カテゴリ:小説
「あっ、あのコ憶えてる?」
エリは話題を変えると、それから延々とクラスメイトやブカツの先輩、後輩の消息をしゃべりまくった。 「そうだ、ブルー先輩、連絡とか来る?」 10分くらいそうして相槌だけ打って聞いてたあと、ナツが一番聞きたかった名前をエリは口にした。 ――ブルー…… その名前を聞くと、懐かしくもあり、何故かちょっとだけドキっとする。 「ぅぅん……」 「そっか、転校した時、連絡先知らないって言ってたもんね、 なんか長野のほうでヘンな宗教入ってたらしいんだけどさ、最近雑誌に載ったんだよ!」 エリはナツが知らないネタを話すのがよほど嬉しいらしく、楽しそうに言う。 「カリスマじょれいし、ってさ。 あれ、どこだっけかな? どっかの街でホステスさんとかに人気らしいよ。 えーと、新宿と銀座みたいな有名なとこじゃなかったけどね……」 「ふーん……」 ナツは、ワザと関心のないふうを装う。 「会ってみたい?」 「ぇっ!?」 そう聞かれるとは思ってたけど、イザ聞かれると、どう言っていいか応えに困る。 ――ブルーのコト聞きたくて電話したのに、ァタシはどうしたいんだ…… ナツがそう思ってるとエリが楽しそうな笑い声が聞こえた 「昔っからブルー先輩のことだけは素直じゃないもんね。 調べといてあげるよ。 今何やってるの?」 ――ぁぁ、エリだぁ……! エリが昔みたくナツの気持ちをワカってるのを感じて、ナツは目が潤んできた。 「秋葉原で、ぇと、メイド……」 「えーナツがメイド!? ちょーカワイイでしょそれ!!!」 エリの大声に、ナツは感傷的な気持ちも吹き飛んだように、思わずケータイを耳から遠ざけた。 「店、教えて! ぜっったいイクから!!!」 「エリ、お願いだから、他のコにいわないでよ」 「えー、こんなネタないのになー。 あっつ、でもいいよ、1つお願いを聞いてくれたらね」 エリは楽しそうにいう。 「お願い?」 「うん。 じゃ今度店でね……」 エリは店の場所を聞いて、秘密めかしたまま電話を切ってしまった。 ――相変わらずだなぁ いや、パワーアップしてるか ナツはエリがナツの知ってる中学時代とあまり変わらないので嬉しくなっていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/10/07 12:09:53 AM
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