2007/02/15(木)08:30
賢治の愛、リリーの愛
おはようございます
今日は仕事に行く前に、昨日のバレンタインデーに、サキ(小6)とヒデキ(小3)に読み聞かせをした絵本を紹介します。
お姉ちゃんのサキに読んだ本は、
●『銀河鉄道の夜』(講談社)
宮沢賢治・原作 藤城清治・影絵、文
宮沢賢治の作品はとてもスケールが大きく(自然観、宇宙観)、宗教色も強いので、子ども時代の私にはさっぱり理解できませんでした。
娘のサキは、好きなんです。
自分から手を伸ばすことはないけれど、作品を読んであげるとじっと耳を傾けています。
ただ文章は少し難解なので、絵本の方が入りやすいようです。
『銀河鉄道の夜』は、有名な作品ですから、絵本もたくさん出ています。
私が選んだ一冊は、美しい影絵のもの。
見開きの大きさはA3の紙よりひとまわり大きいので、かなり大きい絵本です。
幻想的な影絵は、ストーリーにとてもよく合っていて、子どもでもすんなり賢治の世界へ入っていくことができます。
サキの一番好きな影絵はこれ。
他にもこんなページがあります。
絵も素晴らしいのですが、やはり賢治の世界、文章の力はすごいですね。
時代を越えて、人々の心を揺さぶり続ける作品。
最初のうちは面倒臭そうに聴いていたサキも、いつしか身を乗り出しています。
犠牲愛。
つい最近、一人の警察官の方が人を助けようとして亡くなられたニュースが私の頭をよぎります。難しいテーマだと思いますが、サキには心に強く響いたものがあったようです。
最後のページには、宮沢賢治氏直筆の文字で、
「世界がぜんたい
幸福に
ならないうちは
個人の幸福は
あり得ない
賢治」
と、書かれていました。
娘は、
「いつまでも心に残るお話だね」
と、言いました。
そして、息子ヒデキに読んであげた本は、
●『おでんくん2』(愛ってなんですかの巻)小学館
リリー・フランキー作
最近ヒデキが大好きなおでんくんシリーズ。
テレビアニメにもなっていますね。
(毎週金曜日18:20~19:00NHK教育テレビ「天才ビットくん」アニメコーナー)
以下、ネタバレあり。
主人公は餅きんちゃくのおでんくん。
こんにゃくん、たまごちゃん、だいこん先生、ちくわぶーなど、楽しいおでんの具たちがおでんくんの仲間。
おでん屋さんにやってくる人間たちの身体の中に入っていっては、冒険したり、問題を解決したり…
その展開はまるで『アンパンマン』のようでもあり、
人情味あふれるほのぼのしたストーリーは『ちびまる子ちゃん』のようでもあります。
この第2巻では、愛ってなんだろう?というテーマでストーリーが展開していきます。
最初は必ずこんなことばで始まります。
「みんな、なんでも知ってるつもりでも
ほんとは知らないことが たくさんあるんだよ」
おでんくんは、離れ離れになっているお母さんといつか一緒に暮らせることが夢で、毎回最後にはお母さんに宛てて手紙を書く場面があります。
「おかあさん、きょうは愛についておそわりました。
でも、ぼくはまだ、わからない。
・・・・・・
・・・・・・
愛って なんですか?
しあわせって なんですか?
いろんなことは かわってゆくのかな?
かわらないことは ないのかな?
・・・・・・
・・・・・・
でも、ぼくは思うよ。
ぼくは、おかあさんのことを
ずっと、ずっと好き。
それは、ぜったい、かわらなく、
ずっと大好きです。ずっと大切だよ。
おかあさんと いっしょにくらせたら、
ぼくはしあわせ。
それは、 わかるんだ」
油断して読んでいると、泣かされる絵本です(^^;
やっぱりこれは、他の誰のものでもない、『東京タワー』のリリーさんの作品です。
お母さん想いの優しい子ども。
ここでも親子のあったかい愛情が溢れています
ヒデキはこの巻が特に大好きで、何度も「読んで」とせがみます。
サキは、彼のイラストにとても興味を持っていて、何で色をつけているのか、とか、キャラクターのデザインについて細かいチェックをしています(笑)。
宮沢賢治の愛。
リリー・フランキーの愛。
バレンタインデー。私は子どもたちに2人の作家が描いたそれぞれの愛の絵本を読みました。
ひとくちに「愛」と言っても、いろんな愛がありますね。
ひなたまさみ