわかってなかったりする。米国内では世界史の授業で、都合のよいアメリカ史しか教えないことも有名だ（余談だが、日本ではあれだけ教科書から戦争批判を削除すべきでないと言っている一方、アメリカで「インディアンを虐殺してアメリカを造ったこと」を教科書から削除したことをチョムスキーですら、自虐感など必要ないとして賛美した）。国家は自国と他国との歴史や関係を国民にもっと知らせていくべきだ。では、日本に何が出来るか。Newsweekに面白い記事が載っていたので紹介する。Edward J. Lincoln米評議会上級研究員が「イラクとコメ市場と日本国際貢献」と題して、「世界の安全保障と発展に対する国際貢献について、日本は軍事行動にこだわりすぎであり、他の方法に目を向けるべきだ。テロの一因となる貧困の根絶のために、関税の問題を取り上げてはどうか。農業の自由化反対論はあるが、自給率低下を恐れる食料安全保障上の問題は、農作物も工業品も相互依存の関係であるのだし、備蓄や輸入先の多角化と言う方法もある。コメは日本文化の中心的存在と言う文化の問題は、百年前まではどの国も農業を基盤にしており、誰しもが農業に愛着はあるものだ」と諭していた。経済だけが世界を動かしていないが、経済は政治的な役割も果たすことを示す記事だ。自国の農業問題を気にしすぎるがゆえに動けない立場を日本が固持することで今も途上国で人が死んでいることを意識すべきだ。それはどの国にも言える。構造的暴力において先進国は加害者意識を持ち得ず、この点を変えていく意味でも人的交流を奨めたい。まず、私たちが出来ることは地図と外国に関する本や歴史の本を広げていくことだろう。個人から政府の考え方を変える力を生み出していきたい。そして文化の違いを無視することなく平等へと近づく、真のグローバリゼーションという形がそこから生まれていくことを期待したい。【参考資料】毎日新聞　2003年9／17～19産経新聞　2003年9／10、17Newsweek（日本版）　2002年5／28、8／6、9／24ジェームズ・ワトソン編「マクドナルドはグローバルか」新曜社　2003年「正論」　2002年11月号「異文化コミュニケーション論」有斐閣アロマ

November 26, 2004

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経済のグローバリゼーション　（前篇）

2003年夏に大学の授業の課題で書いたもの（正確性に欠ける点があります。正確な情報は参考文献に当たって下さい）。今見るとショボいんだけど、まぁ、意見が大きく変わってる訳でもないなぁ、と思いました。よければ読んで下さいな♪-----------------------------「経済のグローバリゼーション」　経済におけるグローバリゼーションについて論を展開する。論の主題は二点ある。ひとつはグローバリゼーションが本当に起こっているのか、もうひとつはいわゆる「グローバリゼーション」は是か非か、である。また、論の結論として、どうしていくのが望ましいのかを、理想論ではなく、現実論として提案するように努めたい。　世界は国際化と言われて久しい。恐らくは大学生は物心がついた頃から耳にしているであろう。たしかに、空路をはじめ、世界間の移動は活発になり、特に昨今のインターネットの劇的な発達は世界をまたぐコミュニケーションを容易にして、世界は小さくなった。実際に、私もロシアに居る知人とメールの交換を行い、手紙であれば一週間かかるであろう意見交換もコンマ０秒で済む。あるいは国によっては条件さえ整えば、生まれた国以外の国籍を取得することもでき、個人にとっての国の枠組みも以前ほど強いものではないと言えるかもしれない。では、本当に世界はグローバル化しているのであろうか？グローバリゼーションは和英辞典によると「国際化、世界化」である。具体的には国境を越えた、ボーダレス化した社会の形成で、そこでは国の枠組みを超えた国際関係があり、世界はひとつになっていくことである。この点で現在の世界はグローバル化といえるだろうか？私はそうは思わないのである。なぜなら、国という枠組みがますます強くなっていくように感じるからだ。例をひとつ提示したい。2003年9月10日～15日にメキシコでWTOヤンクン会議が開かれた。前回の教訓から、「途上国に有利になるような、先進国の利益を考えただけのものにしてはいけない」と謳われた。結果は「富を再配分し、途上国の経済発展を促す」という大義名分を掲げる新ラウンド（新多角的貿易交渉）は途上国と先進国の対立を先鋭化させる場となってしまった。先進国は多国間の貿易自由化を促進する新ラウンドにより輸出促進を目論んでいたが、途上国が農業分野で米欧寄りであると団結し対立したのである。そしてWTOは機能不全に陥り、会議では結論も出ず、各国は以前から取り組んでいた二国間（あるいは地域間）のFTA（自由貿易協定）締結にいっそう熱心に取り込むようにならざるを得ない。アメリカは経済規模の小さな国（シンガポールやヨルダンなど）のみであったFTAをASEANまで手を伸ばそうとしており、EUもエジプトなど地中海・中東12カ国・地域との自由貿易圏構想、ヤンクンでは聞き役だった中国も今秋タイとの農産物200品目関税撤廃、2010年までのASEANとのFTA締結に乗り出している。この例からわかるように、世界はひとつになろうとするどころか、国、あるいは地域間での結びつきをますます重視している。他にも国の枠組みに固執する例として、EU内でのユーロ導入の足並みの乱れ（スウェーデン、英、デンマークがユーロ圏の成長率が国内の成長率を下回るなどの理由で導入が国民投票で否決されている）なども挙げられる。文化圏を同じとする（トルコ加入でこの考え方は正しいとはいえなくなるかもしれないが）EUですらこのざまである。現実的には、世界がひとつになる日などは来そうに無いというのがまともな考えではないだろうか？世界はグローバリゼーションなのであろうか？とはいったものの、なろうとしている意思を汲み取れば、世界がグローバル化しているのは確かと言えなくもない。先ほど述べた様にヒトやモノの移動は国を超えてますます活発化しているのである。ではこの「グローバリゼーション」は是か非かを解いていこうと思う。よい面は言うまでもなく、世界分業による経済的な恩恵である。特に日本は資源に乏しく、この恩恵は計り知れない。国際機構によって郵便や規格の統一も経済の活性化になる。経済以外にも、移動の容易化に伴う異文化交流もよい面であるし、United Nation（国際連合、連合国）は平和的な紛争解決機関として、世界を平等に統治しているとも言えよう。ヒトの交流で途上国に援助を行うこともやりやすくなった。世界がグローバル化を進めている点から見ても、その利点は枚挙にいとまない。その一方でグロ－バリゼーション批判が起こっているのも事実である。ここでは、文化における弊害を述べてから、それによっておこる経済的なデメリットに言及する。また、私の主張はグローバリゼーションによって構造的な不利益について述べることを先に述べておく。まず、文化におけるグローバリゼーションの弊害とは、「持てる国（haves）」と「持たざる国（no-haves）」によるものだ。今、巨大資本によって牛耳られたコミュニケーション技術、およびそれによって運ばれる文化が世界を支配しようとしている。要するにマクドナルドとディズニーとコカコーラが、世界をアメリカ化させようというのだ。そこまでいうと極端かもしれなかったが、毒の無いように言うと、マスメディアは先進国からもたらされるが、それゆえに途上国は受身的な立場にならざるを得ないのである。例を述べると、テレビが無かったがある国が、テレビを導入したが番組を作る予算もなく（あるいは作っても面白くなく）、結局アメリカの娯楽番組・CMを受信し、偏った米国基準の価値観が文化に入り込む。このように、多くの人間が誤解しているが、メディアの密度は均等ではない。影響を受けても方向付けには参加できない状態になる国や人が大半を占めるのである。つまり、「持てる国」がグローバル化をもてはやす一方で、「持てざる国」が影響を受け、西欧型・アメリカ型の文化や経済を世界基準とすることを常識化する潮流に巻き込まれている。文化の多様化は失われて、電子メディアによるアイデンティティの画一化が進んでいる。とは言えこれだけでは、感情的に批判できても、理論的にはそんなことは大したことではないと言えよう。後半に続く。

November 25, 2004

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反米と言う名の親米主義者　おまけ　「へンリープラン」

随分長くなってしまいましたが、昨日の日記掲載分でとりあえず言いたい事は書き終わりました。。ですが、そんなもっともらしい事を言っておきながら、代替案を一切出さないのも、無責任かと思ったので、授業の合間に考えた、「アメリカの戦争を止める為のヘンリープラン」を書いておきます。＜ヘンリープラン＞本当を言うと、「アメリカのイラク戦争の政策立案者の目的」を満たしながらやるべきなのですが、現段階で、真の目的が解らないので、「変米させよう」という思いをメインに、「アメリカ住人の立場に立った意見」という見方で考えたのが････「アメリカ人に人殺しをさせないでくれ！」って言う署名運動。軍事行動を通して、兵士たちがどれだけ精神に異常をきたしたかを協調して、「これ以上アメリカ人を苦しめるな！」とか主張するのです。「イラク人の死」と「アメリカ人の死」を比べて、「イラク人の方がいっぱい死んでいるぞ！」とか言った所で効果は薄い。米政府にとっても米国内世論にとっても、自国民の方が大事ですからね。アメリカ人にイラク人のことを考えてもらうより、アメリカ人のことを考えてもらいましょう。････と、外国から呼びかけてみるのです。見かけはすごく「思いやりたっぷり」に見えます。批判じゃないので、アメリカ政府も「つっけんどん」には、しにくそうな感じがします（あくまで「感じ」）。米国政府が「アメリカ人を守れー！！」って外から言われたら、すごく嫌なプレッシャーを食らう気がしません？そんな訳で、「政府が進んで人殺しを推奨し、その精神的苦痛によって自国民を苦しめて良いのか？」ってトコを問うてみるプランの提案です。（『華氏911』で、似たようなことってやってたのかな？見てないからわかんないんだけど、やってたら二番煎やね。　もしやっていたとしても、こういった視点のレビューを今まで見なかったですが）「政府の役割を問う」ってことで、「民主主義的な感じがして好いかなぁ」と思って考えたのですが、まぁ、穴だらけですわな。なにしろ、3分で思いつきましたから。ですが、このプランで言いたかったのは、「思考を硬直化させて（＝「お前が間違いだ」と決め付けて）、自ら可能性を閉ざさないで欲しい」ってことです。意地になって、相手を否定する（＝反米）だけが方法ではないと思います。ヘンリープランは、あくまでその例示。頭を柔らかくさせて、色々考えていきましょう。話しましょう。何か閃くかもしれませんよ。＜使用（？）上の注意＞ヘンリープラン（書いてて恥ずかしいな）は、「アメリカ政府にこれ以上戦争を繰り返させない、という目的を達成させるならば」と言う事を念頭に書きました。しかし、「アメリカのイラク駐留の是非」「ファルージャ掃討作戦の是非」「日本の自衛隊のイラク派遣の是非」などは考慮していません。それは別の論点です、悪しからず。

November 15, 2004

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反米と言う名の親米主義者　後篇　「変米」と云う考え方

2回にわたり、主にイラク戦争を巡る「反米」について見てきましたが、今回は、「では、どうすれば良いのか」という提案をしていきます。前回（中篇）の趣旨は「反米の限界」という所にありました。つまり、「どちらが正しい」という善悪二元論で、現実世界を見ようとするあまり、選択肢を自ら閉ざしてしまっている点を、僕は指摘したかったのです。「自分が正しい」と思って行動している人間に、「あんたは間違っている」と指摘したところで、余計に相手が強情になるのではないでしょうか？たとえその指摘が「正論」と呼べるものであっても。（戦争においては、「人が死ぬこと」は（残念ながら）当然であり、それを承知で戦争を始めた相手に「人が死ぬから戦争を止めよう」では、聞く耳を持ってくれないと思います）そうした水掛け論を繰り返すうちに、お互いが自分の「正義」、あるいは「平和」に固執してしまい、「自分が如何に正しいか」「相手がいかに間違っているか」ということだけを協調してしまうことになりかねません。その結果、生まれるのはConflicts（紛争）です。相手の「平和」と、自分の「平和」がぶつかり合えば、戦争なのです。元来、「相手が悪い」「自分が正しい」という見方は、戦争を創る（煽る）方法なのですから。それではどうすれば好いのか。僕が提案したいのは「トランセンド」（もしくは「譲歩」）です。すなわち、「自分の正しさ」を主張することに一生懸命になるのではなく、「相手の目的」を知ろうとすることで、妥協点を探ったり、お互いの目的を現状以上の方法で探ったりすることです。この考え方ならば、相手を全否定することがありませんので、お互いに耳を傾けやすく、「『平和』と『平和』がぶつかる戦争」という事態も避けられるでしょう。しかしながら、この方法には問題点もあります。それは、「これが正しい」と声高に叫ぶよりも遥かに複雑で、かつ多量の時間と知識を必要とすることです。それゆえ、多くの人間の支持を集めることが難しく、さらに、考えているうちに物事が進んで行き、事態が取り返しの付かない程に悪化してしまう恐れがあるのです。以上のことから、「反米」として「戦争反対」に動く人間が「必要である」ことを認めた上で、お互いが「自分が正しい」と主張する「平和の押し付け合い」から脱却する案を提供できる人間が現状を根本から変える為に必要である、という結論が導き出せます。冷静で論理的な国際関係という視点でなく、世界の良心として、「人の死」を悲しんで、戦争を批判できる人間は必要であることは協調したいと思います。ですが、それだけでは不十分であると僕は思うのです。世の中は（特に政治の世界）は「心」だけで動いているわけではありませんから。そこで、遠回りかもしれませんが、「トランセンド的な方法」を考えることを僕は提案しました。その為に必要なのは、「相手の目的を知ること」です。それには「研究」と「対話」が鍵となるでしょう。これはとても時間がかかります。単純に「反対」という方が楽でしょう。ですが、より多くの人が、トランセンド的なモノの見方を模索し、アイディアを提案し続ければ、思考を硬直化させることなく、相手を強情にさせることなく、より効果的に、世界を動かせる力になるかもしれません。反米でも、親米でもなく、変米という考え方。「正しさ」を弁護するでも、「間違っている」と非難するでもなく、お互いがうなずける未来を考える努力をすること。そんな考え方が、これから必要だと僕は思います。※但し、先ほど述べたように、時間がかかるこの考え方が今すぐ実践できる訳ではありません。事実、僕も現在起こっている事に対して具体案を提案できていません。それゆえ、「自省を欠かさない、良心からの平和の主張も重要だ」と説いたのです。＜今日のまとめ＞良心からの平和の主張は必要だが、相手の「平和」と、自分の「平和」がぶつかり合えば、戦争となる。それを避ける為に、熟慮と対話と通したトランセンドが将来的に必要となるだろう。

November 14, 2004

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反米と言う名の親米主義者　中篇　思う壺／へんりの目的

前日の日記で書いたことは、「イラクが現在のような状況になるようにした米国政府の目的は何であろうか？」を考えるべきだ、という事でした。では今回（中篇）では、その「目的」について2つの見方を考えた上で、「なぜ、反米が親米になるのか？」というタイトルの謎に迫ろうと思います。最初に思いつく目的は、「軍需産業への利潤」です。英国を除く古い欧州や、世界の多くの国から協力を受けられないような状況になった米国は、必然的に軍事費をあげなくてはなりません。欧州と決別したイラク戦争によって、米国の予算を軍事に投資する大義名分を掲げられる状況に追い込むことができたのです。国連が関与すれば、協力が得られて米国の軍事費を上げる理由が無くならないにしろ、薄れるでしょう。（「国連に協力を要請したではないか！」という反論も可能ですが、僕が以前した通り、米国政府内には２つの勢力がありますので、米国を一枚岩で考えないようにしています）この視点から言えば、日本が自衛隊派遣という形で協力することが、アメリカの裏目的である「軍需産業への利潤」の邪魔になる、と言えることになります。とは言ったものの、「負担の方が多い」と言うことの方が説得力を持つでしょうし、この目的を達成することは、アメリカ国家の利益にはならないと思う方が妥当だと思います。では、ここで視点を変えて「アメリカ破滅説」を考えてみましょう。すなわち、「アメリカを国家として破滅させて、世界が多極化してくれた方が経済的に得をすると考える勢力が、米政府の中枢に影響力を発揮している」という見方です。えらくぶっとんだ考え方ですが、田中宇さんの意見を拝借したものです（僕の勝手な解釈も入っていると思われますので、原文を読むことをオススメします）。従来型の「国単位」という見方から脱却した「地球上のビジネスチャンスの拡大の為にアメリカ国家を犠牲にする」という考え方の下では、アメリカが窮地に陥り、覇権を失うことの方が好都合と見ることもできるのです。また、「『民主化』を語って中東を崩壊させたいネオコンと、中東の崩壊によってキリストの再臨を招きたいキリスト教原理主義」（田中宇、2004/11/10）という見方もあるようです。すなわち、イラクでのアメリカの方法が失敗することを望んでいる、という考えです。そして、日本が米国に協力しない事はそれらの目的に適っていることになります。以上のように考えると、「世界の反米化」「米帝国の崩壊」がイラク戦争（そしてテロ戦争）における米国を動かした者達の狙いであると仮定すれば、自衛隊撤退などの「反米」的な政策をとることを望むことこそ、彼らの思う壺であり、「真の親米主義者」となるのです。ここで述べたことは「頭の体操」の域を出ないようなことかもしれません。ですが、もしこれが正しかったならばどうでしょう？アメリカ政府の軍事行動に協力することは、アメリカの破滅を遅らせ、「真の目的」の邪魔となりますし、アメリカが破滅することで世界に与える影響を考えると、「平和」への貢献とも言えます。そうすれば、自称「平和主義者」こそ「平和破壊者」になりかねないのです。平和を語る人の中には、アメリカに対して「自分の『正義』を押し付けるな」という人も居ますが、自分に対して「自分の『平和』を押し付けていないだろうか」と問う事を忘れないで下さい。その「平和」こそ、世界を破滅に追いやる為のきっかけの言葉かもしれないのですから。我々よりも遥かに狡猾な人間が、民衆をミスリードする為に用意した言葉かもしれないのですから。後篇では「実際にどうすれば良いのか」についてを書いてみたいと思います。＜僕の目的>暗い話になりましたね。僕自身は常に「世の中って、人生って、なんでこうも素晴らしいんだろうか」ってことばかり考える人間なんですが、国際関係を考えると、暗い話になってしまいます。もっと明るい話をすれば良いのに、と思うのですが、国際関係を語る時って、何故かことごとく暗いです。僕に限らず、ブログ、マスコミその他もろもろに対して言える気もします。で、思うんですが。もっと明るいニュースは無いのか、って。んなハズがない。有るに決まってます。でもね。需要が無いんだと思うんです。例えば「自衛隊がイラク人10000人の命を救った！」なんて書いた所で、「そんなん言っても米軍が100000人殺してるっちゅうねん」って所に目が行く。見たがる。言いたがる。･･･と思います、多分ですが。国際関係の事件を追い求める日本人記者が世界に何人いるか知りませんが、「ちょっと好い話」に構っている暇も無いような気がします。（毎日新聞の白戸記者は、1人でアフリカ48カ国を担当しているらしいです･･･45だったかな？）そんな風に海外のことは（欧州を除き）、悲惨な事件・事故しか報道しないのはいい見本より、反面教師を求めているからかもしれません。（勿論、新聞上に明るい国際関係記事があるのを僕は見てきましたが）そんな状態を見て、「元気なニュースを紹介しよう」と始めたのがヘン国コラムでした。ですが、どうも最近、日記で取り上げる内容が暗くなってしまい、情けなく思っています。悲しみから目を逸らさないことも大切ですが、世界ってもっとキラキラしていると思います。希望あるものだと信じています。「世の中はこんなものだ」「所詮そんなものだ」なんて諦めずに、前に向かって進んでいく気持ちを忘れないようにしていける人を増やしていきたいです。僕はそれができるような人になります。前までは「なれたら好いなぁ」だったのですが、「こういうふうにしたいとか、ああいう風になりたいとかいう明確な目的を持ち、それを本気で信じている人間、そのために行動していることをその発する言葉からふつふつと感じさせてくれる人間」が魂を揺さぶるほどの人間だった、とのエピソードを工藤さんのHPで拝見し（Colum21　自分の魂を揺さぶる人間）、自分の目的を明確にしていきたくなりました。それが間違った方向に行かないように、自戒をしながら、色んな人の意見に耳を傾けながらね。僕が間違っていると思ったときはいつでも止めて下さい。それが「優しさ」だと僕は考えていますから。これからも、暗い記事を取り上げると思いますが、「いかに前向きな結論を導き出せるか」を、これまで以上に大切にしていきたいと思います。楽観論と前向きの違いをしっかり見極めながら。今後ともよろしくお願いします。（気が付けばちゃっかり一万ヒットを超えているようで。ありがとうございます）＜今日のまとめ＞自分に対して「自分の『平和』を押し付けていないだろうか」と問うべきだ「いかに前向きな結論を導き出せるか」を大切にしよう

