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楽天・日記 by はやし浩司

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2006年07月26日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
【心のキズ】

●子どものうつ病

+++++++++++++++++

うつ病の素因(遠因)は、満5歳から
10歳ごろまでに、つくられるという。

しかもその主なる原因は、離別体験だ
という。

つまり幼少期に親と離別体験を経験した
子どもほど、のちにおとなになって
から、うつ病(抑うつ状態)に
なりやすいということがわかって
いる。

もし今、あなたがうつ病、もしくは
うつ病的な傾向があるなら、まず、
自分の過去をのぞいてみよう。

それがあなたの心を守る第一歩となる。

++++++++++++++++

●幼少期の離別体験

 児童期の喪失体験が、子どもの抑うつ状態と、深く関係しているという(社会精神医学、7;114―118)。

 いわく「10歳以前の両親のいずれかと死別体験、もしくは、分離体験という喪失体験が、正常対象群(9%)に対して、患者群(39%)に有意の差をもって多く認められた。

 しかし抑うつ状態の診断下位群、抑うつ状態の臨床結果とは特異な所見を得られなかった。

 さらに5~10歳までが、喪失体験が抑うつ状態の素因を形成するための臨界期であろうと推察した」と。

 わかりやすく言うと、こうなる。

10歳以前に、両親のいずれかと死別、もしくは分離体験をした子どもほど、のちにおとのなになってから、抑うつ状態になりやすいということ。

 同じような報告は、イギリスのバーミンガム病院でも、報告されている(精神医学、28;387~393、1986)。

 精神障害のある39人の患者について調べたところ、「15歳以前で、12か月以上の離別体験をもった人」は、そうでない人よりも、明らかに関連性があることがわかったという。

 しかもこの報告で、興味深いのは、異性の親(男児であれば、母親、女児であれば、父親)との離別体験をもった人ほど、「有意な差」が見られたという。

 さらに報告書は、こう書いている。

 「死別体験は家族歴の有無と、有意の関連を呈さなかったが、離別体験は家族歴の有無と有意(exact probability test, p=0.026)の関連をもち、この傾向は、離別の対象が異性の親である際に強いものであった。

 異性親からの離別を体験したものは、家族歴を有する20人のうち、7名(35%)であるのに対して、家族歴を有さないもの19名では、皆無(0%)であった。

 このことから、うつ病発症に関与していると考えられる幼少期の離別体験は、一部には、家族員の精神疾患から発生したものである可能性が示された」(北村俊則)と。

 以上を、わかりやすくまとめると、こうなる。

(1) 10歳以前に親との死別体験や離別体験をもった人ほど、うつ病になりやすい。
(2) 異性の親との死別体験や離別体験をもった人ほど、うつ病になりやすい。
(3) 家族のだれかに精神疾患があった人ほど、うつ病になりやすい。

 かなり乱暴なまとめ方なので、誤解を招く心配もないわけではないが、おおざっぱに言えば、そういうことになる。そしてこうした調査報告を、裏から読むと、こうなる。

(1)10歳以前に、子どもに、離別体験を経験させるのは、避けたほうがよい、と。

 しかし実際には、たとえば親の離婚問題を例にあげて考えてみると、離婚(離別)そのものが子どもに影響を与えるというよりは、それにいたる家庭内騒動が、子どもに影響を与えるとみるべきである。バーミンガム病院での報告書にも、「死別体験は家族歴の有無と、有意の関連を呈さなかった」とある。

 解釈のしかたにも、いろいろあるが、死別のばあいは、離婚騒動で起きるような家庭内騒動は、起きない。

 だから離婚するにしても、(それぞれの人たちは、やむにやまれない理由があって離婚するので)、子どもとは無縁の世界で、話を進めるのがよいということになる。子どもの目の前で、はげしい夫婦げんかをするなどという行為は、タブーと考えてよい。

 また、この調査結果は、もうひとつ重要なことを私たちに教えている。

 もし今、あなたがうつ病、もしくはうつ病的な傾向を示しているなら、その原因は、ひょっとしたら、あなた自身の幼少期に起因しているかもしれないということ。(うつ病の原因が、すべて幼少期にあると言っているのではない。誤解のないように!)

