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●等身大のサンタクロース
今年は、等身大のサンタクロースを、教室に置いた。踊って歌を歌う、スグレもの。しかしこの人形がこわくて、教室へ入れない子どもも、何人かいた。 「こわい!」「止めて!」と。 ●ゲームは、サッカー 今週は、サッカーゲームを、教室の中に置いた。手で操作しながら遊ぶという、ゲームである。みんな夢中になった。 「今年のクリスマスプレゼントには、これがほしい」と言う子どもが、続出。 私は、こう言った。「みんなでするから、楽しいのだよ。ひとりでしても、おもしろくないよ」と。 私も子どものころ、野球盤ゲームがほしくてほしくて、たまらなかった。で、あるときとうとう買ってもらったが、手に入れたとたん、興味をなくした。そんな思い出があるから、そう言った。今日からクリスマスシーズン。あちこちで、クリスマスのイベントが、始まった。(11・26) ●肩書き社会、日本 この日本、地位や肩書きが、モノを言う。いや、こう書くからといって、ひがんでいるのではない。それがこの日本では、常識。 メルボルン大学にいたころのこと。日本の総理府から派遣された使節団が、大学へやってきた。総勢30人ほどの団体だったが、みな、おそろいのスーツを着て、胸にはマッチ箱大の国旗を縫い込んでいた。 が、会うひとごとに、「私たちは内閣総理大臣に派遣された使節団だ」と、やたらとそればかりを強調していた。つまりそうことを口にすれば、歓迎されると思っていたらしい。 が、オーストラリアでは、こうした権威主義は通用しない。よい例があのテレビドラマの『水戸黄門』である。今でもあの番組は、平均して20~23%もの視聴率を稼いでいるという。 が、その視聴率の高さこそが、日本の権威主義のあらわれと考えてよい。つまりその使節団のしたことは、まさに水戸黄門そのもの。葵の紋章を見せつけながら、「控えおろう」と叫んだのと同じ。あるいはどこがどう違うのか。が、オーストラリア人にはそれが理解できない。 ある日、ひとりの友人がこう聞いた。「ヒロシ、もし水戸黄門が悪いことをしたら、どうするのか。それでも日本人は頭をさげるのか」と。 この権威主義は、とくにマスコミの世界に強い。相手の地位や肩書きに応じて、まるで別人のように電話のかけ方を変える人は多い。私がある雑誌社で、仕事を手伝っていたときのこと。相手が大学の教授であったりすると、「ハイハイ、かしこまりました。おおせのとおりいたします」と言ったあと、私のような地位も肩書きもないような人間には、「君イ~ネ~、そうは言ってもネ~」と。 しかもそういうことを、若い、それこそ地位や肩書きとは無縁の社員が、無意識のうちにそうしているから、おかしい。つまりその「無意識」なところが、日本人の特性そのものということになる。 こうした権威主義は、恐らく日本だけにしか住んだことがない人にはわからないだろう。説明しても、理解できないだろう。そして無意識のうちにも、「家庭」という場で、その権威主義を振りまわす。「親に向かって何だ!」と。 子どももその権威主義に納得すればよし。しかし納得しないとき、それは親子の間に大きなキレツを入れることになる。親が権威主義的であればあるほど、子どもは親の前で仮面をかぶる。つまりその仮面をかぶった分だけ、子どもの子は親から離れる。 ウソだと思うなら、あなたの周囲を見渡してみてほしい。あなたの叔父や叔母の中には、権威主義の人もいるだろう。そうでない人もいるだろう。しかし親が権威主義的であればあるほど、その親子関係はぎくしゃくしているはずである。 ところで日本からの使節団は、オーストラリアでは嫌われていた。英語で話しかけられても、ただニヤニヤ笑っているだけ。そのくせ態度だけは大きく、みな、例外なくいばっていた。このことは「世にも不思議な留学記」※に書いた。それから三〇年あまり。日本も変わったが、基本的には、今もつづいている。 +++++++++++++++++++ 意識の違いというのは、恐ろしい。その意識にどっぷりとつかっていると、ほかの世界が理解できなくなる。それだけならまだしも、自分がおかしな世界に入っていても、それに気づかなくなる。 典型的な例としては、宗教の世界がある。その世界の外にいる人からみれば、「おかしい?」と思うようなことを、平気で、しかも、ま顔でしている信者は、いくらでもいる。 そこで大切なことは、いつも、自分の意識を疑ってみること。自分の意識を、ふつうだと思ってはいけない。絶対だとは、さらに思ってはいけない。意識というのはそういうもので、またそういう前提で、いつも自分の意識を、疑ってみる。 それは、ものを考えるとき、たいへん重要なことである。……というようなことを、K国の子どもたちを見ながら、考えた。 +++++++++++++++++++++ ついでに、少し前に書いた原稿を添付します。 +++++++++++++++++++++ ●子どもの意識 フロイトは、子どもの記憶について、つぎのようなことを書いている。 つまり幼児期記憶の回想について、「言葉や観念によって思い出すという形で回想するだけなく、むしろその回想する体験にともなう感情や対人関係のパターン、態度のほうを先に反復する」(「フロイト思想のキーワード」小此木啓吾・講談社現代新書)と。 このことは、たとえば子どもに、ぬいぐるみを与えてみればわかる。心豊かで、愛情に恵まれて育った子どもは、ぬいぐるみを見ただけで、うれしそうな笑みを浮かべ、さもいとおしいといった様子で、それを抱こうとする。それはぬいぐるみを見たとき、自分自身が受けた環境を、その場で再現するからである。 あるいは絵本を与えてみればわかる。「あっ、本だ!」と喜んで飛びついてくる子どももいれば、目をそむけてしまう子どももいる。その本の内容を確かめる前に、だ。こうした違いは、「本」というものに、よい印象をもっているかどうかで、決まる。 幼いときから、たとえば親に抱かれて本を読んでもらった子どもは、本を見たとき、その周囲の状況や情景を、心の中で再現する。つまり本にまつわる「温もり」を、そこに感ずる。だから本を見ただけで、それを好意的にとらえようとする。一方、たとえばカリカリとした雰囲気の中で、無理に本を読まされて育ったような子どもは、本を見ただけで、逃げ腰になる。 このことは、人間関係にも影響する。私はメガネをかけているが、初対面のとき、私の顔を見て、こわがる子どもは少なくない。そこで理由を聞くと、親は、たとえばこう言う。「近所にこわい犬を飼っている男性がいて、その人がメガネをかけているからではないでしょうか」と。つまりその子どもにしてみれば、(こわい犬)→(こわい人)→(メガネ)→(メガネの人は、こわい)ということになる。 フロイトは、こうした現象を、「転移」と呼んだ。しかしこうした転移は、おとなの世界でも、ごく日常的に見られる。とくに人間関係において、それが顕著に見られる。たとえば、電話の相手によって、電話のかけ方そのものが、別人のように変わる人がいる。自分より目上の人だとわかると、(無意識のうちに、しかも即座にそれを判断するが)、必要以上にペコペコする。一方、目下の人だとわかると、今度は必要以上に、尊大ぶったり、威張ったりしてみせる。 で、こういう人にかぎって、……というより、例外なく、テレビドラマの『水戸黄門』の大ファンであったりする。三つ葉葵の紋章か何かを見せて、側近のものが、「控えおろう!」と一喝すると、周囲の者たちが、「ハハアー」と言って、頭をさげる。このタイプの人は、そういう場面を見ると、痛快でならない。……らしい。 そこでさらに調べていくと、こういう人たち自身もまた、そうした権威主義的な社会、あるいは家庭環境の中で育ったことがわかる。つまりこうした感情なり、言動は、それぞれ一貫性をもってつながっている。(権威主義的な環境で生まれ育った)→(自分自身も権威主義的である)→(無意識のうちにも、それがその人の価値観の根底にある)→(無意識のうちにも、人を上下関係を判断する)→(水戸黄門が痛快)と。 言うなれば、水戸黄門を見ることで、このタイプの人は、自分の価値観を再確認しているのかもしれない。その確認ができるから、水戸黄門はおもしろく、また痛快ということにもなる。 何だか、話が込み入ってきたが、要するに、子ども、なかんずく幼児を相手にするときは、表面的な「心」とは別に、「もうひとつの心」を想定しながら、接するとよい。たとえば何らかの学習をさせるときも、(何を覚えたか、何ができるようになったか)ではなく、(そのことが全体として、どのような印象をもって、子どもの心の中に残るだろうか)を、考えながらする。そしてその印象がよいものであれば、よし。そうでなければ、失敗、と。 先にあげた例で言うなら、子どもに絵本を見せたとき、「あっ、本だ!」と飛びついてくれば、よし。逃げ腰になるようであれば、失敗、ということになる。フロイトの言葉を借りるなら、「よい転移ならよし。悪い転移には気をつけろ」ということになる。 これを私たちの世界では、「前向きな姿勢」と言っているが、この時期は、こういう前向きな姿勢を育てることを大切にする。この前向きな姿勢があれば、子どもは自らの力で、前向きに伸びていくし、そうでなければ、そうでない。が、それだけではすまない。一度子どもがうしろ向きになってしまうと、それをなおすのに、それまでの何十倍もの努力が必要になる。 たとえば小学校の入学までに、一度本嫌いになってしまうと、以後、好きになるということは、ほぼ絶望的であると言ってもよい。「だから幼児教育は大切だ」と言ってしまえば、あまりにも手前ミソということになるかもしれないが……。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.11.26 07:27:07
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