2005/10/25(火)17:26
初行。
昨夜は、内輪で激励会を開いた。
檀那寺の三男坊さんが、千葉県中山、法華経寺の
日蓮宗大荒行堂に修法師を目指して入堂される。
毎年11月1日から、翌年の2月10日まで開かれる、
100日間にわたる寒修行である。
毎日7回の水行、食事はお粥と味噌汁の2回、
睡眠時間は2~3時間、他はほとんど読経三昧の過酷な修行。
長男の若上人は、昨年、無事に再行を終えられた。
父であり、師匠でもある、二代目ご住職は免許皆伝の五行成満の後、
参篭2回、祈祷副伝師も勤められ700日の行を終えられている。
それこそ、行中に亡くなる人、ドクターストップになる人、
精神がおかしくなり、自ら逃げ出してしまう人。
文字通り、命がけの大荒行である。
特に、初行僧は、たいへんである。
自分がどういう肉体・精神状態になるのか、まったくわからない。
行堂の中で、どんなことが行われているかは一切秘とされ、
たとえ親兄弟であれ、事前にそれを知らせることは許されていない。
不安を感じれば感じるほど、ますます不安は大きくなり、
心配すればするほど、心配することが多くなる。
それで、不安を味わいつくし、心配しつくして後、
今まだ、行に入る前にいくらじたばたしても仕方がない、と
やっと気持ちが落ち着くという。
ある種の開き直りによる、達観が生まれる。
もう、神仏の加護にお任せするしかない。
自分の命を、ご守護神に委ねるしかないと悟るのである。
お寿司屋さんで、生ビールと握り鮨を十分に味わってもらう。
スナックでカラオケとウィスキーを存分に味わってもらう。
たいへんごちそうになり、ありがとうございます。
明後日の夜行で出発します。
がんばって、まず自分のために修行して参ります。
また、面会に来てください。待っています。
留守中、寺のこと、家族のこと等、よろしくお願いします。
何も言うことはありません。
ただひとつだけ、まちがいなく身もこころもたいへんでしょうが、
できれば、初行の苦行を、存分に楽しんできてください。
しっかりと握手して、後姿に手を合わせ、見送る。
そのたくましい背中には、すでに修法師の力がみなぎっていた。