 そこであなたは、自分の過去を、冷静に、かつ客観的に見つめなおしてみる。

 しかし問題は、あなた自身が、そういう過去を経験したということではなく、そういう過去があることに気がつかないまま、そういう過去の虜(とりこ)となって、その過去に操られることである。

 そこでまず、自分の過去を知る。

 もしそのとき、あなたが心豊かで恵まれた環境の中で、育てられたというのであれば、それはそれとして結構なことである。が、反対に、ここでいうような不幸な体験(親との死別体験や離別体験)を経験しているなら、あなたの心は、何らかの形で、かなりキズついているとみてよい。

 しかしそれがこの問題を克服する第一歩である。

 自分の過去を知り、自分の心のキズに気がつけば、あとは、時間が解決してくれる。5年とか10年とか、あるいはもっと時間がかかるかもしれない。が、あとは、時間に任せればよい。少なくとも、自分の(心の敵)がわかれば、恐れることはない。不必要に悩んだり、苦しんだりすることもない。

 うつ病にかぎらず、心の問題というのは、そういうものである。

 私自身の経験を書いたエッセーが、つぎのものである。

Hiroshi Hayashi+++++++++++はやし浩司

●心のキズ

 私の父はふだんは、学者肌の、もの静かな人だった。しかし酒を飲むと、人が変わった。今でいう、アルコール依存症だったのか? 3~4日ごとに酒を飲んでは、家の中で暴れた。大声を出して母を殴ったり、蹴ったりしたこともある。あるいは用意してあった食事をすべて、ひっくり返したこともある。

私と5歳年上の姉は、そのたびに2階の奥にある物干し台に身を潜め、私は「姉ちゃん、こわいよオ、姉ちゃん、こわいよオ」と泣いた。

 何らかの恐怖体験が、心のキズとなる。そしてそのキズは、皮膚についた切りキズのように、一度つくと、消えることはない。そしてそのキズは、何らかの形で、その人に影響を与える。

が、問題は、キズがあるということではなく、そのキズに気づかないまま、そのキズに振り回されることである。

たとえば私は子どものころから、夜がこわかった。今でも精神状態が不安定になると、夜がこわくて、ひとりで寝られない。あるいは岐阜の実家へ帰るのが、今でも苦痛でならない。帰ると決めると、その数日前から何とも言えない憂うつ感に襲われる。

しかしそういう自分の理由が、長い間わからなかった。もう少し若いころは、そういう自分を心のどこかで感じながらも、気力でカバーしてしまった。が、50歳も過ぎるころになると、自分の姿がよく見えてくる。見えてくると同時に、「なぜ、自分がそうなのか」ということまでわかってくる。

 私は子どものころ、夜がくるのがこわかった。「今夜も父は酒を飲んでくるのだろうか」と、そんなことを心配していた。また私の家庭はそんなわけで、「家庭」としての機能を果たしていなかった。家族がいっしょにお茶を飲むなどという雰囲気は、どこにもなかった。

だから私はいつも、さみしい気持ちを紛らわすため、祖父のふとんの中や、母のふとんの中で寝た。それに私は中学生のとき、猛烈に勉強したが、勉強が好きだからしたわけではない。母に、「勉強しなければ、自転車屋を継げ」といつも、おどされていたからだ。つまりそういう「過去」が、今の私をつくった。

 よく「子どもの心にキズをつけてしまったようだ。心のキズは消えるか」という質問を受ける。が、キズなどというのは、消えない。消えるものではない。恐らく死ぬまで残る。ただこういうことは言える。

心のキズは、なおそうと思わないこと。忘れること。それに触れないようにすること。さらに同じようなキズは、繰り返しつくらないこと。つくればつくるほど、かさぶたをめくるようにして、キズ口は深くなる。

私のばあいも、あの恐怖体験が一度だけだったら、こうまで苦しまなかっただろうと思う。しかし父は、先にも書いたように、3~4日ごとに酒を飲んで暴れた。だから54歳になった今でも、そのときの体験が、フラッシュバックとなって私を襲うことがある。

「姉ちゃん、こわいよオ、姉ちゃん、こわいよオ」と体を震わせて、ふとんの中で泣くことがある。54歳になった今でも、だ。

心のキズというのは、そういうものだ。決して安易に考えてはいけない。

Hiroshi Hayashi+++++++++++はやし浩司

●私の経験から

 私が、自分の過去を冷静にみるようになったのは、私が30歳もすぎてからのことではなかったか。それについて書いたエッセーが、つぎのものである。内容的に一部、ダブるところがあるが、許してほしい。4年前に書いた原稿である。

Hiroshi Hayashi+++++++++++はやし浩司





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最終更新日  2006年07月26日 08時22分24秒



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