2007/06/07(木)08:52
数学の美しさ(博士の愛した数式)
おはようございます
ヒデキ(小4)は昨日、足の包帯を外して帰ってきました。
「包帯、どうしたの?」
「だって、ドッジボールするのに邪魔だったんだもん。
(やっぱりやったんだ?)
しかも、YとかSとかがさ~、
”おい!ヒデキの弱点は右足の親指だぞ!”
とか言って狙ってくるから、ムカついて外してやった」
…だそうです(笑)。
昨日も帰宅するなり、ランドセルを放り投げて、暗くなるまで野球をして遊んでいました。
一方の娘サキ(中1)の方は、昨日学校を欠席しました。
(今日はどうかな~?)
借りていた映画のDVDの返却日が迫っていたので、私は自分が観たくて借りた作品をサキと一緒に鑑賞しました。
「博士の愛した数式」
感想は…
「こういう作品、私は大好きです」
の一言に尽きます。
普段は私と映画の趣味があまり合わないサキも、珍しく
「いい映画だったね~」
と、何度も繰り返すほど気に入ったようでした。
原作は昨年度の本屋大賞でしたか。
気になりながら読むチャンスがないうちに映画になり、それもとても評判が良いようだったので、ずっと気になっていました。
交通事故に遭ってから、毎日80分の記憶しか残らなくなってしまった博士。その家に家政婦として通い始めた一人のお母さんとその息子との触れ合い。
初めてその家を訪れた家政婦さんに、博士は開口一番、
「足のサイズは?」
と、尋ねます。
「24センチです」
「24…4の階乗。実に潔い数字だ」
記憶がリセットされるため、この会話はその後毎日続くことになります。家政婦の10歳の息子には√(ルート)というあだ名をつけ、
「どんな数字も厭わずに自分の傘の下に入れる。実に寛大な記号だ」
(すみません、こんなセリフだったと思いますが、ちょっと違うかもしれません)
と言いながら、ルートをとても可愛がり、数学の楽しさや得意の野球を教える博士。
自分が論文で学長賞を受賞したときの番号(腕につけているブレスレット)は284。
家政婦さんの誕生日は2月20日。
284と220という数字。
これは「友愛数」であることに感激する博士。
友愛数というのは、その数自身を除いたそれぞれの約数を足し合わせると、お互いの数になる組み合わせ。
つまり、284以外の284の約数を足すと220になり、
220以外の220の約数を足すと284になる。
数学を、自然をこよなく愛する博士。
私の知っている人にも、こんな人がいます。
ヒッポファミリークラブの創始者である榊原陽氏。(通称さかっちゃん)
「数式は、自然をあらわすことばである」
「赤ちゃんたちが勉強することなくことばを話せるようになっていく不思議。
そこにもきっと美しい秩序があるに違いない」
中学の数学では因数分解あたりですぐに脱落した私。
そんな私がことばに興味を持ち11年前に家族で仲間入りしたヒッポで、まさか「部分と全体」(みすず書房・ハイゼンベルク著)なんていう本を読んだり、あの苦手だった数学や物理と再会することになるなんて、思ってもみませんでした。
ヒッポの活動を地域で主催するようになって以来、一介の主婦である私が、これまで何人もの大学の数学や物理の先生方とお会いする機会に恵まれました。
中でも印象に残っているのは、ある大学の数学の先生から、フィボナッチ数列についてのお話を伺ったことでした。
フィボナッチ数(列)というのは、1,1,2,3,5,8,13…というように、すぐ隣の数字と足し合わせた数が並んでいく数列だそうです。
「ひまわりの種とか、まつぼっくりのまつかさとか、らせん状のように並んでいるものは、このフィボナッチ数列になっている」
と聞いたときには、本当にビックリしました。
自然界と数学とが結びつくという発想が、私の頭の中にはまったくなかったからです。
更にその先生は、
「生物が大量発生する年は、素数の年である」
という話もしてくださいました。
「たとえば、4年周期で大量発生する生物の天敵が12年周期で大量発生するとしたら…
3回に一度は天敵も大量発生するわけですから、絶滅する恐れがありますね。
それを避けるには、素数の年が良いというわけですね」
(ええ~っ!?
例えばセミや蜂が、素数を知っていて、”今年は増えるぞ~!”なんてやっているとは思えないよね?
それなのに、そんなことがあるなんて…)
私はそのとき自分がこれまで意識すらしてこなかった自然界の神秘の一端に触れたような気がしました。
博士も愛していた素数。
1とその数以外に約数を持たない孤高の数。
1、2、3、5、7、9、11…
(なんて素敵なんだろう!?
数学って、こんな世界だったの~?)
私がその話を聞いたのは、もう8年くらい前でしょうか。
いまでもそのとき受けた驚きと感動は憶えています。
そして、
(どうして中学の数学の先生は、こんなことを私たちに教えてくれなかったんだろう?
もしも因数分解や関数を教わるときにこういう話を聞いていたら、私はもうちょっとは数学が好きになっていたはずなのに…)
と、思ったものでした。
√少年はやがて数学の先生となり、教壇に立ちます。
映画は、その先生の最初の授業の流れに沿っての回想、という形で進んでいきます。
(そうだよね~。
博士みたいな先生のそばで育った子どもがやがて博士と同じように数学を愛するというのは、ごく自然なことだもんね~)
この映画は、若い人たち、特にかつての私のような数学嫌いの中学生、高校生たちにぜひ観て欲しい!と感じました。
さて、映画のあと。
私は、不思議なくらい感性が一致している2人のクリエイター、
サキとセトハル君の誕生日にも何かの法則があるのでは?
と思い、早速2人の生年月日を書き並べ、それを足してみたり、掛けてみたり、素因数分解してみたり…
そしてようやく2人に共通する性質を発見
サキの生年月日(西暦を含む)の数字をすべて足すと、39
(サキは1994年9月16日生まれなので、1+9+9+4+9+1+6=39)
セトハル君の数字は、33
それぞれを素因数分解してみると…
サキ=3×13(素数)
ハル君=3×11(素数)
2人とも、3と(2ケタの)素数を掛け合わせた人。
(とってもシンプルな式になります)
(あれ?こういうの、法則でもグループでもないのかな?とりあえず私は、この2人に共通するものさえ見つかれば満足だったので。笑)
ちなみに私の場合は30
素因数分解すると、2×3×5
息子は34で、2×17(2ケタの素数)
ですから、この組み合わせは、それほど多くの人に当てはまるわけではなさそうです。
みなさんの中に、生年月日の数字を足して素因数分解した答えが、3×(2ケタの)素数になる人がいらっしゃいますか~?
その人は、サキやハル君と共鳴しあえる感性を持ち合わせていらっしゃるかもしれませんね
以上、私の妄想話(笑)。
「博士の愛した数式」は、静かで、穏やかで、数学の美しさを伝えてくれ、心のスケールを押し広げてくれる素晴らしい映画でした。
最後に、我が家のベランダ菜園。
ついに開いたとうがらしの可憐な花の画像を…
花びらが5枚。
これもフィボナッチ数?(笑)
ひなたまさみ