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カテゴリ:家族のこと
●問題
親の介護で、パニックになる人もいる。 まったく平静な人もいる。 そのちがいは、結局は(愛情)の問題ということになる。 もっと言えば、「運命は受け入れる」。 運命というのは、それを拒否すると、牙をむいて、その人に襲いかかってくる。 しかしそれを受け入れてしまえば、向こうから、尻尾を巻いて逃げていく。 運命は、気が小さく、おくびょう者。 私たちに気苦労がなかったと言えば、うそになる。 できれば介護など、したくない。 しかしそれも工夫しだいでどうにでもなる。 加齢臭については、換気扇をつける。 事故については、無線のベルをもたせる。 便の始末については、私のばあいは、部屋の横の庭に、50センチほどの 深さの穴を掘り、そこへそのまま捨てていた。 水道管も、そこまではわせた。 ただ困ったことがひとつ、ある。 我が家にはイヌがいる。 「ハナ」という名前の猟犬である。 母と、そしてその少し前まで私の家にいた兄とも、相性が合わなかった。 ハナは、母を見るたびに、けたたましくほえた。 真夜中であろうが、早朝であろうが、おかまいなしに、ほえた。 これについても、いろいろ工夫した。 たとえば母の部屋は、一日中、電気をつけっぱなしにした。 暖房もつけっぱなしにした。 そうすることによって、母が深夜や早朝に、カーテンをあけるのをやめさせた。 ハナは、そのとき、母と顔を合わせて、ほえた。 いろいろあったが、私とワイフは、そういう工夫をむしろ楽しんだ。 ●鬼 それから約1年半。 母の92歳の誕生日を終えた。 といっても、そのとき母は、ゼリー状のものしか、食べることができなくなっていた。 嚥下障害が起きていた。 それが起きるたびに、吸引器具でそれを吸い出した。 母は、それをたいへんいやがった。 ときに看護士さんたちに向かって、「あんたら、鬼や」と叫んでいたという。 郷里の言葉である。 私はその言葉を聞いて笑った。 私も子どものころ、母によくそう言われた。 母は何か気に入らないことがあると、きまって、その言葉を使った。 「お前ら、鬼や」と。 ●他界 こうして母は、他界した。 そのときはじめて、兄が死んだ話もした。 「準ちゃん(兄)も、そこにいるやろ。待っていてくれたやろ」と。 兄は、2か月前の8月2日に、他界していた。 母の死は、安らかな死だった。 どこまでも、どこまでも、安らかな死だった。 静かだった。 母は、最期の最期まで、苦しむこともなく、見取ってくれた看護婦さんの 話では、無呼吸が長いかなと感じていたら、そのまま死んでしまったという。 穏やかな顔だった。 やさしい顔だった。 顔色も、美しかった。 母ちゃん、ありがとう。 私はベッドから手を放すとき、そうつぶやいた。 2008年10月13日、午後5時55分、母、安らかに息を引き取る。 ++++++++++++++++++++ ●終わりに…… 先日、従弟(いとこ)の1人と、電話で話した。 子どものころから、いちばん、仲のよい従弟である。 その従弟が、私の母や兄について、聞いた。 死んだことについて、聞いた。 が、私はウソは言えなかった。 だから正直に、こう答えた。 「今は、ほっとしている」と。 そう、ほっとしている。 が、もちろん兄や母の死を喜んでいるわけではない。 しかし悲しみより、解放感のほうが、先に来る。 私にとっては、長い、長い、60年間だった。 重苦しい、60年間だった。 一日とて、気が晴れることがなかった。 と、同時に、私にとって家族とは何だったのか、それを改めて考える。 もちろん多くの人は、家族に心の拠り所を求め、そこで心を休める。 が、私には、それがなかった。 それができなかった。 だから、……というわけではない。 弁解するつもりもない。 また私の家族を反面教師とするには、私にはあまりにも重過ぎる。 私は私で、今のワイフと結婚し、私の家族をもうけた。 「何とか幸福になりたい」と思いつつ、その気負いばかりが強かった。 その後遺症は、そのまま私の息子たちに残ってしまった。 息子たちは息子たちで、私とは別の形で、家族を求めて苦しんでいる。 ほかに他意はない。 私と同じような境遇に苦しんでいる人たちのために、この原稿を書いた。 1人でも多くの人が、「家族自我群」という「幻惑(=呪縛感)」から解放されることを 願う。 【3】(近ごろ、あれこれ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 【世界おもしろジョーク集(PHP)】より ●「糞の世界」……考えさせられた! +++++++++++++++++++++ いつもトイレの中で、「世界おもしろジョーク集」 (PHP版)を読んでいる。 おもしろい。 その中にこんなのがあった。 (あらすじで、ゴメン!) +++++++++++++++++++++ ●善人vs悪人 ある日、牛車にのった農夫が通りかかると、道端で一羽の小鳥が、寒さで今にも 死にそうなのがわかった。 そこでその農夫は、まだ温もりの残る牛の糞で、小鳥の周りを包んでやった。 小鳥はそれで元気になった。 元気になって、歌を歌い始めた。 しばらくすると、別の農夫がそこを通りがかった。 