東京メトロ株を東京都が買う
東京メトロの株式を政府が売却するらしい。売却が実行されたら東京都が買うという話がニュースに出た。 で、それについていろいろと言われてますが、 何か勘違いだらけなので書かずにはいられない。 ・ 血税を投入して株を買うの暴挙 という意見 ジジイだ痴呆症だボケ老人だと仰るのは結構ですけど、そこで思考停止して事実を調べたりしないっていうのが、一番バカでボケだと思いますがいかがでしょう。 有価証券報告書によると、581,000,000株が発行済み。 そのうちおよそ46.6%の270,656,815株が東京都の持分。 過半数は290,500,000株。 半数を取得するのに必要なのは、19,843,185株 国が持っている310,343,185株は2000億円で売れると言われている。 とすると1株あたり644.5円くらい。 わかりやすく650円として、必要な19,843,185株を買うとすると128億9807万0250円 まぁ、130億円近い金額が必要なわけですな。 ところで、超優良企業の東京メトロの株を東京都は持っているので、当然メトロ株の配当金は入ってくる。 配当金は1株16円。 計算すると年間 43億3050万9040円の税外収入。 早い話が、民営化されて7年経過しているから、配当金だけですでに200億円以上の収入を東京メトロ株で計上しているわけだ。 それを考えればこの程度の金額は高いとは思わない。 それどころか、東京都が過半数を握れば、普通議決事項をコントロールできる。 つまり配当金を更に上げたり、高給取りの天下り役員の首を切ったりできる。 買ってそのままでも3年経てば元が取れる。 それどこか更に上乗せが可能。 どう考えても暴挙、とは思えない。 投資としてはかなり堅実。 メトロをちゃんとした民間企業に立て直せれば更に株価は上がる。 配当も増える。 ・ 都営地下鉄は大赤字だからダメ 赤字がダメってのは単純すぎる発想。 ならば住宅ローンを支払ってる一般庶民はみんなダメ人間になっちまう。 赤字がダメなのじゃなくて、その赤字を返済していけるかどうか、というのが判別のポイントだろう。 銀行もそこを調べて金を貸す。 都営地下鉄は確かに大赤字であるが、長期債務の残高は年間630億円のハイペースで減少している。 つまり借金は大量にあるけど返済可能な状態。 つまり健全。 ついでに言えば、東京メトロは大赤字の全ての返済を終えた状態。 都営地下鉄はほったらかしておいてもしばらくすれば東京メトロのような超優良企業になりうる。 さらに付け加えておくと、都営地下鉄は営業黒字。 ・都営地下鉄と統合すると運賃が上がる。 これも東京都が「ない」と言ってるからないだろう。 実は都営地下鉄の費用構造は、東京メトロのそれより減価償却費が多くを占める。 減価償却費がなくなれば、営業効率は運賃の差額を控除しても都営地下鉄の方が良いという事実もある。 結局、都営地下鉄の赤字額が多い(運賃が高い)のは、大江戸線に金をかけすぎただけ、と思われる。 ・東京メトロが公営化 株式会社の仕組みをわかっておられないのでしょうか。 民間会社の「東京メトロ」の筆頭株主(大株主の親玉)が東京都になるだけです。 都営メトロってのはあり得ません。 都営地下鉄が統合されても、都営メトロにはなりません。 ・経営は別々のまま、運賃だけ合わせればいい できればとっくにやっているはず。 2社にわかれているからいつまでたっても実現不能な案。 ・株価が安い時に売りさばく民主党はバカ。 ならば訊きますが、東京メトロの株価は時価がいくらで、最高値はいくらだったのでしょうか。 分かるわけもありません。 だって上場してませんから。 2000億円で売れるというのは、あくまで推測です。 周辺の私鉄で高値水準の小田急や京急が700円前後の時価で取引されているからそう計算されているだけです。 ついでに、鉄道株ってのはそんなに激しい値動きをするものでは無いことを付け加えておきます。 ・株を売ると利権の構築となる 国が株を持っていることがそもそも利権だと思いますが。 監督官庁は国土交通省、株は財務省ですが、結局は、国によって何でもできますからね。 メトロに居座る国土交通省天下りを一掃して、メトロ内部や外部の民間企業から役員を入れたほうがよっぽど「民間企業」らしくなります。 財務省が半分持ってるってことは、財務省のいいように役員の専任、つまり天下りの受け入れに使えます。 確かに難しい問題ではありますけど、老害やらジジイの来まくれやら、民主党のバカとかそんなんで片付けるくらいなら見苦しいのでやめていただきたいです。 せめて、「地下鉄は誰のものか」 くらいは読んでから反論してほしいですね。