2012/12/27(木)03:08
悶々のなれの果て(中)
ディックとの二次会。
(私にとっては、実は三次会)
ディックが目指したバーは見つからなかったので。
近くにあった日本酒バーに入った。
ディックはビールを飲んで。
私は日本酒を飲む。
そこで話したことはもうほとんど覚えていないけれど。
当初の私の目的。
時間を忘れる。
携帯メールを忘れる。
肉下君を忘れる、も。
叶うくらい。
いい酔いっぷりだった。
たまにちらっと気になったけれど。
携帯、カバンから出さないまま。
時間を過ごしていた。
日本酒バーで終電近くまで過ごし。
帰ろうとお店を出て。
二人で歩いていた。
ディックはさり気に。
手をつないできて。
頭にキスを降らす。
その様子が、あまりに肉下君に似ていて。
やっぱりあの肉下君の手腕は。
外国人並だったんだ、なんて。
本場ものとそう変わらない、なんて。
思わずおかしく。
ぼーっと考えていると。
ディックの唇が頭から頬へ。
頬から唇へ移ってくる。
ここで地団駄踏んでも仕方ないのですが。
今振り返ってみても、本当に最近の私の防衛体制、予算が削られすぎたのか。
まったく機能せず。
どういう状況が起きているのか。
判断することができない。
あ、キスされている。
唇ムチムチしている。
やっぱり黒人だから、唇厚いんだな~。
なんて。
確かその時は思っていたような気が…。
気が付くと腕を引っ張られ。
建物と建物、通りから見えない隙間に引っ張りこまれる。
(※あまり人通りがない小路地を歩いていました)
あれ?と気が付いたときには。
上下の下着を剥されている状態。
ブラなんて。
20年近く毎朝毎晩脱ぎ着している私より。
とてもスムーズにホックをはずしてくる。
さすがに酔ってぼーっとした頭でも。
これはマズイ、と作動し始めた。
マズイとは思っているけれど。
怖いとか、今すぐ逃げ出したいというパニックではない。
この状況を何とか打開しなければ、とCPUの落ちた脳みそで考えていた。
本能的に。
大声を出したり、暴れたり。
力技で反撃したりしたら。
余計この人を興奮させる、と考え。
私が取った作戦は。
「ひたすら説得」作戦。
「お願いだからやめて」
「こんなことしたくない」
「こういうことしない、って言ったのにひどい」
「あなたは約束を破った」
「私は絶対したくない」
落ち着いた声で。
ひたすら繰り返し言い続けた。
私の胸に顔をうずめていたディックは。
顔を上げて。
ディ「・・・止めたいけど、止められない・・・」
と苦しそうに言う。
そう言いながらも。
荒げた呼吸を何度も繰り返しながら。
下半身からは手を引いてくれた。
(ちなみに事には至っていません)
荒い呼吸を整えているディック。
もしかして止めようとしてくれている?
そう思ったのもつかの間。
またガバチョと覆いかぶさってくるディック。
ジーザス…。
さすがこの猛ったディック、本人の自主的回収は無理かも。
参ったな~と思った、その時。
ディックに押されるように。
一歩下がった私の足が。
何かグニッと踏んだ。
ぷしゅーーーーーーーーー。
私「ひゃーーーーー」
何だかわからないが、背中から水を浴びた。
ディックにも恐らくかかり。
二人して驚いて、飛び退く。
暗がりの中だったので。
正確にはわからないが。
たぶんそこにあった水道ホースか何か踏んで。
水が飛び出したのだろう。
押さえつけていたディックが離れたのをいいことに。
私はあわてて、落としていた傘とバッグを拾って。
「行こ行こ!」と、路地にディックと飛び出す。
路地に出て。
思わず安心して出たひと言。
私「神様が助けてくれた!!!」
思わず「ねっ」と、ディックを振り返る。
ディ「助けられたのは僕の方」
それは、性的衝動に駆られてコントロールが利かなくなっていたことを。
ディックもまずいと思っていたってこと?
じゃあ二人とも助かったんだね。
私「よかったね。神様が助けてくれて」
と、無邪気にディックに笑いかけていた(←大バカ)。
すっかり終電がなくなっている時間で。
歩くか、タクシーを拾って帰らなきゃいけない。
私「じゃあ、私こっちだから」
そうさわやかにお別れを告げ。
ディックと別れた。
そのときの私の気持ちは。
晴れ晴れした気持ち。
危ないことになったけれど。
神様に助けてもらえた。
ディックも助かったって言っていたし。
みんなハッピー。
酔った幸せ脳の私は。
アホなことに。
そんな風に思っていたのでした。
しかし。
神様はきちんと。
お仕置きだべ~を、残していたのです。