カテゴリ:お山に雨が降りまして
大阪と週末往還を繰り返していたが、週末の雨の事とて地元散策に充てることに
した。湖東の西堀栄三郎記念館「探検の殿堂」の訪問は順延することにする。 何年もこの機会を待っていたのだから、特段焦ることはない。天気の良い日には あの聖徳太子が帰化人のために建立したと伝承のある百済寺(ひゃくさいじ ) などとともにじっくりと近隣を巡ってみようと思う。 しかし、この東近江市の関係者はなにをしているのだろう。ネット検索をしても この記念館の所在がすべてサイト情報で旧住所になったままだ。この国の偉人の 記念館ともなれば、立派な観光資源だろうと思いきや随分粗略に扱われている ものだと思ってしまう。あの「世界の知性」南方熊楠の記念館が和歌山では嘆息 ものの扱いを受けているのは、仕方がないという気もしないでもない。しかし 滋賀の民度は、和歌山とは少しは違うのではないかと思っていたが西堀栄三郎先生 への配慮がまだ緩いのは危惧されるところだ。 × 滋賀県愛知郡湖東町大字横溝419番地 ○ 東近江市横溝町419 ↑クリックでジャンプします。 ご存知の方には、蛇足のような話であるけれども西堀栄三郎先生といえばこの国の エンジニアにとっては神様のような存在である。ネット上にも色々と逸話が散在して いるのだけれども、明治の人はやはり昭和生まれの軟弱な我々とは相当違う。 自分がバイクに乗り始めたのも西堀栄三郎先生の影響は濃厚である。たしか高校時代の 教科書に京大の構内を学生時代の西堀先生がバイクで疾走していたとの回想談が掲載 されていたと記憶している。桑原武夫氏のエッセーだったように思う。ランパルや ニコレの師匠だった、マルセルモィーズもバイクに執心してフルート使いのかたわらで 常にバイクをいじっていたそうだ。 酔いどれさんのサイトがなかなか詳しい。 真空管の発明。 統計的品質管理手法を日本の産業界に定着させる。 日本におけるQCサークル運動の「開祖」。 日本山岳協会会長。 第一次南極越冬隊隊長。 昭和55年チョモランマ登山隊総隊長。 「雪山賛歌」作詞者。 植村直己氏の「後見人」 表面の業績だけでも、相当なものだけれども自分などが先輩から耳にした「こぼれ話」が また凄い。ネットで拾えるものも、面白いけれどもまだまだ蒐集されていない逸話が先生の 場合には、ゴロゴロあると思う。 1934年 比良山スキーツアー中、イノシシと格闘。新聞記事になる。 この事件、イノシシを追いかけて飛び乗り、両目をつぶし、組み敷き、その後、 大勢で殴り殺したというもの。今だったら、動物虐待で、警察に逮捕されちゃうかも・・・(ノД`) ちなみに、当時の新聞タイトルは「昭和の仁田四郎 大猪に飛び乗って遂に殴り殺す 京大西堀講師の武勇伝」だそうだ ↑クリックでジャンプします。 とにかく、フツーの人ではない。 ところで、こちらは大阪育ちには途轍もなく不便な地域なのだが図書館があるらしいので 小雨の中を取りあえず出向いてみた。しかし、予期せず近隣で見出したそれは予想を越えた 綺麗な建造物である。田園風景の中に忽然とポストモダンな装いで現れた図書館は、ここ 5年ほどの新刊本で埋め尽くされている。これは驚いた。ほとんど貸し出しされたとか、 閲覧されたという気配を感じない書籍が広い敷地の棚の中に並んでいる。いや、これは凄い。 少なくとも、大阪市立中央図書館のあの不便さ。大阪府立中央図書館の「ご乱心」みたいな ロケーションを考えれば利用に際しての便利さは、こちらとは比較にならない。爽やかな風 を浴びて閑散な田道を少々バイクで疾駆しただけでこの図書に辿りつく。実態でその蔵書は すべてシャルドネさまの書庫のようなものだ。豪勢なことに、ありとあらゆるジャンルの音楽 CDが唸るほど所蔵されてあるし、ビデオソフトだってしばらく見飽きるぐらいにある。 館内を歩き回って、しばし茫然とした。次回は、弁当持参で来ることにした。 この地域の住民は、この凄い図書館をまったく利用していないのだろうか。いや、農産地の ことだから人口密度が図書館の規模が想定しているものを遥かに下回っているのであろう。 いや、驚いた。これならば書店などまったく必要ではない。特殊な書籍も、アマゾンなどを 利用すれば十分だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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