もしかしてホラーですか(1)
ハッキリ言うとオバケを見たことはない。見えないで結構である。怖いのだから。。。でも、怖い話は大好きである。6年前の夏、長崎の島原へ長男坊と2人で出掛けた。熊本の長洲港から島原までは、フェリーの航路があるので長崎自動車道で行くより、意外に楽チンな旅になる。朝ごはん食べて、少しボンヤリしてると高校生の息子も起きてきて、盆休みは今日までかと聞いてきた。そうだと応えると、どっか行こうと言う。明日は仕事だぜ?と言いつつ、スマホを弄りながら面白美味しいとこを探す。僕と長男坊は時々、昼前からイキナリ遠出をする。広島市内まで昼飯に、お好み焼きを食べに行ったり、チャンポン食おうと言って長崎の中華街へ行くなんてことはザラである。反対に次男坊は出不精とまでは行かないが、遠出はあまり好まず、家でPS4だ。島原へフェリーで行って、島原名物らしいお店でチャンポンを食べて、腹も落ち着いたら島原城の天守閣に登って天草の海と普賢岳を眺めて、そのあとは清流ながれる涼やかな城下町を散策して、江戸時代の風情をのんびり楽しんだ。さて次は、島原の乱の主な舞台となった原城跡を見て仁田峠へ行こうとなった。 島原市内から国道を南下して行くと、普賢岳噴火の土石流の傷跡が見えてくる。そしてさらに進むと、段々寂しい雰囲気になって「原城跡」の標識がさり気なさ過ぎて、うっかり見落としそうになり慌てて左へ曲がった。 すると気のせいか、一気に空気が変わった気がした。そのまま城跡へと続いているであろう田んぼ道を走りはじめたその刹那、一瞬だけ線香の匂いがした。「えっ」と言うと助手席の息子は、「なに?」と言うので「今さ、一瞬だけ線香の匂いせんかったか?」と聞いたが全然、そんな匂いはしなかったと言う。まぁ、彼は万年鼻炎なので匂いには鈍感だけど💦それに時期がお盆だから、近くのお墓に誰かお参りでもしてるんかな?と思いつつ、辺りを見たけど墓はない。城跡まではしばらく走るみたいだし....。僕の考えを察してか、息子も黙ってるが、ここで帰るのもなんだしなと気を取り直して原城跡の駐車場まで来た。駐車場には、1台だけ車が停まってるだけで、他はだーれもいない。時間は夕方5時過ぎだったろうか。「おい、あの車の人達が帰るまでに、俺らも帰ろうぜ」と息子と急いで車を降りると、走る様に原城の遺構を見て廻って、合掌した方が良いと思う場所では、二人とも手を合わせた。いつもならデジ一眼を持って歩くが、何故か車に置いて来た。いや何故じゃない、直感的にアカンと思ったからだ。スマホは持ち歩いたが、僕も息子も1枚も写真を撮らない。こう言う所には面白半分で来てはダメだと思っている。真面目な気持ちで訪れたつもりだけど、乱のあとで幕府軍によって徹底的に破却された城跡で広々として海風が吹いてはいるが、妙に圧迫感と言うか、空気が重く感じてしまう。風に吹かれながら海側へ歩くと、結構な断崖だ。200年以上昔の事とは言え、37,000人もの老若男女が殺された場所だもの、知っていればなおのこと、何にも感じ無い方がおかしいに決まっているな...と思いつつ海を眺めた。さて車に戻って来て、気持ちを落ち着かせたら、仁田峠へ向かった。ここから雲仙岳を越えて真っ直ぐ降りると、フェリーの港である。仁田峠へのゲート前に18時を少し過ぎて到着したが、残念!ゲートが閉鎖されている!! ゲートの看板に18:00までとあるのを読んで「あー、間に合わんかったかー」と諦めると仕方なく港に向けて、山を降ることにした💦予定していたフェリーに乗るならかなり時間が空いたので晩飯も島原で食べようか?なんて話しながら他愛のない会話をしていたが、いつからか横の長男坊から返答がない。助手席の息子は、うっつら、うっつら居眠りを始めていた。お日様も暮れて山道も暗くなって、見える景色はヘッドライトに照らされた道路だけに、退屈なドライブになって来た。フネを漕ぐ息子を横目に「オイオイ、寝るなよな」と思った矢先だった。息子が突然、目を開けたかと思うと「今、線香の匂いがした! アイタタっ、頭が痛い!!」と車中で騒ぎ出した。こう言う時、僕は落ち着いている。「鼻炎なのに線香の匂いする? どこが痛い?頭か首か?」息子は「イタイ、イタイ!」と言うだけでパニック。