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育てているのは未来です

育てているのは未来です

「子育ての思い出・風呂編」

昨夜遅くのTV番組に、俳優の藤岡弘さんが出ていて、子どもの誕生日プレゼントが娘も含めてサバイバル用の肥後守だったというような話をしていました。懐かしい・・・・(肥後守は、折りたたみの日本式ナイフ)
 私の小学校時代は筆箱に肥後守を入れていて、それで鉛筆を削ったり竹とんぼを作ったりした記憶がありますが、傷害事件などがあって禁止され、くるくる回して削る小さな鉛筆刷りに取ってかわったような気がします。私もほぼ同じ世代で、子育てに関しても似たような考え方のところがありますが、私の子どもはすでに40代半ばを過ぎているので、今現在まだ10代という藤岡さんの子どもたちにはなかなかのギャップだろうと思います。
 私が親になった昭和40年代は高度成長の入口でまだまだ日本は貧しく、ましてやなんの後ろ盾も無く始めた認可外保育所の子どもとして生まれた私の子どもも、結構サバイバルな人生を体験したはずです。
 当時、自家用車は70ccの2人乗りバイクで、自宅アパートには風呂がなく少しはなれた銭湯に通っていました。下の子が生まれてからは4人家族になり、上の子をハンドルにつけた子ども用シートに、下の子を家内が背負って後ろに乗るという東南アジアスタイルです。これで夏の暑い夜は、何キロも離れた海まで涼みにいったりもしていました。今なら、公道に出たとたんにパトカーに止められますね。
 ある日、急に内湯(この言葉も古い)を作ろうと思い立ち、ガソリンスタンドに勤めていた姉に頼んで200リットルのドラム缶をもらい、知り合いの自動車屋さんで上の蓋を溶断してもらって風呂釜らしきものを作りました。溶接機で切った切り口がギザギザなのでそこはビニルホースを切ったものをかぶせて怪我をしないようにし、内側を油性ペンキで仕上げました。そして置き場所は玄関の引戸の後ろに・・・・
 さて今度は給湯ですがお金が無いので専用のものをつけることは出来ず、台所の瞬間湯沸からホースで引き入れます。小さな給湯器なので、冷めることを計算に入れて高温で給湯しますが、入れ始めてから入浴できる状態になるまでに40分くらいかかります。初めての日、やっとお湯が入ってそばに置いたイスにから中に入ってみると、乾いたと思っていたペンキが高温のお湯で柔らかくなって足にベッタリとくっついてしまいました。あわてて外に飛び出したら、もうあっちにもこっちもにペンキの足形が拡がって大騒動になりました。
 そんなこんなでたいへんな初入浴でしたが、あらためてペンキを乾燥させ、その後、桑原町のプレハブ園舎に引っ越すまでの一年間くらい親子4人のお風呂としてそれなりに役に立ちました。
 ただ、寒い時に銭湯に行かなくてすむようにはなったものの、冬はお湯を溜めるのに1時間くらいかかるので、夫婦それぞれが2歳と1歳の子どもを抱えて、冷めないうちにとまるで戦場の風呂のようにあわただしく出入りしていたことを思い出します。
 とはいっても、その時代の人たちがみんなそんな暮らしをしていたというわけではなく、世間の生活水準からみて10年くらい遅れていた我が家だったからこその出来事ではありました。
2020.06.06


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