|
テーマ:お勧めの本(7402)
カテゴリ:観たもの・読んだもの
茶色の朝フランク・パブロフ/フランス/1998 今日の読書会のテーマだった本。何年か前だが、けっこう話題になったと思う。 15分そこそこで読めてしまう薄い本で、文章も内容も分かりやすい作品(子どもでも読めそう) 内容も過激な描写などなく、淡々と話が進むが、そのメッセージ性はとても重い。 <あらすじ> 主人公はごく普通の男性市民。 ある日突然「茶色のペット以外は飼ってはいけない」という法律ができ、 友人が飼い犬を安楽死させたという話を聞く。 しかし主人公は特に何も感じない。 自分には直接関係ないし、決まった事だし…。 世間ではこのペット制度を批判した新聞が廃刊され、その系列出版社の本も消えて行く。 主人公はそれでも特に気を留めない。 自分も茶色の世界に慣れて行く。 ペットの猫も茶色の猫にする。 「茶色なら安全…」 しかし、ついには過去に茶色以外の動物を飼っていた事を犯罪と見なす法律ができ、 この主人公にも危機が迫る… ーーーーーーー さらっと読めてしまうけど、あとからどんどん恐くなる。 自分も同じだよなぁ…って。 今の日本の雰囲気も同じだよなぁ…って。 声高に反ファシズムを唱えているわけじゃないのに、どうしてこんなに心に重く残るのか。 事なかれ主義や忙しさ、面倒だと思う気持ちにかまけて周りに流されるということは、 結果的に自分の首をジワジワと真綿で絞めているようなもの。 あとで後悔するのは自分。 自分で考える。 おかしいと思ったら声をあげていく。 当たり前のことなのに忘れてしまいがち。 そんなことに今更ながら気づかされる。 「あぁ、そういう内容なのね。」って、わかった気になった人こそ、読んで欲しい。 「ファシズムは権力者が人々を弾圧し恐怖政治をしくものであるが、それだけではなく、 「民主主義」の社会の中で、人々の政治への無関心や、面倒なことをやり過ごす体質が 育つ事によっても成立する。」 ようするに自分がファシズムを生み出しているかもしれないってこと。 そんなこと、考えただけでもゾッとするのは私だけ? ちなみに、フランスでは1冊1ユーロ(約130円)で発売された。(作者は印税を放棄) 売り上げは50万部以上だという。 日本では定価1000円で売られていて、作者の意図を無視しているようで納得できない…。 お金を取るどころか、こういう話こそ教科書に入れて欲しいもんだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[観たもの・読んだもの] カテゴリの最新記事
|