だから、どこがだよと言いつつナビを見ると、もうすぐ山道を抜けて市街地へ出そうなので、次期に治まると見た。なぜ、そう思うのか解らないが、山を抜けた途端に息子の頭痛&首痛がピタリと収まった。息子はビックリした‼️と眠気も吹っ飛んだ様子だが、具合は悪くないらしいが気味が悪いのは確かだ。寝違えたんじゃね?とかって平静を装う。これじゃぁ、長居は無用と思ったので、1本早いフネで帰ろうと言うと、息子も晩飯は家の近くまで帰ってからで良いと言うので、港へ急いだ。幾分かは緊張が緩んで来たがもう何も起こらないとは言えない、まだ顔はこわばったままで車を走らせる。港まで来たら、そのままフェリーの車両乗り込みのレーンに乗ってドライブスルー形式の料金所に入った。ちょうどフェリーが泊まっているが、乗れるかどうか微妙なタイミングだったから、料金所のお姉さんに、あのフェリーに間に合いますか?と聞くと大丈夫です!と愛想の良い笑顔が返ってきた😁お姉さんの笑顔に救われた気がして、あー良かったと、僕らもホッとして、料金はいくらだっけ?と僕がお姉さんに訊ねたその時、事件は起きた!!ちょっと車の中を覗き込むように、窓から身を乗り出すとお姉さんは笑顔のまま、こう言ったのだ。。。「えーっと、運転されている方と、あと....2人で、3名ですかね?」 とそう言い終わらないうちに、反射的に僕も息子も「えっ」と大声を出してしまったら、なにかを察したのか、慌てたお姉さんは「あっ、お、お二人ですね!」とさっきまでの笑顔とは違って少しこわばった表情で言ったから、怪訝な顔を僕もしながら、取り敢えず2人分の料金を払った。車をフェリーに乗り込ませながら、どちらともなく後部座席を振り返ったりバックミラーを覗いたりしながら「乗ってるのかね?」「何が?」「う〜ん...」って言うかあのお姉さん、何が見えたんかね?と動揺しまくりの僕ら。フェリーに乗船中は規則で車内には残れない。僕らが降りたあとも、係員の人が見える人だったら、車のナンバーで呼び出されて、ダメだよーって怒られたりして....なんて冗談を言うと、シャレにならんと息子は苦い顔をしていた。結局その後は、何事もなく僕らは家まで帰って来た。。。さて翌日、元同僚達が興した会社に行って、仕事の依頼をする事になっていた。仕事の話が終わったのは、お昼前。少し早いが飯を一緒に食おうとなって、4人で近所のラーメン屋さんに出掛けた。車中で誰かが、その店はチャンポンも美味しいよと言ったのがきっかけで、昨日の事を思い出した。それがさぁ「誰か連れてきたかも?!」と面白おかしく、昨日起きた事件を掻い摘んで皆んなに話した。そんなとこ行くなよなぁとか言われたり、そう言えば、さっき、お前の車見たら誰か乗ってたよとか、からかわれたりしながら僕も他の3人も笑っていた。そして目的のお店に着いたが、昼前なのに人気店らしく満席で、店の中で立ったまま待つことにした。。。しばらく待っていると、テーブル席が空いて、大将の奥さんがテーブルを急いで片付けてる様子を見ながら、これまた大将のお母さんかな?みたいなおばあちゃんが「はい、お待たせしました」と、コップにお冷をつぎながらテーブル席に僕らを案内してくれた。そして、コップを5個置いて、普通におばあちゃんは店の奥に戻って行った....イスに座りながら、そのコップの数に僕ら一同????メニュー表も見らず、しばらく固まったままの僕ら。と、そこへメニュー表を出していない僕らに注文が決まったと思った奥さんが「ご注文はお決まりですか?」とやって来たが、僕らの顔とテーブルのコップの数に違和感を感じたのか、「あら、あとお1人は、お手洗い?」と言うので、いや最初から4人で待ってたんですけど、おばあちゃんが5個コップ持ってきて....と困惑顔で僕が言うと「あ、ああ、4人だったのね」みたいなリアクションで僕らも、奥さんも変な笑顔を無理やり作って、余ったコップを引き取ってもらって、全員チャンポンを注文した。コップを持っていく奥さんを見ながら、誰かが言った。「お前、マジで連れてきとるやん....」そのあと、走っている最中にガンガン鳴らしていたカーオーディオの電源が2度、イキナリ落ちることがあった。そんな時、僕としては怖いと感じるより「オイオイ、何してくれてんの」と突っ込んで「まだ、居たんだ」と苦笑してしまうのだった😅😅😅