世界史工房李香日録

2009/01/05(月)01:09

オシム離日

前日本代表監督イヴィツァ・オシム離日。 丁度この日,普段なら絶対買わない週間現代(案の定,スピリチュアルの江原某がいたるところに露出していてとても気持ちが悪い)を買い,『オシムの言葉』の木村元彦が寄稿した「オシムを弄んだ日本サッカー協会」の記事を読んだ。あおりは「「失言」で始まり「不意打ち」で終わった12・11退任劇のこれが真相だ」。 前日本協会会長川淵氏の「もう岡田で大丈夫」の発言で,オシムとの契約延長が打ち切りになったという趣旨の記事だということは,事前に情報として知っていたし,タイトルとあおりから,怒りにまかせた感情的なものではと危惧していたが,杞憂だった。「献身的にオシムを支えた協会のスタッフには本当に頭の下がる思いをしていた。」「不測の事態に火中の栗を拾った岡田監督には敬意を表すべきである」といった配慮に満ちた記述をちりばめながら,冷静な筆致で日本協会の問題点を追求する内容であり,それだけに,抑えた怒り,いや,単純な怒りではなく本人言うところの「余りに礼を失した1年半ではなかったかという日本人としての忸怩」の念が滲み出てくる記事であった。そして,その「忸怩の念」こそ,私もまたいらだちとともに感じてきたものだったのだと得心できた。 で,つらつら思うに,我慢がきかない子供のような日本協会首脳と比較して,理事の人数分のケーキを用意して会見に臨んだオシムの大人(たいじん)ぶりと配慮は,際立っていたなと。 そして,離日にあたってのコメントのこの謙虚さと奥深さ。 「いままで私は自問自答してきました。私自身、日本で何事かを成し遂げたのだろうかと。 その答えはいまだに出ていませんが,今日この時この場に私を見送りにきてくれたたくさんの人々がいることで,そんなことは考える必要がないと思い直しました。 何かを成し遂げたかを自問するより,私が日本の人々から受け取ったものを感謝し大切にしてゆくことの方がはるかに重要だということです」 今年は,あなたの教え子であるペドロビッチの広島と,ストイコビッチの名古屋の試合を楽しみにしています。そして,祈るように思っています。もしあなたの健康がベンチで指揮をとることができるまでに回復されたなら,どのような形であれ,もう一度日本に戻ってきて,われわれにその勇姿を拝させてほしいと。

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