第四三部 「決戦!壁魔術!(前)」「いくぜぇ!!!壁魔術!!」タクがそういうと、マッチョが両手を下に向け、そこへタクの手が重なる。その瞬間、トラックのような音を立てて、階段を伝ってクロス達へ次々と壁が襲いかかった。しかし、ほとんどの壁を、デビクロアが踏みつぶして粉々にした。その分、他の者はずっとその様子を見ているしかなかった。 「へぇ、やるじゃねえかよ。でも、認めねえよ」 シールが鼻で笑って言う。デビクロアが答える。 {構わん。お前にどう思われようと、気にせんわ!} その後も、次々と壁の波は攻撃を続けた。そして、ついに、攻撃が終わった。 「よっしゃあ!そんじゃ戦おうか!!」 突然、タクが言った。すかさず、シールが食いかかった。 「はあ!?今まで、ずっと壁をこっちに攻撃させてたじゃねえか!!!」 すると、今度はマッチョが言った。 「え~?だって、今までタクがお腹壊したから、トイレへ一緒に行ってたんだよ?」 {な・・・!それでは、私がずっと壊し続けた壁は一体・・・!?} デビクロアも驚いた。 「はあ?あんたら、本当に何を言ってんだ?構わん!もう一丁!行くぜ、マッチョ!!」 「よいっしょー!」 そして、さっきと同じような壁が次々と神を襲ったそれでも、次々とデビクロアが踏みつぶしてくれた。 「あー、もう!どうなっていやがる!あんたら一体何が目的なんだ!?意味もなく壁を次々とこっちにやってきて!何がねらいだ!!!」 シールがそういうと、既にタクとマッチョの姿は無く、なんと階段の上にある扉からタクが腹を抱えて出てきた。そして、言った。 「お前ら、さっきから何言ってんだ?こちとら、下痢でトイレ行ってたぜ・・・」 「繰り返してる・・・」 クロスがつぶやくと、シールが聞いた。 「一体、どうなってんだ!?」 クロスは答える。 「・・・確かに、今まで襲ってきた壁はすべて壊した・・・。しかし、相手はその事を知らない・・・。どうやら、これは・・・」 言い終わらない内に、タクが言った。 「もう、何がなんだかわからねえ!!だがな、これだけは言っておく。・・・お前らは死ぬぜ。壁に殺されるのさ!マッチョ!!」 「はいよ~」 二人が神々へ、手を向けた。するとその瞬間、神達の目の前へ大きな扉付きの壁が目の前へ立ちふさがった。そして、扉はゆっくりと開く。タクが言った。 「これを生きて帰らなきゃ、お前らはそれぐらいの奴、ってことだぜ!!」 「何をする!?」 シールが言い終わらない内に扉は開き、神達は異空間の中へと吸い込まれてしまった。 「悪いが、俺はまだ腹が痛いんでね。・・・早めに終わらさせて貰うぜ!・・・・ううぅぅ!!!」 「大丈夫?~?」 そう言って、また階段の上の扉へ二人は戻っていった。 {この信号を渡りなー。 でも、青の時にしかわたれない。 他の色だったら無理。 渡らなきゃ出られないー。 マッチョより} 「ん~?わかんねぇ・・・。」クロスは、一人、自分のいた世界のような所にいた。しかし、昼間だと言うのに、人は一人もいなかった。そして、同時に自分一人しかいなかった。どうやら、バラバラにされてしまったようだ。 「どこだ、ここは・・・」 シールは、クロスとは逆に見知らぬ場所にいた。見覚えのある景色が、目まぐるしく変化する。変わらないのは、自分の前に立っている、道案内のような板だけだった。そこには何か書いてあった。 {お前は、この試練を受けて貰う。} それを見たシールが言う。 「試練?・・・・ああ、これがお前達自慢の試練の壁か・・・」 そう言うと、その案内板の文字が変化した。 {そうだよー!!どうだ?今まで、自分が見ていたものを自分が体験するってのは} 「どうともいえないな」 そして、また変化した。 {まあ、お前にはこの質問に答えて貰う} 「なんでも答えてやるよ」 シールが言うと、案内板はまるで生きているかのように、素早く反応する。 {そうか。その笑顔もすぐ消える。ではこの質問に答えたら、出してやる。} そして、案内板に質問が映し出された、その瞬間、シールはとまどった。 「な・・・・何!?」 {ふむぅ・・・。ここはどこだ?} デビクロアは、一人、暗闇に閉じこめられていた。それでも、自分の銀色のうろこが、辺りをかすかに照らしていた。その瞬間、そのわずかな光は消され、再び暗闇になった。 {そうか、これが神の試練だったな。過去の自分と決着をつける・・・か・・・} そして、デビクロアは過去の黒龍と戦った。 「兄者・・・・どうすれば良いのだ・・・・」 「わからん・・・とにかく耳を澄ませ・・・何か聞こえるかもしれない・・・」 ヴァイノ兄弟は、耳を澄ませ、辺りに沈黙の時が流れた。その中に何かの気配を感じた。一人だが、とてつもない力を感じた。そして、その気配の主はヴァイノ兄弟に喋り掛けた。 「生きていたんだねぇ。よかった」 聞き覚えのある声・・・。いつか、会えると信じていた。そしてすべてをヴァイノ兄弟が託した、唯一の人物であった。 「あ・・・あんたは・・・」 「助太刀したのか」 「はい」 「負けると思ったのか」 「いいえ、知っていました」 「そうか・・・。ならば、準備をしておけ」 「万全です」 「負けるなよ」 「負けたことはございません」 二つの黒い影は消えた。 壁(中)の接続書 ジャンル別一覧
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