November 13, 2004

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反米と言う名の親米主義者　前篇　イラク戦争の不自然

3回にわたってお届けする、頭の体操です。2003年3月19日イラク戦争を始めた米国。「イラクのサダム・フセイン政権は核兵器を開発中で、化学兵器もすでに持っている。フセインは石油が豊富な中東を支配し、アメリカと同盟国を危機に陥れようとしている。だから先制攻撃でフセイン政権を倒さねばならない」これが開戦前の理由でした（田中宇、2002/9/4）。2002年4月頃までは、「イラクは911のテロ攻撃を裏で支配していた。だからサダム政権を倒さねばならない」と、言っていました（田中宇、2002/9/9）。それ以外にも、湾岸戦争時の安保理決議678、687を持ち出して、イラクのフセイン政権が査察に非協力的であることから（実際は協力的になっていたのにも関わらず）「同地域における国際の平和と安全を回復するというその明示の目標を達成するために必要なステップとして、イラクに義務を課していることも想起し」って所を持ち出してみたりもしました（僕が3年生の時の卒論にはそう書いています）。今はどうかと言うと、「イラクを民主化する」とか、「世界が平和になった」とか、もう色々言ってくれているわけです。で、「一つの理由が崩壊した別の理由を見つけながら、結論として同じことを言い続けていることから考えると、イラク攻撃をやりたい理由は、表向きアメリカ政府が発表していることとは別にある、と疑わざるを得ない」（田中、2002/9/9）と考えるのが、妥当だと僕は思います。また、中東民主化政策に対しても、ネオコンが「アメリカ型の民主主義を世界に強制すること」を望んでいる（田原、2003年）という一般的に考えられているような考えも、イラクを民主化するにしても中東の安全保障の専門家であるウォルフィウォッツが政権に居ながら、「その準備をほとんど何もしてこなかった」（田中、2003/12/14）という指摘もある為、考えにくいでしょう。更に欧州との亀裂にしても、きちんと時間をかけて行えば、ここまでの亀裂にはならなかったでしょう。それゆえ、「敢えて亀裂を望んだ」と見ることも可能でしょう。以上のことから、イラクでのアメリカ軍の泥沼の中、民主化にせよ、大量破壊兵器にせよ、国際的信頼にせよ、米国がうまくいっていない状況を見て、「アメリカの政策が失敗している」と言いながら、嘲笑っている人もいるかと思いますが、僕は、それが「失敗」と思わないようにしています。むしろ、「イラクが現在のような状況になるようにした米国政府の目的は何であろうか？」と考えることの方が重要だと思うからです。米国政府を見くびることなく、彼ら以上の知恵を絞らなければ踊らされるだけだと思います。それは、イラク戦争における米国の行動の不自然さを鑑みて「ドロドロとした政治のせめぎ合いの中でも生き抜いてきた彼らが、考え抜いて選んだ方法が、のほほんと日本に住んでいる僕らが、片手間にちょっと考えて思い付くような意見と、どちらが優れたものなのか？」と言うことを考えた時に、僕が思ったことです。（感想なので、「そんなことはない。奴等は馬鹿だ」と思う方には、反論の仕様もありませんが）さて、そんなうがった考え方のヘンリーが考える「反米と言う名の親米主義者」。長くなったので、イントロである前篇はここまで。中篇・後篇をお楽しみに☆【参考資料】田中宇『国際ニュース解説』「米イラク攻撃の謎を解く（2002/9/9）」ネオコンの表と裏（2003/12/14・19）｣BUND WEBSITE「田原牧さんに聞く　ネオコンの出自はトロツキスト」（2003/7/25）＜今日のまとめ>イラクの現状を「失敗」とみなすことなく、「イラクが現在のような状況になるようにした米国政府の目的は何であろうか？」と考えることの方が重要である＜へんりのえげれす　映画＞レスターには最低２つの映画館があります。「最低２つ」ってのは、見つけてない所もあるかもしれないからですが。で、その２つのうち１つPHOENIXは単館系です。日本映画も中国映画もタイ映画もフランス映画もWW２前の白黒映画もメジャーどころも色々やってくれます。値段は学割で￡3.70（800円位）です。学割なしなら、￡１増しです。ここで、僕が見た映画は座頭市（北野武）東京物語（小津安二郎）L'Atalante（1934年のフランス映画）ピンポン（ご存知の）Power and Terror : Noam Chomsky In Our Time（チョムスキーのドキュメンタリー）Last Life In the Universe（浅野忠信が主演のタイ映画）うーん、日本系が多いね。この映画館は演劇の舞台っぽくて、好感が持てます。もう1つはスーパーの近くにあるODEONは入れ替え制の大き目の映画館です。メジャーどころは確実に押さえています。値段は学割で￡５くらい（約1000円）で、学割無しは１ポンド増し。ここで僕が見たのは、ハリーポッター　アズカバンの囚人（ご存知）シュレック２　（ご存知）スパイダーマン２　（ご存知）ドッジボール　（え？）有名どころばっかりですね！映画館には付き物のお菓子ですけれど、Phoenixでは、アイスクリームが、ODEONでは、滅茶苦茶デカいポップコーンや、傍のスーパーで安く売ってるCrisp（ポテトチップね）が高く売られています。そんな感じですかね。聞きたいことがあればご自由に質問して下さいな☆あ、ちなみに映画の値段はロンドンの方が高いらしいです。（勿論高いので行きません）

November 12, 2004

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ブッシュ再選の周り　後篇「日本の新聞の社説研究（１）毎日と読売」

バーン。バーン。銃撃戦？いやさ、花火でした。11月5日の金曜日。Bonfire nightって日らしいです。そんな日に僕は、図書館とお友達な訳ですが。だって知らんかったしねぇ。とりあえず、帰り道にいっぱい打ち上げ花火が上がっていました。･･･。･･････。もっと遊ばなね。＜勝手にランキング＞ブッシュ再選をめぐる内容の、読売、朝日、毎日、産経、日経、東京、神戸の新聞の社説をとりあえず読んでみました。で。僕が勝手に評価してみようと思います。主観バリバリです。鵜呑みはしないで下さいね。では、「良い！」と思った順に、コメントを交えて書いていきます。--------------------------------------------------------------------------1位　毎日新聞　「米大統領選　国際協調回復のチャンスだ(11/4)」「ブッシュ再選　世界と米国内の亀裂癒せ(11/5)」さりげなく、毎日新聞は僕がイチバン好きな日本の新聞なんですね。この1位の理由は「読み手を市民だと意識しているから」「選択するのは市民であり、主体的に考えるように促しているから」です。＞自衛隊のイラク派遣や多国籍軍参加を通じ、従来の対米協力の枠を超えた決断をした背景には首相が掲げる「世界の中の日米同盟」がある。＞そこで厳しく問われているのは、イラクの復興や安定に日本がどんな形でかかわっていくべきかの問題だ「イラクではどうすれば良い？」と尋ねている。「当然こうだ！！」なんて押し付けではない。＞世論が分かれるこの問題（自衛隊派遣延長）に十分説明できないようでは「対米追随」のそしりを免れない。問題は「説明責任」である。国民が納得できるだけの説明が無い限り、その政策の評価もできない。不十分な情報による偏見だけでは「対米追随」と考えがちである。その点を指摘している点を評価できる。＞米外交の軸足を国連や国際社会との強調に据えさせるための外交努力が必要だ。米国への説得が今ほど重要な時はない。「国連」信仰と、実体がない「国際社会」を正当化の手段に使うのは嫌いなのだが、「日本として」という視点が感じられる点が良い。米国に提言をした所で無意味だからね（米国政府の人が日本の新聞を読むなんて期待はできない）。＞米欧や日本の市民社会を結びつけてきた自由、人権、民主主義といった共有の価値すら、今のイスラム世界では「米国の押し付け」に映る要素となりかけている。米国ならずとも深刻な問題だ。「自由や人権、民主主義が国際社会の共通の価値観」なんて言われたら迷わず引いていたが、毎日新聞は冷静に分析できている。僕らは自由、人権、民主主義の内容については、価値を絶対化することなく議論していくべきだろうと思う。その過程で、イスラム世界と共通の価値を見出していくことが重要だろうと僕は考える。希望的観測を「事実扱い」にしている記事は見当たらなかった点も評価できる。-----------------------------------------------------------------------------2位　読売新聞　「米大統領選　ブッシュ再選に託す世界の安全（11/4）」「ブッシュ再選　同盟強化への戦略対話を充実せよ(11/5)」論理的に破綻してなかったのと、日本としての立場に言及していたので2位。ズバリ消去法。＞米国の有権者は、米国の安全を最優先するブッシュ路線の継続を選んだ････何情報？「米国の安全を最優先する」ことが投票者の最たる投票動機だとどうやって調べたのだろうか？また、投票にも問題があったはずであり、この発言には賛同できない。根拠も無く、勝手な推測でモノを書くべきではないと思う。＞アフガン同様、イラクでも占拠を成功させなければ、安定は訪れないえ？アフガンって成功例なん？（年始以来調べてなかったんですが、誰か教えてくれませんか？）＞北朝鮮の核放棄を目指す六カ国協議には、北朝鮮と隣接し、経済的にも強い影響力を持る中国が加わっている。＞北朝鮮の核問題の解決には、中国がその責任を果たすことが重要だ。＞六カ国協議の進展へ、日米は緊密に連携すべきであるこれって、ケリーの米朝2カ国協議を批判した内容に続いた文なんだけど、「頑張れ中国。日本とアメリカも仲良くやるから」って･･････どうなん、それ？＞安易に自衛隊を撤収すれば、日本は、リスクを避け、国際平和秩序を築く責任を果たさない国と見られるほほぅ。誰から見られるのかな？･･･なんて思って次の文を見て納得。＞同盟国としての信頼も損ないかねないアメリカ合衆国から「見られる」のが怖かったのね。って事は「国際平和秩序」はアメリカ合衆国が描くものだって事だよね。･･････だから、前から言っているように「国際」って言葉は胡散臭いんですよー。＞小泉首相とブッシュ大統領は、強い個人的信頼関係を築いている。日米両首脳のリーダーシップの下で、緊密な（対北朝鮮の）戦略対話を重ねることが重要だ。日本について言及してて良かった。でも、「国際協調（この言葉も好きではないが）よりも日米同盟！」って感じですよね、これ。読売らしいっちゃ、らしいのかもしれませんが。------------------------------------------------------------------------------アカン、めっちゃ時間かかる････。って事で続きは明日に。「これで2位かよ」って思うかもしれませんが、ちょっと間違ったかな、とか思ってます（笑）。だって書き始めるまで、こんなにツッこめるとは思ってませんでしたから･･･。ま、順位なんてあまり重要じゃないですしね（言い訳）。さぁ、続きを書くのが楽しみだ☆（ただ、今週忙しいのでどうなるか解りませんので、その点はご容赦を）あ、著作権とかで問題がありそうなので、このHPには全文掲載しません。全国紙はさっさと社説を見れなくしてしまうので、気になる方はWordにコピーしておいて下さい。続き（東京・神戸新聞）＜今日のまとめ＞自由、人権、民主主義の内容については、価値を絶対化することなく議論していくべきだろうと思う。その過程で、イスラム世界と共通の価値を見出していくことが重要ではないか。「国際」って言葉は胡散臭い。時にそれは「アメリカ的」を隠す手段として使用される。日本としての視点がない新聞の社説ってどうなん？＜へんりのえげれす（５）筆記用具その１　ペン＞ペンは何色ですか？黒？書類とか何色で書く？黒だよね？こっちは青色のペンが主流なんですよ。ビックリ。どこもかしこも青い。なんて事はないんだけど。ペンの色の基本は青色です。ワンポンドショップ（￡１SHOP）で、8本くらい入ったものが売ってますから、ある程度安く手に入ります。でも。筆記用具は基本的に高いので、こっちに来る際には日本で揃えておくことをオススメします。オシャレな筆記用具なんて大してありませんから。ってか高いだけ。そー言えば、オチは、「青が好きなのはいつも曇ってばかりだから」とか、「高い青色のペンは、今日も空が高いから」とか、そう言うのを考えてませんでした。けど、そんな感じで、明日はノートについて書いてみます。････真面目な後は脱力系で。