歌声に誘われてそこを見ると、一羽の小鳥が牛の糞の中に埋もれているのがわかった。 そこでその農夫は、小鳥の周りから牛の糞を取り除くと、その糞を遠くへ投げ捨ててやった。 そのあとまもなくして、小鳥は寒さで、死んでしまった。 この物語には、3つの教訓がある。 一つ目は、あなたを糞の世界に閉じ込める人が、悪人とはかぎらないということ。 二つ目は、あなたを糞の世界から助け出してくれる人が、善人とはかぎらないということ。 そして三つ目は、糞の世界では、けっして歌を歌わないということ。 ●糞の世界 ここでいう「糞の世界」とは、どういう世界をさすのか? 私はこのジョークを読んで、すぐさま、「裏社会」のような世界を連想した。 暴力と犯罪、女とカネ、それに麻薬が飛びうような世界である。 「小鳥」とは、純粋無垢な、若者? つまり農夫は、今にも死にそうな小鳥を助けるため、その小鳥を、温かい牛の糞で、包んでやった。 おかげで小鳥の命は助かった。 だから教訓のようになる。 「あなたを糞の世界に閉じ込める人が、悪人とはかぎらないということ」と。 二つ目の教訓も、同じよう考えて、理解できる。 が、問題は三つ目である。 どうして「糞の世界では、歌を歌ってはいけないのか」。 ●歌を歌う 私はこのジョークを読んで、しばらく考え込んでしまった。 トイレから出てからも、ずっと考えた。 が、どうも意味が、よくわからない。 そこでワイフに相談すると、ワイフは、あっさりと、こう教えてくれた。 「要するにね、目立ってはだめということじゃ、ナア~イ」と。 さすが裏社会を生きてきたワイフ。 ズバリと言い当てた。 つまり裏社会で生きる人間は、目立たず、静かに生きろということか。 たとえばマフィアの親分が、自伝を書いたら、どうなる? 自伝でなくても、たとえばBLOGのようなものを出したらどうなる? たちまち警察の目にとまり、ああでもない、こうでもないと文句をつけられ、その 親分は、たちまち刑務所送りになるかもしれない。 だから「静かにしていろ」と。 ほかのジョークのようには笑えなかったが、発想そのものが、おもしろい。 日本人の私たちにはない発想である。 「農夫と小鳥と糞」という取り合わせが、おもしろい。 ●静かに生きる 糞にもいろいろある。 私が今、住んでいるこの世界も、(現代社会)という観点から見ると、「糞のような世界」 ということになる。 アウト・ローの世界とまではいかないが、それに近い。 フリーターの世界というのは、そういう世界である。 私ははからずも、その糞の世界に入ってしまった。 ずっとその世界で生きてきた。 今も、糞の温もりを感じながら、生きている。 結構、居心地もよい。 が、その世界で、こうしてモノを書いている。 先のジョークでいう、歌を歌っていることになる。 過去において、そういう私を、糞の世界から取りだそうしてくれた人も、いない わけではない。 が、私は自ら、断ってきた。 そして今、満61歳。 今では、糞の世界から出たとしても、出たあと、行く場所すらない。 だから今の世界に、このままいるしかない。 そういう私は、静かに生きたほうがよいのか。 そのほうが身の安全のためには、よいのか。 そこまで深く考える必要はないのかもしれないが、しかしこのジョークには、 いろいろと考えさせられた。 (プラス、おもしろかった!) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ はやし浩司のホームページ http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ *********************************** このマガジンがお役にたてそうな人が、あなたのまわりにいませんか? よろしかったら、どうか、このマガジンのことを、お友だちの方に 話していただけませんか? よろしくお願いします。 はやし浩司 *********************************** ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ まぐまぐプレミア版(有料版)のお申し込みは…… http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/page141.html ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ . *※※ .※※ ***※ .*※※…※}※** . **++ ※)) . {※}※※ / . ※*… /mQQQm .**/| |Q ⌒ ⌒ Q Bye! . = | QQ ∩ ∩ QQ . m\ ▽ /m~= ○ . ○ ~~~\\// .================================= .みなさん、次号で、またお会いしましょう! .================================= お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年08月17日 00時29分42秒
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