テーマ:読書(8198)
カテゴリ:読書
12月28日から始まり10日間という長かった年末年始の休暇も今日でおしまいです。ところで、僕は毎年、年末年始の休暇中に歴史小説、特に戦国時代のものを読むことにしています。ということで、今年は、北沢 秋(きたざわ しゅう)という人の書いた「奔る合戦屋(はしるかっせんや)」という本を読みました。 文庫本で上下2冊です。上下併せて約500ページという量で、それなりの大作だと思います。 さて、あらすじですが、時代背景は戦国時代前半、舞台は信濃の国(今の長野県)です。信濃の国は山が多いせいもあって、なかなか信濃の国を統一する武将が現れず、村上氏、小笠原氏、諏訪氏がなどが割拠していました。 物語の主人公、石堂一徹は、村上氏の家臣です。当時の村上氏は、村上義清という豪将が当主であり、それなりに領地を拡大していました。そんな村上氏にあって、石堂一徹は若いながらも武勇と知力に優れて、たびたび村上氏の領土拡大に貢献します。 そのうちの甲斐の国(山梨県)を支配する武田信虎(武田信玄の父親)が信濃に進行してくるのですが、そのころになると主人の村上義清と家臣の石堂一徹との間に隙間風が吹くようになります。 結局、石堂一徹は、主人の村上義清の無謀な策によって、愛する妻子を失うことになり、主家を捨てることになります。それが重臣である石堂一徹に相談することなく、行われた策であったためでもあります。 この場合、村上義清のほうが、家臣である石堂一徹の献策を頭の中では理解しながらも、主人の自分よりも優れた策を考える家臣を疎ましく思ってしまったこと、家臣の石堂一徹のほうとしては、この殿様ははたして自分が思うような一国一城になるだけの素質があるのだろうかと疑い、お互いの信頼関係にヒビが入ってしまうことが原因です。 ともあれ、自分より能力の劣る殿様の下で働く家臣の難しさというものを考えさせられる小説であり、また現代でも、自分の上司や経営者が自分より劣っているかもしれない・・・というようなこともありえますね。 なお、この小説は前作があって、それは「嗤う合戦屋(わらうかっせんや)」というものです。数年前に、この「笑う合戦屋」を読んでいる僕としては、今回の「奔る合戦屋」は興味深いものでした。 この「嗤う合戦屋」という本のほうが先に発表されていて、その主人公の石堂一徹はすでに浪人という立場で描かれていて、今回の「奔る合戦屋」では、なぜ石堂一徹が浪人になったのかということが明らかになります。 いずれの小説も痛快な時代小説となっています。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書] カテゴリの最新記事
|
|