ひまわりさんのなんちゃって生活

昔、ラジオの深夜放送が全盛だった頃、

パーソナリティはアナウンサーや俳優だけでなく、

多くの若手の落語家が大変な人気を集めていました。

彼らの落語で鍛えられたテンポのいい語り口は若者らしい感覚であふれ、

多くの若者に圧倒的な支持を受けていました。

当時、消防士の友人が夜勤の夜、

仮眠中にラジオをつけてしまったそうです。

最初はイヤホンから流れる音楽に耳を傾けながらウトウトしていたのですが、

パーソナリティの話のあまりのおかしさについ笑いそうになりました。

けれども仮眠室の中です、笑うわけには行きません。

我慢しているとラジオから流れる話はいっそう面白く、

オチの時には彼は涙を流して笑いをこらえていたのです。

やっと音楽が流れ、ほっと一息ついた頃カーテン越しに先輩隊員の声がしました。

「おい、大丈夫か。苦しいのか？」

まさか深夜放送で笑いをこらえていたとも言えず、

「すみません、悪い夢を見たようです。」と笑いで震える声で答えました。

仮眠中とはいえ一応勤務中なので先輩にばれたらマズイ出来事です。

でも、もう２０年も前の話ですから時効ですよね。