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2005年09月04日
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以前、こちらの日記で地域通貨の話題をだしたとき間髪をおかずに
msk222さんがさまざまに破綻し瓦解した地域通貨活動の事例をふまえて、
それら運動の不可能さについて指摘されたことが興味深く思い起こされる。

※2005年3月15日賭博者のシリーズを再読ください。
↑クリックでジャンプします。



実は、破綻した社会活動について言及することは当然無意味ではない。
さりとて、破綻した活動とは所詮は「破綻した活動」でしかないという
側面もある。活動の理念からいえば、成功した事例に、どれだけ理念が
反映し続けていうのかという視点も大切なのではないか、という気が
した。

---------日本人は、いつも思想はそとからくるものだと思っている。
と、私が尊敬する友人がどこかに書いていた。(正確に引用したいのだが、
どの本に書いてあったのか、記憶にない。だから著者名もさしひかえざる
をえない)。

この場合の思想とは、他の文化圏に入りこみうる---つまり普遍的な----
思想をさす。古くは仏教や儒教、あるいはカトリシズム、回教、あたらしく
はマルキスズムや実存主義などを念頭においていい。

                 司馬遼太郎「この国のかたち」一



日本は、日本人は、どうやら「外」に向けて妥当さを感じられる思想を打ち出す
ことが極めて不得手らしい。また、そのようなものが内から湧き出す、あえて
言えば萌えるという経験を忌避する傾向があるのかもしれない。



森崎和江が、「海岸線の思想」というような茫漠とした語りに託していたのは
海にかかわる労働において男と女が、その海における就労行為から相互に妥当
性を共同できるという生活の実態に熟知があったことに発しているという風に
思う。そこに、森崎和江は、可能性を感じたらしい。同時に、吉本隆明が、
「対幻想」などという流行思想を持ち込みさえした。あの世代には、それで
疎通する妥当性があったのかもしれない。

かつて、女権拡張論者がこのような森崎和江世代の「思い」を軽々と
見落とし現実の女性への性差別についての個別の闘争に公民権闘争を仮想して
時代に拡散していった。繰り返し起きては失せるこの「思想的」な流行模様。
普遍的な妥当性を、つねに国境の外に求めるという基調からすれば、いかに
森崎和江などの想念が、思想の萌芽として独創的かという思いがする。






試みとしての地域通貨に話を戻そう。


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思想としての地域通貨の妥当性についての担保は、やはり当初この国の外から外来
の舶来趣味としてやってきたという印象がある。しかし、自分の眼にはこの思想が
古代から悠久の想像を絶するほどの時の流れののエンドとして、かつてわれわれの
袂を離れて流離しながら世界拡散の果て。艱難をものかわとしふたたび「この国」
に凱旋してきた思想のように思えてならない。つまり、外部からやってきた思想と
しては、われわれには御馴染みの、懐かしいもの。つまり妥当性としてはすでに
われわれの社会が検証ずみの思想のように思われてならない。

実は、当地滋賀においては県環境保全課などが継続的に提唱もし続けて来た効用が
次第に定着しているかのようだ。ご存知、琵琶湖では外来魚のブラックバスや
ブルーギルが生態系に深刻な影響を与える域の猛威をふるってきた。


もともと1960年、いまの平成天皇が皇太子時代での渡米。そのみやげとして贈呈された
個体が、各地へ分与されたというトンでもない来歴がある。各地に下賜されたこの
ブルーギルが、日本の歴史と伝統をささえるべき自然環境に重篤な変化を与えかねない
脅威と化していることは、笑えないこの時代の教訓である。起源を400万年とも600万年
ともされる、この世界最古の湖沼グループに上位する琵琶湖が、よりによって平成の
御代に愚かにもリリースされた北アメリカ産の外来魚で琵琶湖在来種は激減してしまった。
なにしろ湖底のありとあらゆる小動物、果ては水草まで食べるという獰猛な雑食性で、
とくに稚魚になりかける在来魚の卵を好んで食べる。ために、こやつが激増した水域
では在来生物への大きな影響が懸念され続けてきた。



msk222さんには、御不評であったが当地琵琶湖ではこの地域通貨制で着実にブラックバス
や、ブルーギルが抑制されている。例年11トンから28トンもの外来魚が水揚げされている。


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最終更新日  2005年09月04日 21時47分46秒
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