80歳男子 老いても・・・・
妻との会話で「じっちゃん」で通じるNさん。年金支給日の朝一番に家賃を入金してくれる。筋が通らない事は大嫌いだ。銀行、スーパーへも自力歩行。俺は100まで生きる!のが口癖だ。そんなNさんも、寄る年波には勝てず、終活を考えるようになった。であれば、部屋の荷物の断捨離をお願いしたいのだが、その言葉は飲み込み話を聞く。以前、所有の年代物のウィスキーを何十本か、換金した。ウン千万の購入金額なのに100万ほどにしかならなかった、とぼやく。でも先日テレビを見ていたら、お宝鑑定番組で、自分が所有するウィスキーが、650万という高額で評価されていた。限定生産のレア物だそうだ。俺のも、その位の価値があるのではないか??売れれば、入院代の足しにはなるだろう。又、別の高名が画家が書いた絵画も有る、これも売れたら、、と妄想は膨らむ。「持って行って鑑定してあげようか?」の言葉を待っているのは分かっているが、気付かない様に振る舞う。じっちゃんもプライドが有るので、お願い、と言う言葉は出さない。ここは駆け引きだ。80歳を超えても、一山あてたい、という気持ちは消えないのだろう。もしかしたら生きるエネルギーになっているのかもしれない。ふんわりした会話の中に、微妙な緊張感を漂わせながら、小春日和の午後は過ぎていった。因みに、じっちゃんの趣味は競馬だ。