時速194キロは危険運転?
以下、ネットニュースから全文引用。大分市で2021年、時速194キロで乗用車を走行して右折していた車に衝突し、同市の会社員小柳憲さん(当時50歳)を死亡させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)に問われた元少年(23)の裁判員裁判の初公判が5日、大分地裁であった。この裁判は過失運転致死か危険運転致死かを争う裁判。弁護士曰く、194キロ出ていても直進できていたのだから、云々。かつて、類似事案の裁判で高速でも安定して直進できていたのだから危険運転には該当しない。そういう判例がでてしまっている。今回は194キロという制限速度の3倍超ではどうなのか?そういうレベルの話だろうと思う人もいるだろう。根本的に本件の弁護士はおろか、判例も間違っている。多くの車は直進性は自律的に維持されている。荒れた地面を運転していても相当でなければ直進できる、アレ。基本的には路面不整や横風などの外乱を受けながらも直進を自律的に保とうとする性質のこと。スポーツカー等はこの直進安定性は高速であっても高い。同様事案として、制限速度70キロ超の120キロでの死傷事故の例では、ちゃんと直進できていたのだから運転の制御はできていた、として危険運転致死傷ではなく過失運転致死傷の判決が出た。危険運転致死傷罪の定義として次のような記載がある。「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」この「制御することが困難」かどうかという点が争点になるわけだ。条文上の次の記述がネックになる。「その進行を」。回避不能であれば、「車の制御」はできていないともいえるが、「その進行を」の記述があるために「直進できている」という論理が成り立つ。直進という進行を制御して維持できている、と。そういう解釈に沿った判例ができあがったのは残念なことではあるが、条文の読みようによってはそういうことになる。日本の法律は憲法9条を筆頭にどうとでも解釈できかねないものが多い。日本語特有の「あいまいな表現」をふんだんに盛り込んでいるためだ。おそらく、今回も危険運転致死ではなく、過失運転致死の判決になるだろう。遺族の方にとっては非常に残念なことだろうけれども、それが現実。条文を変更しなければ、直進(道なりのゆるやかなカーブ含む)高速運転は危険運転にはならない。なんぼ速度が出ていても「その進行(直線運転)は制御できている」のだから。仮に「その進行」でなく「車両」としていたら、危険運転が適用される可能性はあった・・・とは思うけどね。回避行動は「その進行の制御」ではなく「車両の制御」ダロ。端的に思いついたから書いてみたけど、そう変更されるとも限らない。危険運転致死傷罪が作られた時のことを思い出そう。 「東名高速道で飲酒運転のトラックが女児二人を死亡させた 1999年の東名高速飲酒運転事故などをきっかけに2001年に制定された」などとネット上には情報があがっている。(特に罰則を伴う)法律とは後付けで作られていくものが圧倒的に多く、今回の194キロ事故によって、危険運転致死傷罪の条文は変わるかもしれない。でも、現行法では過失運転致死傷罪にしか問えないだろぉ。それが「残酷」でもある「法の下での平等」ってやつだ。(条文にのっとり完全な違反行為でなければ罰則を適用することはできない)どれだけ黒に近いグレーであっても、真っ黒でなければいい。いわゆる「法の抜け道」というやつもソレだ。はい。最後まで読んだ方、ご苦労様でした。おしまい。