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アントレプレナー塾長 「大人の探検隊日誌」 夢のソーシャル・アントレプレナー            

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築地貝焼き専門店

新富町で仕事が思ったより早く5時過ぎに終わった。

  新富町、いい響きだ。

  昔の町名がどんどん減っていく中、こういう町名はなんだか嬉しくなる。 



  これから会社に戻るのも無粋だ。一旦戻れば何時に帰れるか。

  部下を置き去りにして、一人で帰る。



  そういえば、築地から越してきたあのディープなお店はどうしただろう?

ご主人は築地で仲買をやっていた。

  その店はメニューがあまりにもディープだ。

  出すものはお酒と貝類だけ。

  貝類も半端じゃない。



  例えばサザエ。産地が違う三種食べ比べというメニューしかない。

  ハマグリの三種食べ比べは圧巻だ。小から大までその日に築地の河岸で

  仕入れた国産ハマグリが三つ。それが味がそれぞれ違うのだ。椅子とテーブル 

  は、ビールのP箱にベニヤを載せただけ。

  調理など小ざかしいことは一切しない。ただ網で焼くだけ。

  最も高いメニューはここでしか食べられない藤つぼである。

  これがうまいのだ。



  珍しいメニューは、絶対に食べられないと思っていた亀の手である。

  あのざらざらした亀の皮をどう食べるの?



七輪で焼いて、熱々の皮を引ん剥くのだ。

  すると中から貝の身が現れる。これがとてつもなく美味。

  その店に5,6年前にはまった。

  しかも安かった。



  しかし探したが、ベニヤで閉じられていた。



  仕方なしに歩くと、街の洋食屋を見つけた。

  海老クリームコロッケと、蟹クリームコロッケが看板と見た。

  うーん、うまそうな匂いがする。



  通り過ぎるが、なぜか引き込まれる。

  この時間、誰も客がいない。



  蟹クリームコロッケとハイランドビールを頼む。

  おやっさんに話しかける、

  この店は古いのですか。



 「かれこれ33年」

 ええ、築地で洋食屋33年ですか。凄いですね。

 「人を使わず、あっしだけで細く長くやってますから・・・」

 おお、えどっこでぇ。あっしも江戸っ子と意気投合する。



 運ばれてきた蟹クリームコロッケも半端じゃない。



 さすが町の洋食屋さんである。

 そうこうするうちに初老の常連客がやってきた。

 今日は3人。 



 そろそろたいさんするか。



 ご主人が寄って来る。

 このワインサービスですから呑んでみてくでぇせいな。



 軽いが、この味はガメー種?

 ご主人ひょっとしてこの味は、ヌーボーでは?

 ええ、ボジョレーでさぁ。

 これだから、下町はやめられない。



  気持ちよく洋食屋さんを後にする。

  まだ6すぎ。ちょっと築地をぶらぶらしていこう。



  築地6丁目の裏路地をあるいておいると怪しげな灯かりが私を呼んでいる。

  アルミサッシの曇りガラスには会員制の文字。

  中を覗く。



  その時、奇跡は起こった。

  まさに引き寄せの法則である。



  中はシンセサイザーらしき楽器と、ワインと焼酎。

  それによりとりどりの貝類。

  ひょっとしてここはあの伝説の貝屋台?あの新富町と茅場町の・・・・

  ええ、いつ移ったのですか。

  今月。

  いつオープンでうすか。

  実質営業は今日から。

  

  私は6年前あの新富町の屋台にはまっていたのです。

  それならぞうぞお入りください。



  でも会員制では?

  どうぞあなたはれっきとした会員です。

  ひょっとして私が第一号のお客。



  それからじモッコに囲まれて、なんと居座ること4時間。

  ここは昔小田原町と呼ばれていたらしい。

  なんと元築地小学校のジモッコに囲まれた。

  そこにチャーミングなトラキチの看護師さん。



  下町の乗りだ。袖触れ合うも何かのご縁・・・・・

   ああ、なんて居心地のよい空間だ。



   メスズワイ蟹の通称香箱の網焼きがでてきた。

   今の時期しか味わえない季節ものだ。

   ああ、築地はディープな食のワンダーランド・・・・

   これだから築地ツアーはやめられない。

   ああ、もう帰る時間だ。



   外の風が心地よい。







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