November 4, 2004

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ブッシュ再選の周り　中篇　「お祝いメール」

図書館を出ると風が冷たい。もう秋が終わりを告げている。色彩豊かに通学路を彩った街路樹から失せた色。空にあるのは青色だけ。枯葉の上を歩くと軽い音がなる。包み込むような弾力を跳ね返す土。目をつぶり、深呼吸。そしてまた一歩。僕の今日が終わり、明日までをつなぐ夢を見る為に、また一歩。帰り道。冷たい風も友達。････････何書いてるんだろうねぇ。オチを考えないままにイントロを考えていたら、普通に詩みたいな感じになりました。ってな訳で、帰国までにボケとツッコミのリハビリが必要なヘンリーです。では昨日の続きです。＜正しい。単純に正しい。＞世界中で知らない人がほとんど居ない位に解り易く、ブッシュが大統領になりました。民主主義のお墨付きです。で。世界中からお祝いメールとかが届くわけです。Guardian（Nov. 4, 2004）後篇を必死に訳しながらコメントしていきます。ロシアのPutin大統領は歓迎した（hail）ようです。「Predictable Partner」だそうで。････ん？Predicatbleって辞書によると「予測できる」「目新しさがない（悪い意味で）」とかですが･･･。良いのかな？まぁ、「アメリカはテロの脅威に屈服することはない」みたいなことを仰っているようで、国内の反発をテロと位置づけて、力で押さえつけているプーチン政権としては好かったって意味でしょう。イタリアのBerlusconi首相は「ブッシュ氏は、アメリカに世界に自由を促進させる役割を与え続けるだろう」と。「自由を与える」ってもねぇ･･･。「何が自由なのか」ってのも重要でして。ドイツの外務省の役員は「ブッシュ氏が欧州と共にfresh startをすることを期待する。中東に軍隊は送りません」だそうで。そーいや、英国のブレア首相の意見を読むのを忘れたんですが、日経新聞（11/3）にありました。「世界にとって（停滞している）中東和平交渉の再開は唯一の最も優先すべき政治課題だ」と。中東の注目度は凄いですね。フランスの外相は、「関係の再構築、transatlantic関係（大西洋対岸の関係。米からは欧、欧からは米）の修復（renovate）」を呼びかけ、イラク、中東、イラン、アフリカ大陸のChallengeに言及しました。ちなみに日経ではシラク大統領が「対話と相互尊重」を呼びかけながらも、「あえて親密感を出した」と評されるような親しみあるコメントをした、とのこと。イスラエル外相は、Effective Welcomeと。「ブッシュとシャロンはSerious Chemistry（本気のつながり？）があることに疑いがない。ブッシュの友情はグレートだった」とのこと。ジョジョの５部を思い出しますね。以前、僕はコラムで「イスラエルの為のイラク戦争」を言及しましたが、参考にしていた田中宇さんのメルマガで、先日「実のところ、おそらくイラク戦争の目的は石油利権でもイラスエル防衛でもない」「イラク戦争はイスラエルにとってプラスになっておらず、イラク戦争がイスラエルのためだったとはいいがたい」と書かれていました（ＣＩＡの反乱２００４年１０月１５日▼背景に資本の論理？より）。と言うわけで、その点は訂正の必要を感じていますが、暫くは様子を見ます。･･･イスラエルとブッシュ政権の関係については解らないことだらけです。パレスチナのアセル・アラファトは祝いの言葉と共に、「平和の為のロードマップの即座の履行」と「パレスチナ独立国家（state）の確立」を求めました。パレスチナ公使は「ブッシュが『戦争政策（a policy of war）』を行うことで、ロードマップが計画通りにいかなくなるのではないか心配だ」としています。アラファト議長は健康も危惧されていますよね。彼のカリスマが発揮できなくなった時、何かあるかもしれませんね。イランの大統領アドバイザーは「ブッシュの間違った政策（Wrong Policies）にも関わらず、好ましいこと（preferable）だ。ブッシュは中東で失敗したので、ケリーよりこの地域のことの知識があるだろう。ケリーが勝つ為には時間と金が必要だ」と、わざわざケリーにアドバイスまで（笑）。イランはブッシュ大統領から「（悪の枢軸）Axis of Evil1」扱いだった上に、核兵器の開発疑惑がある為、ブッシュを歓迎しないかと思っていましたが、アメリカがイラクで手こずり、かかりっきりになっている今の方が都合が良いのかもしれませんね。ポーランドのKwasniewski大統領は「テロリズムは今日の世界から取り除かれるべきものだ。この点から、ブッシュ氏は断固とした指導者（decisive Leader）だ。彼は正しい。単純に正しい」最後のトコ、「right, simply right」なんですけど、笑う所ですか？とりあえず「ポーランドにとっていい事だ」と締めくくってますんで、好意的な意味でしょう。ノルウェーのMagne首相は「ブッシュの下で、欧米の緊張が高まった。彼が橋をかける事を願う。国際機関を通した更なる協力関係を」と、批判的。スウェーデンのPersson首相は「彼は重要な政策を変えなかった」と。扱いやすいって事なのかな？オーストラリアは「Upbeat」だそうですよ。ノリノリです。伊達に「ブッシュの最も忠実な同盟国で、米主導の『war on Terror』における軍隊に真っ先に参加」していません。外相も「今まででイチバン良い関係。今後四年も期待できる」と。確か現政権は、最近、親米路線で選挙に勝ったんだっけ？背景にテロが起こった後だったこともあるらしいし、テロが起これば「ブッシュの最も忠実な同盟国」が正当化されやすくなるんですかね？日本に「テロ待望論」が出ない事を祈ります。おや？そういえば日本が出てきてませんねぇ。安心して下さい。最後はアジアです！！インドネシアのイスラム教指導者は「大惨事だ（Catastrophe）。ブッシュは世界をめちゃくちゃ(mess)にした」とまぁ、ストレートに嫌がっています。政府関係者じゃないですからね。日本のコメントは載っていませんでした、と。政治的立場における日本の地位は、イギリスでは決して高くないのだと思います。で。今日の「踊る！ヒット賞」は「right, simply right」です。是非、今度友人に使ってみて下さい。嘘です、使わないで下さい。いや、使ってもいいですけど、僕は結果に責任を負いませんからね。明日は、「ブッシュ当選をめぐる日本の新聞の社説」を研究してみたいと思います。いや、研究ってほどでもないけど、今日よりは真面目にやります（笑）。＜今日のまとめ＞おめでとう、ブッシュ大統領。あなたは正しい。単純に正しい。＜ちょっとおまけ＞最近見つけたWEBサイトで『ジョージのブログ』ってあるんですけど、そこで「Simple but Effective」って記事の中身を紹介していました。それによると「これだけブッシュが最低な大統領なのにもかかわらず勝った理由を分析している。彼曰く、I think this is the answer: Simplicity, simplicity, simplicity.答えはこれだと思う：単純さ、単純さ、単純さ。」･･････だそうで。（元記事）＜へんりのえげれす（5）洗い物＞食器を洗ったらどうしますか？すすぎますか？泡は残しますか？イギリスでは、泡が残っててもOKです。タブにお湯と洗剤を入れて、食器をスポンジでこすって終了です。この手法を「イギリス的」と一般化していいのか解りませんが、「泡をすすがない」のは確かです（授業中に先生が言ってましたから）。え？そんなんで良いのかって？僕はイギリスに来てから一度も腹の調子が狂ったことがありませんよ。ご心配なく。ま、賞味期限が切れた味噌汁を平気で飲んでますけどね、今。明日は「筆記用具」です。

November 3, 2004

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ブッシュ再選の周り　前篇　「誰がブッシュを選んだか」　（ちょっと追記）

ブッシュ再選の周り　前篇　「誰がブッシュを選んだか」髪の毛を自力で、100円ショップのハサミで切ってみたところ、「自己責任論」が飛び出してきたへんりーです（理由は聞くな）。まぁ、誰も気付いてくれないんで好いんですけどね（気付けよ）。･･････は！気を遣ってるのか？！さてさて。気を取り直して。ヘン国では「教育論について」を書いていて、後編を書こうと思っていたんですが、ブッシュ氏再選のニュースが頭の周りをグルグルしているもので、そちらを先に書かせて頂きます。但し、こちらでも、「知識とは何か」ということは共通した議題となります。僕は「ブッシュ氏が再選して良かった」「悪かった」という点は述べません。イラク戦争だけを見て、感情論でブツクサ言うのは簡単ですが、日記をそこそこ真面目に書いているつもりの僕としては、たかが日記とはいえ、（こう見えても）でき得る限り論理的に書きたいと思っております。それならば、「ブッシュ再選の是非」を巡っては、政治や経済、金融、国内外の外交関係、宗教などを考慮していかなければならないと僕は思います。あるいは合衆国に住む方の意見というのは非常に参考になると思います。ですが、僕にはそれだけの知識や常識、経験などが一向に足りませんし、仮に僕が行なうよりも遥かに優秀な分析がWEB上にあります。一介の大学生ヘンリーとしては、多くの人があまりツッコんでなさそうな所に注目したいと思います。＜民主主義＞前篇と題しては「誰がブッシュを選んだか」をテーマにします。但し、大前提として申し上げたいことは、「今回の選挙の勝利は米国民が『テロとの戦い』の為にブッシュを選んだ」なんてことをはっきり言って、僕は一切考えておりません、って事です。この理由は単純に「今回も不正選挙でしょ」ってことです。マイケル・ムーア氏が『アホでマヌケなアメリカ白人』で指摘したように、田中宇氏が『不正が横行するアメリカ大統領選挙』　で指摘しているように、『暗いニュースリンク』　というサイトで紹介されているグレッグ・バラスト氏の「ケリーは勝っていた」で指摘されているように、問題アリアリな訳です。民主党に人気のある黒人から選挙権を奪ったり、ケリーに有利な投票用紙が破棄されていたりしているような感じだったりするんです。そういや、日本でも「比例選挙区」の導入が自民党の勝利に有利だから、という事で導入されていたりするって話を何処かで読んだ気がしますね。ついでに、思い出したんですが、得票数では今年の参議院選挙の得票数は民主党の方が多かったとか？どちらの出典を忘れたので確かなことは言えないんですが。とにかく言いたかったのは、「『民主主義』の現実って、理想的とは限らない」という事です。「ビバ！民主主義」みたいな風潮がある気がするのですが、「民主主義」をきちんと説明できる人ってどんだけ居るんですかね？なぜそれが「理想的」なのか説明できる人って、どれくらい居るんでしょうか？僕自身は「民主主義に賛成」ですけど、民主主義と言っても、その理想の国と言っても、裏で選挙権をいじっていたり、ブッシュにとって最高のタイミングでアルカーイダビデオが流されたり、ネガティブキャンペーンとかやっちゃったりする訳です。ちょっと脱線しましたが、そういった選挙の結果なので、いわゆる「民意」が反映していると判断できるほど、僕は素直になれないのですよ。（実際、CNNの出口調査が、実際の結果と食い違っていたようです）(『暗いニュースリンク』から)＜誰がブッシュを選んだか＞前置きが予想以上に長くなってしまいました。では、本題です。まずはGuardianとTIMESからのデータを参照に話をしてきましょう（どちらも2004年11月4日付）。「B」はBush、「K」はKerryです。（１）Race　White　　　　　　　　B 57% K 42%　African-American B 11% K 89% Latino B 42% K 55% Asian B 41% K 59% Others B 40% K 55%ブッシュ共和党は、圧倒的に黒人層に不人気です。選挙権を裏で操作したのも納得ですね（倫理とか民主主義のルールとか気にしなければ）。ってか、白人以外は民主党支持の方が高いです。（但し、どの人種も前回よりは２～７Ptほどブッシュ支持が増えています）（２）Income Low B 36% K 63% Middle B 55% K 44% High B 62% K 37%収入が高い者の味方ブッシュ。（３）Education No College degree B 52% K 48% College degree B 49% K 50%ま、大きな違いではないのでノーコメントで。（４）Church Attendance More than weekly B 63 K 35 Weekly B 58 K 41 Monthly B 50 K 50 Few than a year B 44 K 55 Never B 34 K 64すごくわかりやすいですね。宗教心が高いほどブッシュへ流れます。（５）Gun owner B 61 K 41ブッシュは銃規制緩和の方向に動いていたようですね。破壊力の大きい銃の購入を禁止した法律（ブレイディ法）が9月、失効期限を向かえましたが、ブッシュは更新に不熱心と言われ、ケリーは延長を公約していたようです。全米ライフル協会の推定では2億5000万丁の銃を9000万人が保有しているそうです。銃による死者は年間28874人（1999年、米疾病対策センター調べ）で、日本の交通事故の3倍以上。銃による医療費、喪失資金、裁判費用などの損失は年間1000億ドル（11兆円）という民間試算があるようで。（以上はCHUNICHI WEB PRESS＜銃のある自由＞米大統領選の背景（１）誤射受けた少年を参考にしました）（６）Gay B 23 K77ものすごく解りやすいですね。ってか、どうやって調べたんでしょうか？（７）Most important issue for the voterMoral Value　　22％　　B 79 　K 18　　Economy/jobs　 20％　　 B 18　 K 80Terrorism　　　19％　　B 86 　K 14Iraq　　　　　　15％　 B 25　 K 74Healthcare　　　8％　　B 22 K 78Taxes　　　　　5％　　 B 56　 K 44Education　　　4％　 B 25 　K 75有権者が最も気にした争点は「モラルと価値」です。その意味が解りませんでした。ブッシュが圧倒的で、なんだかよく解らないですが、ブッシュの道徳が人気な様ですね。経済・ヘルスケア・教育ではケリーが圧倒しています。現実的な所ではケリーの評価が高かったようです。これ、面白いなぁと思ったんですが、テロ対策はブッシュ、イラクはケリーなんですよね。Yomiuri Online（2004年11月5日）で、「ブッシュ大統領再選は『イラク戦評価』が決め手　出口調査　「対テロの一環」55％」というタイトルがあったものですから。よく読むと、「2期目のブッシュ政権は対イラク戦争では『国民の信任を得た』として臨むと見られる」とか、「おいおい、『見られる』って、単なる読売新聞の予想かよ」なんて批判をしそうになりそうでしたが、更によく読むと「イラク戦争は対テロ戦争の一環」が55％、「別物」が42％であると答えたこと、「テロに懸念」を抱く人が71％で、そのうち53％がブッシュに投票、「イラク戦争開戦は正しい」とする人は51％で、反対の45％を上回ること、「ブッシュの対テロ対策を信頼する」人は58％で、そのうち85％が大統領に投票したこと「イラク戦争で米国はより安全になった」人は46％だったことを紹介していました。分析できない位、複雑な感情が渦巻いていることは確かです。とにかく、TIMESの表からは「イラク」に関してはブッシュの支持は決して高くない事が示されていますね。でも４５％「も」、米国が安全になったと思っているんですから、すごいです。読売新聞の人は「４６％にとどまり、イラクでの米兵犠牲者増大や世界各地でのテロに対する米国民の懸念を裏付けた。」って言ってるんですが、分析ミスちゃいますかね、これ？以上のことからまとめると、ブッシュの支持層は「中流～金持ち」「白人」「宗教的」ケリーの支持層は「貧乏」「非白人」「現実的」ってイメージでしょうか。前者の方々の多くがブッシュを選びました。これが今回の日記のテーマの答えです。これは単なる僕の勝手な推論ですが、反ブッシュ派が「イラク戦争」ばかりに注目したことも、かえってブッシュ票の獲得に協力したのかもしれませんね。図書館が減ったり、社会保障費が削られたり、そういった事を強調したら（＝国民が興味を持ったら）、票操作をものともせずに勝てた可能性があるかもしれません。…って、思いっきり適当なことを言ってますが。次回はブッシュの勝利に対する「各国の反応」なんて見てみようかと思っています。ちょこっとだけ。＜きょうのまとめ＞『民主主義』の現実が、理想的とは限らない。イラク戦争だけを見たことも「反ブッシュの敗因」かもしれない。＜へんりのえげれす（４）蛇口＞イギリスって大抵蛇口が２つあります。１つがお湯。１つは水。大抵の場合、熱湯と水。･･･使いにくいんですけど？チェスターのユースホステルでシャワーを浴びた時も、選択肢→「熱湯か水か」･･･熱いんですけど？お湯が出ないロシアの話も友人から聞いたことがあるんで、お湯が出るだけ全然マシですね！･･･そうそう水も飲めますし。次回は食器洗いについてです。追記）でも４５％「も」、米国が安全になったと思っているんですから、すごいです。読売新聞の人は「４６％にとどまり、イラクでの米兵犠牲者増大や世界各地でのテロに対する米国民の懸念を裏付けた。」って言ってるんですが、分析ミスちゃいますかね、これ？って所が追記分です。読売オンライン「ブッシュ大統領再選『イラク戦評価』が決め手」より。ちなみに、んでるさんも、ご指摘の通り、「モラルと価値観」が決め手です。嘘を吐かれても困るんですけどねぇ･･･。

November 2, 2004

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「ナンセンスと言う言葉がナンセンスだ」についての考察/恵まれすぎていること

22nd　Oct＜10行くらい日記　「首振りすぎて痛い･･･」＞金曜の夜、ナイトクラブに行きました。日本に居た時は、本気で一度も行ったことがなかったんですが、英語コースの友人に誘われてまんまと行きました。下戸なんで、酒は日本に居た頃からあまり飲まないんですが、「イギリスでPubに行かないなんて損してる」という忠告もあり、Pubにはこれまで何度か行きました。Davidの日本語講座も当初はPubでやってましたし。で、今回はナイトクラブです。感想ですが･･････うん、楽しいよ、これ！！僕はお子ちゃまなんで、密着している踊りを見ると引くのですが、友人と踊っていると楽しい！久々に再会した英語コースの面子だしね★良い感じで疲れました。･･･帰ったら二時半でしたけど。しかも眠くない。僕は日本に帰ったら、Irish Pub位には行くようになるのかなぁ･･･。25th　Oct＜10行くらい日記　「安心してちゃマズイだろ」＞授業････早いっす。抑揚が無いッす。という訳で、非常にしんどい。プレゼンでも、大抵の英国人は話し方が平坦です。先生にも、そういう人がいます。開発経済の先生とか、前も見ないで、最後何を言ってるかも分からないような話し方な上に、数学を使うので一層聞き取れません。今日の国際法のプレゼンも聞き取れませんでした。ずーーーっと同じペースで強弱なし。相手が悪いというより、自分のリスニング力のなさにガックシします。ガックシしたまま帰ろうとするとこの前あったドイツ人が声をかけてくれました。このドイツ人をもってしても理解困難だそうで。ドイツ人といえば優れた英語教育という印象だったので安心しました。････って安心しちゃマズイだろ。＜「ナンセンス」という言葉がナンセンスだ＞WEBをうろついていたら気になる言葉を見つけました。｢ナンセンス｣という言葉です。プレゼンの関係で南アフリカの資料を集めていたわけですが、英語で探すのに疲れたので日本語の方も調べてみました。「実は日本は南アフリカにとって、意外に大きな貿易相手国だったりするんだなぁ」なんて思いながら。と。そこで出てきたのが「ナンセンス」という言葉です。「貧しい」という言葉について書かれていた所に、「衣食住はその国の文化・ライフスタイルに合わせるのがもっともよい」とあり、「そうだねぇ」とか思って読んでいたのですが、続いて「例：インドネシアとミンクの毛皮、インド人に牛肉を食べろ、はナンセンス」と書かれた所で「おや？」となりました。はて？インド人って全員ヒンズー教徒でしたっけ？もちろん違います。80％はヒンズー教徒ですが、ムスリム、キリスト教徒、シク教徒などがいます。（『世界史アトラス2003』imidas2003別冊付録）人口的な数ではインドは世界第3位のイスラム教国です（1位インドネシア、2位パキスタン）。（『ウィキペデイア』より）なんでこんなことを言ったのかというと、「インドにはヒンズー教徒しかいない」という思い込みが、インドにおける児童労働の問題を隠してしまう恐れがあるからです。インドでは憲法（1947年制定）で「牛、子牛その他の搾乳および農役用家畜の屠殺」（48条）が定められている国です。一方、イスラム教ではそのようなタブーはありませんでしたので、人為的に牛を殺して皮を利用することができました。結果、イスラム教徒の中に屠殺業や牛の原皮を販売する事業に従事するものが出てきました。（厳密に言うと、ヒンズー教徒のうちのカーストの最下層も同じく従事しています）この牛の皮、何に使われるのかというと「サッカーボール」です。サッカーボールには手縫いのボールと機械で張り合わせるボールがありますが、公式試合には手縫いのボールでなければならないルールがあるそうです。先進国では人件費の高さから、機械で張り合わせるボールしか生産せず、手縫いのボールは発展途上国で生産されます。（生産高＝パキスタン：約70％、中国：約15％、インド：約10％）。　かつては力が必要とされていた作業も、技術進歩により子供でも十分にできるようになりました。ですが、これは出来高制度ですので、失敗とされれば安く買い叩かれたり、算数が十分にできない子供をカモにするケースもあるようです。勿論、「『インドにはヒンズー教徒しかいない』という思い込み」＝「インドにおける児童労働の問題を隠蔽」と直結するわけではありません。カースト制度なども絡んできますからね。ですが、「インド人に牛肉を食べろ、はナンセンス」という発言によって、「インド人＝ヒンズー教徒」という価値観が決定してしまっているような印象を受け、サッカーボールに限らず「インドのヒンズー教徒が抱える問題」を無視してしまうかもしれない点を強調したいのです。9月2日の日記に、僕は「要らないと決め付けてしまったものの中に、大事な問題を解く鍵が隠されているかもしれない、なんて考えてみてはいかがでしょう。」と書きました。今でもそう思います。「ナンセンスだ」という決め付けは、「柔軟に考える余地を失わせる効果」を持っています。それゆえ、「ナンセンス」という言葉ほどナンセンスなものはないと、僕は思います＜今日のまとめ＞「『ナンセンスだ』と言われているナンセンスなこと」は疑問を失わせ、議論の余地を失わせる効果がある。それゆえに「本当にナンセンスか」は疑ってかかるべきだ。【参考】「インド＝ヒンズー」発言→中村尚司「『私はどこにいる』～南北問題の歴史と現状・今後の課題」『第10期関西NGO大学第１回講座記録』※「講座記録」ということなので、ここに書かれていることが中村氏の意見を100％反映したものではないと思われます。児童労働に関して→香川孝三『パキスタン・インドにおけるサッカーボールの生産と児童労働』＜哲学な言葉　「恵まれる」＞己が恵まれ過ぎていることに気付く者は、恵まれぬ我が身を嘆く者より、感謝の情に恵まれる。（モブノリオ『介護入門』（「文藝春秋2004年９月号」所収）より）ちなみに僕は色んなことに感謝してます。恵まれ過ぎていることに気付いたので。そんな折に見つけた言葉なのでメモってましたわ。ありがとう、僕の家族。ありがとう、僕の友達。ありがとう、「今の僕」を構成する「出会い」全て。ありがとう、ヘン国を読んでくれている物好きな人。今日も笑いながら、昨日を振り返り、明日を楽しみにできています。こんな毎日をくれてありがとうございます。これからもこんな毎日が続きますように。

