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hikaliの部屋

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July 3, 2007
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 オープンソース系の話をずっと考えていた時期があって、それが特許法と対立していることに悩んでいた時期がある。最近になって、それがぶつかっているのは単にフロントヤードの話なのではないかと思うようになって、なんとなく氷解した気がしてきた。
 それと同時に、ではソフトウェア企業はどうこの問題を解決しているのだろうというのが、わたしの素直な現在の疑問だ。
 (といいつつも、わたしも大手の子会社で遊び半分でnucleusとかをぐりぐりいじってblogポータル作ったりしてたが。ここでの社内でのやり取りがかなりハードだったので、問題の根深さを実感しているのだ)
 多くの人が認識しているとおり、フロントヤードの後ろにはバックヤードがあり、そのバックヤードのバックヤードがあり、さらにそのバックヤードのバックヤードがあり、と、たった一つのフロントヤードには、延々と続くバックヤードがある。
 これはたった一人の開発者の深い深い思索の過程と置き換えてもよい。


 たとえばディゼルエンジンを想像してみよう。
 ディーゼルエンジンは、分解すれば、どのような構造になっているかはすぐに分かる。
 材質や細かなディテールは分からないかも知れないが粗悪な模造品であれば、同じようなものを作ることはそんなに難しいことではない。
 パーツをレーザで3Dスキャンして、自動旋盤を回すだけである。
 これは非常に簡単だ。
 製造業でいうところのデッドコピーというのはこういうことをいう。

 しかし、よく考えてみれば、ディーゼルエンジンはそのままぽんと出来るわけではない。そこには工場というバックヤードがあり、ここでの生産工程があることによって、製品は生まれてくるのである。
 効率的に製品を作る生産ライン、もしかするとそのコピー業者がなんの考えもなくコピーしたシリンダーの形状は、生産性を考慮して設計されているのかも知れない。
 あんまり細かく言うときりがないので、簡単に言うが、エンジンの背後には工場というバックヤードがあるのだ。

 しかし、よく考えてみれば、工場はそのままぽんと出来るわけではない。そこには会社というバックヤードがあり、ここでの会社組織や、会社文化、経営手法、配されている人材の切磋琢磨など卓越した(卓越していない企業もあろうが)大手企業として営みがあり、ここから工場は生まれてくるのである。
 グローバルな大企業、もしかするとコピー業者が何の考えもなくコピーしたシリンダーの形状は、経営的判断でそれほど高価でない素材を使っているかもしれない。
 工場の背後には会社というバックヤードがあるのだ。

 しかし、よく考えてみれば、会社はそのままぽんと出来るわけではない。そこには国というバックヤードがあり、ここでの法制や、税制、風土文化などの先進国としての活動があり、ここから企業は生まれてくるのである。
 先進国の一国、もしかするとコピー業者が何の考えもなくコピーしたシリンダーの形状は、環境政策上許された排ガス規制に従うべく作られているのかも知れない。
 企業の背後には国というバックヤードがあるのだ。


 一番恐ろしいのはこういう強固なプロセスを経て出てきた製品が、デットコピーによって駆逐され、その思想も背景もなにも理解されないままに、それが消え去ってしまうことなのだ。


 この考え方は、こういった方向だけでなく、もっと技術レイヤーの方向に切る事ももちろん出来る。
 たとえばgoogleを想像すると分かりやすい。
 あの会社にはバックヤードのバックヤードのバックヤードのバックヤードが強力だから強い製品が出てくるとは考えられないだろうか。
 逆に考えれば、コモディティ化したビルドするだけで充分な市場には、イノベーションは生まれにくいといえなくもない気がする。


 こういった多層的なレイヤーを縦断して、技術的思想を記載した文章が特許文献である。読めば読むほど企業を巡る状況が見えてくるようで、その特許を生み出した人々の思考を読むことが可能になる。
 なので、オープンソースとの違いはここなのではないだろうか。
 ひょっとして、コードさえ読めば、ノウハウさえ盗めれば、すべてが分かるというのであれば、それは粗悪なコピー業者とあんまり大差がない。
 もし、高度な技術的思想の継承があり、脈々とした、強固なバックヤードとして確立しているのであればそれはあまり心配がない。
 でもそうじゃないならば、心配になる。
 それは単純にビルドしてるだけなんじゃないかって。

 わたしはオープンソースと対立しているのではなく、特許ってそんな簡単じゃないんだよぉと言いたいだけだ。少なくとも、こう俯瞰すると、本質的には対立していない。特許で守られた巨大な企業のソフトウェアにも価値があって、その特許を非難するべきではないといいたいのだ。
 たぶん、そういう広大なバックヤードを持った人たちが作ったソフトウェアのイノベーションの恩恵も、オープンソースの人たちは、受けているのだから。

 莫大な額の開発費を投入して開発されたUIであり、カーネルであり、言語なのだ。
 その開発費はビルドにかかった金だけではないと思うのだ。

 なので、切っ先を返して言うのだけど、大手メディアが著作権でうるさく言うのも、その恩恵を受けていないわけではないでしょ? といいたいのだ。そこには莫大な制作費がかかっている。
 コピーしているなら、文句はいわないでほしいのだ。
 現行は、そんなに取り締まりは厳しくないし、そんなにトラブルになることもない。
 いやなら、オリジナルでやるしかない。
 無駄なコピーや改変にお金を掛けるぐらいなら、自分で一から作った方が儲かるし、そっちの方がめちゃくちゃ楽しい。

 と過去デジタルコンテンツ業者だった人間の気持ちです。

 あっと、安易な特許を与えちゃうのは、行政庁の質の問題です(あと、それを盾にたかってくる人のモラルの問題)。
 特許制度の問題ではないです。


 権利者は大切に。


追記:

 わたしは、成文化された完璧なルールで権利範囲を確定した上での、全自動システム的な完全に公正な利益分配に興味があり、そういう意味では、オープンソースとは対立している気がしないでもない。
 本当は、そのルールとシステムが空気のように見えないほど、何の争いも対立もなく、参加する人間がすべて幸せになるように進めばよいのだけど、現在は非常に混乱していると思う。たぶん、この考え方はGoogle的である。

追記2:

 工業製品は、特許などなくともすでにオープンソース状態なんですよね。
 改良OK、分解OK、リバースエンジニアリングOKなんで、秘密なんてほとんどないのです・・・。GPLはそういう意味では、工業製品より閉鎖的といえるかもしれません。
 特許の公開性はその上なんです。
 これがようやくわかりました・・・。





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Last updated  July 6, 2007 03:35:54 PM
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まなかなまなかな@ Re: 三井アウトレットパーク入間へ行ってきた。(01/18) 蘊蓄野郎だな!うざい。
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