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【親と子の逆転現象】(狂った日本の親子関係)
●妙な光景 近くの大型ショッピングセンターに行った。 ドッグフードと野鳥の餌、それに水入りのペットボトルを、一箱買った。 合計すれば、70キロ近くになった。 それをカートに乗せ、車まで運んだ。 そのときのこと。 1人の男性が、気ぜわしく車と車の間を動き回っていた。 年齢は私と同じくらい。 60歳前後。 何をしているのだろうと思った。 荷物を車に入れながら、その男性が気になった。 顔には緊張感が漂っていた。 うっすらと汗ばんでいた。 で、ハッチバックを閉じ、車のドアを開けたところで理由がわかった。 反対側に並んだ車の間から、中学1年生くらいの子どもが、どこか不機嫌そうな顔をして出て来た。 男性はその中学生らしき子どもを見つけると、すかさず、こう言った。 「ごめん、ごめん」と。 子どもは表情を緩めることもなく、何も返事をしなかった。 ふてくされていた。 男性は、その子どもの祖父らしかった。 どこかで迷子になった。 それでその男性は、その子どもを探していた。 ●祖父と孫 どこにでもある光景である。 よく見かける。 が、私はその光景を見ていたとき、ムラムラと怒りに似たものを感じた。 見たくもない暴力映画を見せつけられたような気分? 2人が、どこかで行き違いになったのは、わかる。 大きなショッピングセンターである。 が、探していたのは、祖父らしき男性。 子どもの方はと言えば、「どうして迷子にしたんだ」と、どこか怒っているような様子。 私には、そう見えた。 が、問題は、そのあと。 男性は、子どもを見つけると、開口一番、「ごめん、ごめん」と。 子どもが「ごめん、ごめん」と言ったのではない。 祖父らしき男性のほうが、そう言った。 ●本末転倒 こういうケースのばあい、祖父のほうが、謝る。 威張っているのは、子ども、つまり孫のほう。 頭の中の記憶をいろいろさぐってみても、子どものほうが謝っている光景を、私は見たことがない。 この文章を読んでいる、あなたにしてもそうだろう。 謝るべきは、子どものほう・・・とまでは、書けない。 何か、私の知らない事情があるのかもしれない。 しかし同時に、たがいに謝ったところで、何もおかしくない。 が、私の見た光景は、それとはちがっていた。 一方的に、祖父らしき男性は謝っていた。 一方的に、子どものほうは、ふてくされ、男性を睨(にら)み返していた。 ●謝る親たち 親は、いつも子どもに謝りながら、子育てをする。 子どもにできないことを、謝る。 子どもはそれに対して、つまり親に対して、(してくれないこと)を怒る。 ある男性(30歳くらい)は、退職したばかりの親に対して、こう言って叫んだ。 「こんなオレにしたのは、テメエだろ。オレなんか、産んでくれなかったほうがよかった」と。 前後のいきさつを省略したので、わかりにくいかもしれない。 が、どんな理由があるにせよ、この言い方は、おかしい。 今の若い人たちは、日常的に、不平、不満をかかえている。 それもそのはず。 今の若い人たちは、(そこにモノがある)という前提で生きている。 (してもらうのが当たり前)という前提で生きている。 食べ物、家、車・・・などなど。 豊かな生活を、「豊か」ともわからない。 それが(当り前)。 当り前の生活。 だから足りないモノ、不足しているモノがあると、それを不平や不満に転化してしまう。 だから「こんなオレにしたのは・・・!」となる。 ●ドラ息子 今の日本の子育ては、おかしい。 たしかにおかしい。 ある父親(私と同年齢)は、こう言った。 「息子は、一応、東京の一流大学を卒業しました。 が、学費と生活費だけでは足りず、毎月のように、10~15万円、余分に送りました。 息子は、そのつど、『就職したら返す』と。 で、就職しましたが、この不況。 今度は『給料があがったら、返す』と。 その貸した額だけでも、1000万円近くになります。 が、結婚すると同時に、ハイ、さようなら。 子ども(孫)ができたことをよいことに、借金の話は、忘れてしまったようです」と。 こういうケースのばあい、親側の意識と、子ども側(息子側)の意識は、180度ちがう。 親は、「子どもに感謝してくれているはず」と考える。 しかし子どものほうは、感謝などしていない。 むしろその逆。 「あれをしてくれない」「これをしてくれない」と、不平、不満ばかりを並べる。 とどまるところを知らない。 不平、不満の上に、さらに不平、不満を重ねる。 たとえば「孫を産んでやったのに、それらしい祝い金もくれない」「世話もしてくれない」「妻(嫁)に、ねぎらいの電話、一本くれない」と。 ●意識論 そこで登場するのが、意識論ということになる。 常識論と言い換えてもよい。 意識にせよ、常識にせよ、それは「偏見のかたまり」(アインシュタイン)。 最近の若い人たちは、赤ん坊のときから、蝶よ花よと育てられている。 ある程度大きくなれば、「そら、音楽教室」「そら、英語教室」と育てられている。 そのこともあって、今、高校生でも、親に感謝しながら、高校に通っている子どもなど、まず、いない。 100%いないと、断言してよいほど、いない。 大学生でも、いない。 お金を親からもらうときだけは、「ありがとう」と言う。 しかし大半は、そのまま遊興費。 アルバイトで稼ぐお金も、遊興費。 そんな子どもに感謝の念を求める方が、おかしい。 無理。 ある子どもは、結婚式の費用を親にせびった。 が、親にはその余力は、もうなかった。 定年退職をしてから、4年が過ぎていた。 そこでその親が、「少しくらいなら・・・」と、重い口を開いて言うと、その子どもは、こう言った。 「親なら、結婚式の費用くらい、出してくれてもいいだろ!」と。 意識がちがうと、ものの考え方も、そこまでちがう。 たとえば私たちの時代には、実家への仕送りは、当り前だった。 私自身も、結婚をする前から、収入の約半分を実家へ送った。 結婚式についても、その費用がなく、断念せざるをえなかった。 私だけではない。 当時の日本では、それが常識だった。 が、今は、ちがう。 そんな話をしただけで、若い人たちは、反発する。 「オレたちに恩を着せるのか!」と。 ●逆転現象 親が子どもに謝る。 子どもは、親を責める。 おかしな逆転現象だが、今、それが常識化している。 保護と依存の関係だけでは、説明できない。 つまりこの現象は、論理では説明できない。 つまり「狂っている」。 行き違いになった孫を探す祖父。 それを怒る孫。 祖父は孫を見つける。 「ごめん、ごめん」と言って謝る。 それを見て、孫は、ふてくされる。 祖父を睨みつける。 今では、こんな光景は、珍しくも何ともない。 この日本では、ごくふつうの、当り前の光景である。 恐らくその子どもは、こう思っているにちがいない。 「オレを、迷子にしやがって。この馬鹿ジジイ!」と。 子どもの顔からは、そんな言葉が読み取れた。 ●では、どうするか 私たちは、飽食とぜいたくの中で、子育てのあり方そのものを見失ってしまった。 その第一。 子どもに楽をさせることが、親の愛の証(あかし)と考えるようになってしまった。 楽しい思いをさせればさせるほど、親子の絆(きずな)は太くなると考えるようになってしまった。 たとえばより高価なものを買い与えれば与えるほど、子どもは喜ぶはず、と。 が、その一方で、先にも書いたように、子どもに向かっては、「ほら、音楽教室」「ほら、英語教室」と。 子どもの意思を無視したまま、それを子どもに押しつける。 こうしたアンバランスな子育て観が、子どもの心を狂わせる。 が、親にはその意識はない。 「子どものため」と錯覚している。 つまりこうした日常的な不協和音が、10年単位でつづき、親子の関係が逆転する。 今という時代が、そうだ。 が、これは子どものためにならない。 親のためにも、ならない。 子どもはますますドラ息子、ドラ娘化する。 そのドラ息子、ドラ娘が、つぎのドラ息子、ドラ娘を育てる……。 その一方で、親は、ますます社会の隅に追いやられる。 現在40代の人たちにしても、うち約60%の人が、やがて無縁老人、孤独老人になる。 その先で待っているのは、無縁死、孤独死。 発見までの平均日数は、約6日。 中には30日という人もいる。 (50代、60代の人の話ではない。 40代の人の話だぞ!) ・・・ということで、この問題は、いかに早い時期に、かついかにじょうずに子離れするかという問題に行きつく。 先日も、ある雑誌社から、こんな質問が届いた。 「子ども(小5)に勉強しなさいと言ってもしません。どうしたらいいですか」と。 私はそれに答えて、こう返事を書いた。 「そんなヒマがあったら、自分の老後のことを心配しなさい」と。 つまりそのあたりまで割り切らないと、子離れは、完成しない。 が、それができないとどうなるか。 あなたは一生、それこそヨボヨボの老人になるまで、「ごめん、ごめん」と子どもに謝って暮らさなければならなくなる。 それでもよいなら、私には、もう何も言うことはない。 Hiroshi Hayashi++++++++June.2011+++++++++はやし浩司 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年06月28日 07時52分48秒
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