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カフェ・ヒラカワ店主軽薄

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2006.10.05
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カテゴリ:ヒラカワの日常
肩書きばかりが多い人間というのは、
どうも信用ができない。
人間一生のうちでやれることは限られている。
あれもこれもやっているというやつは、畢竟するところ
あれもこれも中途半端だということだろう。
よく、会社社長で、町内会の会長で、ライオンズクラブの役員で
詩吟の会の世話人で、少年野球チームのコーチで、
マンションの理事長なんて具合に
名刺にずらっと役職を並べているやつがいるが、
ご尊顔を拝見すると、
ただ脂ぎったアホ面だったりする。

数えて見たら、俺も
社長が三社、取締役が五社、顧問が四社で、
近々にもう一社取締役となる会社ができる。
全部で十三社である。
ひょっとすると、一社か二社は漏れているかもしれない。
詐欺師か、馬鹿である。
名刺入れにすべての名刺が入りきらない。
頼まれると嫌とは言えない性分といえば聞こえはいいが、
節操がないはんちくな野郎だと言われても
返す言葉が見つからない。

口を糊するひとつの職場と、心底入れ込める趣味、
心休まるひとつの家族。
朝起きて会社に就いて、定時に帰巣し、休日に盆栽と会話するなんてのが
美しい人生というものである。

色々な会社と関わってきて、ひとつだけ役得というものがあるとすれば、
多くの会社を、見比べることができるということかもしれない。
十人十色というが、
会社というものも、十社あれば、十通りの経営がある。

昨晩、内田樹くんの兄貴と横浜中華街で会食した。
あれこれと、会社のお話しを伺っていたのだが、
この兄貴の経営思想には、いちいち得心がいったのである。
こういう人ばかりが経営者であるならば、
バブルも起こりようがないし、
労働争議も、モチベーション教育なんてのも無用のものになるように
思える。
「俺はね、年功序列ってのがいいと思っている。
その理由は、自分が雇われていたときに全く認められていなかったからね。
成果主義とか、実力主義なんていうが、
仕事の上での能力だとか、実力なんてのは、
そんなに、大差があるわけじゃないんじゃないか。」

「売り上げを増やせなんて一度も言った事がない。
だって、全く無意味だからね。
何を、どうやるのかということだけが、枢要な課題だろ。」

この二つの言葉だけでも、彼の経営がどのような発想に基づいているのかが
よく伺えると思う。
これは、シンプルで力強い思想であると呼んでもいいように思う。
人間の能力といったものを、人間が容易に判断できるわけがないという
こと、人間は筋道の見えない号令では動くことがないということ。
これらは、考えて見れば当たり前の、人心の摂理である。
常に己の進路を求めて止まず 而して尚方円の器に従うは 水なり。
黒田如水の「水五訓」の一説である。

しかし、このあたりまえのことを、当たり前のように遂行してゆく会社は
すくない。大変に少ないといってもいいと思う。

合理的と称して、成果主義を導入する会社は多い。
しかし社員一人ひとりに与えられた条件には、必ず非対称が存在するし、
能力を判定する物差しは実はかなり恣意的なものである。
そのことを理解できない馬鹿な経営者は、上がってきた数字が
透明で公正な物差しであるかのように、思ってしまうのである。
数字と成果は、無関係ではないが必ずしも因果関係で結ばれてはいない。
現場にいるものは誰でもそれを知っている。
知らないのは現場の水を飲んでいない、手の白い連中である。
そこには、当然のことながら報われない愚直のものと、
合理の浅瀬を渡るのが上手な果報者が出来する。そうなれば
社員のモチベーションは上がらない。
そこで、されに金と地位を餌にしたモチベーション教育が施される。
悪循環である。
勿論、これは極端な見方である。
どこかに最適な解があるわけではないというのが本当のところである。
ただ、ここには「計算」はあるが「思想」はないということだけは
確からしく思える。














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最終更新日  2006.10.06 00:43:56
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