November 1, 2004

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教育論を語ってみる　中篇　～コピーからの脱却～

とりあえず前回の続きって感じではありますが、実は3日ほど間が空いているんです。だから、ちょっとうまくつながっていませんが（繰り返してるだけとか）、ご愛嬌ってことで。今回は前篇の「先生は真実をいうとは限らない」って所の説明をきちんとしておこうと思います。＜まなぶとまねぶ＞まず始めに。「学ぶ」とは「まねぶ」から由来している、という話は有名だと思います。つまり「コピーすること」が、「学ぶという段階」と解釈できます。これは大学に入るまで叩き込まれていた「良い点数を取ること」を達成するために求められてきた能力です。社会、理科は勿論、英語も単語の暗記（コピー）だし、数学も公式の暗記をし、問題のパターンを繰り返すことで解き方を暗記していく教科です。我々は大学に入るまではひたすらコピーに徹してきました。では大学では何をするのでしょうか？＜先生を疑え＞僕が考えるに、大学がそれ以前の学校と大きく違う点は「先生を疑うこと」ができるようになる点だと思われます。というより、先生を疑えないのなら勉強不足だと思います。････我ながら大胆な仮説ですね。ま、前回の日記に出てきたような先生なら容易いのですが（苦笑）。（僕は「国際関係学科」に居た為、他の学科・学部のことは知らないので、ツッコめる人はとツッコんで下さい。多分、理系は随分違うと思います）だって、そうでしょ？大学教授の言うことが正しいのなら、極端な話ですが、経済学で今頃、世界の貧困は相当なくなっているでしょう？政治学のお陰で、世界はもっと安定したものになっているでしょう？全ての国が国際法を遵守して、法の秩序が守られて、平和に向かっているでしょう？現実が違うと言うのは、机上の勉強に何かしら問題があるからではないか、と思うのが妥当ではないでしょうか？････ま、ここは要旨ではないのでさらっと流します。＜先生を疑うとは＞「先生を疑え」とは、「先生を信用しない」とは別の意味です。なぜなら、情報量では余程の事がない限り相手のほうが上です。「全てを信じない」では、「得られるはずのもの」が得られなくなることになってしまうかもしれません。「情報を得る」ことは大学教諭から期待できるのです。ですが、その価値（正当性）は、自分の中で取捨選択すべきなのです。先生の言うことをコピーしている段階では、高校生と一緒です。それで止まってしまっては、それは大学ですることでは無いと言えるでしょう。＜その方法／知識の定義＞しかしながら、「先生を疑え」と言われてもどうすればいいのか。僕が提案する方法は「先生と逆の意見を自分で見つけ出して、自分で比較する、あるいは先生と議論する」ことです。そういった過程を通して、自分で納得できた時に、その意見・考え方を信じれば良いと思います。鵜呑みではなく、比較・議論を積み重ねて自分のものにしていく。そのように獲得していったものが「知識」なのではないでしょうか？＜蛇足的説明：疑う例＞たーまに「新聞記事」を持ってきて、「こーゆー事です」なんていう大学教諭がいますよね。疑いましょう。日本の新聞記事は専門家向けではなく、大衆向け大衆紙（のハズ）ですから。勿論、それを題材にして、論理的に説明してくれるなら別ですけどね。経済学・国際法・金融などを使って。新聞記事にたまにあるじゃないですか。「国際社会が許すことができない」とか何とか。「許すかどうか」って感情論でしょ？大学の政治学の授業でそれを使っても仕方ありません。そんなことを言う大学教員はいないと思いますが、「許せませんね」的な表現を言うようなことがあれば、「誰が許さないのですか？」と聞いて下さい。そこの理由が、学ぶべき所です。議論する所です。＜結論＞大学生が勉強できないとか聞きますが、従順な良い子になったんじゃないですかね？僕は先生（先輩にも）の意見に、よく歯向かっていきましたが、そのお陰で色んな発見ができました。「従順なコピー機」では、大学の勉強だとは言えないと思うのです。「大学は自分がアホだと気付く場所」だと僕は思います。先生の言うことを聞いて、「賢くなった気」「解った気」になっているのは純粋な勉強不足です。勉強だけが価値を持つとは思いませんが、「偽りの知」がもたらすのは「無意識の悪」かもしれません。････自戒の意味を込めて。※後編はこちら。＜今日のまとめ＞大学は「コピー」から脱却し、「先生を疑う」ことを学ぶ場所だ。「知識」は教わるものではなく、議論・比較を通して自力で獲得していくものだ。大学は「知識」を得る場所、自分がアホだと気付く場所だ。＜へんりのえげれす（３）エレベーターは閉まらない＞何が違うって、あれですよ。「ドアを閉める」と言うボタンが無い確率がメチャクチャ高い。開けるボタンの横にあるのは「非常用ボタン」。･･････紛らわしいったらありゃしねぇ。効果があるのかは微妙ですが、「降りる階」のボタンを強く押している人を多数見かけますね。イギリスのエレベーターに乗った際は、ボタンをよく確認して下さい。あ、日本の1階はイギリスのGround Floor、日本の2階は1st Floorですのでお間違いなく。次回は････そうですね、蛇口で。

October 30, 2004

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イラク邦人人質事件に関する議論についての考察　（追記アリ）

以下のコラムは共同通信が人質の香田さん殺害される　日本人の犠牲者は５人目　日本政府に３０日未明に入った連絡によると、イラクでイスラム過激派を名乗る組織に拉致され、人質になっていた福岡県直方市出身の香田証生さん（２４）の殺害が確認された。　昨年１１月に奥克彦大使ら外交官２人が殺害されたほか、今年５月にはフリージャーナリストの橋田信介さんら２人が襲撃、殺害されており、日本人の犠牲者は５人目。　香田さんを拉致したとする「イラクの聖戦アルカイダ組織」はイラク・サマワに駐留する自衛隊の撤退を解放の条件としており、日本政府がこれに応じなかったため殺害したとみられる。同組織は自衛隊を４８時間以内に撤退させなければ、ほかの人質同様、首を切ると脅迫していた。イラクの治安情勢に改善がみられない中、自衛隊駐留をめぐる議論が再燃、小泉政権にとって大きな打撃となりそうだなんて言ってたから書いたんですが、今確認したら遺体は香田さんと別人　安否確認、救出へ全力　政府は３０日夜、イラクのバラドで発見された遺体について、イスラム過激派を名乗る組織に拉致された福岡県直方市出身の香田証生さん（２４）とは別人と最終的に確認した。遺体を搬送したクウェートで日本大使館の医務官が検視した。米軍が当初香田さんに似ていると伝えてきた遺体の身体的特徴と相違点が多いため、再度照会した結果、バラドで発見された同一遺体で、香田さんとは別人と判明した。　政府はあらためて香田さんの消息確認、救出にに向けて、イラク暫定政府や各国に協力を要請する方針だ。最終確認まで情報が錯綜（さくそう）し、政府内が混乱したことから、小泉純一郎首相は３０日午後、正確な情報を把握するよう指示した。　記者会見した細田博之官房長官によると、この遺体の死亡推定時から相当時間が経過していることに加え、歯型、虫歯の治療跡、外見などが香田さんと明らかに異なったという。高島肇久外務報道官は「日本人の遺体ではない」と述べた（共同通信　19:11）。とありました。各新聞は「イラクで日本人とみられる遺体　香田さんの可能性高い」程度だったんですが･･･。共同通信め･･･。書き直す時間がないので（理由は最後に書いています）、亡くなられた仮定で読んで下さい。ヘンリーは、香田さんが無事に帰ってこられることを祈っております。―――――――――――――――――――――――――――――――――イラクで人質となった邦人に関するニュースが飛び込んできたのは英国時間の10月29日の夜の話。僕が調べた段階では各全国新聞社「本人と一致する部分がある」「本人である可能性が高い」とする一方、共同通信「本人と確認された」と言うように情報が交錯しているような状態であった。日本時間の朝4時ごろである。10月27日、イラク国内である日本人を武装組織が拉致、48時間以内に自衛隊を撤退しなければ殺害する、と日本政府を脅迫する映像がインターネットを通して流された。それに対し、日本政府は自衛隊を撤退しない方針を早々と打ち出した上で、外交手段を用いて解放へ努力した。だが、悲しい結末となってしまったようだ。4月に起こった事件も含めて、イラク人質事件について、僕も色々と考えた。今回は「事件そのもの」ではなく、「事件をめぐる議論」について書いてみようと思う。その上で、この事件に対する僕なりの結論を書こうと思う。但し、「事件をめぐる議論」に関してはイメージ専行となっている恐れがある点はご容赦頂きたい。（勿論、反論は受け付けます）まずは「非難派」。ここでは「自衛隊維持派」について書く。以下3点について考えてみよう。（１）自己責任であって自衛隊のせいではない（２）テロリストの要求に屈しないのは国際社会の原則（３）この時期にイラクに行ったのだから死んでも仕方がない（１）自己責任であって自衛隊のせいではないこの意見を「断言」するのは難しいと思う。たしかに自分の足で行ったことに関しては責任を伴うが、（自衛隊）派遣国として、自国民がイラクでこのような事件に合う可能性が増えたことは確かだと僕は思う。自衛隊派遣に全く責任がないことを証明するにはあまりに難しいと思われる。（２）テロリストの要求に屈しないのは国際社会の原則これに関して新聞を見てみよう。読売新聞「テロリストの脅しに屈しないのは国際社会の原則」「従うのはテロにあおるにも等しい」産経新聞「人質犯の要求を受け入れれば、犯人を助長･･･ことは周知の事実」「要求を受け入れないことはいまや日本のコンセンサスとなりつつある」毎日新聞「テロ組織の要求をのむわけにはいかない」などがある。しかし、「テロリストの要求をのむ→テロ増加」というリンクはどのように証明されたのだろう？「憎しみは憎しみを生む」「暴力の連鎖」という考え方も一方にはある。これらはバラバラに存在しているのではないはずだ。後者を全否定した上で前者を証明しなくてはならない。とすると、「テロ対策の常識」は論理性に欠けると思われる。（３）この時期にイラクに行ったのだから死んでも仕方がないこの意見は「命の大切さ」を軽視したことになりかねない。そもそも自衛隊が派遣されたのは「イラク人の生命」の為である。（「米国追従という形での将来を見据えた国益重視」という考えがあるのは知っているが、少なくとも建前では）とすると、「自衛隊を擁護」する立場にありながら、「人質の命の軽視」が、引いては「自衛隊派遣の意義そのもの」を失わせるような意見になりかねない。少なくとも僕は「死んでも良い」という言い方で命を軽率に扱う意見に賛同しようとは思わない。一方の「擁護派」。ここでは「自衛隊撤退派」である。同様に以下3点について考えてみよう。（１）「たかが一人の命」ではなく「一人の尊い命」の為に（２）そもそも自衛隊が派遣されなければ･･･（３）その志は尊重すべきだ（１）「たかが一人の命」ではなく「一人の尊い命」の為にこれは自衛隊によって救われた、あるいは救われていくイラク人をカウントしていない。「尊い命」と言いながらも、「命の不平等」を肯定している。「失われたもの」は明確であり、絵になりやすく、それゆえ報道もされやすいが、「得たもの」は曖昧で証拠も挙げにくく、絵にもならないので報道もされにくい。比較せずに、見えているものだけを都合よく使って「命の大切さ」を説いても、説明不足だろう。（２）そもそも自衛隊が派遣されなければ･･･自衛隊撤退は誰の意見だろうか？「命の大切さ」を語りながら「自衛隊撤退」を訴える人である。「自衛隊撤退」という自分の意見を通す為のEvidence（証拠）として、人質の「尊い命」を利用しているのである。それは命の大切さを尊ぶ行為とは言えないのではないか？誰も被害者が出なかったとして素直に喜べたか？自分の意見の正しさを主張する為に、この事態を待ち望んでいたのではないか？「ほれ、見たことか」と言いたかったのではないか？（３）その志は尊重すべきだたしかに「何とかしたい」という気持ちは重要で喜ばしいと思う。だが、「何とかしたい」が専行したのではないか？特に今回と、4月の未成年に関しては。「何ができるか」というものが明確でないならば、志とは言えないのではないか？勇気と無謀はやっぱり違うと思う。以上を踏まえた上で、僕が考える結論はこうだ。取るべき政府の行動について、「撤退せずに解放の為の外交努力を」という政府の対応が、僕は納得がいくと思ったが、これは様々な異論が出る場所であろう。今回、この文を書くにあたって書きたかったのはそこではない。『何かが正しい』と言うときには『あなたが間違っている』という前提となるが、今回の件で、それを論破できるほどの情報も文章力も僕には無い（情報は僕自身も批判している新聞のみだし）。どの意見も正しくて、そして間違っているのだと、僕は思っている。僕が書きたかったには「香田氏についてはどう思うか」を通して言える１つのメッセージである。僕は、自己責任だとか対イラク政策への影響とか抜きにして、「死ぬかもしれない場所に自分から行くという『親不孝な真似をした』」という一点で香田氏を批判する。これが僕の意見である。先ほど「こういった志を大切に」という擁護派の意見（僕の推測）に対して異論を唱えたが、親不孝は、「志を大切にすべき」を非難できる、もう一つの理由だ。しかし、故人に鞭打ってもどうなるわけではないので、今は彼の冥福を祈り、彼の家族の方の心が癒される日が来るのを祈りたい。そして、スーダンのジェノサイドもそうだが、このような悲しい事件が少なくなる為に、よく考え、どうすべきかを模索し、行動に移していきたいと思う僕は、今回の事件に関しては、ささやかながら僕ができる事として、「親不孝な真似だけはしないこと」を伝えたいと思います。うまく議論はできないけど、不器用にメッセージを送ること。ヘン国がそういう場所にできるように、ちょっとずつ頑張ってきたいと思います。それでは、これからロンドンに行って一泊してきますので、返信はちょっと遅れると思いますが、感想、不適切な点、文句、苦情などがありましたら書き込んでおいて下さい。行ってきます。――――――――――――――――――――――――――ロンドンより帰ってきました。早速ニュースをチェックしてみた所、遺体が香田さんだと判明したようで。残念でした。共同通信の勇み足についてはブログで色々言われているようですね。にしても色々ブログを回っていると「あー、僕なんかがわざわざ書く必要ないのかなぁ」と思うような秀逸なものも多々見かけます。いや、続けますけどね。あ、香田さんの件に関する議論で思った事を1つだけ。「政府を批判している記事は政府の立場を理解していない（テロリストの要求に応じる前例を作ってはいけない）。香田さんを批判・抽象している記事は、彼の家族の立場を理解していない（ただでさえ哀しいのに追い討ちですか？）。」って感じが多い気がしました。勿論、バランスが好いものとか、見方がスゴイと言うものも見かけますけど。･･････何だかねぇ？って僕の文も駄文ですが。※ちなみに前回の人質事件についてはこちらに書きました。

