貫井徳郎『鬼流殺生祭』『追憶のかけら』 妻を亡くした大学講師のところに、戦後まもなく自殺した作家の未発表手記が舞い込んできた。その真実をつきとめてほしいという依頼を受けて、調査を始めるが・・・何者かの悪意を感じ始める主人公。そして二転三転する真相・・・。 主人公が何せ人がよすぎるというか。自分でも鈍感と言っていたり、馬鹿だねと言われたり。手記の中の作家と、この主人公がけっこうだぶって見えたりしました。 手記もそれだけで読み応えのあるサスペンス小説になっていて、はまりこんで読んでしまいました。 その手記の謎をつきとめる話と思いきや、それを追うことで、主人公の運命が左右されていく話になって・・・妻を思い出して後悔したり、娘を引き取りたいと願う主人公のセンチなところが涙を誘い・・・最後はたっぷり涙でした。 殺人とかは起きないのですが、主人公をおとしめようとする黒幕の正体は二転三転、全然わかりませんでした。 理解できない人物もいましたが、情感こもるやさしい物語でもありました。 登場人物で、谷原章介を想起させるようないい男が出てました。 ところで、もろみ酢はけっこうおいしいと思います、私も。(2004.2.27) ジャンル別一覧
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