楽天・日記 by はやし浩司

2009/07/17(金)20:36

●モノより心

生きザマの問題(214)

●イライラする若者たち(文部科学省所管の統計数理研究所) ++++++++++++++++++ このほど文科省は、「日本人の国民性・ 宣告調査」の結果を公表した。 産経新聞、7月17日の記事を、そのまま 紹介させてもらう。 ++++++++++++++++++ ●産経新聞の記事より +++++++++++以下、産経新聞(090717)+++++++++++  経済の低迷が続く中で「自信喪失」から抜け出せず、心のよりどころを模索する傾向が強まっている……。文部科学省所管の統計数理研究所は16日、5年ごとに実施している「日本人の国民性」全国調査の結果を公表した。「生活は貧しくなる」と将来を悲観する人が57%を占め、若者層を中心に「いらいら」が募っているという。同研究所は「調査は不況の影響が広がり始めた昨秋に行った。影響が深刻化している現在は不安感がさらに増しているはず」と分析している。  調査によると、最近20年間で「社会に対する悲観的な見方」が急速に浸透。バブル崩壊後では4回目となる今回の調査でも、「自信喪失」は続いている。  日本の経済力に対しては「非常によい」「ややよい」を合わせた肯定的な評価が37%で、日本経済への自信に満ちていた昭和63年の82%には遠く及ばない。将来展望では「人々が貧しくなる」が5年前の47%から57%に跳ね上がり、「豊かになる」と希望を持つ人は14%から11%に減った。  今回の調査で目立ったのは、社会状況を反映して「いらいら」を募らせる若者が急増したこと。1カ月間に「いらいら」した」人の割合が、20~40代で急増し、20、30代では初めて6割を超えた。  一方、家庭や職場での人間関係を重視し、精神的な充足感を求める傾向も読み取れる。自分にとって一番大切なものは、「家族」が最も多い46%で、50年前(昭和33年)の12%の4倍に迫る。また、「仕事以外で上役とのつき合いがあった方がよい」とする人が20、30代では6割を超え、若い社会人が職場での人間関係を見直す傾向が強まっている。背景には、派遣社員など不安定な雇用環境の広がりがあるとみられる。  人間として大切な道徳を2つ選ぶ質問では「親孝行」(76%)や「恩返し」(57%)を上げる人が多く、「個人の権利を尊重」(27%)や「自由を尊重」(36%)に差を付けた。  初めて質問項目となった「生まれ変わりたい国」では77%が日本と回答。また、科学技術の水準が「非常によい」とする人が10年前の24%から今回は35%に、芸術では7%から13%に伸び、経済以外の分野では「自信回復」の兆しも読み取れる。  調査は昭和28(1953)年から実施。今回は昨年10月下旬から約1カ月かけ、無作為に選んだ20歳以上80歳未満の男女約3300人から回答を得た。 +++++++++++以上、産経新聞(090717)+++++++++++  記事の中に出てくる数字を、まとめると、つぎのようになる。 「生活は貧しくなる」と将来を悲観する人……57% 日本の経済力に対しては「非常によい」「ややよい」……37% (注:日本経済への自信に満ちていた昭和63年の82%には遠く及ばない。) 「人々が貧しくなる」……5年前の47%から、57%に増えた。 「豊かになる」と希望を持つ人……14%から11%に減った。 1カ月間に「いらいら」した」人……20、30代では、初めて60%を超えた。 人間として大切な道徳を2つ選ぶ質問では、 「親孝行」     ……76% 「恩返し」     ……57% 「個人の権利を尊重」……27% 「自由を尊重」   ……36% ●マイナス変化  こうしたアンケート調査が公表されたとき、それに驚くときもある。 しかしその一方で、「まあ、こんなものだろうな」と、納得するときもある。 今回の文科省の統計数理研究所の調査結果を見たときは、後者のほうだった。  私たち団塊の世代は、日本の急速な変化に対して、それについていくだけでたいへん だった。 が、結構それなりに楽しむこともできた。 実際には、怒涛をかけ分け、船をこぐような緊張感とスリルを、いつも肌で感じていた。 こうした前向きな変化を、「プラス変化」と呼ぶなら、現在の若者たちが感じている 変化は、「マイナス変化」ということになる。  たとえばボットン便所から水洗便所への変化は、「プラス変化」、 水洗便所からボットン便所への変化は、「マイナス変化」ということになる。  ものごとは、サッカーの試合でもそうだが、攻勢のときは、おもしろい。 押せ押せムードで、意気もあがる。 しかし一度守勢に回ると、ハラハラドキドキの連続。 それが長くつづくと、この調査結果のように、イライラ感に変化する。 とくに今の20代、30代の若者たちは、日本の高度成長期の波に乗り、飽食と ぜいたくを、ほしいままにした。  私は当時から、現在の(結果)を、予測し、心配していた。 「飽食とぜいたくに慣れきってしまったら、この先、子どもたちは、どうなる のだろう」と。 「今のまま、高度成長がいつまでもつづくはずがない。 経済がマイナス成長になったとき、今の若者たちは、はたしてそれに耐えられるだろうか」 と。 それがそのまま、「60%」という数字になったと考えてよい。 ●親孝行  その一方で、「大切な道徳」として、興味深いことに、76%の人たちが、 「親孝行」をあげている。 年代別の数字がわからないので、コメントできないが、「日本人全体としてみれば、 そんなものだろうな」というのが、私の感想。  とくに50代以上の人たちは、「親孝行論」を強く主張する。 しかしここで注意しなければならないのは、「親孝行論」には、2側面性があるということ。 (1) 自分自身が「子」の立場にいて、健在する「親」をもっているときの親孝行論。 (2) 自分自身が「親」の立場にいて、健在する「子」をもっているときの親孝行論。  76%の人が、(1)と(2)のどちらの立場にいるのか、この報道だけではわからない。 が、もし(2)の立場だったら、親孝行論も、ずいぶんと身勝手なものと言わざるを えない。 自分の息子や娘に対して、「私に親孝行しろ」とは!  もっともこういうケースのばあい、ほとんどの親は、「先祖」という言葉を使って、 自分への親孝行論を正当化する。 「先祖を大切にしろ」と。 まさか「自分を大切にしろ」とは言えない。 だから「先祖を大切にしろ」となる。 ●若者たちの老人観  若者たちがいらいらしている気持ちは、これでよくわかった。 わかったが、しかし私はもうひとつの変化を、心配する。 そのいらいらした気分を、最近の若者たちは、私たち古い世代に向け始めているという こと。 (これは多分に、私の杞憂(=取り越し苦労)か?) つまり「老人がふえたから、日本は貧しくなったのだ」と。 あるいは「老人がふえればふえるほど、日本は貧しくなる」でもよい。 この先、私たち団塊の世代が75歳になるころには、日本人の約3分の1が、その 老人になる。 そうなったとき、若い世代の人たちは、私たち老人をどう見るだろうか。 想像するだけで、ソラ怖ろしくなる。  さて、この先、この日本はどうなるのだろう? 日本人は、どう変化していくのだろう? ただひとつ言えることは、「今のままではいけない」ということ。    産経新聞は、「精神的な充足感を求める傾向も読み取れる」とコメントを寄せているが、 私は、この言葉に期待したい。 こうした閉そく感を打ち破るには、「精神的な充足感」しかない。 カネやモノではない。 心。 そのためにも、ひとりでも多くの人が、精神的な充足感を求めるために、 立ち上がってほしい。 今回の調査結果を見て、私は、そう感じた。

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