大人のPS3

　PSフレンドである"みなも"さんが書いてる「飴餓鬼水面素粒子計画」というちょっと見、頭がバーンとなってる（すっすまん）ようでいて実はゲームというものにしっかりとドラマと人生の師匠を投影しつつ自分の生き様を吐露する楽しいブログがあるのですが、そこで絶賛されていたペルソナ4（PS2ゲーム）。
　まー日本のRPGだし高校生（主人公）を今更おっさんの俺が操るのは痛いなぁ・・・と避けてたのですがネット上の評価は日本国内のみならず海外でも異常に高い。
　というわけで年末年始だしたまには時間のかかるゲームもいいかと思い買ってみました。

　ペルソナ4はアトラスが発売するいわゆる「メガテン」シリーズの最新作ですが、私としては1987年にファミコン（以下FC）で発売された「デジタル・デビル物語 女神転生」をやって以来なんと20年ぶり。
驚いたのは20年たっても、ダンジョン！敵悪魔！悪魔味方にして合体！という王道システムはしっかりと受け継がれている事。
　FCの「女神転生」の主人公（男女の高校生）はそれぞれ日本の創造神、イザナギ神、イザナミ神が転生した姿という設定で大魔王ルシファーを倒すとという神道、キリスト教、ヒンズー教なんでもござれのマニアックなゲームだったのですが、本作でもそのマニアックなはっちゃけぶりは健在。
　主人公の初期ペルソナ：イザナギ=日本の創造神
　その男友達：ジライヤ(自来也)=江戸時代の読本の世界で生まれた忍者強盗という架空人物
　その女友達：トモエ（巴御前）=平家物語で木曾義仲の最期に残り5騎という所まで付き添い馬の首もねじ折るという女武将
　としょっぱなからしてその設定のマニアックぶりとはっちゃけぶりは相変わらずで、スタイリッシュなデザインと、音楽（かなり良い）ともあいまって、従来のJRPGのシステムにもかかわらず懐かしさと共に新鮮な気持ちでプレイできます。


　ペルソナ4では悪魔という概念をさらにわかりやすく、"自分の影の部分"単純にいうと「見かけは紳士」だが心の中は「うひひーこの女子高生拉致ってうひひー」とか、「私達親友だよね！」っていう子が実は「あいつうざいんだよ、私より綺麗なくせしてryｊｓｋｄふぁおｋｒ」みたいな心の闇が化身として出現し、それを拒否しないで、"そんな感情も自分なのだ"と受け入れ昇華させる事によって"ペルソナ"という化身を味方として使えるようになり、そしてそのペルソナの能力は仲間という"絆"によって高まるというお話。

　私は斜に構えてこのゲームを始めたのですが、序盤からしてこの世界観とテーマに結構グッときてしまいました。
「自分の心の闇（ペルソナ）を受け入れ、仲間との絆によってその能力を高め善用する。」
私ぐらいのおっさんになるとありきたりなテーマなのですが、これは映画スターウォーズの"フォース"という超能力（善用すればジュダイの騎士、怒りと憎しみに支配され、悪用すればシスになる）とかに見られるように、これは数多くの宗教、映画、小説、マンガなどに多用される
・人として最も望まれる人間観なのに結局人が故に不可能なテーマ
だと思うのです。
キリスト教の概念にも通じる所が多分にあり、その王道とはいえ歴史の中で何度も語られてきた人間観がゆえに海外での評価も高い気がいたします。
　ペルソナ4では、単にスキ・キライという子供の発想ではなく、"友情とか恋愛とかの感情に戸惑い、意味を見出そうとあえぐ大人と子供の狭間で不安定な状態にある高校生"を主人公としてこのテーマが語られています。
　「なんかくせーはなし」と斜に構える事が多い現代がゆえに、この高校生が演じるテーマは大人の私からすると、あこがれるし共感できるし涙もでます。たまらんです。


　ちょっと個人的に残念な感じがあるのは、洋ゲーを主体にやっていて、ゲームをする上でその世界への没入感というのを重視する私からすると、やはりJRPG独特の"アドベンチャーパート"、"ワールドマップパート"、"ダンジョンパート"、"戦闘モード"という"それぞれ別個のゲームシステム"の間を切り替えるというゲームシステム自体に"やらされてる感"を感じてしまって興ざめしてしまう所。

　とはいえペルソナ４はその感覚を払拭させる"先が見たくなってやらざるを得ない感"を起こさせる非常に優れたデザイン、テーマ、世界観、シナリオ、音楽が実現されてるとも思います。
（だから今のJRPGのシステムは逆にクリエイターにとってハードルが高いと思う）
　私はこのクリエイターの方たちに是非とも次世代機で、デザイン、音楽そのままで、"アップルシード"あたりのアニメ3D技術を使ってBethesdaの「Fallout」や「オブリビオン」のようなシームレス3D空間のゲームシステムで、このペルソナの世界観とテーマを語っていただきたいなとせつに思ったりしております。

　著しく最近の7～10時間程度でクリアできる洋風HDゲームに傾倒している人には根底にあるJRPGゲームシステムにいまさら感とか抵抗感でて面白くねーと思うかもしれないですが、広くゲーム全般を楽しめかつ、人としてのあり方の答えを色々なメディアから感じ取れる素直な心を持ち、高校時代のなんともこそばゆい友情とか恋愛といったちょっと背筋にこそばゆいなにかが走る感覚を味わいたい大人の方は是非とも体験していただいたらいいのではないでしょうか？


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