国民の8割が望む「脱原発」への希望の星は「目覚めた」菅首相
そもそも、菅首相は正式就任直前から、外務官僚に足をすくわれています。これから皇居で認証式が始まるという直前に、オバマ大統領との電話会談をお膳立てされ、うかうかと「沖縄基地問題は日米合意の通りやります」などと言ってしまった(言わせられた?)のです。仮に、アメリカ側から申し入れがあったとしても、外務省は、天皇認証が済んでいないという理由で翌日にしてもらうこともできたはずです。「考えるヒマを与えない」のが、彼らが閣僚などを篭絡する典型的な手法の一つです。それ以来、沖縄基地問題や地震・原発問題など政治のあらゆる局面で、菅首相が官僚たちに篭絡され続けてきた姿は、ご存知の通りです。元外務官僚の佐藤優さんも、《霞ヶ関の「陰険力」は相当のものだ》 と書いておられます。そして菅首相は、ごく最近になって、ようやくそれに気づかれたようです。 「目覚めた」菅首相の孤軍奮闘によって、「原発自然死」の可能性も出てきましたね。日本の商用原発が54基あることはご存知の通りですが、いま稼動しているのは17基だけで、合計出力は1,550万キロワットに過ぎません(定期検査の最終段階で調整運転中の北海道電力泊3号機と関西電力大飯1号機を除外)。そして、これから続々と定期検査に入るので(再稼動がないとすれば)、稼動する原発は、この夏には12基1043万キロワット、秋には8基764万キロワット、冬には1基136万キロワット、そして春にはゼロとなります。 もともとトラブルや点検による停止が多く、しかも全体として余剰設備なので、原発の稼働率は極めて低く、先に紹介した「週刊東洋経済(6月11日号)」の記事によると、(原発を持たない沖縄電力を除いて)昨夏のピーク需要量は約1.8億キロワット、このうち原子力が担ったのは1,500万キロワットに過ぎません。既に始まっている企業や家庭での広範な節電対策を考えれば、今夏のピーク需要は、仮に猛暑になったとしても、昨夏を相当下回ることは間違いないでしょう。逆に「3.11」以降、隠れていた火力発電が「掘り起こされ」て、その能力は相当に増強されています。 一方、(マスメディアが決して触れないことですが)民間企業の自家発電能力は6,000万キロワットで稼働率は約50%です。つまり、これがフル稼働すれば3,000万キロワットが新たに生み出されるわけで、もともと〔原発=ゼロ〕でも日本の「電力の安定供給」には何の問題もありません。つまり、日本では実質的に「脱原発は既に実現している」のです。必要なのは、エネルギーを流通させる簡単な仕組みだけです。多くの日本人が信じ込まされてきたのは、電力業界の代表として東京電力が台本を書き、それに経産省の官僚たちや「(東大教授を主体とする)原子力村の御用学者たち」が手を入れて練り上げ、金権政治家たちが法律にし、マスメディアが国民のマインドコントロールを担当してきた「壮大な幻想」です。そして始末の悪いことに、いつの間にか仕掛け人の側も、「幻想」と「現実」との見境がつかなくなっている。だから、その「幻想」の上に、いくらでも論理の花を咲かせることができる、恥ずかしげもなく。 電力業界が「支配下の」経産省やマスメディアを通じて流す、「大停電が起こる」、「計画停電が必要になる」、「発電コストが上昇し電気料金が高くなる」、「工場の海外逃避が起こる」などの「脅し」に騙されないようにしましょう。こういうことについて、マスメディアの「筆先による」人心誘導にも注意してください。読売や産経のように、もともと見え見えの超保守メディアに騙されることはないでしょうが、朝日のように一見リベラル(そして公正)を装う「(電力業界等からの)広告欲しがり屋」の言説には巧妙な仕掛けがあります。 今回、菅首相が何に対して「目覚めた」かは明らかで、先の計画停電といい、今回の安全宣言(停止中原発の運転再開要請)といい、すべて経産省の官僚たちに(つまり電力業界に)自分がいいように操られてきたこと、そして海江田経産相は「(官僚が作った)筋書きナレーター」に堕していたということでしょう。しかも海江田経産相は(この重要な問題を)事前に首相に相談しないで、勝手に安全宣言をやった。もし菅首相が退陣すると、民主党内の「(岡田、前原の両氏を筆頭とする)魑魅魍魎たち」が、自民・公明と組んで時計の針を180度巻き戻し、国民不在の政治へ突っ走るでしょう。 党内やマスメディアの評価(不評)がどうであろうと、いまは菅首相に(いつまでも退陣しないで)頑張ってもらうしかないと思いませんか。気づいて本筋に戻るなら、「迷走」は許されます。 願わくば、単にEUを真似るのではなく、「地震国日本」の、国民の総意を在任中に現実化して欲しいものです。人間社会に神様などいないのだから、「いま現在ベターな選択は何か」という観点で考えないと、物事はいい方向に進みません。今こそ菅首相に対して、周りの陰湿な策謀に「腰砕け」にならず、信念を貫くように大いに声援を送ってあげようではありませんか。 ~「ガイア・アセンション」より