October 29, 2004

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教育論を語ってみる　前篇　～大学は洗脳機関ではない～

＜WEBツッコミ「大学生に贈る言葉」＞大学って何のためにあるのか？考えたことはありますか？WEBで「大学は考えるところだぞ、今まで何をやっていたんだ」って言葉を見つけました。僕も同感です。でも、よく見られる教育は「完成したものを完成したものとして教えている」ではないでしょうか。地動説がそうであるように。大人の側にも責任はあります。「これはそういうもんなんだ」という教え方をしてこなかったでしょうか？「なぜ？」という子供の問いに誠実に答えてきたでしょうか？一緒に考えようとしてきたでしょうか？このことを考えていて、あることを思い出しました。僕が日本の大学にいたときの話です。毎回の授業後にアンケートを取る先生がいました。匿名で、先生と反対の意見を書いたところ、「名乗り出なさい」と言われました。若干キレながら。（その時は名乗らなかったけど、今ならガンガン議論しに行くだろうと思います）テストで、先生の意見と反対を書いた時もあります。成績確認の申し立てをしなかったら落とされる所でした。テストに出て、提出物を出していたら通るような授業だった（友人談）にも関わらず。僕が先生に歯向かった理由は、どっちの先生も、すっごい偏ってたんですよ。前者は｢反米｣、後者は「アジア貿易圏理想主義かつ反米」って具合で。ま、ぶっちゃけ洗脳です。議論じゃなくて「こうだから！！！」って教えていました。（例えば、後者の先生は「イラク人が苦しんでいる」というTV番組を見せて、「ね？イラク戦争は駄目でしょ？」って訴えるのです。それは大学ですることでしょうか？「有事法制」についても、「有事法制はアカン」と書いた感想だけを嬉しそうに読み上げて、「有事法制って駄目でしょ？」って訴えていました。僕と友人は当時「有事法制が100％アカンと決め付けるのは単純すぎるので様々な文脈で考えるべきだ」という意見を出していましたが、黙殺です。）　本当に、大学って何をするところでしょうか？僕は授業と部活が無い時は図書館でひたすら本と新聞を読んでいたのですが、あれがなかったら「自分がバカだ」と気付けなかったと思います。大学の先生の言うことを「そうだー」とヘラヘラ聞いて「分かった気」になっていたと思います。僕が思うに、勉強とは「知識を得る」のではなく、「知識を疑う」ことではないでしょうか？そして、疑うには知識が必要なのです。つまり、勉強とは「知識とは何かを問いながら、知識を得ようとする」変な文ですが意味は通じるでしょうか？大学は洗脳機関であるべきではありません。大学で本当に「勉強」をしたかったら、「先生が常に真実を言うとは限らない」と疑ってみては如何でしょうか。勿論、こんなことを言っている僕の意見も疑って下さいね。もし納得言ったら、採用してみて下さい。僕は勉強が面白くなりましたよ。･･･と、補足ですが。かと言って「本の虫になれ」ってことではありません。部活動、バイト、友人との遊び、旅行、観劇など、色んな課外活動が自分の糧になりますから。＜今日のまとめ＞・大学は洗脳機関ではなく、考えるところである。・大学教授も疑ってみる。・勉強とは「知識とは何かを問いながら、知識を得ようとする」行為だ。※中篇も似た内容で書きます。　この2編から「教育とは何か？」につなげていけるようにしてみようと空想中ですが、　････未定です･･･。＜哲学な言葉　「懐疑主義」＞「懐疑主義」も一つの信念の上に、－疑うことは疑わぬと言う信念の上に立つものである。成程それは矛盾かも知れない。しかし、懐疑主義は同時に又少し信念の上に立たぬ哲学であることをも疑うものである。（芥川龍之介『侏儒の言葉』（新潮文庫、1999年）74頁「懐疑主義」より）なんか僕の言ったことと似ていたから載せてみました。「疑ってくれ」と言ったら、その言葉をも疑わなければならないわけだから、難しい。＜へんりのえげれす（２）買い物その２　レジ＞レジはベルトコンベアーなんです。カゴからせっせとベルトコンベアーに商品を並べていきます。で、「ココマデ」と書いたついたてを自分の買う商品群の後ろに置きます。日本のようにカゴからカゴへレジの人が運ぶのとは違います。何しろ量が量ですからね。また、バーコードを通された商品は、ちゃっちゃと自分でレジ袋に入れていかなくてはいけません。自分の商品がレジ袋に入れ終わって去るまでは、次の人の分が始まりませんから。これ、妙にプレッシャーです。最初の頃は随分テンパリました。そうそう。レジの人には「ハイ」と挨拶するのがマナーです。･･･多分。些細なコミュニケーションですが、なんだか温かいですね。日本に帰っても思わず言いそうです。さて、次回は･･････ネタ切れですね（早）。ってのは冗談で、エレベーターについて書きます。でも、ネタはすぐ切れそうなんで、誰かネタを下さい。

October 28, 2004

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ダルフールのジェノサイドの記事

以下はThe Independent, 18 Oct. 2004“If this isn’t genocide, then what on earth is?”Lord Altonを僕なりに訳したものです（原文はこちら）。誤訳もあるでしょうが、意図したものではありません。また、残虐な描写も含まれていますので（特に女性の方は）ご注意下さい。（この記事を読んでの、僕の感想はこちら）記事の写真は、家を焼かれ、唯一残った低い壁にもたれ泣き崩れる子供の写真でした。--------------------------------------------------------------------------Darfur（スーダン西部ダルフール地方）では、殺人、レイプ、放火、略奪（Looting）が続く。この記事は（ブレア？）首相が行動を取るように熱烈な嘆願するものである。部族の長（Tribal leader）が殺人、レイプ、放火、略奪のキャンペーンを行ない、今日までに70000人が殺され、140万人が強制移動（Displace）させられた。3ヶ月前、国連はここの状況を「the world’s worst humanitarian crisis（世界最悪の人道危機）」と表現した。先週2日間だけ、「私」（Lord記者のこと。以下も同様）はここに滞在したが、状況はその頃と何も変わっていなかった。スーダン政府はJanjaweed（政府支持派のアラブ系民兵）の武装解除の約束を破ったのだ（renege）。キャンペーンは黒人（Black Tribes）を根絶（eradicating）させ、そこにアラブ人を入植（installing）するという、たった一つの目的の為に行なわれた。これがジェノサイド（民族抹殺）でなければ、いったいなんだと言うのだ？「私」はブレア（首相）にFull Reportを送った。上院（House of Lord）でDarfurについて質問するつもりだ。「私」のFull Reportは民族的憎悪（Ethnic hatred）とスーダン政府（Sudanese Regime）によって扇動（drive）された体系的なViolenceのカタログである。このレポートは、人権団体Jubilee CampaignのWEB上にある。私が直に聞いた（Firsthand Account）レイプ被害は10歳から80歳に及ぶ。男は屈辱を受けて泣くか、殺されるかであった。私は、木陰で座っていた17人の女性のグループに混じり、コーヒーを飲みながら話を聞いた。彼女たちは全員未亡人で、父も兄弟も息子も失っている。調理用の薪と家畜用の草が必要なため、彼女たちは難民キャンプの外に出なくてはならない。しかしその際、例外なく、彼女達はJanjaweedに襲撃され、レイプされている。明らかに日常のリスクによってトラウマになるような話だが、彼女たちは冷静かつ理性的に（philosophically）その体験について話す。「If our men go out, they die. If we go out, we are raped. That’s the choice」（男が外に出れば、殺される。私たちが外に出れば、レイプされる。それだけが選択肢なの）アラブ人（Arabs）は剃刀と鋭いナイフを持っており、年老いた婦人をレイプする前に萎縮したVaginaを切って開ける。Janjaweedが（暴行後に）去った後は、女性は村を捨てる（abandon）。家畜を置いて、子供を連れて。計測できない（Immeasurable）問題はレイプによる出産の衝撃（Impact）である。そのことについて彼女たちは話したがらない。血を薄めたいと願っている。キャンプには心的外傷を受け、救いが無い（traumatized and helpless）ムードが、諦めと共にくすぶっている。時にそれが爆発することもある。家族を殺した男だと気付いた女性に見つかり、ある警官はリンチされた。Britain（以下、イギリス）はDarfurで起こっているジェノサイドについて語らない。米国の指図（lead）に従っているようだ。スーダン政府には圧力を与えないようにするつもりのようだ。だが、イギリスは1949年Geneva Convention Against Genocide（ジェノサイド条約）に調印した135カ国（Signatories）のうちの１つだ。これは単なる感情的なもの（declamatory）ではない阻止と保護をし（Prevent and Protect）、その後、起訴し（prosecute）、人道反する罪を犯したものを裁く（bring justice）のは調印国の義務である。「私」はルワンダにも訪れた。そこは100日間で800000人が死んだ国である。「私」はDarfurに不安を感じる。もう１つのルワンダに向かって、夢遊病状態で歩いているかのようで。Darfurには国連軍がいない。わずかなAU（アフリカ連合）の兵士だけが見張っているのみだ。感動的なことに（Poignantly）、AUに最初に兵を送ったのはルワンダである。この理由について、ルワンダ大統領は「私」に「自分たちのところで起こったものと似ているから、（派兵を）決めたのだ」と語った。1000000人以上が政府の管理するキャンプに集められた。キャンプをパトロールするOfficerの中には警官の服を着たJanjaweedが居る。安全保障が最大の関心事であり、最も求められているものである。ある首長はこう言った。「我々は単純な（simple）人間だ。我々は自身の農場と家畜を知るだけ。それらが我々の求める全てだ。」「スーダン政府はJanjaweedを創り、この状況を創った。我々は国際社会（International Community）が仲裁に入ることを、絶望的な気持ちで願っているのだ」--------------------------------------------------------------------------以上。なお、いくつかの点で白戸圭一「記者の目：スーダン・ダルフール危機」『毎日新聞』を参考にしました。また、スーダンに関しては、Jubilee Campaignの他、スーダン・ダルフール危機情報Wikiなどが参考になると思われます。

October 25, 2004

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（思いっきり追加アリ）国際法は紳士協定ではない／アキレスの踵＋国際法の父

20th＜10行まで日記　～ワタシ、ニホンジンデス～＞今日はフィリピン人と出会いました。図書館で勉強していたら「日本人ですか？」と日本語で話しかけられ、メール交換に至りました。元カノが（懐かしい表現だ）日本人だったらしく、日本語が少し使えるとの事。しかも結構流暢です。発音とか上手。で、「なんで日本人と判ったんですか？」と尋ねた所、「顔が日本人っぽいからね」と。僕は色んなアジア人から、ことごとく「日本人の顔」だと指摘されてきました。ここまで云われたら、「日本人っぽい顔はヘンリーの顔」ってことになりますな！！････････好いんですかねぇ？え？オチですか？無いですよ？＜大学のーと＞国際法の効果について。昨日、「国際法自体が無意味だとは、僕はちっとも思っていません。　国際法に効果がある時は報道されないだけです。　報道がないので知らないだけで、国際法が世界秩序に与えている影響は少なくないでしょう」なんてことを書いたのでフォローをしておきます。国際法は「法違反への強制が不十分」と言われます。にもかかわらず、「国は国際法を比較的よく守る」のだそうです。その理由に関して、4点の理由が『国際法　第4版』（松井芳郎ほか、有斐閣、2003年）では挙げられています。（１）国際法では相互主義がはたらく（２）国際法の遵守は長期的には利益にかなうことが多い（３）違反の常習犯は国際交流からの疎外を受ける（４）国境を越えた人間活動のサポートとなるそれから。「国際法は守られていない」という例はあるのは確かですが、守られている例の方が実際には多いです。にも関わらず「国際法は紳士協定だ」という見方は少なくありません。これは先ほども昨日も書いたように、「違反だけが注目を浴びるから」です。「日本が国際法を遵守！！」･･･って記事が載るとは思えませんからね。センセーショナリズムというマスコミに巣食う罠があるわけです。国連も一緒です。国連の事務総長が「平和外交」をしたとしても、「アナン事務総長、平和外交をイランと行なう」･･･って記事はデカくならんでしょう。「アメリカが国連決議を無視（と、日本の国際法専門家の○○％が判断）」という記事が出る訳です。ニュースは真実の鏡ではありません。フィルターです。見過ごされている物の中にこそ、報道すべきものがあったのかもしれませんね。＜哲学な言葉＞「希臘（ギリシャ）の英雄アキレスは踵だけ不死身でなかったそうである。―即ちアキレスを知るにはアキレスの踵を知らなければならぬ」（芥川龍之介『侏儒の言葉』（新潮文庫）64頁「アキレス」より）ま、不死身ならそうですが、不死身ではない我々は弱点以外に、「良い所」も見つめた方が良いですよね。ただ、自分の「アキレスの踵」から目を逸らさない事は重要だと思われます。････ま、負けないぞ！と思ったヘンリでした。＜追記分＞----------------------------------------------------「国際法の父」じょにぃさんからメールを戴きましたので、ご紹介します。――――――――――――――――――――――――まいど～。今回は趣向を変えて「ジョニーさんの国際法談義」を送ります。ま、不勉強な考えを好き勝手に述べるだけなので、頭の体操くらいの気分でお付き合いを。さて、ヘン国でも話題になりました国際法。特に僕がちょいと専門的に調べている国際人道法について見てみませう。あ、国際法が正しいかどうかは論じません。突き詰めていくと「国際法は法か」と言う問いにぶつかりますので。正しいかどうかはさておき守られているかどうかについてのみ、アメリカを例に少しだけ語ってみます。まず、「国際人道法は守られているか」結論から言うと、守られてます。例えば、アフガン攻撃以来「誤爆」という報道をよく見聞きしたかと思います。これね、変な話国際法を守ってないと起こらないんですよ。何で誤爆なのか。一つは狙ったところ弾が飛ばなかったから。つまり流れ弾ですな。もう一つはターゲットを見誤ったから。これは誤認に基づいた射撃。どんなに狙ったって、百発百中ってわけにはいきません。また、どれだけ確認したって前提となる情報に誤りがあれば誤認もします。その結果引き起こされるのが「誤爆」です。もちろん、全部が全部そうだとはいいません。実際にはわざと狙ったというケースもあるかもしれません。戦闘にあっては「軍事目標主義」が適用されますよね。要するに、軍事的な施設・人員等を攻撃の目標とし、民用物・民間人を攻撃してはならないということ。これを無視すればどうなるか。無差別攻撃になります。狙ってやるんだから「誤爆」にはならんでしょ？東京大空襲の再現ですな。アメリカは努力して軍事目標のみに狙いを定めているからこそ誤爆を行いうる、という見方もできる。もしアメリカが軍事目標主義を完全に無視して動いているなら、イラクやアフガンで死ぬ民間人の数はこの程度ではすまなかったでしょうな。もう一つ「イラク戦争は終わったのか」。これも結論から。まだ続いています。思い出してください。安保理決議687の内容を。あれは湾岸戦争終結ではありません。停戦決議です。となれば、イラクがその決議に書かれた停戦条件を無視すれば、戦争再開できる口実が一つ立ちます。そして、実際に昨年5月のブッシュ大統領の演説。「イラクにおける主要な戦闘行為は終了した」と言ってました。戦争が終わったとは一言も言ってません。それを言ってしまえば、イラクにいる外国の部隊は全て引き揚げることになります。この辺は領域主権の問題と絡んでくると思われます。だからブッシュ大統領は「戦争が終わった」とは言わなかったし、言えなかったと思われます。この辺もアメリカが国際法に拘束されている証拠となりましょう。と、まぁ誤爆とイラク戦争の法的な扱いについて軽く書いてみました。コメントでかける量ではなかったのでこちらで。感想、コメントあればどうぞ。―――――――――――――――――――――――――毎度ありがたう☆今は国際法から離れたような人間なので、細かいことは申しません。本能の赴くままに返事をしたいと思います（ゴメン）。「誤爆」について。誤爆ってさ、「あって当然」なんでしょ？アメリカの誰かが言ってたのを読みました。でさ、それって「民間人の犠牲があっても仕方ない」って事だよね。ここで、テロリスト（じょにぃさんもご存知の通り、この言葉が嫌いなのだが）がすることを思い出してみよう。「民間人を犠牲にした暴力を行って、恐怖を与える」････おや？(　´_ゝ`）深くは語りません。これ（＝USAは敵に似る）は有名な話だし。「戦闘行為終結宣言」について。これは新聞の分析にもじょにぃさんの言ってた事が書いてたね。覚えていたよん♪そう、イラク戦争は終わっていません。でも、実は今、スーダンが気がかりです。そのことを書きたいのだけれど日記のストックが余っているので我慢しています。スーダンで、「部族の長が、民族虐殺を目的に、殺人・レイプ・放火・略奪キャンペーンを行い、既に7万人が殺されている」という悲しい事実が、先週月曜のThe Independentでは一面でしたけど、日本ではどうですか？大きく報道されていると思いますが、報道されていなかったら、「何を基準にニュースが作られているか」を知ることができると思います。国連が「世界で最悪の人道的危機」と表現した以上に重視されて報道されるものは何かを。（云いたい事がまだまだあるのですが、それは26日の日記に書きます）ごめん、じょにぃさん。完璧に脱線したね（確信犯）。国際法で分からん時は君に聞くことが今決定されました。またよろしゅう☆

