2009/02/25(水)06:58
●「おくりびと」 になる方法
アカデミー賞おめでとう!モックン!
おかげさまで更新もしていないのに、ブログ開設以来過去最高の驚異的なアクセス数を記録しました。
ただ、今日のニュースでおくりびとの原作『納棺夫日記』 の原作者のお姿を見てちょっとだけがっかり
お世辞にもダンディーな方ではなかったので・・・。
まぁ私もがっかりされるタイプかもしれませんが・・・。
とにかく「おくりびと」こと納棺師の仕事もこれでやっと日本全国に知れ渡ることになり
納棺という儀式に一般の方がご理解いただける世の中になることを祈るばかりです。
実は、以前私めも「出版化しませんか?」と、大手出版社様からお声をかけてもらえた事があったのです。
残念ながら、担当の編集者様が単行本から雑誌に部署換えになってしまったため、途中で話が頓挫・・う~ん
それはさておき、この映画の影響で「納棺師になりたい!」と憧れを抱く人も現れるかもしれません。
そんな方へワンポイントアドバイスです
納棺・湯灌専門の会社にいたときは正直「来るもの拒まず」という状況でした。
通常、面接後→業務見学というながれで
入社希望者に「で?見学してみてどう?できそうですか?」と
逆におうかがいを立てるのが通例でしたカラ。
実際業務を見て、ヒルんでしまったり理想と違ったり?で実際入社しないというのは当たり前な状況でした。
でも今回のこの受賞で、やってみたいと思う方も増えるかもしれませんね。
ただし、劇中にあるように「月給50万」というのは大嘘です。
女性は普通のOL程度、男性は30万超えることはなかなか難しいと思います。
そしてかならず腰痛もちになります。
一般募集も随時になると思いますのでHPがある会社に問い合わせるか?
葬儀社で自社納棺部がある会社などもありますので
「どうしても!」という方は直接お問い合わせされるのも良いかもしれませんね。
今日は会社の上司が「おくりびとすごいねーやったね!洗女ちゃん」と言われました。
とは言っても葬儀社のくせに2人しか映画は見に行ってくれる人がいなく
納棺に対する考え方が葬儀業界の人間自体が遅れているのが事実・・・。
そう心痛めていたので内心ドン引きでありました。
葬儀社の方はやはり「葬儀の段取り」や「売り上げ」そして「滞りなく集金できるか?」に比重を置くのが現実
劇中に出てくる葬儀社対応もまんざらハズレていないのも事実。
"納棺の意義”と“なぜ必要か?”いう事を真に理解してもらえていない。
葬儀社に身を置く人間の発言としては怒られそうだが、そう常日頃感じていただけに今回の「おくりびと効果」で来るカモしれないビジネスチャンスに嬉々とされても逆に少し寂しく思えました。
また納棺師になりたい人に是非理解してもらいたい事があります。
納棺師というのは亡くなられた方の最後の姿を美しくその方らしい相応しい姿に戻す仕事です。
でも最も大切な事は故人様とご家族の「お別れの場」を作ることです。
故人様をキレイにしていく工程の中でご葬家である家族が
故人様への思い
故人様と自分との関係
故人様がどんな人であったか?と
その方の一生を悼み、振り返り、故人様をしっかりと見送る為の“きっかけの場”を提供する仕事。
それが「おくりびと」=納棺師なのです。
葬儀にとって一番大切なのは、別れを悲しいものや宗教作法に徹底するものではない。
悲しみと共にもし新たな世界があるのならば
そこへ快く「おくりだしてあげる」事なのだと私は信じています。
死は悲しい。修復の仕様のないくらい心が傷つく出来事であるのも事実。
でも・・・。
「気をつけて行ってらっしゃい」じゃなく
「お疲れ様、楽しんでいってらっしゃい」であってほしいと。
先日キリスト教の納棺式に立ち会いました。
もともと無宗教なご家庭で故人様のお姉様がクリスチャンだったので
「なんでもいいか!」と言うことで決めたそうです。
通夜式に当たるものは教会では行われず、自宅で納棺式という形で神父様立会いの元、
料理も花も何もない状態で自宅リビングに親族がスシずめの状態で進められました。
ご親族それぞれが交代に故人様の経歴や思い出を語り
実際故人様と気まずい関係であった人もそれを独白したり
故人様のおもしろいエピソードを語り微笑むことのできる空間でした。
一番近しい家族だけじゃなく、故人様の死に立ち会うすべての人が
その思いと関係を語り合い、残されたもの同士で共有すること。
それが葬儀で一番大切な事なのです。
そんな行為をする人こそ誰しも「おくりびと」になれているのだと思います。
人生千差万別。
愛している人または憎んでいる人、どちらとも必ず別れはいつかやってきます。
愛されすぎるのも、憎まれすぎるのも困りますが
人間が感じるいちばん悲しい感情とは「忘れられること」なのではないでしょうか?
故人様の今までの人生を認め「その人がたしかにいた」という存在を認める事こそもっとも大切なことなのだと信じています。
日本人の約8割近くが信仰する宗教を持たなくなった現代です。
でも思うのです。
仏壇に向かいお経をあげるのが供養ではなく、フリースタイルでも故人様へ向き合うと言う行為こそが最大の供養なのだと。
納棺師の仕事や技術ができなくても、誰しもが「おくりびと」になれる。
これをきっかけに葬送の意味。死生観や命の重みを考え直すきっかけになってくれればな、と思います。
【今日の教訓】 人は自己の「存在確認」を欲する生き物
認め、認められ、認め合う人生にこそ価値がある
※ところで「山崎勉」さん、どこにいるのでしょう・・・何かあったのか???
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