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間隔的に襲ってくる陣痛による押し殺したうめき声は、午前1時を回る頃には、悲鳴に近くなる。
どうすることもできない自分は痛みがくるたびに必死でさすり 『頑張って!子供も頑張ってるよ!ママも頑張って!』と声をかける。 空調が効いているはずの病室なのに、自分のおでこは汗だく。 奥様のおでこも汗だく。なのにブルブル震えてる…その表情は今にも気を失って しまいそうな鬼気迫るものがある。 昼間の余裕がウソのように、痛みにこらえきれずにナースコールを押してしまう奥様。助産婦がくるたびに 『まだですか…もうダメです…』と消え入りそうな声で、すがるように問う奥様。 『まだまだよ。』と涼しい顔で返答する助産婦。 『まだイキんではダメ』という助産婦と『どうしても耐えられずイキんでしまいます…』という奥様。 『ダンナさん、奥さんがイキみそうになったら股間を思いっきり押して下さい』 …仕事が一つ増えた。 叫ぶ、イキむ、押す、声をかける、呼吸を整えさせる…これを何回繰り返しただろう、気づくとAM4時を回ってる。 もちろん休憩などない。昨日の晩もろくに寝ていなかったのでかなりキツい。が、 苦しんでいる最中だというのに奥様はオレに『ごめんね…』『ありがとね…』を繰り返してる。 いや、何か自分が申し訳なくなってくる。オレは痛くないだけマシ。 窓から見える外が白々と明るくなってきた6時前、助産婦さんの 『奥さん、じゃあ分娩室に移動しようか』『ダンナさんは立会い希望してなかったわよね?あとは待合室で待ってて』 オレが立会いを希望しなかったのは、奥様が悲鳴をあげて苦しむ姿をなるべくなら見たくなかったから。 でもここまで見てしまったら立ち会ってもいっしょだったと今になって思う。 でも、そう言われたとき、あとは待つだけだ…という安堵感は確かにあった。 薄暗い待合室。Tシャツで汗もかいていたので今度は妙に寒い。 待つこと30分ちょっと(実際はかなり長く感じたけど)。 さっきとは別の助産婦さんが分娩室の方から歩いてくる。俺を見つけ 『おめでとうございます!先ほど元気な男の子が生まれました。今、奥様の後処置をしていますので、もう少しお待ちください』 9月21日 AM6:34 3284g 男子誕生 正直、実感がなかった。とりあえず、電話で母と義母に連絡。 15分くらいしてガラス越しに生まれたばかりの我が子と対面。 …何とも言えない不思議な気持ちと感覚…ハテナ顔でのぞく父の顔がどんなふうに見えてただろう? その後、奥様と対面。スッキリした笑顔。 その顔見たら、ドっと涙が溢れてきた。なんで涙が出てきたのか分からないけど、 よく頑張ったって気持ちと安堵の気持ちと今まで10ヶ月弱のおなかを大きくしながら いろいろ頑張ってた奥様への感謝の気持ちとが頭の中にウズまいて 『ありがとう…ホントありがとう』って言葉だけしか出てこなかった。 ママも涙が出てきた。パパはハナまで出てきた。 そんな長男誕生秘話でした。 ちなみに、その日は会社を休み10時半頃帰宅後、眠り続けました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.09.24 00:21:36
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