October 20, 2004

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反ブッシュの罠（僕的に失敗作）

19th　Oct＜５行×３日記＞今日は留学生を対象のウェルカムパーチーがありました。気乗りはしなかったんですが（何しろ知り合いがいない）、とりあえず行ってみた所、プレゼンで一緒に発表するフランス人Sophieが居ましたし、なんだかんだと、40分で３人の友人ができました。行ってみるもんだ。1人はSophieの友人のフランス人。1人は今日の国際法の講義で横に座ったドイツ人。1人はたまたま目が合ったイタリア人。僕が講義を聞き取れない話はしたと思います（よしんば聞き取れても意味を完全につかむに至らない）。それは、そのドイツ人も同じで、彼は「laptop持参している人の後ろに座る」という妙技を編み出しました。なぜかこの大学の講義ではLaptop（ノートパソコンね）を持ってきて、講師の話をカタカタ打っている猛者が全体の３％くらい居るのです。そこで、このドイツ人はそういった人の後ろに座って覗き見をすると言う訳です。それ、賢いわ。フランス人Sophieとの会話で「ドラゴンボールZ」と「セーラームーン」が出てきました。すごいね、ジャパニメーション。どうしよう、日本人の男のイメージが悟空だったら！（無い無い）とりあえず、大学1,2年で習ったフランス語を駆使してみたりしてますが、全然覚えてませんわ。そうそう、乾杯ってフランス語で「チンチン」だそうです。チンはChinaなんだってさ。由来は謎。＜大学のーと　『ニュースの作り方』＞［４］ニュースコンテンツ２．IdeologyとRepresentation（１）Ideology（イデオロギーという発音は間違ってますんで、念の為）　Ideology＝体系的なBias（偏向）。モノの見方＝ニュースを解釈するFramework（２）Framing　Framing＝現実のある側面を選択し、それによってニュースとして取り上げたものを他のものよりも目立たせ、　　　　　　重要であるかのように見せる。結果、ある解釈とある世界観を促す。　Frameとは、Problemを定義し、Causesを究明し、Moralを診断し、救済策を提案すること。（３）Source（財産）とProduction（生産）の掌握は、直接／間接のコントロールに繋がる。資本主義のOrganization（組織）の為のニュース　Anti－Establishment（制度・秩序・当局・支配層）ではなく、Establishmentの一部としてのメディア（４）伝統的権威や権力者（政治家・警察・官僚など）への依存は、権力者的なモノの見方に繋がる。（５）思想と表現の例１：ソビエト連邦の報道・冷戦中のソ連の報道→特定のステレオタイプによって構成「悪の共産主義や赤の脅威が自由とデモクラシーと常に戦っている」・Ideology的な敵対者の社会システムに対抗するDissent（意見の相違）は、　Ideology的な同盟者の社会システムに対抗するよりもNEWSWORTHLY（ニュースにする価値がある）である。・西側諸国が64回の干渉（Interference）を行なっている間、ソ連と同盟国の干渉はわずか6回のみだった。（６）思想と表現の例２：犯罪・路上犯罪や暴力犯罪が報道されるのは、警察が取り扱っているからだ。　自転車泥棒や酒屋強盗、Wife beatingなどは日常的すぎるので省略される。犯罪とは「警察と当局が犯罪と言及した犯罪」である。（７）思想と表現の例３：第三世界・第三世界の報道は未だに「Colonialism（植民地主義）」を基礎に置く。　「暴力が日常的／人々は原始的／西側の助けを必要としている」など。・必要なはずの、前後関係、深い説明などが無い。　→循環性：暴力が起こる。それは社会が不安定だからだ。不安定なのは暴力があるからだ。（８）通信社の優先順位（1977年、HesterによるAP通信の分析）１位．アメリカ絡み２位．革命やクーデター３位．自然災害４位．犯罪５位．国内政治、外交関係Development（発展・発達）、文化イベント、宗教、科学、教育などはそれほどニュース価値がない。（９）自然災害の報告について（1986年）。死の価値：　１人の西側欧州人＝３人の東側欧州人＝９人のラテン人＝１１人の中東人＝１２人のアジア人＜反ブッシュの罠（失敗作）＞以上の中から、僕が注目したのは（５）「西側諸国が64回の干渉（Interference）を行なっている間、ソ連と同盟国の干渉はわずか6回のみだった」という所と、（６）「犯罪とは『警察と当局が犯罪と言及した犯罪』である」の２つ。これを今の国際社会に応用し、イラク戦争と米大統領を見てみよう。ブッシュ大統領のイラク侵攻を非難する理由は、よく見られるのは大まかに言って以下３つ（勿論他にもあるのは知ってますが）。「戦争で死者が出ている」「国際法を守っていない」「世界がより不安定になった」まず「戦争で死者が出ている」とありますが、これは「政治が死を生み出すべきではない」ことを根拠にした批判だと推測できます。ですが、国連の経済制裁で200万人とも言われる人が死んだ、と言われます。また、クリントン政権中もイラクに爆撃をしていました。ということは、「死」という観点からでは、批判の説得力が無いように思われます。ブッシュに始まったことではないどころか、経済制裁よりも「死」は減少している可能性があるのですから。今のイラクとかつてのイラクでは報道される割合が違い、それがあたかもより多くの死者を出しているかのように見せているのはないでしょうか？（６）であったように、「当局が言及するもの」だけが「世の中の動き」のように見えていますが、実際は「音の無い事件」が起こっているのではないでしょうか？「国際法を守っていない」という批判の根底にあるものは、「国際法が正しい」という前提が常に立証された状況であり、「今まで国際法が常に遵守されてきた」という慣習があって成り立つ批判だと思われます（私論です）。ですが、国際法の起源が西欧にある以上、「国際法が常に正しい」というのは建前としては重要ですが、現実的にはそうでないと思われます。（５）であるように、Newsworthyの即した報道により、国際法を破るのは独裁国家だけのようですが、ソ連以上より遥か多い拒否権を発動してきたのは米国です。米国自身は以前と変わらぬことを行いながら、今までとの違いは「注目を浴びたこと」だけではないか、とは考えられないでしょうか？以上のことを踏まえた上で、「世界がより不安定になったのか」を考えると、ある意味事実で、ある意味嘘です。ブッシュ氏が大統領でなくなったとしても、米国の行動は大きく変わらないのかもしれない、という不安があります。なぜ、そんな不安をここで述べたのかと言うと、「ブッシュが悪い」という単純な考え方では、反ブッシュ側が掲げる高尚な理由が、ブッシュ氏が大統領で無くなったことで「なくなる」のではなく、「世間から見えなくなる」だけになってしまうんじゃないかな？と、思ったからです。マスコミが伝えるのは「真実」ではありません。たとえBiasが無かったとしても、報道されるのはマスコミが「ニュースにする価値がある」と判断したものです。ぶつくさ言ってきましたが、一番言いたかったのはここです。「ニュースになっていないもの」にこそ目を向けなくてはならない。わかりやすい例は飢餓です。慢性的な状況なので報道こそされませんが、イラクよりも多くの人が飢餓で亡くなっているのではないでしょうか？･･･コラムでも無いのに、長々と書いてしまったため支離滅裂でしたね、ごめんなさい。今日のは本格的に独り言でした。機会を見つけてリベンジしたいと思います。※国際法自体が無意味だとは、僕はちっとも思っていません。　国際法に効果がある時は報道されないだけです。　報道がないので知らないだけで、国際法が世界秩序に与えている影響は少なくないでしょう。（この点は明日、書きます）＜蛇足＞ただ、僕は「慢性的な苦しみ」を報道するよりも、「悲劇的な事件だけ」を報道するよりも、もっと多くの「前に向いて動いている人たち」を報道して言って欲しいと思っています。

October 19, 2004

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エリック談話（１）11個の中国話　～ODAから司馬遼太郎まで

6th　Octワタクシってば、新たな試みを始めました。それは親友である中国人のエリックを捕まえて、毎週お話をするって事です。実は日本の大学に居たときも、経済に強くて日本政治の歴史にも精通してる友人とほぼ毎週、時間を作って討論していたんですね。トピックはイラクやらインドネシアやら政治やら、時には人生論まで。もう、スッゲー充実してましたわ。申し訳ない位に、僕が教えてもらうことの方が圧倒的に多かったですけど･･････。で、そういうのに味を占めてしまったワタクシは、ここでもまた、そういうことをしようと思い立ったワケです。第一の理由は「近頃英語を話していない」っていう危機感。筆記に重点が置かれていた英語コース後半では会話量が激減しました。そして、日本語で考えても英語が口から出てきていた6月が嘘のように、「英語が話せない」という不安が頭を支配していたのです。もう１つの理由は「中国を知りたい」「日中関係を知りたい」って思い。実は、僕ってどちらかと言うと中国が嫌いなんですよ。政府とか人民とかじゃなくて漠然と「中国」が。この事は最近気付きました。中国関連の話を読んでいて腹が立つんですよね。でも、それは間接的な中国、日本人のフィルター越しの中国だと思うんです。僕は、「中国人の中国」を知りたかったんです。そして「中国人から見た日本」を知りたかったんです。「フィルター越しが悪い」とかじゃなくて、「中国人の視点」ってのに、すごく興味がありました。「折角、近くにこんな賢い中国人が居るんだから」と、云うワケで、実行に踏み切ったのです。去年あたりからこーゆー行動力はついてきたように思います☆大したもんだね、僕（自画自賛）。で、どんなことを話したのか、っていうのをここに留めておこうと思います。もし、これを読んでる方で、中国についての質問とかがあれば教えて下さいね。がっちり聞きますので♪（１）中国が変わった？「中国政府が天安門事件以来、国民の関心を政府から他に向けるために『反日』を利用している」こんな話がありますよね。これが本当かどうかは置いておいて、中国では「反日」はしっかり定着しているように思います。でも、中国政府の対応が少し変わったようなのです。どう変わったのかというと「WEB上で反日を煽らないように取り締まる」ようになったと言うのです。「アジアカップ」で暴動があったことですし、北京オリンピックへ向けての変化ですかねぇ？（って書いた時は単にそう思ったんだけど、政治的な駆け引きなのかな？ってかみぽこさんのHPに行って思いました）（２）メディア統制は当たり前？さらりと「取り締まる」って言いましたが、中国ではメディア統制は当然のように行われています。「党機関紙『人民日報』など八つのメディアを対象とした報道改革の中で、報道の使命は「党の宣伝」との伝統的な政策を確認、『指導者の権威を損ない、政策に疑問を抱かせる』報道は禁じる方針が打ち出された」り、（産経新聞　「中国、メディア統制を強化　党政策への批判を封印」）元TVプロデューサーの友人曰く「政治に関わる番組では、必ずチェックが入る。政府方針に従ったものであるかどうか、と。　　例えば、台湾総統を『国』の代表として扱うような言葉をつけてはならない」という決まりがあったり、政府批判モノのウェブサイトは閉鎖に追い込まれることがあったりします。（『田中宇の国際ニュース解説』「対立を演出する中国の政治」より）今日エリックが教えてくれたのは、中国では見れないサイト。「China Gate」という色んな意見が見る事ができるこのサイトでは、エリック曰く、良質な情報があるらしいです。「中国では見れないサイトがある」ってのにはビックリでした。（３）小泉首相の人気の秘密前述のChina Gateで「小泉」首相を見つけたので見てみました。そしたら、「美女」やら「女子政治」やら、「なんとも･･･」な言葉が並んでいます。エリックに訳してもらいました。それによると、小泉首相は「女心」をわかっていて、それが高支持率、とりわけ女性の支持を獲得するのにつながっているんだそうで。（４）角栄さんその小泉首相の高支持率も、今ではそれほどではありません（それでも高い方ではあるのだけれど）。その理由は「田中真紀子の更迭にあった」なんて話をしました。それについては詳しく書きませんが、田中真紀子は角栄の娘だ、って話をしたんですね。中国では田中角栄は好意的に見られているようです。彼は日中国交正常化に尽力したからだそうです。「歴史を知っている人じゃないと、彼のことは知らないだろうけど」という条件はありますが。（５）ODAその１　役割ODA[Official Development Assistant]の話もしました。「何の為のODAか」って話です。よく言われているのが「戦後の補償として対中ODAが開始された」というもの（ODAメールマガジン）。ですが、「日本政府は公式には、対中国ODAと戦時賠償は別物だとしている」ようですね。（『政策構想フォーラム　提言NO.43 政府開発援助（ODA）の国家戦略をつくれ５．中国へのODAは続けるべきか』）ま、それはともかく、日本人の多くが信じているのは前者でしょう。戦後賠償を払っていないがゆえ（エリック曰く、当時「中国」政府は台湾の蒋介石に権限があり、戦後補償を放棄したらしいのです。一方、現在の共産党支配の中国は何も言えず、何も貰わず、でした）、ODAという形で賠償をしている、というものです。（６）ODAその２　必要性対中ODAの見直しが進んでいるようですが（10月4日の産経新聞、5日の毎日新聞、6日の読売新聞のそれぞれ社説を参照）、対中ODAの必要性は結構言われてきましたよね。何しろ、中国は有人ロケットの開発に成功できた国です。そんな大国に、ン千億円を払う必要があるのか、という意見があります。（2000年度2144億円だが、03年度は967億円にするらしいです。「中国マスコミスキャン～ODAが減って報道が増えた」2004年3月12日『JANJAN』より）それに、ロケット技術はミサイル技術に応用できるわけですから、「仮想敵国」として中国を見ている日本としては面白くないわけです。そんな面白くないことをしている中国に、沿岸部はすっかりリッチな中国に、果たして開発援助のODAを与えるべきなのか。（７）ODAその３　昔ではなく今の為んで、エリックも言っていたのですが、「このODAは過去のものではなく、現在の日中関係にプラスに働いているのではないのかな」という意見もあります。政治的に、中国政府に「日本があなたたちと仲良くする意思がありますよ」とアピールしたり、経済的に、中国国内にある日本企業にプラスに働くのではないか、と（エリック談）。自国企業の為にODAを使うってのは問題ありそうですが（苦笑）。中国人にはODAの存在すらほとんど知らされていないようなのですが（外務省HP参照）、ODAを減らすといったお陰で、報道が増えているようです（前述の『JANJAN』参照）。（８）台湾問題は根が深い「政冷経熱」政治は冷めた関係だけど、経済的に良好な関係であることです。日中関係とかはそうですよね。だから、「政治的に日中関係が悪化しても、経済的に良好な関係があるので問題ないね」なんてエリックに言いました。「そうだね」の後に、彼が付け足したのは「台湾の独立を支持しなければね」。根が深いです、この問題。「仮に台湾が独立に動けば、中国が台湾を攻める。米国が台湾を守りに動き、日本はそのサポートをする」というのがエリックの予想です。朝鮮戦争のような感じで、「米国vs中国」の対立の中で日本がUSAの支援をするとのこと。まぁ、今の日米関係を見ている限り、そう動くでしょうね。有事法制も、米国といかに協力するかを定めてるようですし。ある日、エリックはこんな事を言ってました。「台湾問題は、台湾も中国も、現状維持が一番いいと思っている。戦争に敗者も勝者もない。あるのは破壊だけだ。それに犠牲になるのは、同じ『中国人』だしね。冷戦状態の今が、なんだかんだで理想的なんだ。でも、事情は何によって変わるか解らない。一番気がかりなのは米国が何らかのアクションを起こしてくるかもしれないことだ」（９）北朝鮮に行く小泉首相の戦略中国と北朝鮮は特別な関係にあります。北朝鮮は「中国についていってる」んだそうです。中国はこの関係を守りたいと思っています。北朝鮮は中国にだけ従って欲しいと思っています。ですから、中国は小泉首相に北朝鮮に行って欲しくないのです（最近も行ったっけ？）。訪朝には、中国への圧力って側面もあったんですね（信憑性の保障はできませんが）。北朝鮮と日本の関係だけを見て、「経済的にメリットがない」とか、「拉致問題の解決が先だ」とか、言ってしまっている人が少なからず居ますが、国際関係を見る場合には、そういった単純思考で「反対」と唱えても説得力に欠けるんだと思います。昨日の日記にも書いたけど、政策決定をするような人がアホな筈がありません。僕らが日常生活の合間に考えた断片的な見方の意見が、そのことだけを包括的に一所懸命に考えて出した結論よりも優れている可能性は極めて低いと思います。何もしないよりは素晴らしいとは思いますが、本気で説得したいなら、賢くならないといけないなぁ、なんてふと思いました。（１０）おまけ其の１　司馬遼太郎　エリックってば、司馬遼太郎のファンだそうで。中国で中国訳の司馬良太郎の本を読んだらしく、「エキサイティングだ！」と褒め称えていました。どうも戦国時代に興味津々なようで。また、織田信長や徳川家康にも興味があるようです。日本語で司馬遼太郎読んでみたいと言っていました。ちなみにエリックは平仮名は読み書きできます。･･･が、日本語を完璧に理解しているわけではありません。ですから、「司馬遼太郎を読むなら、日本語の勉強もしないとね」と言っていました。好い動機ですね。とりあえず中国で司馬遼太郎が知られているのにビックリでした。（１１）おまけ其の２　漫画ご存知のように、中国では日本漫画の人気が凄いです。モノすんごいです。ほとんど誰でも日本漫画ネタ、アニメネタで会話ができます。で、中国のサイトで「タダで日本漫画が見れるサイト」を教えてもらいました。勿論、中国語訳ですが、これから勉強に身が入るか心配です･･････。ちなみに、今エリックが愛読しているのは『ジョジョの奇妙な冒険』だったりします。マジッスカ･････(　´_ゝ`）あ、「エリックに聞く！中国への質問」募集中ですんで。

October 6, 2004

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人生は旅のようなもの

31st　Aug＜Life is a Voyage＞「人生は旅だ」･･･なんて言葉を聞いたことがあります。僕はこの言葉に本気で頷くようになりました。旅では人に出会います。素敵な人も居るでしょう。素敵な人とは暫くの間、時間を共有したりもします。そうじゃない人も居るでしょう。そうじゃない人は何かを奪っていくかもしれません。ですが、素敵な出会いは、それを帳消しにする程に、素敵なものを与えてくれるものと信じています。色んな旅の好みがあります。一人旅が好きな人も居ます。自分の好きなように動きたい、自由が好きな人なのかもしれません。集団での旅が好きな人も居ます。物事を慎重に決定したい人なのかもしれません。目的地に辿り着くまでには分かれ道があります。選ばなければ進めないのです。引き返すこともできますけれど。悩むこともあるでしょうが、納得のいく方向を決めなければいけません。人に聞く人も居るでしょうし、地図を見る人も居るでしょう。とりあえず行ってみる人も居るでしょうね。目的地を決めない旅もあるでしょう。歩きながら気に入った場所を探すような旅も素敵なものです。目的地に向かうまでに迷うこともあるでしょう。迷いながら目的地が変わっていくかもしれません。迷った場所で、まっすぐ行っては見つけられなかった素敵な景色に出会えるかもしれません。寄り道は思わぬ贈り物をしてくれるかもしれません。出会う。悩む。進む。迷う。旅は、人生の縮図のような気がします。そして、旅は、楽しむものでしょう？だとすれば、人生も、また、楽しむものと言えるのではないでしょうか？色んな旅をしながら、悩んで、迷って、失敗しながら、色んな出会いを経て、自分に合った最良の旅の楽しみ方を見つけるように、色んな事に、悩んで、迷って、失敗しながら、色んな出会いを経て、自分に合った最良の人生の旅の楽しみ方を見つけていくのは、きっと素晴らしい事だと思うんです。それは、真っ青な空の下で、ロンドンの旅を終えた僕が、ふと、考えたことでした。僕が旅で見つけた、僕の旅の楽しみ方は、僕の人生の楽しみ方と似ているのかもしれませんね。さてと。では明日（9月18日）から、僕はチェコ共和国、スロヴァキア、ハンガリーの3カ国に行って来ます。暫く更新が途絶えますが、機会があればHPをチェックしますんで、良ければ昔の日記を含めて、ツッコミを入れて頂けたら幸いです。それでは行ってきます☆

