無用の人ここにあり

放送部のススメ

昔むかし、福岡市の東区にある県立の工業高校での話。工業高校だから、電気、機械に工業化学、設備に情報とそれぞれの科があって、いずれもほぼ男子生徒ばかり。たまに女子もいる...。部活動も、グラウンドじゃ、野球にサッカー、ラグビーに軟式テニスのコートもあるった。体育館で、バスケ、バレー、卓球で武道場では空手に柔道。文化系は軽音、写真、化学に動画などなど。そして僕が在籍していた放送部と演劇同好会。体育会系は今でもありそうだけど、文化系はどうかな?当時の放送部は、同好会として発足して2年目に部活動に昇格することになる。創部メンバーは、オーディオマニアと洋楽大好き野郎と映画ファンと、その友達で5人。彼らが創った同好会は経験がある顧問の先生がいた訳でもない素人集団だった。機材も酷いもんだった。唯一の放送機器と言えば生活指導の先生が、悪さをした生徒を呼び出すのに使ってた備え付けのマイクがピョンと立ってるミキサー卓が、なんと職員室の中に置いてあるだけ。申し訳程度にその周りをパンチングボードで仕切ってある。それが、攻めてもの救い...そこが我が放送部の部室である。視聴覚室にある機材も年代物のオープンテープデッキとベータマックスのビデオとVHSのビデオデッキ。それと超重たいデッキ部を肩に担ぐ感じのビデオカメラ。いずれも現代では家電の化石とかしつつある。VHSはシーラカンスってところかな。それが、ラジオドラマを制作して、NHKの放送コンクールで強豪たちの間に割り込んで、いきなり入賞するのである。快挙！！だったろう。そんな、スゴい先輩たちだったのである。今の時代なら、大人たちから褒めちぎられて、校舎の外に「㊗️放送部 NHK放送コンクール ラジオドラマ部門 入賞」なんて、大きな懸垂幕が垂れ下がっていたりする筈だ。その放送部の創立に尽力した初代部長のI先輩が、3年前の夏に亡くなった。 創立メンバーではもう1人、O先輩も 40代前半と早くに亡くなっている。ホントに、このまま忘れ去られるのが惜しい。そこで虚実とりまぜて、面白おかしくとある高校の放送部の日常をこれから語ろうと思う。