神経内科医の徒然診療日記・コロナの時代

2013/01/10(木)09:45

あの降圧薬に認知症予防効果!? 他の降圧薬に比べ脳萎縮が抑制

医学関連(652)

日系米国人対象研究,第65回米国神経学会で発表へ 本来,高血圧患者の脳卒中や心筋梗塞などの発症予防に使用される降圧薬に,認知症予防効果が期待できるかもしれないー。米ハワイ州のPacific Health Research & Education Institute(PHREI)のLon White氏らが,日系米国人を対象に降圧薬使用と認知症発症との関連について検討したところ,β遮断薬以外の降圧薬を使用していた人に比べ,β遮断薬のみを使用していた人およびβ遮断薬とその他の降圧薬を併用していた人では脳萎縮が抑制されていたことなどが明らかになったとして,米国神経学会の公式サイトで紹介された。詳しい報告は,第65回米国神経学会(3月16〜23日,サンディエゴ)で発表される予定。日系米国人男性774人対象,使用降圧薬の種類別に脳病変を比較 米ハワイ州の保健衛生研究教育機関であるPHREIのWhite氏らは,同州における高齢の日系米国人を対象に認知機能の低下や認知症について研究するHonolulu-Asia Aging Studyのコホート774人において,降圧薬の使用と認知症との関連を調べた。 774人中,高血圧または降圧薬使用が認められたのが610人であった。降圧薬を使用していた約350人を薬剤別に見たところ,β遮断薬の単剤が約15%,β遮断薬とその他の降圧薬の併用が約18%,それ以外ではβ遮断薬以外の降圧薬を使用していた。 剖検により脳異常を比較したところ,β遮断薬以外の降圧薬使用に比べ,β遮断薬の単剤使用では,アルツハイマー病(AD)や微小梗塞を示唆する脳病変がより少なく,併用は両者の中間に位置しており,β遮断薬単剤使用および併用では,β遮断薬以外の降圧薬使用と比較して脳萎縮が有意に抑制されていた。 同氏は「われわれのコホートはAD発症が著しく増加すると危惧されているが,一般的な降圧薬であるβ遮断薬にAD発症の予防や抑制効果があるとすればとても素晴らしい」とコメント。詳細は,今年(2013年)3月中旬から開かれる第65回米国神経学会で発表される予定。(MTproより引用)コメント:今年になって初めての投稿です。読者の皆様には今年も、よい年になりますように祈念します。さて、降圧剤は多数ありますが、β遮断薬は比較的安価でもあり、私はよく処方する方ですが、脳萎縮も予防する効果があれば、積極的に使用したいです。β遮断薬は、心不全や、振戦にも効果があるので、使用法によっては、見直されても良いかと思います。しかし、認知症の悪化に効果があるかもしれないという降圧剤は、一部のARBでも報告されており、生活習慣病の改善も期待されての効果でもあり、全てを信じるのは無理でしょう。

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