2018/04/08(日)21:30
正法道中記 第二話
<第二話>Tさんはタクシーの運転手をしていられる。
入院していられる時に隣りのベッドの人から高橋信次先生の本をもらって、
医者はまだ退院してはいけないというのを押し切って退院して、奈良の
吉野山であった研修会に来られて、それですっかり病気が治ってしまわれた
人であるが、タクシーの運転をしていられる人が一番困るのは、酔っぱらいを
のせて目的地へ着いても車の中で寝込んでしまって眼を覚まさないことと、
やくざやさんが乗って無理をいうことであるというのである。
そこでTさんは昨年末、忘年会シーズンになって酔っぱらいの人が
乗る時に何人にも試してみられたというのである。
「酔っぱらいのお客さん、ご気嫌ですね、忘年会でたのしかったでしよう。
おっしやる通り、目的地までは知っていますから行きますが、それから先は
知りませんから目的地へ着いたら眼を覚まして下さいよ。
眼を覚まされないと、時間でメーターはどんどん上がることになっているので、
あなたも払わなくてもいい金を払わなければならないことになるし、わたしも
つぎのお客さんをのせられないので困るんです。
家では奥さんが帰りを待っていられるでしょうし、わたしはあなたの幸せを
お祈りします。
目的地へ着いたら眼を覚まして下さいよ」そう祈った。
何人もやってみましたが、ふしぎにパッと眼を覚まして、手こずったという
ことは一度もありませんでした。
やくざやさんのあんちやんがのってきた時はびくびくがたがたで、ハンドルを
握っている手がガタガタふるえるんですが、「やくざやのあんちやん、あなたも
神の子です。
わたしはあなたの幸せをお祈りいたします」と一所懸命に念じた。
するとなにごともなく非常におとなしくのって下さるのです。
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