「栗はイガの中にどんなふうに入っているか?」
3日の「平成教育委員会」で、「毬の中に栗はどのように入っているか」という問題があった。答えは「三つ、横に並んでいる」というもの。私は卒論で古典和歌を取り上げているが、その中で「栗」に関する歌の歴史について調べる機会があった。「栗」の語は古くは『日本書紀』(持統天皇)の中にみられ、歌は「万葉集」に数例記載されている。 三栗乃 中尓向有 曝井之 不絶将通 彼所尓妻毛我 (1749) (みつぐりの なかにむかへる さらしいの たえずかよはむ そこにつまもが) 松反 四臂而有八羽 三栗 中上不来 麻呂等言八子 (1787) (まつがへり しひてあれやは みつぐりの なかにいてこぬ まろらいははこ)「三栗」は「中」にかかる枕詞である。枕詞に使われるということは、当時の人々にとって、「毬の中から覗く三つの栗」というのが、秋になると良く目にする当たり前の光景だったからだと思われる。今では、八百屋さんの店頭で、毬から取り出されてネットに入ったピカピカの栗が並んでいるのをみる機会しかない。毬の中に栗が幾つ、どんなふうに入っているか?なんて・・・気にもしない。「平成教育委員会」の正解者は、見事にゼロだった。