August 31, 2004

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ある発言への考察（前篇) 社会経験と民主党

14th　Aug「社会に出てへんアンタに言われたくないわ。」僕は、ある方にこういったコトを言われました。今日は、この発言について考えてみたいと思います。＜いきさつ＞元社会人の友人と会話していまして、色々学校で苦労していたので、冗談で「社会に出たらもっと大変やから頑張りや」と発破をかけたところ、「社会に出てへんアンタに言われたくないわ。」言われたのですよ。※先に言っておきたいのですが、この友人自身は、普段からこういった姿勢の生き方をしているわけではなく、「ツッコミ」という関西特有の風土から出た発言であります。この日記で、この発言者を攻め立てるなんて意図はさらさらありませんし、僕はこの発言者の普段の行動は、明日の日記で述べる「尊敬に値できる人」の範疇にあります。＜社会に出た経験の重さ＞僕は、社会に出たことがありません。アルバイトで社員紛いな振る舞いはしたことはありますが、それほど責任ある立場ではなく（仕事である以上、最低限の責任が在るとはいえ）十分な社会経験とは言い難いでしょう。つまり、胸を張って言える「社会経験」がズバリ無いのです。また、僕は「社会に出てへんアンタに言われたくないわ。」というのは正しさがあると思います。たとえ理論と想像だけで話を語ったとしても、その話には重みが無いでしょう。実際を知らない人間が作った物語は、経験の持った人間の実話より説得力が無いと思います。「社会に出た事がある」というには、経験をもたらすので、それだけである種のプライオリティーを持つものだと僕は思います。これは日本政治の世界で、民主党がまだ勝てていない理由の１つでもあると思います。すなわち、「政権を取った事が無い」という政党に、日本の政治を託すコトにまだ抵抗がある、という事です。とはいえ、そんな事を言っていたら、いつまでも自民党政権でしょう。ゆえに、民主党は「政権の座に就く前に、就く為に、いかに経験値を積むか」というのが大事と言えると思います。どうやって？と言う意見は、今の僕には何もありませんが、国民の、僕たちの納得いく形で、「経験の無い」ながらも、現実的な案を説明する必要があるでしょう。僕はそれほど民主党が好きでは無いんですけど、それは「どこまで未来を見ているのか」「明確な未来のVision持っているのかよくわからん」って言う理由です。選挙に勝つ為とはいえ、与党に反対をすりゃ良いってもんじゃないし、都合のいいことばかり言ってたら駄目でしょう。ただひとつ。これに関して、僕にも問題がありまして。政治家の演説を見たことがないんですよね。と言うわけで、民主党のことを元々「よくわからん」のです。自民党は実際に政治を動かしている訳だから、多少は解りますけど。あくまで多少。よって結論としては、「僕も経験を積まなきゃ、民主党を知らなきゃ、文句を言えた立場ではないぞ」という事ですね。では「ある発言への考察」は明日の日記に続きます。

August 14, 2004

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日中関係談議Eric編　～トモダチ自慢～

8th　Augお昼。家を出て、向かう先。それはクレアハウスという大学寮です。日曜日だけど、プレゼンの話し合いせねばならず、僕だけホームステイだから集合15分ほど前に家を出て、皆の居る寮へ、トボトボと日曜の昼下がりにお散歩です。とっても良い天気で、話し合いもそのまま青空の下、芝生の上で行なわれました。男4人で、携帯電話について真剣に討論。み゛ゃ！！！！！！と言いたくなる事態もありましたが、そこそこの結論が出たトコで解散。と言うのも、僕は5時に元フラットメートでありクラスメートでもあったEricの家に行って、中華料理をご馳走になるからです！でも、話し合いが長引いた為、ごめんなさいコールを友人の携帯電話でかける羽目に。ちなみにプレゼンの内容は「留学生に携帯電話は要らない」。＜エリックと話す（１）尖閣諸島と魚釣島＞5時半にエリックの家に着きました。ロンドンの大学に留学中のエリックの彼女が、大学の夏休みを利用してレスターに来ていまして、彼女が料理している間に、エリックと討論です。まず話したのは尖閣諸島について。中国名は魚釣島ですね。エリックのPCで、外務省のHPに行って、英訳しながら日本の事情を説明した後、中国のHPで比較しました。外務省HPによると、尖閣諸島は尖閣諸島は、1885年以降政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三にわたり現地調査を行ない、単にこれが無人島であるのみならず、清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重確認の上、1895年1月14日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行なって正式にわが国の領土に編入することとしたものです。　同諸島は爾来歴史的に一貫してわが国の領土たる南西諸島の一部を構成しており、1895年5月発効の下関条約第2条に基づきわが国が清国より割譲を受けた台湾及び彭湖諸島には含まれていません。　従って、サン・フランシスコ平和条約においても、尖閣諸島は、同条約第2条に基づきわが国が放棄した領土のうちには含まれず、第3条に基づき南西諸島の一部としてアメリカ合衆国の施政下に置かれ、1971年6月17日署名の琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定（沖縄返還協定）によりわが国に施政権が返還された地域の中に含まれています。以上の事実は、わが国の領土としての尖閣諸島の地位を何よりも明瞭に示すものです。　なお、中国が尖閣諸島を台湾の一部と考えていなかったことは、サン・フランシスコ平和条約第3条に基づき米国の施政下に置かれた地域に同諸島が含まれている事実に対し従来何等異議を唱えなかったことからも明らかであり、中華人民共和国政府の場合も台湾当局の場合も1970年後半東シナ海大陸棚の石油開発の動きが表面化するに及びはじめて尖閣諸島の領有権を問題とするに至ったものです。　また、従来中華人民共和国政府及び台湾当局がいわゆる歴史的、地理的ないし地質的根拠等として挙げている諸点はいずれも尖閣諸島に対する中国の領有権の主張を裏付けるに足る国際法上有効な論拠とはいえません。(外務省HP『尖閣諸島の領有権についての基本見解』http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/　より)という理由で日本の領土だというのですが、中国からしたら、下関条約第2条に基いて清国から割譲を受けた台湾及び彭湖諸島の中に魚釣島は入っているし、台湾が返還される時に、魚釣島も返還されている、とのこと（米軍が居た事に何も言わなかっただけ）。「何処に問題があると思う？」とエリックは尋ねました。「中国がすぐに主張しなかったところ？」と言うと、そうだと同意してくれました。僕は、この問題に対して詳しく知っているわけでもありません（心情的には日本が正しいと信じてますけどね）。しかしながら、お互い拠り所にしている部分が異なるため、この議論はいつまで経っても平行線って事はわかります。日本は「最初から含まれていなかった点」と「すぐに主張しなかった所」を挙げ、中国は「最初から含まれていた点」と「アメリカが占領していた事」を挙げています。…この島の利権って、仲良く半分ずつってできないの？＜エリックと話す（２）香港＞「僕の些細なリスニング力で聞いた話を書くだけですので、本当かどうかは知りませんよ」と忠告した上で話を始めます。僕は、香港はすっかり中国の一部なのかと思ってたんですが、ある程度のIndependenceがあるらしく、軍隊は中国のものだけど、警察は香港のものだったり、国歌は中国と同じだけど、国旗は香港と中国の2つだったり、中国元は国際通貨じゃないのに、香港ドルは国際通貨だったり、香港のBasic Lawは香港のBusiness Independenceを認めていたり、香港のLeader（行政長官かな？）は年に一度、北京に行かないといけなかったりするらしいです。後でちょっとだけ調べてみました（「世界情報アトラス」（集英社『imidas2003』付録）より）「1国2制度」：返還後の香港、マカオは中国の特別行政区として、一国の領土でありながら特別の地位・待遇を向こう50年間保証される。すなわち（１）外交と国防以外は高度の自治権を持つ　（２）言論、出版、結社の権利が保障される　（３）国際的な金融センター・自由港としての地位を確保する　　などがある。中国人が香港の永住権を取るのも大変、って事も書かれていました。不思議な制度ですね。そういえば、今やってるアテネオリンピックにも「香港代表」が出てたなぁ…。＜エリックと話す（３）中国人と台湾人＞エリックの新しいクラスメートは台湾人がいっぱいです。彼らと中台関係について話そうと何度か試みたらしいんですけど、無理だったようです。こういった話はタブーになっているみたいだ、って言ってました。でも、彼は言います。「こういった問題はタブー視するよりも積極的に話し合った方が良い」僕もそう思います。誤解とか軋轢とか、放っておいて勝手に解決するもんじゃないでしょうし。ただ、台湾と中国との関係について「現状維持」を望んでいるが為に、「腫れ物に触る」というのを避けている節があるようです。台湾では「独立色」が強い陳水扁が総統に再選したが民衆の多数派は「現状維持派」です。中国の事は分からないのですが、エリックも現状維持派です。また、台湾に攻撃を仕掛けた時点で経済成長や北京五輪どころじゃなくなるのは明白ですから、たまに中国が軍事訓練とかやってみて、台湾海峡の危機を煽るのは中国国内向けのパフォーマンスでしょう。という訳で何も変わらないのが政治的にはOKです。でも、何も個人レベルでそういった話をするのを避けても仕方が無いでしょ、と思うんですね。ひょんなアイデアが飛び出るかもしれない。ってか、別に「中台関係の解決のため」なんて気張らなくても、国が違う（っていうと中国人から反発くらうんだろうけど）者同士で話をするのは、同郷同士で話すよりも刺激が多くて面白いと思うんです。色んなモノが得られると思うんです（実際、僕は得てきたと思います）。更に、意外なデータがアヤコからもたらされました。「何人かの台湾人が、自分たちと中国人を比較してみたんだって。そうしたら、テストの成績　　　　　　　：　台湾人　＜　中国人自転車を持っている人の数　：　台湾人　＜　中国人などなど、中国人の方が多方面において凌駕していることが判明。これまで台湾政府は、「中国人は貧乏だ。中国人は住む家をもてない。中国人は教育を受けられない。」とか、そんな情報を流していたらしく、まるっきり現実が違っていたのを知って、びっくりだったらしいよ。」そんな事もあるんだから、もっと話してみないとね。結論みたいなもの。台湾人の中にはグループで固まってご飯を食べてる人達がいるらしいんですが、そこには批判したいなぁ。折角の留学、色んな事を国境を越えて話した方が楽しいと思うから。余談ですが、台湾の政党のIndependent派はGreen、Dependent派はBlueって言うらしいです。＜エリックと話す（４）思ひ出話＞政治的な話ばっかりをエリックとしている訳じゃありません。（エリックがダウンロードした「聖戦士星矢」「スラムダンク」「幽遊白書」のオープニングとか見たりしますからね！）ってな訳で今日は2人の母校を見せ合いました。とはいえ、母校の写真なんて持ってきてません。でもご安心！インターネットがあります。自分の出身の大学と小学校を見せ合ったのですが、僕は初めて母校の小学校のHPを見ました…。懐かし過ぎ。「対外経済大学 University of International Business and Economics」がエリックの母校なのですが、日本語での説明がついてました！これにはビックリ。その他、「北京大学」や中国で一番の大学「清華大学」を見せてもらったり、僕からは、日本の「東京大学」「早稲田大学」を見せました。なぜか、エリックは「千葉大学」を激オススメしてたんですが、僕は関西出身で千葉大学のことはレベルも全く知りません。すごいトコなんですか？＜ご飯＞話した事を全て書いてからになっちゃいましたが、ご飯は（２）と（３）の間くらいに食べました。エリックの彼女が作った中華家庭料理（料理名を聞いたら「家庭料理だから名前はない」って言われました）。久々に箸を使って食べて幸福感でいっぱいでした。炊飯器でご飯も食べれたし。美味しかったので「Professionalだね」って彼女に言った所、不満そうな顔をされました。「Professorだね」と言うと納得してくれて（笑）、どうも「女は家事」っていうのが気に食わないみたいです。エリックは「女の子の方が料理が旨いだろ？」と僕を説得しようとしましたが（笑）。中国の中でも女性の社会進出は進んでいて、「男女の家庭での役割分担」というものは薄れているようです。＜トモダチ自慢＞今日の日記のサブタイトルはEric自慢です。正直、僕は彼に会うまで、英国に来るまで、中国が嫌いでした。「いちいち五月蝿いんだよ、昔の事で愚痴愚痴と…」なんて思ってた奴です。でも、エリックと知り合って、自分と日本をちょっと離れた場所から見れるようになりました。日中友好が正しいかどうかは置いておいて（「仮想敵国は中国だ」って聞きますし）、日中友好の為に「まずは中国が直さんかい。日本は間違ってへん！」という旨の内容をテストで書き、日中友好の為には「相互理解が大事」と言いつつ、「相手が考えを改めるのを座して待つ」という感じでした。でも今は「中国も間違ってるとは思うけど、日本もどっか間違って無いかな？」と、自分を省みるようになりました。相互理解っていうのは、相手にも解って貰わないといけないけど、自分も解らないといけないんだよね。そういった考え方が以前はポッカリ抜けてました。ここで言う「解る」って「今までの考え方・見方を変える」と置き換えられると思うけど、（そういう言い方をして初めて解るけど）簡単な事じゃないんだよね。中国人が皆、エリックみたいじゃなくても、エリックは１人の中国人で、彼を通して１つの中国が見える。1人の中国人を通して、中国の見方を変える事ができて、僕自身の姿勢を変える事が出来て、今、僕は幸せです。世界の1個の歯車として国際交流しているなんていう大層な事じゃなくて、僕自身が、ちょっとばかり成長したかな、って思えたから。賢くて、面白くて、向上心があって、議論が好きで、親切で。そんなエリックと友達なのはちょっとした自慢です。＜おまけ＞エリックによる中国5大銀行１．中国工商銀行　Industrial and Commercial Bank of China２．中国農業銀行　Agricultural Bank of China３．中国銀行　　　Bank of China４．中国建？銀行　Construction Bank of China　（？のトコは自分が書いた漢字が読めませんでした）５．交通銀行　　　Communication Bank１～４はNational Bankらしいです。

