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チェロの愛器「安部真理亜さま」をスタンドに立てておいたら、あることで、バタンと大きな音をたてて前倒しにお倒れになった。急いで飛んでいって、抱き起こしたところ糸巻きが全部ゆるゆるになっているので、たいしたことがなくて良かったと、胸をなで下ろした。弦を調律して一件落着かに思われた。しかるに・・・・チェロを弾いてみると、愕然。ネックのところに触れる左手親指が妙にひっかかると思ってみたら、ネックにしっかりヒビが入ってしまっていた。目の前が真っ暗。ああ、新しいもう一器に一財産を投じなければならないか・・・と思い、師匠に相談してみようと、意を決して電話した。
一通り、話を聞き終わった師匠は言った。 「楽器なんて、バラバラに壊れても直るものです。ストラディバリウスなんか、ネックが原型のままなど実在しません。ぼくなんか、ネックがバキンと折れてしまった同僚のを見ていますが、直っていますよ。しまおかさんの詳細な状況は分りませんが、買った(師匠が鑑定して選んでもらった)楽器屋に持っていって『これ。急いでいるから、早急に直してくれ』と押しの一手で言って下さい。相手は職人ですから、気が向かないとやらないので、強く言って急がして下さい。その際私の名前を出してかまいません。」 「師匠。それを伺って、気が休まりました。しかし、相当時間がかかるでしょうから、しばらく稽古ができませんね?」 と弱気に尋ねると、 「代りの楽器を貸してくれと言って下さい」 「ああ、貸してくれるものですか?」 「貸してくれるもくれないも、しまおかさんは困るんでしょう?なら、貸してくれというべきです」 「そりゃそうですが、ああ、かなり賃料を出しても・・・」 「そんなことをこちらから言うべきじゃありません。黙って貸せというんです。んで、向こうがいくらいくらといったら、値切って下さい。ああ、それから、弦の駒のところが少し歪んでいますから、ついでにオーバーホールをしてもらって下さい」 (”師匠。お主もそうとう悪よのぉ~~”) そういうわけで、さすがこの師匠。弟子の心の負担感をすっかり軽くしてくれた。ストラディバリウスまで引き合いに出して、慰めてくれた。 それにしてもしょげてしまった。 今日は、吉田松陰に関する本を一冊読み上げたので、さて、吉田松陰論を書くぞ、と意気込んでいたのだが、すっかり、出鼻を挫かれた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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