2009/03/27(金)08:19
●入学が不安
●反抗する子ども
【質問2】
子ども(小5男児)を励ますつもりで、何かを言うと、「お母さんだって……」と言い返します。母
親を、ちょっとバカにしているようなところがあります。どうしたらいいでしょうか。
【参考意見】
反抗期ですね。それについて、まとめた原稿を、先に紹介します。
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●反抗期
子どもの反抗期は、おおまかに分けると、つぎの3段階に分けることができる。私自身の経
験もまじえて、考えてみる。
【第1期】
少年期(少女期)から、青年期への移行期で、この時期、子どもは、精神的にきわめて不安
定になる。将来への心配や不安が、心の中に、この時期特有の緊張感をつくる。その緊張感
が原因で、子どもの心は、ささいなことで、動揺しやすくなる。
この時期の子どもは、親に完ぺきさを求める一方、それに答えることができない親に大きな不
満をいだいたり、強く反発したりする。小学校の高学年から、中学校の2、3年にかけての時期
が、これにあたる。
○競争社会の認識(他人との衝突を繰りかえす。)
○現実の自己と、理想の自己の遊離(そうでありたい自分を、つかめない。)
○将来への不安、心配、失望(選別される恐怖。)
○複雑化する友人関係
○絶対的な親を求める一方、その裏切り(親への絶対意識が崩れる)
【第2期】
親からの独立をめざし、親の権威を否定し始めるようになる。「親が、何だ!」「親風、吹かす
な!」という言葉が、口から出てくる。しかし親の権威を否定するということは、自ら、心のより
どころを否定することにもなる。そのため、心の状態は、ますます不安定になる。
こうした独立心と並行して、この時期、子どもは、自己の確立を目ざすようになる。家族の束縛
を嫌い、「私は私」という生き方を模索し始める。さらに進むと、この時期の子どもは、「自分さ
がし」という言葉をよく使うようになる。自分らしい生き方を模索するようになる。中学校の2、3
年から高校生にかけての時期をいう。
○独立心、自立心の芽生え(家族自我群からの独立。幻惑からの脱却。)
○干渉への抵抗(自分は自分でありたいという願い。)
○自己の模索(どうすればよいのかと悩む。)
【第3期】
精神的に完成期に近づくと、親をも、自分と対等の人間と見ることができるようになる。親子
の上下意識は消え、人間対人間の、つまりは平等な人間関係になる。子どもが大学生から、
おとなにかけての時期と考えてよい。
子どもは、この反抗期を経て、家族が家族としてもつ、一連の束縛感(家族自我群)からの独
立を果たす。
○受容と寛容(あきらめと、受諾。)
○社会性の確立(自分の立場を、決め始める。)
○恋愛期(恋をする。初恋。)
○家族への認識と、家庭づくりの準備(結婚観の模索)
こうした一連の流れを、一般的な流れとするなら、そうでない流れも、当然、考えられる。何ら
かの原因で、子ども自身が、じゅうぶんな反抗期を経験しないまま、おとなになるケースであ
る。
強圧的な家庭環境で、子ども自身が、反抗らしい反抗ができないケース。
親の権威主義が強すぎて、子ども自身が、その権威におしつぶされてしまうケース。
家庭環境そのものが、きわめて不安定で、正常な心理的発育が望めないケース。
異常な過保護、過干渉、過関心で、子どもの性格そのものが萎縮してしまうケース。
親自身(あるいは子ども自身)の知的レベル、育児レベルが、低すぎるケース。
親自身(あるいは子ども自身)に、情緒的、精神的問題があるケース、など。
こういったケースでは、子どもは、反抗期らしい反抗期を経験しないまま、おとなになることが
ある。そして当然のことながら、その影響は、そのあとに現れる。
じゅうぶんな反抗期を経験しなかった子どもは、一般的には、自立心、自律心にかけ、生活
力も弱く、どこかナヨナヨした生きザマを示すようになる。一見、柔和でやさしく、穏かで、おとな
しいが、生きる力そのものが弱い。よい例が、母親のでき愛が原因で、そうなる、マザコンタイ
プの男性である。(女性でも、マザコンになる人は、少なくない。)
このタイプの男性(女性)は、反抗期らしい反抗期を経験しないため、自我の確立を不完全な
まま、終わらせてしまう。その結果として、外から見ても、つかみどころのない、つまりは、何を
考えているか、わからないといった性格の人間になりやすい。
そんなわけで、子どもが親に向かって反抗するようになったら、親は、「うちの子も、いよいよ
巣立ちを始めた」と思いなおして、一歩、うしろへ退くようにするとよい。子どもの反抗を、決して
悪いことと決めてかかってはいけない。頭から、押さえつけたりしてはいけない。その度量の広
さが、あなたの子どもを、たくましい子どもに育てる。
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子どもは、反抗しながら、おとなになっていきます。反抗することを、「悪」と決めてかかっては
いけません。それともあなた自身は、いかがでしたか。そんな視点で、一度、自分を見つめて
みると、よいのではないでしょうか。
Q&A INDEX はやし浩司のHPへ
【7】
●入学が不安
【質問3】
2人兄妹の下の子のことです。「泣けば抱っこ」というふうに、何でも許してきました。こまごま
と言わないと、何もしません。春から小学校に入学します。だいじょうぶでしょうか。幼稚園で
は、しっかりとやってくれています。
【参考意見】
要するに依存性の問題ですね。しかし子どもの依存性は、実は、親自身の問題なのです。親
自身が、依存性が強いから、子どもの依存性に甘くなってしまうというわけです。その結果とし
て、子どもに、依存心がついてしまうということになります。
それだけに、この問題は、やっかいです。あなた自身の「心」をつくりかえなければならないか
らです。もっと言えば、子育ては、リズムの問題です。そのリズムを変えるのは、容易なことで
はありません。あるいは突然変えたりすると、今度は、子どものほうが、それに適応できなくな
ることもあります。
昨日まで、「抱っこ」とせがめば抱っこしてくれた母親が、今日から「だめ」と言ったら、子ども
は、どんなふうに感ずるでしょうか。
原因は、あなた自身が、乳幼児期に、どこか不安定な家庭で、依存性の強い子どもに育てら
れたことが考えられます。この問題は、「根」が深いということです。
ただ幼稚園では、「しっかりとやっている」ということですので、お母さんが心配しているほど、
(心配な子)でないことは、考えられます。あるいは外の世界(幼稚園)でがんばっているから、
家の中で、かえって甘える(依存性)という態度をとるのかもしれません。
幼稚園でがんばっているようなら、反対に、ほめてみたらどうでしょうか。「あなたは、よくやっ
ているわよ」「すばらしい子よ」と。
そして母親は母親で、自分の道をさがします。子育てから離れて、自分のしたいことをしま
す。その結果として、子離れをし、子どもに自立を促すようにします。