August 8, 2004

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友人からのメールと日記（６）　人種論議

2nd　August　＜前置き＞僕は日記を書くのが非常に遅く、今も11日に2日の日記を書いている始末です。ですから、日記で書く事は1週間前に決まっているんですよね。なんでこんな言い訳をするのかと言うと、今回、「人種」について書くつもりでいたんですが、「んでるさん」のHPを見る前に内容を考えていたんですわ。まだ、んでるさんの「ABの細道」の前半部分しか読んでいない段階ですし、僕自身が、これまで「人種」について深ーく考えたのって、1度くらいしかないので「僕が語るのはおこがましいかもしれない」なんて気はしますが、予定通り、ちょっと「人種」について書いてみますね。勿論ツッコミ大歓迎です。＜発端＞ESSの後輩からこんなメールをもらいました。ESSの合宿中にこんなテーマで話し合ったというのです。「生まれ変わったら、また日本人がいいか？それともそのほかの人種がいいか？その理由は？」そして、その友人の感想は以下のようなもの。>私は、その質問を聞いてすっごい考え込んでしまいました。>その理由はどんな人種のどんな部分が、一番いいなんて>決められないんですよね。>しかも、一度日本人に生まれたら、ほかの人種の人の気持ちとか>ノリだとか、細かい風習だとかって、きっと見ることは難しいんじゃないか、>って想像したんです。>例えば、母親の気持ちは母親に実際なってみなけりゃ分からない、のと同じで…>へんりーさんは、イギリス人と日本人の違い、どんなところを感じますか？これはとっても難しい質問でした。僕は、「（英国人種の特徴は）時間に余裕があること。庭があること（きっと無いとダメ）「とりあえず、ドアは次に通る人の為に手で押さえておく。・・・これは共通かな？でもこれ以外、『英国人だから』っていう線引きは難しいね」なんて送ったんですが、これってちゃんとした答えになってないですよね。人種の話をしてる訳ではないですし、単なる習慣の違いです。＜人種の定義が難しい>さらにメールにはこうありました。>自分が日本人なんで、日本人が楽しめるポイントをたくさん>知っているけど(例えば宗教が強くないから、結婚式の形も>だいたい自由だとか、生産力が高いからどんどん目新しい>機械や製品を目にできるとか、集団で結束するときの感動とか)、んで僕の答え。「宗教に関しては、人種の問題というより日本での歴史や教育が関係してる気がしました。生産力は、人種の問題じゃなくて生まれた場所の問題かな？在日コリアンもそれが体験できる訳だし。結束力は、日本人特有のものとは言い難いかもしれないね。なんでそんなイチャモンを付けたかというと、「人種」の定義が難しいってことが言いたいんですわ」「たとえばユダヤ人は、自分たちの不幸な歴史という十字架を背負っている。でもね、ここで問題なのは『何がユダヤ人をユダヤ人たらしめているのか』ってこと。ユダヤ人のことは詳しく知らないので、一般論に戻すけど、人種を限定するものが何かって難しい。仮に「血」（血統）だとしても、歴史を振り返ってみたら、混血じゃない血を探す方が不可能です」これに関しては、僕が説明するよりも、書き込みを下さっている、んでるさんのHP（6月24日）をご覧になっていただけたら解り易いと思います。以下に出てくる内容に関しても同様です。＜肌の色＞>そういや、歴史でコーカソイド（白色人種）やモンゴロイド（黄色人種）、ネグロイド（黒色人種）…>ってあったけど、習った当時も今も、いまいちぱっとしないです。>名前での区別は分かるんですが、え？肌の色で分けてるだけ？って思ってしまいますしね。僕も同感です。世界史で習った当時は若く無知だったのもあり、何の疑問も浮かんでなかったのですが、実際に直に肌の色が違う人たちと接したり、人種について考えてみようとしてみたら、色々疑問が出てきますよね。「黒人だから」「白人だから」「黄色人種だから」ってのは、果たして何処まで通用できる理由なんでしょう？僕は友人として接する人々は、肌の色をほとんど気にしません。今住んでいる所は、そこそこ田舎の割に多国籍な町で（英国は田舎に行くほど白人率が高いらしい）、白人、黒人、黄色人種（インド人、パキスタン人）が混ざっています。見た所、差別も無さそうな感じです。少なくともホストファミリーからは、レスターが「多国籍な町」である事が望ましい事として語られますし、インドな祭りが行なわれたり、ラジオから明らかにインドな音楽が流れたり（専門チャンネル）、先日、南米な祭りがあったり、・・・と、「人種が違うこと」は、それほど気になりません。「そこにあるもの」として受け止めている、という感じです。これは僕が日本人としての差別を受けてないからこそ言える発言でしょうけど。＜「一人一人」という感覚＞>もしかしたら自分の頭の中にまったくないような視点を他国の人は>もっているかもしれないし、案外そんなに変わらないものなのかもしれないし、>人種とかどうとかより、はじめから一人一人はまったく違う性質かもしれないし。>そう思うと、「どの人種がいい？」っていう質問はとっても難しいように感じたんです。>きっと、日本人だから見えてないことってありますよね。「人種とかどうとかいうより、はじめから一人一人はまったく違う性質」！いやぁ、そうだと思います。例えば、日本人だって「大和撫子」と「武士みたいな人」な訳じゃないんだし、大人しい人もいれば、底抜けに明るい人もいるし、真面目な人も、納豆が嫌いな人もいます。「日本人」という事で、それなりに特徴があるのは否めないとは思うけど、それはステレオタイプで、現実に必ずしも呼応するとは限りません。冒頭のESS合宿で、この議題をだした人の意図を推測したら『格好良いからイタリア人』『可愛いからギリシャ人』くらいのステレオタイプ的な答えで良いとは思うんですけどね。ですが、それは実際に違う人種と接しない机上の議論の話です。現実に会ったり、当事者として接する際にでさえも、「人種に関するステレオタイプ」を前提にするのはいい事とは思えないんですよね。その人はその人なんですから。（これに関して。日本人好きのサウジアラビア人の友人から「ハ～イ、ジャパニーズ」と暫く言われていたんですが、「僕は『日本人』って名前じゃなくて、Takaだ」と、呼称を変えさせた経験があります。　と言っても「僕が日本人であること」と言う事実からは決して切り離せないんですが。…これに関しては7日の日記に書きます）ちなみに。イタリアに行きましたが、そんなにイタリア人って格好いいですかね？男前にあんまり会わなかったんですけど…？絶世の美男イタリア人を3年前に見た事はありますが、確率からいくと、そうでも無い感じでした。＜生まれ変わったら…＞冒頭の質問「生まれ変わったら…」についての答えはこういったものでした。「人種が何処に住むかによっても違うと思います。『非日本人』が日本で生活するのは時に大変です。今のアメリカではアラブ系の人は色々大変でしょう。イスラエルでは…などなど、考えるべき点は色々あります」第二次世界大戦中のユダヤ人になりたいという人はなかなかいないと思いますけど…。今、アムステルダムで買った『アンネの日記（日本語版）』を読んでいるんですが、所々で出てくる迫害の話を読むと「こんな事は繰り返しちゃいかんよなぁ」って思わされますね。ちなみに。僕は生まれ変わっても「日本人」になりたいです。というより「僕」になりたいんですけど。「僕」であるならば、生まれ変わるのは何の人種でも構わないです。＜人種の成り立ち>>ある一定の地域（国）にいる集団内の人間同士が似ていたり、その他の地域(国)とは>異なっていたりするのって、なんなんだろうって思いました。>そういう事を考えるときはいつも、「脳ってすごいんじゃないか?!」　ってところに>たどり着くことが多いです。>北朝鮮の一部の人々は金正日が一番エライ人だって思うコトが普通になっていて、>その思想が生活に染み込んでいる。それは脳が人に働きかけてつくった生活です。>そうではない場所の人が、またキリストが一番だって思うコトが普通になった生活で>過ごせば、両者の体に違いが出てくるのも自然かも、って思うので。>違いが出たのは遠い昔のことなので、例がふさわしくなかったですが…(＾＾；)>>つまりは、歴史という其々の環境に流れながら、脳が何かを集め、思い込んで、>それぞれの人種ができたといっても過言ではないかもしれないな、と。ってな事を言われて、「ふむぅ。なるほど！」となった訳ですが、「環境が人種を作っていった」説は僕も支持していますね。環境への適応を持って、外面的特徴って形成されている事はなんとなく想像できますし。また、余談ですが、一神教と多神教のどちらが信仰されるのか、という背景にも環境が作用しているらしいですね。一神教であるキリスト教やイスラム教は過酷な砂漠で生まれた宗教ですが、種を蒔けば収穫が期待できる肥沃な土地では、大地に感謝し自然に感謝するようになって、多神教が育まれやすいという話を聞いた覚えがあります。＜結論>「結局、人種って何なのよ？」これに対する答えはまだ見つけて無いんですが、考える価値のあるものだと思います。僕の場合は、とりわけ生活や政治というContext（文脈）で。日本人として、一番身近にあるこの問題は「在日コリアン」の権利などに関するものだと思います。黒人と同じく「帰る場所の無い」「自らの意思で無い」といった問題を抱えています。「在日コリアン」に対して、あるべき制度は何か。これは僕としても考え、取り組んでいきたいことです。１つだけ在日コリアンの制度的差別の例を挙げておきます。朝鮮学校卒業生には大学入学資格が自動付与されていません。高校を卒業していない人同様、大検を受けるか志望大学で審査を受ける必要があります。（朝日新聞社・編『朝日キーワード2004』より）これはほんの一例で、在日コリアンに対して、一般の日本人の知らない差別があるのが現状です。在日コリアンの友人を持つ僕としては「ふーん、そう」と言える事ではないです。　※但し、僕の記憶が確かなら「帰化をして日本国籍を持てば、日本人とほぼ同じ権利を得る」ので（あってる？）、人種と国籍が複雑に絡んでくるのですが…。＜あとがき＞こういった事を書くときの「言葉選び」は本当に難しいです。「日本人」と一括りにしたけど、国籍でいう「日本人」だって人種が1つじゃありません。アイヌ人はいるし、琉球人ってのも分けられるだろうし、そして日本国籍を取得した在日コリアンもいます。すごく悶々しながら書かざるを得なかったです。「きっと、日本人だから見えてないことってありますよね」とメールをくれた後輩も言っていますけど、日本に居たら意識しないんですが、「人種と国籍って一致しない」んですよね。頭でわかっていても、それを言葉に反映するのって頭を捻ってもやりきれない。書きながら、所々で「これじゃ国籍の話になってる」とか自己嫌悪に陥りながら書く羽目に…。今度このテーマを扱うときはもうちょっと練り上げておきます。また、どこを取り上げていいやらで支離滅裂になってしまって申し訳ありませんでした。言いたい事があっちゃこっちゃに…。＜まとめ＞１．人種の定義が難しい２．人種とかどうとかいうより、はじめから一人一人はまったく違う性質３．イタリア人は男前か４．僕は生まれ変わっても僕がいい５．環境が人種を作っていった６．在日コリアン

August 2, 2004

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外国人労働者とテレビの話

29 July　(Thu)＜新聞ネタ（２）　外国人労働者＞パボアホイジオタさんの所で外国人労働者受け入れ問題について書いてあったので影響されて書いてしまいました。産経新聞7月11日より。いま、韓国、フィリピン、タイ、マレーシアのアジア4カ国との自由貿易協定（FTA）、あるいは経済連携協定（EPA）交渉が本格化しています。その中で議題にあがっているのが「日本の労働市場の開放問題」です。韓国は、医師・看護婦・助産婦の、フィリピンは、看護士・介護福祉士の、タイは、調理師、保育士、タイ式マッサージ師の受け入れを求めています。家事ヘルパーやベビーシッターの希望もあります。政府は平成11年（1999年）に閣議決定で「専門的・技術的分野の外国人は積極的に受け入れるが、単純労働者は慎重に対応するという基本方針を決めました。ですが、「縦割り行政の悪弊が出て、総合的取り組みに至っていない」とのことです。「安易な受け入れは危険で、国益に反する」（原文ママ。「国益」って何やねん、ってツッコミたくなりましたが）と言うのは解りますが、現在は「受け入れ」のハードルがとても高いのです。医師は、日本の医学部卒業後六年に限り特定地域で研修目的で滞在が許され、看護士も日本の看護学校卒業後4年間、研修滞在が認められているんですが、そのハードルの高さから実行は上がっていないようです。同記事によると、日本経団連が今年4月「外国人受け入れ問題に関する提言」を行なったそうなので、そちらを見てみたいと思います。http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2004/029/honbun.html#s1･･･読もうとしたんですが、ちょっと長すぎるので…。今度、時間が出来れば僕なりにまとめてみます。って訳で飛ばします。「日本の失業者問題」に関する話題に戻りますが、外国人労働者を受け入れるべきか否か、と言う問題は国内問題と同時に外交問題でもあるんだと僕は思います。EPA（経済連携協定）に絡んだ、自由貿易との関係があるんじゃないのか、と推測します。関税の撤廃など貿易に関する障害をなくそうとするFTA（Free Trade Agreement/Area・自由貿易協定／地域）と異なり、EPAは人材の交流も視野に入れています。そして、ASEAN（東南アジア諸国連合）はインドや中国との結びつきを強めています（朝日新聞社『朝日時事キーワード2004』）。一方、「日本の及び腰が目立つ」と評されるのが日本の状況です。要するに、政府が外国人受け入れに動き出した背景には「アジア諸国との良好な貿易関係」があるのではないのでしょうか。パボアホイジオタさんが指摘していたように、外国人の受け入れをしなくとも、日本は今国内に失業者を抱えており、労働力は潜在します。特に若年層（15～24歳）の失業率は約10％で全体の2倍であり、「現在就職活動をしていないが、就職を希望する人」を含めた潜在的な失業率は14％に上ると見られています。そして、フリーターの数は1992年の約2倍です（『朝日キーワード2004』より）。しかも、2002年に摘発（逮捕・書類送検）された来日外国人は1万6212人（前年比10.6％増）、摘発件数は3万4716件（同25.2％増）で、いずれも過去最悪。摘発された理由の大半は不法滞在だが、中国人の不法滞在の大半は密航請負組織「蛇頭」によるもの（同著より）。「外国人の受け入れによって凶悪犯罪が増える」と短絡的に考えるのは問題とは思いますが、安易な受け入れによって日本人の中の「社会不安」が増大するのは確かであると思われます。それゆえ、政府は「専門的・技術的分野の外国人は積極的に受け入れるが、単純労働者は慎重に対応するという基本方針」を打ち出した訳です。ちょっとまとまりがなくなってきたので、この辺で整理しますと、（１）外国人受け入れ問題は国内問題であると同時に、貿易に関連した外交問題でもある（２）積極的に受け入れる外国人の職業分野は限られている（３）外国人流入は日本人の社会不安につながる恐れがある。（４）日本の失業問題にも解決の糸口が必要だ以上の事から、日本国内の失業者が、外国人受け入れで仕事を失ってしまうのは避けるべきであるけれど、良好な貿易関係を作る上で外国人受け入れは重要な役割を果たすので、アジアからの受け入れ要求を無視する訳にはいかない。その際に、受け入れが日本人の社会不安につながらないようにする為にも、治安面の問題を視野に入れた、相互理解を促すものにしなくてはならない。という結論に僕はなりました。（あくまで一大学生が考えた机上の考えですので、これを読んだ人は鵜呑みにしないで、アカン所は文句言って下さいね）これの解決策を無理やり上げるとすれば、「失業者対策と文化交流を同時に出来る案を考えて、日本人と外国人、日本とアジア諸国がWin-Win関係になるようにしてみる」というのはどうでしょう？今の失業者がどのような人たちかを知っている訳ではないのですので、想像でいきます（つまり信じないで下さい）。（案１）日本教師年を召した世代の方は日本の事を良く知ってますよね。そんな中年以上の失業者に外国人対象の「日本教師」になってもらう。外国人労働者も日本の事をよく知ってから来るわけではないでしょう。彼らに日本の文化や言葉を教える役目です。ホームステイをさせるのも良いかも知れません。これで、相互に文化を理解する機会が与えられ、失業者にも就労機会が与えられます。その為の費用は相手国か日本政府、あるいは外国人労働者が支払うことにするのです。自分で書いておいてなんですが、この案、問題山積みですね。（案2）海外派遣若い世代の失業者にアジアで就労経験をさせる。これこそ無茶です（笑）。「文化間の相互理解」なしでは継続的な受け入れができないと思う気持ちがありますので、それを考えてしまうと、どうしてもこんな無茶な案になってしまいました（ただの勉強不足ですね）。最後に。これは純粋な疑問なんですが、何が失業者を失業者にさせるのでしょう？それを知らない限り、この問題に対してこれ以上踏み込めないので、知っている方がいたら教えて下さい。ちなみに、これを書いたのはかなり前の話ですので（もっとまとまって無かったので）、今、掲示板を見たら話が進んでいました。テスト前は色々忙しいみたいです。続きを書いたFDを持ってくるのを忘れたし･･･。（続き）余談。こんな途方も無い事を言ってまで例示したかった事と言うのは、「物事は必ずどちらかを犠牲にしなくてはいけないのか」って考えて、道を閉ざすよりも「なんとかして、両者にメリットをもたらすようなアイデア（代替案）は無いか」を模索する事をしてみたかったのです。問題は、現実的な代替案が出て来なかったわけですが…（それが一番大事な問題ですけどね）。＜日本語教師が増えました＞この日記で度々言ってきましたが、僕はディビッドというイギリス人に英語を教えています。彼は、銀行に勤める一方で、英語教師のバイトをしていながらアーティストであり、映画や音楽などの日本文化に興味があって、ゆくゆくは日本で英語教師をしようとしている20代後半の紳士です。ディビッドと会ってから随分経つのですが、どこで何曜日に何時からやろう、というものが全くありません。結構大変です。毎週、ギリギリまでメールで話し合って、最終的に何処かのBarに行きます。（今、思い出したけど、ビアガーデンってBeer Gardenですよね？なんでビールガーデンじゃないのかなぁ？語呂の問題？）今回は理性担当のTomoko（トモコンピューター内臓）とボケ担当のAyako（ボケマシンガン常備）が参加です。そういう訳で、この前のような遠い場所（11時から徒歩30分の帰り道）ではヤバイでしょ？と嘆願。結果、前に住んでいた寮の近くにある船の形をしたBarにて7時半から。別にBarである必然性は無いのだけど、「じゃあ何処のBarにしようか」というディビッドの言葉に惰性で乗ってます。（まぁ、Bar以外の店は閉まるのだけどね）では授業の話。今までは、ほとんど「英語に日本語が混ざる」っていう感じだったんだけど、英語教師の資格がある（んだっけ？）アヤコが参戦した事で大幅に改善。ディビッドに日本語で話しかけて、そこで得た日本語を使わす機会を作る。具体的には、アヤコが日本語で自己紹介をして、わからない単語を残りの2人がフォロー。自己紹介が終わった後に、「ではディビッドさんの自己紹介をお願いします」と。いや、巧いわ。アヤコはボケだけでは無い事がこの日、証明されました。アヤコは次回以降も参加の予定です。＜テレビを見ていたら（１）アメリカの政治＞日本語の授業が終わってから、アヤコを寮まで送りました。僕の家から10分位向こう側です。初めての道だったので、送り終えてから帰れるかすっごく不安だったんですが、知っている道に着く事ができました（ここで迷ったら洒落にならんかったです。人通りもほとんどない夜ですので道も聞けない）。安心して曲がり角を曲がったら、違う曲がり角。迷う事はないんですが、余計に10分ほど歩く事になりました。しかも小雨パラパラ。僕の方向音痴はもはや決定的です（泪）。シャワーを浴びて、猫に餌をあげて、ご飯を食べながらテレビを見ていたら、アメリカの演説をダイジェストでやっていました。そこで出て来たのがケリーの奥さん（法律家をしてて、お金持ちで、最近失言したって話を聞きましたが…）。この国では大統領候補の奥さんも演説するんだなぁ、って改めて知りました。＜テレビを見ていたら（２）Black Rain＞チャンネルを適当に回していたら、日本語が出てきたので見てみた。高倉健が出てくるヤクザものだったんですが、結構ツッコミどころが多い。・字幕があまりない。ヤクザが交渉している時はさすがに出てくるんだけど、極力字幕を避けているのかな？　日本語を知っている人がそれほど多いわけでも無いだろうし。　ラーメン屋での会話とか、「これでパンでも買って」とか、話の筋に関係の無い、そしてそれゆえに字幕無しでは全くわからないであろう会話が、日本語で字幕無しで繰り広がる。・主人公の敵（かたき）役のアジトに「ころせ」って平仮名で書いた紙が貼ってあった。…えーと(　´_ゝ`）・自転車が多すぎる。中国くらい。・銃を持って、敵役を追いかける主人公！…勿論パトカーに捕まります。　でも、なぜか強制送還される飛行機から脱出に成功。最終的に敵役を警察に突き出すことで警視総監賞をもらってるんですが、前述の罪は良いんですかね？　日本って法治国家ではなかったのかもしれません(　´_ゝ`）　ハリウッド的国家（終わりよければ全て良し！）とか？・健さん宅に「功者労」と書いた額縁。順番おかしくないっすか？（それとも、こういうのがあんの？）・ヤクザのアジトが異常。すっごく田舎で、農業を営み、畜産し、風車が回る。そんな場所にある立派な日本風の建物で盃を交わすのってどうなんでしょうかいな？・このアジト、日本以外で撮影したのかな？って思ったんだけど、日本車のナンバープレートがついていたから日本なんだろうなぁって勝手に推測。その後ふと考えたんだけど、大陸でつながっているような国同士でもナンバープレートって国ごとに違いますよね？その辺の統一ってどうなってるのかな？日本じゃあ、日本のナンバープレートしか見た事がないからよく解らないんだけど。・何気に高倉健の英語が巧いと思いました。色々突っ込んでおいてなんですけど、面白かったです。

July 29, 2004

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